ソーシャル時代に求められるセルフブランディングについて”ソーシャルおじさん”として有名な徳本昌大氏にお話を聞きました。
こんにちは、SMMLabの小川です。 ソーシャルメディアにおけるキーパーソンに、業界における実際や今後の展望についてお聞きするインタビューシリーズ【キーパーソンインタビュー】。今回は、”ソーシャルおじさん”としてセルフブランディングを確立されている徳本昌大氏に、これからのソーシャル時代に求められるセルフブランディングや、企業人としての”個人”のあり方について、お話を聞きました。

メディア系・総合系の広告代理店マンを経験し、現在はベンチャー系広告代理店へ
-まずは、徳本さんのご経歴と現在のお仕事内容についてお聞かせください。
1985年にメディア系の広告代理店に入社、その後1989年に総合広告代理店に転職、2010年までの間に合計2社の広告代理店マンとして、4マス(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告や、イベント・PR、キャンペーン等を担当していました。まさに広告代理店マンとして、最前線でお客様とどっぷりお付き合いし、大きな仕事や面白い仕事に携わってきました。
その中で、1999年頃に某ソフトウェア会社さんのブランディングを担当させて頂く機会があり、ウェブの可能性を非常に感じたのです。
さらに、2007年頃にソーシャルメディアとiphoneに出会い、これは間違いなくコミュニケーションが変わるだろう、情報の伝わり方が変わるだろうと思いました。今後は、広告もPRもソーシャルメディアも垣根がなくなって、いいコミュニケーションデザインができる会社が生き残っていくんだろうなぁという仮説を持ち、自分の中でビジネスをコミュニケーションシフトしてきました。
そして、マスメディアとソーシャルメディアを絡めてもっと面白いことがしたいという思いが強くなり、2010年に現在のベンチャー系広告会社に転職してきました。現在の会社では、ソーシャルメディアプランナーとして、日々新しい取り組みをお客様にご提案しています。
ソーシャルメディアに大きな可能性を感じた
-徳本さんご自身は、いつからソーシャルメディアを使っているのですか?
2009年2月にTwitterを始め、Facebookもほぼ同時にアカウントを開きました。もちろんその前からmixiはやっていましたが。
最初Twitterは意味が分からなかったですよ。でも、2009年の夏頃には、様々な人とのフォローする・されるの関係ができ、色々な情報が入ってき始めました。すると、タイムラインからソーシャルラーニングができるようになり、コミュニケーションのやり方が変わりました。そして自分で情報発信ができることにも気付き、それが爆発して伝わっていくんだと分かってきたんですね。また、アメリカの事例を見れば見るほど、これは革新的に変わるなぁと思い、どんどんはまっていきました。
ソーシャルおじさんは、偶然誕生した
-ソーシャルおじさんとしてのブランディングを開始されたきっかけを教えてください。
現在いる会社はベンチャーで、あまり東京では有名でない会社なので、まずは会社のブランディングをする必要性を感じていました。その中で、うちの会社にはUstreamのスタジオがあったので、それを使って何かをやるのが一つの方法になるなぁと思いました。で、何をやろうかと考えたときに、自分が本を読むのが好きなので、それを紹介する番組をやったら面白いかな、と。
当時、まだUstreamは今ほど有名ではなかったですし、番組数もあまり多くなかったので、自分たちの番組バナーがUstreamのトップページに並ぶということもありました。Ustreamを通じて、自分たちのブランディングを行う可能性を感じたのです。
最初は自分たちにブランドがないので、番組のゲストに有名な人や、業界で影響力のある人をお呼びすることにしました。インタビューは、偉い人が偉い人に聞くのではなくて、普通のビジネスマンが、本を読んだ感想や意見を偉い人にぶつけるのは面白いのではないかと思ったんですよ。それで、2010年の11月から「徳本昌大(@masahirotokumo)のビジネス得本」という番組を開始したんです。

