コロナ禍により生活者の消費行動が変化、店頭でのサンプルやチラシ配布など、従来有効だった販促手段も難しくなる中、現在「デジタル販促」に大きな注目が集まっています。

そこで今回は、来店者数や店頭売上増加などのコンバージョンに直結し、かつ効果測定がしやすい「デジタル販促手法」の中から、広告&プロモーション施策をメインに代表的な手法をまとめてリスト化、事例もあわせてご紹介します!

デジタル販促とは?

「デジタル販促」とは、WEBサイト、SNS、アプリなどデジタル上のツールやデジタル広告を利用して行う販売促進活動のことであり、紙のチラシやダイレクトメールなどの「アナログ販促」と対比して用いられる用語です。

テクノロジーの進化やスマートフォンの普及に伴い急速に拡大、さまざまな手法やツールが提供されています。

デジタル販促のメリット、アナログ販促との違いとは

企業がデジタル販促手法を活用するメリットは大きく以下の3点です。

1.タイムリーな配信が可能

紙の印刷や郵送などが発生しないため、圧倒的に早いスピードで情報の配信が可能です。タイムセールのお知らせ、雨が降った時にあわせたキャンペーンなどをリアルタイムに行うことができます。また、配信後の一部内容の差し替えなどもスピーディーに実施が可能です。

2.ターゲティングしやすい

従来のアナログ販促に比較し、細やかなターゲティング配信をしやすいことも特徴です。性別、年齢、居住地等だけでなく、そのお店への来店履歴、コンテンツ閲覧履歴などを活用してメッセージや広告の配信ができる手法もあります。これにより、必要な人に、必要なタイミングで情報を届けやすくなります。

3.データにより効果の可視化や来店客の分析が可能

店頭でのデジタルクーポン消込機能などを活用することで、従来のアナログ販促ではなかなか難しかった販促活動の効果を可視化することが可能です。また、何の販促活動により、どんな顧客が来店して何の商品を購入したかのデータを蓄積することで、次の販促活動をより精度高く行うことができます。

来店客数・店頭売上アップにつながる、デジタル販促手法10選

1.LINE:販促メニューが充実!

国内の月間アクティブユーザー数8,800万人(2021年3月時点)を誇り、日本国民のインフラ的な存在となっているLINEからは、店頭集客・店舗売上向上に役立つさまざまなメニューが提供されています。

・LINE公式アカウント × クーポン配布

PUSH型の通知ができるため開封率が高く、クーポンの利用率も高いとされているのがLINEの企業公式アカウントからのメッセージ配信によるクーポン配布です。

LINE社は、LINEで企業や店舗のアカウントと「友達」になったあと、43%のユーザーがクーポンを利用した経験があるというデータを発表しています。

LINEで餃子クーポンを配信し1,500個の注文につながった熊本のらーめん屋「黒亭」の事例はこちら
【外食業界・飲食店の「LINE」活用!】ニューノーマル時代の集客に役立つ、8つの新サービス・新機能とは? ~LINE SMB DAYレポート~

このLINE公式アカウントからのメッセージ配信は無料プランで1000通/月まで無料、それ以降は配信通数に応じた従量課金制です。クーポン機能も無料プランから提供されており、店舗で配布するクーポン/オンラインクーポン、クーポンデザインのカスタマイズ、クーポン使用可能回数の設定、全員配布/抽選、クーポン利用者の分析など、リッチな機能が提供されています(2020年11月10日現在)。

・LINEチラシ

2019年10月からサービス開始したLINEチラシは、ユーザー数(「LINEチラシ」LINE公式アカウントの友だち数)が1500万ユーザーを突破、前年比約176%増と成長を続けています。コロナ禍によるユーザーの計画購買ニーズ(予め買うものを計画してからお店に向かうこと)の高まりも背景に企業による活用も進み、ドラッグストアチェーンやスーパーマーケット、家電量販店などの小売店を中心に導入店舗数は40,000店を超え、前年比約394%増を記録しています。

LINEの広告枠の中でも圧倒的なアクティブ率を誇るトークタブ最上部の「トークリスト」とLINEチラシを連携できるサービスも開始、強力な送客メニューとして期待が高まっています。

