動画に特化したSNSプラットフォーム、TikTok。日本上陸から数年が経ち、その使われ方やユーザーにも変化が起きています。
今回はTikTokの特徴などを簡単に解説しながら、「今参考にしたい」企業TikTokアカウントの運用事例をご紹介していきます。
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TikTokとは<簡単におさらい>
TikTokは中国のByte Dance社が提供している、動画投稿と閲覧に特化したSNS。スマートフォンに最適化された縦長フルスクリーンの動画を、撮影から編集、投稿までアプリ内で全てを完結させることができ、豊富な音楽、加工フィルターを利用した動画が楽しまれているプラットフォームです。
日本進出当初は、ダンス動画やリップシンク動画を投稿できるアプリとして若年層を中心に活用されてきましたが、現在ではユーザーの平均年齢は34歳(※1)と、もう少し上の世代にもリーチできる場所となってきました。
それに伴い、Vlogやグルメ情報、レシピ、ペット、豆知識からビジネス情報まで様々な用途の動画が投稿されるプラットフォームとなっています。
※1)日本の TikTok ユーザーは平均34歳、博報堂調査が示す実態 : 要点まとめ|DIGIDAY
企業がTikTokを活用するメリット
①非フォロワーへのアプローチ
TikTokのタイムラインは、フォローしているアカウントの投稿(Following)と、そのユーザーにおすすめの投稿(For You)の2種類に分かれています。
For Youの画面上では、TikTokが独自にもつアルゴリズムによって、フォローの有無に関わらずそのアカウントのユーザーの趣味や視聴傾向に合わせたおすすめの動画を表示。
そのため、フォロワーがほとんどいないアカウントであっても、投稿すれば必ず100~500名程度のユーザーに表示されると言われています。
つまり、TikTokはフォロワー以外のユーザーにも投稿を届けやすく、発見してもらいやすいプラットフォームなのです。
②多種多様な情報を動画を介して届けられる
TikTokユーザーの年齢層の変化によって、投稿されるコンテンツの種類が多様化しているのは先ほど述べた通りです。
こうしたプラットフォーム上のユーザー行動の変化に対し、TikTokでは動画の対応するアップロード時間を延長するという形で対応。一部アカウントでは、最大10分の動画がアップロードできるようになって(※2) おり、表現できることや伝えられる情報は今後ますます増えるでしょう。このように、多種多様な情報を動画という形で届けられるのもメリットです。
※2)TikTok、最大10分までの動画をアップロード可能に|CNET Japan
③海外ユーザーにも発信できる
TikTokは全世界で利用されているプラットフォームです。音楽やダンスなど、ビジュアルでの訴求も自然に行えるため、言語障壁も低い特徴があります。
そのため、ハッシュタグなどを活用しながら海外のユーザーに向けて情報を発信することも可能です。
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お手本にしたいTikTok企業アカウント7選
ここからは具体的に、企業がTikTokをどのように活用しているのか事例を見ていきましょう。
①アサヒグループ食品(@asahigf_jp)
「ミンティア」「1本満足バー」「和光堂」「アマノフーズ」など、アサヒグループ食品が持つ複数のブランドを、TikTokらしい音楽に乗せてユニークな切り口で紹介している同アカウント。どの投稿にも、驚きや親しみやすさなど、思わずシェアしたくなる工夫が溢れており、中には100万回以上再生されているものもあります。
TikTokらしいアプローチで、商品の良さを自然に訴求することに成功しているお手本事例です。
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②チャミスル【公式】(@chamisul_jpn)
TikTokアカウント運用を始めたけれど、何を投稿してよいのかわからない、だんだん投稿のネタが尽きてきた、などとお悩みのご担当者も少なくないと思います。
そういったお悩みに対する工夫のひとつに「クリエイターとのコラボ」という方法があります。