それから、ループス・コミュニケーションズさんに何人か知り合いがいたので、ループスさんのブログの情報をUstreamで発信していけば、双方向性が出てもっと面白くなるんじゃないかと思い、お声がけをして、2011年2月頃からLooops.TVを開始しました。
実は、“ソーシャルおじさん”という愛称は、そのLooops.TVの番組内で、突然キャスターの玉置沙由里さんという方(女。MGの日記。というブログの著者)に、「ソーシャルおじさん!」と呼ばれたことで生まれたんです(笑)。すると、Ustreamのタイムラインに、「ソーシャルおじさん、ソーシャルおじさん、ソーシャルおじさん」っていうつぶやきがたくさん流れてきて、これは面白いな、と(笑)。それに、やっぱり、ちょっとネーミングが面白いと覚えてもらえるじゃないですか。ソーシャルにはわりと若い人が多い中で、ソーシャルに詳しいおじさんっていうと単純に面白いな、と思いました。
それをきっかけに”ソーシャルおじさん”としてのセルフブランディングを開始しました。もともと自分は、結構クールに仕事をしてきたほうなので、今でもそのネーミングは信じられないって言われますし、自分も若い人におじさんって言われるのは、なんだかな~と思うこともありますが(笑)。
-現在、”ソーシャルおじさん”として、具体的にどのような活動をしているのですか?
「ソーシャルおじさん 徳本昌大コミュニケーション雑感」という個人ブログと、「ソーシャルおじさん徳本昌大のソーシャルコミュニケーション最前線」というタイトルでオルタナティブブログに寄稿を行っています。それから、「ソーシャルおじさんと朝活」というタイトルで、様々な世代の方との勉強会を行っています。
“ソーシャルおじさん”で様々な出会いが生まれ、ビジネスにもつながっていく
-その活動は、現在の広告代理店のお仕事にどのように結びついているのですか?
“ソーシャルおじさん”というブランドがあり、活動を行っていることで、取引先の方々が勝手に自分のことを調べてくれるので、ビジネスが相当楽になっていますね。自分のことを説明するコストが必要ない。色々なお話がしやすくなりました。また、もともと顔とか態度が強面に見えるので、和ませる効果もありますね(笑)。

ブログで中国のソーシャルメディアについて書いたことがあるのですが、ご覧になった中国人の方からアプローチを頂いたこともありました。
それに何より、”ソーシャルおじさん”という愛称があることで、世代や業種を超えて、毎日色々な方との出会いがあります。今まで出会えなかったような人にも出会えるんですよ。
例えば、ある本の書評をブログに書いてツイートしたら、それを編集者の人がリツイートしてくれて、その後、それが翻訳者の人に届いて、Facebookでのお友達関係になったこともあります。そして、それをきっかけに朝活に来てくれて、翻訳の苦労話をしてくれたり。その間、わずか3~4日間です。
また、Ustreamの番組に出演していただいたご縁で、本を書かせていただくこともできました。
そういう信じられないようなことが起きるのがソーシャルメディアだと思っています。今までは会いたい人に会うのには、6次の隔たりがあると言われていましたが、ソーシャルメディアでは2.5次くらいの隔たりで会えるようになっていると思いますね。
そのような毎日の新しい出会いが、自分に本当に色々な刺激やアイディアをくれると思っています。
<次回へ続く>
次回は、これからの”企業人”としての”個人”のあり方についてや、徳本氏がセルフブランディングする上で心がけていること等についてお聞きしています。次回もお楽しみに!
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徳本昌大氏 プロフィール
株式会社プラド 東京支社 部長 ソーシャルメディアプランナー
クローク株式会社 ソーシャルメディアコンサルタント(兼任)
著書:
『図解 ソーシャルメディア早わかり』/中経出版 (松村太郎氏との共著)
ブログ:
「ソーシャルおじさん 徳本昌大コミュニケーション雑感」
http://tockydue.blogspot.com/
「ソーシャルおじさん徳本昌大のソーシャルコミュニケーション最前線」
http://blogs.itmedia.co.jp/social023/
Twitter:@masahirotokumo
Facebook:https://www.facebook.com/masahiro.tokumoto
インタビュアー:小川 裕子(アライドアーキテクツ株式会社 SMMLab)