「無添加だから」「レビューが多いから」——コスメ・スキンケア業界では、こうした自社の思い込みが、実際の顧客の購入理由とズレていることが少なくありません。SNSやレビューサイトにはUGC(ユーザー生成コンテンツ)が豊富に集まる一方で、その情報量の多さゆえに「本当に刺さるインサイト」を見極めるのは簡単ではないという課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、CEPs(カテゴリーエントリーポイント)リスニング®やVOC(顧客の声)分析を活用し、思い込みを検証してマーケティング成果につなげたコスメ・スキンケア業界3社の事例をご紹介します。

ファンケル|”無添加だから”じゃない、選ばれる本当の理由ーーCEPs分析で使用実感を可視化

株式会社ファンケルは1981年の創業以来、「無添加スキンケア」のパイオニアとして市場をリードしてきた企業です。45年にわたる皮膚科学研究をもとに、商品ごとに最適な無添加設計を行っています。一方で、無添加スキンケア市場での競争が激化するなか、「競合ユーザーがなぜ自社ブランドを選ばないのか」という問いに直面していました。CEPsという考え方自体は社内に浸透していたものの、従来の定性・定量調査だけでは、購買に至るリアルな文脈までは捉えきれていなかったといいます。

そこで、Kaname.ax®を活用してCEPsリスニング®、スイッチユーザー調査、興味関心ユーザー調査を組み合わせた統合分析を実施しました。SNS上のVOCデータとパネル調査による定量データを掛け合わせ、競合ブランドのユーザーと自社ユーザーを同一の軸で比較することで、「選ばれる理由」と「選ばれない理由」を同時に把握しています。

分析の結果、「無添加だから」という理由だけで選ばれているのではなく、「肌がブレない」「肌トラブルが起きにくくなる」という使用実感こそが評価のポイントであることが明らかになりました。さらに、安心・安全の認識から肌トラブルの少なさの実感、そして日々のルーティンへの定着へと至る「無添加スキンケア市場」構造の段階的な変化も見えてきています。この発見をもとに、「無添加スキンケアです」という伝え方から「無添加を日常に」という新しいテーマへと訴求軸を再設計し、使用実感を軸にした未顧客向けアプローチへとクリエイティブを転換しました。専門性の高さがかえって一部の生活者に距離を感じさせているという新たな課題も見えてきており、未顧客理解を深める取り組みが今後も続けられています。

ブランド別CEPsリスニング®レポート。
どんな状況・きっかけでブランドが想起されるかを可視化。

ご担当者様のコメント

「選ばれない理由を知らないと、ブランドの本質的な成長はない」という確信のもと、今回の調査に臨みました。
データが仮説を確証に変えてくれたことで、一担当者の感覚値を超え、組織としてブランドの再定義に踏み切る根拠になりました。

キューサイ|CVR1.75倍を実現——”合わせ使い”インサイトで訴求メッセージを刷新

キューサイ株式会社は、ヘルスケア・スキンケア・医薬品など幅広い事業を展開し、人々の体と心の健康を支える企業です。スキンケアブランド「コラリッチ」のオールインワンジェルについて、顧客が他のスキンケアと組み合わせて使用しているのではという仮説を持っていたものの、それを裏付けるデータがなく、具体的な施策に落とし込めずにいました。

Kaname.ax®を活用して、既存顧客約200名と未購買者約300名を対象にアンケート調査を実施し、収集したテキストデータを分析しました。CEPsリスニング®を通じて購買者と未購買者の利用実態や認識の違いを整理したうえで、「化粧水のあとに、普段使用しているクリームをコラリッチに置き換えるだけで十分」というメッセージ訴求を設計し、LP制作に反映しています。

分析の結果、既存顧客の6割が化粧水や美容液などと組み合わせて使用している一方で、未購買者の6割は「それだけで使うもの」と認識していることが判明しました。この認識のギャップを埋めるメッセージへと刷新した結果、LPのCVRは1.75倍に改善しています。分析結果を具体的な施策にまで落とし込むところまで一貫して伴走してもらえたことが、次の打ち手への確かな手応えへとつながりました。