チャミスルの公式TikTokアカウントでは、日々おすすめの飲み方や、一緒に飲むとおいしいおつまみなどの情報を動画で発信。その中に、クリエイターとのコラボ動画を混ぜることで、投稿のバリエーションを出し、投稿数の担保に成功しています。予算との兼ね合いもありますが、要所要所でコラボを行うことで、アカウントにも広がりを持たせ、クリエイターを介して認知拡大にも繋げている事例です。
③ほっともっと公式(@hottomotto_com)
お弁当チェーン、ほっともっとの公式TikTokアカウントもユニークな動画でユーザーを楽しませているアカウントの一つです。
同アカウントは、基本的にお弁当を盛り付ける動画に音楽やエフェクトをつけて投稿。その合間に上手にネタ投稿を織り交ぜてユーザーを楽しませています。
また、ほっともっと公式ではプレイリスト機能(※3)も活用。「ほっともっともっとパーティー」と名付けられたこのプレイリストでは、商品を活用したアレンジアイディアを紹介し、ただお弁当を食べるだけでなく「楽しみ方」の提案を行うことで商品への関心を高めています。
※3)プレイリスト作成には条件があり、現時点では条件をみたした一部クリエイターにのみ解放されている機能です。
④ロート製薬【公式】(@rototiktok)
TikTokで発信される情報が多様化するなか、企業が持っている知識、ユーザーが知りたいと思うようなノウハウについての動画を投稿しているアカウントもあります。
ロート製薬の公式TikTokアカウントもそのひとつ。
同社は看板商品である目薬やスキンケア商品などをもとに、ユーザーが「知りたい」と思うような情報発信を行っています。
発信する情報は、ユーザーからのコメント質問に答える形のものもあり、投稿した動画へのコメントに寄せられた質問にも丁寧に答えるなど、誠実なコミュニケーションが垣間見れるのもこのアカウントの特徴。投票機能を活用してフォロワーと相互交流をする様子もみられます。TikTokを通して、生活者との距離を縮めている事例です。
⑤学窓ちゃんねる(@gm_mynavi)
(株)マイナビが運営している「学生の窓口」の公式アカウントでも、ターゲットとしている大学生に向けて様々な情報を発信しています。
発信されているのは、学生に向けての著名人やスポーツ選手などからのメッセージや、就職活動で役立つ自己分析のやり方や、「お仕事図鑑」と称した企業のお仕事紹介などさまざま。文字だけでの情報発信ではなく、動画にすることでより気軽にこうしたコンテンツを視聴し、学生が将来について考えるヒントを与えているアカウントです。
⑥サブウェイ(@subwayjapan)
サンドイッチチェーンのサブウェイのTikTokアカウントも、ユーザーとの丁寧なコミュニケーションが見られるアカウントです。
同アカウントでは、ユーザーからのコメントに返信する形の動画を多く投稿しています。サンドイッチをカスタマイズできる同社のアカウントらしく、「肉ドデカ盛りサンド」「野菜抜き」「辛いメニュー」など、商品のカスタマイズの仕方についての質問に対して様々なカスタムオーダーのやり方を動画で解説。なかには大喜利のようなネタコメントも寄せられており、動画を通して楽しくユーザーと交流を楽しみながら、しっかり商品やブランドの訴求に繋げている事例となっています。
⑦WEGO(@wego_official)
WEGOのTikTokアカウントでは投票機能を使ってユニークな投稿を行っています。例えば、デートで着るコーディネートのファッションの系統について、どちらの系統のコーディネートが見たいのかをショートストーリー風の動画でユーザーに質問。投票結果によって見せるコーディネートの系統を決めるという投稿もありました。どんな投稿がユーザーに受けるのか、どんなコーディネートを知りたいのか、とストーリー仕立てにしながらユーザーに問いかけ、それをもとに動画を投稿することで、よりユーザーのニーズに対応した情報発信を行うことができている事例です。
⑧ANA【公式】(@ana_allnipponairways)
動画を使ったライトなコミュニケーションが活発なTikTokは、生活者との距離を縮めて親近感を作り出すこともできます。
Japan airlinesの公式TikTokアカウントは、出演するのは全員社員。撮影、編集も全て社員の手作りを売りにしているアカウントです。
