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【キーパーソンインタビュー】日本初のソーシャルメディアリード 熊村剛輔氏に聞く(1/ 3)

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投稿日: 2010年2月5日

IMG_2401.JPG— 今回は、マイクロソフト株式会社で日本初のソーシャルメディアリードという、ソーシャルメディアマーケティング戦略の統括責任者としてご活躍の熊村さんにお聞きしたいと思います。

— ご経歴が大変ユニークなのですが、プロのジャズミュージシャンだった熊村さんがどういう経緯でインターネット業界にお入りになったんですか?

熊村:90年代の半ばから後半にプロのミュージシャンとして活動していまして、その時に自分で情報を発信していけるというところにすごくインターネットの可能性を感じました。それまではメディアを通じてでしか発信出来なかったもの、個人の作品であったり、インフォメーションであったりという、メディアが取り上げてくれなかったような小さな情報をどうやって外に出せるかに強い興味がありました。で、気付いたらいつの間にかインターネット業界に(笑)

リアルネットワークスやコールマンといった企業を経て現在に至るのですが、1人で二役も三役もやらせてもらえるような環境だったことが今とても役に立っていると思います。たとえば、ウェブサイト一つ見るにしても、大きい組織になると完全分業制になったりしますが、システム構築の提案からプロジェクトをマネージメントしつつ自分でコーディングをしたり、併せてコンテンツの編成・作成・編集も自分でやりました。実は宣伝やマーケティングの経験はオフィシャルにはないんですが(笑)、おそらく自分がウェブマーケティングというものに関わって行くにあたって、システムを作るといった上流の方から、コンテンツを更新するといった現場の作業までの行程を経験して来たというのは大きな経験だったと思います。

— ソーシャルメディアリードというのは部署的にはどちらに属しているんですか?

熊村:僕自身が籍を置いているのは、企業サイトを運営している部門で、企業サイト全般ガバナンス的な部分を主管している部署です。

— 現在、ソーシャルメディアマーケティングの教科書的に読まれている「グランズウェル」にも、どれだけ経営層を巻き込めるかということが大事だ書かれていますが、最終的にソーシャルメディアマーケティングを誰が担当すべきかは、既存の組織の中ではなかなか難しい問題ではないですか?

熊村:そうですね。特に、大企業になると、セクション毎に業務だったり役割がきっちりと分かれている為、ソーシャルメディアに取組むにあたって全部をきちんと考えなくてはいけない、そうなると新しく専門部署というものを明確に設けなければいけないという組織論になってしまって、「じゃあウチでは無理だよね」って言う形で終わってしまうケースが実はほとんどだと思うんですよ。だからむしろ、小回りの効く組織の方がやり易いのかな、とは正直思います。
 ただ今回、僕がマイクロソフトという企業の中でソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)をやらせてもらえるような背景は、やはりSMMというものにキチンと取組むべきという機運が日本だけでなく全世界的に高まってきたというのが追い風だったと思いますね。

— 熊村さんの活動が広く伝わると、いわゆる大企業も変わるかもしれませんね…

熊村:だといいんですけどね、ホントに。でも今、組織の中で自分が本当に意思決定者かと言ったら、実はそれほどの立場でもないんですよ(笑)ただ、最終的な意思決定を自分がするにせよ、しないにせよ、何らかの形で現場のスタッフたちのアドバイザーでいられるということは、大きいかもしれませんね。「なんかあったらこの人に聞けば良い」という形で、ソーシャルメディアに関する社内の窓口が集約されているのがいいことだと思います。

— ソーシャルメディアリードとして、実際にはどんな活動をされているんですか?

熊村:今はまだ社内コンサルタント的なところが大きいです。というのも、フレームワークを作り始めたのが昨年の夏なんです。三ヶ月かけて作ったフレームワークを10月一ヶ月かけて、ネット活動に関わる可能性のある、社内の様々な部門のマーケターを対象にトレーニングしました。当初20、30人を対象に1, 2回を予定していたんですが、予想外に希望者が殺到しまして、結局3回になりました。さらに関係性の深い部署には、具体的な施策に応用していく為のケーススタディーや、直近の課題に対するアプローチを考えるワークショップなどをやっています。その段階が今もまだ継続中です。

— マイクロソフトとしての具体的なSMMというのはスタートしているのですか?