・LINE POP Media

2020年9月より、LINE Beacon(店舗などに設置されたビーコンと呼ばれるBluetooth発信機を通し、近くにいるユーザーへクーポンやセール情報などのコンテンツを配信できる機能)を活用し、店内でLINEを開いているユーザーにおすすめの商品情報やクーポンなどを配信できるソリューションがトライアル提供されています(2021年10月頃のリリースを目指して準備中とのこと)。コロナ禍により店頭でのチラシの配布や、人手不足により店頭POP掲示が難しい…などの場合でも、店内のユーザーに確実に情報を届ける手段として期待されています。

また、LINE POP Mediaでは、お店の外にいてもユーザーと繋がり続けることができます。店内にいるときに顧客が通知に気づかなくても、家に帰った時にLINEを開いてもらうことで、次回の来店のきっかけを作ることが可能です。

・LINEで応募(旧LINEセールスプロモーション)

LINEではその他にも、店頭購入した対象商品のQRコード®や、購入時のレシート画面などからLINEで簡単にキャンペーン応募ができる「LINEで応募」を提供しています。「LINEオープンキャンペーン」「LINEポイントインセンティブ」など、集客に活用できる販促メニューが充実しています。

LINEで応募:https://www.linebiz.com/jp/service/line-sales-promotion/

2.Twitterキャンペーン×クーポン配布:潜在層に広くリーチ!ゆるい繋がりも

拡散力が高く、潜在層も含めて広い層にリーチできる特徴を持つのが、Twitterキャンペーンを活用したデジタルクーポン配布施策です。クーポンを配布することで直近の来店数増加を促すだけでなく、キャンペーンをきっかけにTwitter上で潜在層と長期的にゆるく繋がり続けることもできます。Twitter広告を組み合わせることにより、キャンペーン情報をよりターゲットに近い層に届けることも可能です。

このTwitterキャンペーンの中でも特に人気なのが、Twitterアカウントをフォロー&リツイートでキャンペーンに参加、その場ですぐに抽選結果が分かり、当選者には即時クーポンが発行されるインスタントウィン形式のキャンペーンです。従来型の「フォロー&リツイート→応募締め切り後に抽選でクーポンやノベルティを配布する」形式に比較し、スピード感をもって売上向上や来店者数増加に繋げられることが特徴です。

デニーズは、2019年春の集客プロモーション「ハンバーグ王決定戦2019春」を実施、デニーズの公式Twitterアカウントをフォローし、該当のツイートをリツイート(RT)した人の中から1,260名に「45円でハンバーグが食べられるクーポン」をDMでプレゼント、落選しても「ハンバーグ50円引きクーポン」をリプライでプレゼントしました。

キャンペーンの形式には、ユーザーがフォロー&RTして参加後、その場ですぐに当落が分かるオートリプライ・インスタントウィン形式のキャンペーンにし、外れた人は翌日以降何度でも再参加できるインスタントウィンの仕組みを採用。当選者には「消込型のデジタルクーポン」をダイレクトメッセージで配布、落選者には当落結果のリプライで「画像のクーポン」を配布。キャンペーンはTwitter上で大きな話題となり、キャンペーン当選ユーザーの68%もの店舗送客に成功しました。

Twitterキャンペーン=フォロワー獲得だけじゃない!
目的別・おすすめのTwitterキャンペーン手法を早見表はこちら

3.Instagram・Facebookのローカルビジネス向けメニュー:クーポンや広告で来店を促進

Facebook・Instagramでも、ローカルビジネス向けに「来店数の増加」を目的としたメニューが提供されています。無料でクーポンを作成できるほか、Facebook広告の目的に「来店数の増加」と設定、所在地ページをアップロードすることで、利用者がいる場所に最も近い店舗やビジネスの所在地に合わせてカスタマイズした広告、地図、コールトゥアクションを自動的に表示させることが可能です。

Instagram社によると、実店舗への来店中にInstagramアプリを開いたことがある利用者は4割で、その約半数が3分以上アプリを開いていたことが分かっているそうです。
(参照:https://business.instagram.com/a/insights/retail-and-ecommerce

Facebook広告ローカルビジネス向けメニュー:https://www.facebook.com/business/goals/promote-local-business

4.SNSキャンペーン×ドラッグストアサンプリング:サンプル商品を店頭で配布し来店促進

メーカーによる販促施策の一つして、TwitterやInstagramなどのSNSキャンペーンを通じてサンプリング施策を行い、そのサンプル商品を郵送ではなくドラッグストア店頭で引き渡すスキームも注目されています。このスキームを活用することで、食品・飲料・日用品・コスメメーカーなどの企業は、来店/購買に直結させながら従来よりも圧倒的な低コストでSNSサンプリングキャンペーンを実現できます。