ご担当者様のコメント

単なる分析に留まらず、具体的なマーケティング施策に繋げる一貫したサポートを提供してくださり、とても心強く感じています。顧客のニーズに応え、満足度を高めるための確かな方向性が見えたことに感謝しています。

SOLIA|CPA約10%削減——”愛用歴1年以上”の声を厳選したレビュー活用術

株式会社SOLIAは、ベビー・キッズ向けのスキンケアブランド「ALOBABY」を展開する企業です。赤ちゃんや子どもの肌にやさしい製品として多くの保護者から支持を集めていますが、レビューを活用した施策では一定の成果が出ていたものの、膨大なレビューの中から「本当に刺さるインサイト」を見極める基準が定まらず、質と量のトレードオフに悩んでいました。

Kaname.ax®を活用して、愛用歴・満足度・使用シーンなどのデータを統合的に分析しました。「愛用歴1年以上」という基準でレビューを絞り込んだうえで、「お風呂上がりに毎日使っている」といった具体的な使用シーンや、ママの等身大の言葉が含まれるレビューを選定。選び抜いたレビューは、ファーストビュー右上のバナーに「愛用歴1年以上のママの声」として配置し、冒頭3秒で愛用期間が伝わるクリエイティブ設計にしています。

レビューの選定基準を明確にしたことで、CPAは前月比で約10%削減されました。メーカー発信の情報だけでなく、実際に使っている保護者の生の声を届けることが信頼感の醸成につながることを実感する結果となっています。

ご担当者様のコメント

これまでに蓄積された大量のレビューからより効果的なレビューの抽出、そして活用方法を見出すことができました。
また、メーカーサイドからの発信だけではなく実際にご使用頂いているお客さまの声をお伝えすることで信頼感の醸成につながるということを改めて実感できました。
今後もお客さまの声を活用しつつ、商品やサービスの向上に取り組んでまいりたいと思います。

まとめ|コスメ・スキンケア業界のCEPsリスニング®・VOC分析に学ぶ、生活者起点のマーケティングとは

3社に共通するのは、社内にあった仮説——ファンケルなら「無添加が選ばれる理由のはず」、キューサイなら「他のスキンケアと合わせて使われているのでは」、SOLIAなら「レビューやUGCが効くはず」——を、勘や経験則のままで終わらせず、データで検証してから施策に落とし込んでいる点です。実際には、無添加という機能価値そのものより「肌がブレない」という使用実感が選ばれる理由だったり、想定どおり「合わせ使い」されていたり、「愛用歴」が信頼の裏付けになっていたりと、検証してはじめて見えてきた実態をもとに、メッセージやクリエイティブを作り直しています。

コスメ・スキンケア業界は、SNSやレビューサイトにUGCが集まりやすい分、声の量に対して「どれが本当に効くメッセージなのか」を選び切れないまま施策を打ってしまうケースも少なくありません。3社の事例が示すのは、CEPsリスニング®やVOC分析を挟むことで、その絞り込みの精度そのものが上がるということです。実際、キューサイはメッセージを再設計しただけでCVRが1.75倍に、SOLIAはレビューの選定基準を明確にしただけでCPAが約10%改善しています。

今ある訴求やクリエイティブが、社内の「こう見せたい」という思い込みだけで作られていないか。一度データで裏を取ってみる、その一手間が次の改善幅を見出すきっかけにもつながります。

CEPsリスニング®やVOC分析を、自社だけで一から仕組み化するのは簡単なことではありません。「Kaname.ax®」は、自社レビューやSNS投稿、アンケートなど多様な顧客の声をAIで分析し、CEPsの特定からクリエイティブ施策への展開までを一気通貫で支援しています。今回ご紹介したコスメ・スキンケア業界の3社も、Kaname.ax®を活用しながら生活者起点のマーケティングを実践しています。気になった方は、ぜひサービス詳細もチェックしてみてください。

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