熊村:これまでもブロガーイベントを含めSMM的な活動はやってきましたが、今回こうしたフレームワークを作成し、それをしっかり浸透させた結果というのは、今後出てくると思います。

— そうすると今後はマイクロソフトの社員が、全社的にソーシャルメディアに関わっていく形になっていくんでしょうか?

熊村:それは案件・施策によってだと思います。今回フレームワークを作って行く中で、様々なシーンを想定したんですが、ソーシャルメディアに個人として参加するのか、組織として参加するのか、というところはかなり考えました。また、SMMを、しない方がいいことも実はあるんですね。要は、SMMに取り組んだ方が良い時と、悪い時をはっきり決断する事が大切なんです。

— 熊村さんがSMMをすべきではないと判断するのはどんなケースですか?

熊村:これもケースバイケースで一概には言えませんね。例えば既にユーザーとのリレーションがしっかり出来上がっている場合、特定の顧客との密な関わりが取れているといった、絶対的な状況が出来上がっている場合は、むしろお金とリソースを割いてまでソーシャルメディアを使う必要はないかもしれませんし、シビアに考える必要があると思います。

— 必要性に応じて優先度を変えるという判断ですね。
熊村:そうです。だからSMMだけを切り離して考える事は出来ないと思っていて、全体の大きなマーケティング施策の一環として、ソーシャルメディアをツールとして使うか、使わないかだと思うんですよ。

— ソーシャルメディア活動を始める時に参考にした海外の企業例はありますか?

IMG_2417.JPG

熊村:海外企業でも参考にした事例はありますが、「鵜呑み」にするのは危険だと思います。今回、しっかりとしたSMM活動のフレームワークを作って行く際に、一番注意した点はそこなんです。海外の事例がそのまま日本で本当に上手く行くかどうかわかりませんから。「これアメリカだから上手くいったんじゃないの?」ということって結構あると思うんですよ。

 日本のインターネットをその環境や文化も含めて考えた時に、果たして「自分たちで情報を発信しよう」と積極的に考えている人がどれだけいるんだろうかという部分で、やはりアメリカとは大きく異なっていると思うんです。日本では、自分の意見をしっかり持って、その意見を流布させる為にブログを活用している人ってあまり多くないのではないでしょうか?意外と二次情報が多いという気がします。

— そう言った意味では、今回の熊村さんのブログは、一次情報を作ろうとされていますね?
(熊村氏は現在、自身のブログ『life is so…』で今回の「バイブル」作成に関するエピソードを執筆中)

熊村:そうですね…しかしあくまで公私の私の部分でやっているもので、会社の活動とは切り分けて考えています。ただ、以前から考えていた事が今回、公の活動とリンクしたという感じです。

 そもそも、巷で出ている書籍だったり、文献について、「なんである特定のツールやプラットフォームについてしか語ってないんだろう」と考えていました。少し前まではブログ、最近だったら、ホントにツイッターについてしか書かれてない。でもブログやツイッターはあくまでもツールであって、方法論じゃないのに、というのが自分の中でずっとあったんですよ。

 これまでのSMM論というのは、なぜかバズ&バイラルの方にしかフォーカスがあたっていなかった。そして、なぜかツール、プラットフォーム単位でしか語られていなかった。つまり、バズ&バイラル以外のSMMの「本質」について語っているものであったり、あるいはプラットフォームに依存しない形、つまりブログもあればツイッターもあるし、SNSもあるよ、みたいな形で広義にSMMをしっかり俯瞰出来ているものっていうのが実はほとんどなかったと思うんです。僕は「グランズウェル」をかなりバイブルだと思っているんですが、唯一「グランズウェル」がそれに近いかなぐらいのレベルだと思います。

