オープンデータとは

日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?

ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。

オープンデータとは moyamoya-prof

用語説明

オープンデータ(Open Data)

国や政府、地方自治体、公共機関などが保有する地理空間情報、防災・減災情報、調達情報、統計情報といった公共性の高いデータ(パブリックデータ)のうち、「機械判読に適したデータ形式で、二次利用が可能な利用ルールで公開されたデータ」であり「人手を多くかけずにデータの二次利用を可能とするもの」のことを指す。
総務省 「情報通信(ICT政策) ICT利活用の促進 オープンデータ戦略の推進」による定義 http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/opendata/

日本政府のオープンデータ推進への取り組み

日本では、2012年に政府が「電子行政オープンデータ戦略」を発表、オープンデータの意義・目的として、以下の3点を定義しました。

  • 透明性・信頼性の向上
  • 国民参加・官民協働の推進
  • 経済の活性化・行政の効率化

電子行政オープンデータ戦略の概要
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pdf/120704_gaiyou.pdf

翌年2013年6月に「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議決定し、国・地方が一体となってオープンデータの推進、およびビッグデータの利活用の推進への取り組みをスタート。 続いて、イギリスで開かれたG8サミット=主要8カ国首脳会議で、各国首脳が「オープンデータ憲章」に合意。
オープンデータ憲章(概要)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page23_000044.html

政府が保有するすべてのデータをオープンデータの形で公開するを原則とし、2015年度末までに他の先進国と同水準のデータ公開を行うことを達成目標に、2013年12月に政府のデータカタログサイト「DATA.GO.JP」を立ち上げました。
国が保有するデータを無償で入手できるポータルサイト
DATA.GO.JP
http://data.go.jp/

開設当時データ公開の具体的な数値目標として定めていた「1万件のデータセットの公開」は既にクリアしていますが、米国のDATA.GOVの11万件超、英国のDATA.GOV.UKの2万件弱と比較すると、残念ながら日本はまだまだオープンデータ後進国であり、公開されているデータの量も、実際に活用しているケースも乏しいのが現状です。

「DATA.GO.JP」のほかにも、経済産業省は2013年1月、オープンデータの実証用Webサイト「Open DATA METI」(β版)を公開。
「Open DATA METI」(β版)
http://datameti.go.jp/data/

また、各府省庁が集めたデータを総務省がまとめて公開している、政府統計の総合窓口「e-stat」では、公開している情報をAPIで利用できる試験運用も始まっています。(API機能を利用するためには、利用登録及びアプリケーションIDの発行が必要)
次世代統計利用システム
http://statdb.nstac.go.jp/

2014年6月、政府は成長戦略の具体的施策をまとめた「日本再興戦略(改訂版)」の中で、「公共データの民間開放(オープンデータ)」をIT分野の戦略の一つとしてあげ、オープンデータ活用の普及に向けた技術標準の検討や、啓発活動などをさらに進めています。
「日本再興戦略(改訂版)」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf

具体的なオープンデータ活用事例

経済産業省は、2014年3月に公開した「オープンデータのビジネス展開に向けて」という資料の中で、以下の3つのサービスを具体的なオープンデータの活用事例として紹介しています。

「カーリル」https://calil.jp/
図書館毎に公開されている蔵書・貸出情報を活用
「アグリノート」http://www.agri-note.jp/
独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の農薬データを活用
「ゆれくるコール」http://www.rcsc.co.jp/hpd/index.html
気象庁による高度利用者向け緊急地震速報を活用
出典:経済産業省「オープンデータのビジネス展開に向けて」平成26年3月
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/it_yugo_forum_data_wg/pdf/h25_02_06_00.pdf

このようにオープンデータは、これまで一部の大企業でしか活用できなかったような統計データなどを中小企業やベンチャー企業でも利用できるようにすることで、新たなビジネス機会の創出につながっています。

社会貢献を超えたビジネス活用へ

ただ、これまでの事例は公共性の高さに主眼が置かれた活用法が多く、企業にとってはCSR的な意味合いが強くなっていました。

オープンデータの活用が進んでいるアメリカでは、ホテルチェーンが地域のイベント開催日程のデータを宿泊料金設定のアルゴリズムに連動させたり、インターネット保険会社が農家向けの収入保障保険商品の保険料設定に、地域ごとの気象データや、収穫量データ、土壌情報などを活用するなど、マーケティング視点でのビジネス活用が増えてきています。

日本でも「家計調査」や「小売物価統計調査」といった統計データが、オープンデータとして利便性が高まれば、自社の顧客データを組み合わせて分析し、店舗出店や製品マーケティングの指標をリアルタイムで確認したり、販促プランに役立てるといった企業が増えていくことでしょう。

オープンデータの利用を促進するには、データセットの量や質を高めるだけでなく、それをいかに活用するかのアイディアが必要です。データ提供側である自治体や公共機関によるアイディアソン、ハッカソンといった取り組みも増えてきていますが、企業側にも自社の所有データと組み合わせて、新たな価値を生み出せるオープンデータはないか?という視点で、積極活用に取り組む姿勢が求められています。
データ・サイエンティストの育成が課題と言われていますが、まずは、どこにどのようなオープンデータがあるのかを知り、普段からオープンデータに触れる機会を増やすことが、オープンデータ活用の意識向上につながっていくのではないでしょうか。

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
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