また、同アカウントの動画に登場するのは、普段利用者と接しているCAだけではありません。ANAの公式TikTokアカウントでは、整備士やシェフに至るまで、飛行機の安全で快適な運行を支えるスタッフの仕事ぶりや人間味が伝わる動画を投稿。航空会社ならではの美しい景色や、同社のサービスについての説明なども盛り込みながら、ユーザーと関係を深めるアカウント運用に取り組んでいます。
⑨資生堂ビューティージャーニー(@shiseido.beauty.journey)
資生堂ではデジタルを中心に活動する「資生堂ビューティージャーニー」を組織しています。これまでの店舗での接客だけではなく、オンライン上で顧客に対してサービスを提供し、顧客体験の向上をしていこうというこの施策でも、TikTokが活用されています。
同アカウントでは、「資生堂ビューティージャーニー」に所属する資生堂ビューティーコンサルタント達が出演した動画を投稿。
メイクブラシの正しい洗い方や、リップの塗り方など、ビューティーコンサルタントならではの知識から、ビューティーコンサルタント達の人となりがわかるような動画まで幅広く投稿。親やすさを作り出すことで、認知度や利用者の拡大に取り組んでいます。
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⑩化粧品会社社員 うたちゃん(@kosecosmeport_utachan)
コーセーコスメポート株式会社のTikTokアカウントは「化粧品会社社員 うたちゃん」です。同アカウントは宣伝担当の社員(うたちゃん)によるアカウント。ひとりの社員をアカウントのメインにすえ、インフルエンサーとして活用しています。社員ならではの情報発信を行いながらユーザーとの距離を縮めている同アカウント。投稿している人の顔が見えることでもっとカジュアルな投稿や交流に成功している事例です。
TikTokアカウント運用のポイント
①TikTokで今何が流行っているのか、トレンドを押さえる
TikTokはハッシュタグやエフェクト、楽曲などたくさんのトレンドがあります。こうしたTikTokの文脈、トレンドをキャッチした投稿は、ユーザーにオススメされやすく視聴回数、いいね、コメントといったエンゲージメントも期待できます。
TikTokで今どんなことが流行っているのか、ターゲットとする層はどんなトレンドに反応しているのかを見極め、動画を作っていくことがポイントです。
②企業の個性、人となりを出していく
TikTokは動画そのもののクオリティに注目が集まりやすいプラットフォームです。そのため、運用する企業アカウントの人格や、発信内容について、企業の個性や企業人格などをうまく盛り込むことで、「このアカウントの投稿がもっとみたい」「このクリエイターの動画をもっとみたい」と思ってもらうことに繋がります。運用を開始する前に、理想とするアカウントの人格について定義することをオススメします。
③その他のメディアへのリンクを
動画を視聴してもらって終わり、ではなくそこから次のアクションに繋がる導線設計を行うことも大切です。もしTikTokを認知拡散が主目的と位置付けるのであれば、認知したあとに理解を促すプラットフォーム(他SNSやオウンドメディア)へ、商品紹介など比較的購買に近いコミュニケーションをとっているのであればECサイトや自社アプリのダウンロードへ、などその次のアクションに繋がる道筋を作ることで、より成果を可視化して効率的なアカウント運用へ繋げることができます。
いかがでしたか?今回は企業がTikTokアカウントを運用する時のポイントについて事例をもとに読み解いていきました。
ぜひ、今後のマーケティング活動にご参考ください!
④新しい機能や便利な機能を積極的に活用
TikTokにはプレイリストや投票機能などアカウント運用の効率化や効果アップに繋がる様々な機能があります。例えば、投票機能を使えば、ユーザーとの双方向性のあるコミュニケーションを手軽に行うことができます。またプレイリストによって動画をまとめることで、伝えたい情報種別に動画を整理し、わかりやすくユーザーに伝えることができます。
このように、媒体のアップデート情報に常に注目しながら、自分たちのアカウントにあった運用を様々な機能を使って実施していくことがポイントとなっています。