— 確かに熊村さんのブログには「グランズウェル」以外のリンクがあまり出てきませんね。

熊村:引用しようがないんですよ。元々あの「フレームワーク」ってないから作ってしまえというのが一番の発想なんですね。そもそもの初期衝動じゃないですけども、最初の原動力って「ないからつくってしまおう」なんです。唯一あったのが「グランズウェル」。でも「グランズウェル」だって、ページには限りがある訳ですし、幅広く適用出来るかと言うとそうでもないですし。「グランズウェル」だけを鵜呑みにしてしまったら、弊社の業態や業種、施策にそのまま直接応用して成功するのか失敗するのかというところもちょっとリスク高いなと。だったら、自分達の視点で「グランズウェル」のように包括したものをしっかりと作りましょうというのが、僕が今回、社内的にしっかりSMMをすすめていこうという追い風の中、作らせていただいたフレームワークなんです。だから「グランズウェル」と今回僕が自社内でちゃんとSMMをやるんだったら両方読んで下さいっていうのはありますね。

— ちなみにこの「バイブル」は出版予定とかあるんですか?

熊村:ないです。

— ないんですか?もったいない(笑)

熊村:ひょっとしたら出版して下さいって、言って下さる方がいらっしゃるのかもしれないですが、あまり考えてません。というのも、僕が今回フレームワークを作ったもう一つの理由でもあるんですが、今の世の中には「事例ばっかりだよね」という思いもあるんです。たとえば、どこどこの企業さんがブログを使って、こんな事をやったら売上がこうなりました。どこどこの企業さんがツイッターを使って、なにかプロモーションを仕掛けたらこれだけのセールスになりました、ばっかりじゃないですか? でも、実は他社の事例はあまり参考にならないと思っているんです。

 ただ、どうしてもやっぱり人の事例が気になるというのはありますし、知らない方がたからしてみれば、そう言った事例がある方が理解し易いというのは分かっています。実際問題、社内でフレームワークのトレーニングをやった時も、随時フィードバックを受けるんですが、事例を多目に盛り込んだ回の方がやっぱりポジティブなフィードバックが流れてくるんですよ。しかし、いくら他社の事例を出したところで、分かった気にはなれるかもしれませんが、それを実際自社に応用出来るかっていうと、そうでもなかったりするケースが多い。だから、僕が今回作ったフレームワークは、あくまでも社内の人が社内の施策をやっていくときに使えるものを目指したもので、ここに書いた事は「マイクロソフト」による一事例でしかなくて、他の業界、業種の方が、同じ事をやって上手く行くのかと言ったらまず難しいだろうなと思うんです。僕はマイクロソフトについてしか語れませんから。

 同じような内容をキチンと書く事が出来る人と言ったら、様々な業界・業種の企業の案件を数多く扱ってらっしゃるような、エージェンシーの方やプランニングされている方、クリエイターや、プロデューサーかもしれない。いずれにせよ、「広告主」側の企業の「中の人」ではない、と思います。出版して公の人に見てもらうという意味では、僕が出すと不完全になってしまうと思うんです。

— 確かに、様々な取り組みの最大公約数を誰かが見つけて書籍化したら、それは凄く良いものになりますね。ただ、ほかに誰もやっている人がいないから、多分みんな熊村さんに期待してるのでは?

熊村:今後、ほかの企業の方が同じような事をやり始めて、どんどん色々な事例が外に出て来たら、そうした事例のOne of themとして弊社の事が語られるかもしれませんけれども、おそらくそれを書くのは僕たちじゃない、と思ってます。全てを踏まえたもっとすごいものを、誰かが書いてくれると信じています。

《次回へつづく》
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熊村剛輔氏 略歴
マイクロソフト株式会社 セントラル マーケティング本部
デジタル マーケティング & アナリティクス グループ
オンライン マーケティング マネージャー
ソーシャル メディア リード
 幼少より海外で過ごし、90 年代半ばから後半にかけてプロのサックス奏者として活動後、
IT 業界へ転身。
 リアルネットワークス株式会社で RealPlayer のプロダクトマーケティングおよび RealGuide、RealNews のエディター・イン・チーフを務め、コールマン・ジャパン株式会社で Web マーケティング全般および E コマースを統括したのち、2006 年マイクロソフト株式会社に入社。2009 年より「ソーシャル メディア リード」を名乗り、ソーシャル メディア マーケティング施策全般に携わる。
 
インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)

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