アライドアーキテクツは、メーカー企業がSNSキャンペーンを通じて消込型デジタルクーポンを配布し、ドラッグストアでサンプリングができるサービス「echoes Coupon ドラッグストアサンプリング」を提供しています。本サービスは、キリン堂、コクミン、ココカラファイン、サツドラ、ツルハドラッグ、Tomod’s(50音順、2021年8月時点)に導入されており、メーカーは全国のドラッグストア店頭でサンプリング商品を配布することが可能です(取り扱い商品に条件あり)

本スキームの詳細はこちら
echoes Coupon ドラッグストアサンプリング

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCL カンパニーは、「echoes Couponドラッグストアサンプリング」を通じてTwitterキャンペーンを開催。当選者に調剤併設型ドラッグストア「トモズ(Tomod’s)」での引き換え可能なデジタル消込型クーポンを配布し、店頭でのサンプリング配布を行いました。

その結果、従来のTwitterキャンペーンと比較して施策の約2.5倍の新規フォロワー増加数、10倍のリツイート数を実現し、同商品の認知を拡大しただけでなく、本キャンペーンをきっかけにTwitterユーザーのトモズへの来店・購買機会も創出しました。また、トモズが保有するデータと連携することで、クーポン利用者のうち約3割の購入者属性の可視化にも成功しています。

5.Google広告:ローカル検索広告で顕在層に着実にリーチ!

・Googleローカル検索広告

Googleマップ上に、店舗名や口コミ評価、連絡先などを広告表示できるGoogleローカル検索広告。地図で何らかの情報を探している人向けに広告を表示することができるため、顕在層に着実にお店の情報を届けることができます。
(参考:https://support.google.com/google-ads/answer/3246303?hl=ja

トイザらスは、折込チラシによる店舗集客からオンラインにシフト、Googleのローカル広告を活用することで従来よりも来店単価を大幅に低く押さえることに成功したそうです。

6.ジオターゲティング広告:位置情報を活用して集客&来店計測も

IPアドレス、GPSの基地局、Wi-fi接続情報など、ユーザーの位置情報を活用してターゲティングを行うジオターゲティング広告は、店舗集客に繋がる販促手法の一つです。

各社からさまざまなサービス・機能が提供されており、アプリからユーザーの行動データや生活エリアを解析し、広告訴求内容とのマッチングを重視してターゲティングを行ったり、特定のポイントに来たことがあるユーザーのみにターゲティングしたり、また来店計測や人流分析を行うこともできます。豊富な機能の中から自社が必要とする機能を提供しているサービスを選択することが重要です。

以下のページに、さまざまなジオターゲティング広告サービスの一覧が掲載されています。
https://media-radar.jp/contents/meditsubu/geotargeting/

7.企業アプリ:リテンションに効果抜群

企業アプリは既存顧客のリテンションに大きな効果を発揮すると言われています。「ユーザーによるアプリインストール」という大きなハードルがありますが、一度インストールしてもらえば、セグメント分けをした上でのプッシュ通知によるクーポン配布、来店時にポイントが溜められる、スマホ端末ホーム画面上のアイコンから「ブランド想起」を促進できる…など大きなメリットがあります。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションによる調査結果では、回答者全体の4割相当の人がアプリをきっかけに来店したことがあると回答しました。また、アプリをきっかけに来店したことがある人の内79%が、来店の理由に「使いたいクーポンがあったから」と回答しました。

従来は、企業アプリ導入にあたり開発コスト・維持コストがかかることが悩みの種でしたが、現在は月額料金を支払うことで企業アプリを用意できるサービスも充実しており、企業にとってはハードル低く開始することができる環境が整っています。

8.企業公式メルマガの配信:コスト安く、着実に成果に繋がる

LINE公式アカウントや、Twitter、InstagramなどのSNS公式アカウントの登場により、B to Cのメルマガの重要性は薄れているのではないか…などの声も聞こえてきますが、配信のコストが安く、SNSにアカウントを持たないユーザーとも繋がることができる企業公式メルマガは、まだまだ有効であり、顧客とのタッチポイントとしてとても重要な手段です。

「Mail Marketing Labo(メルラボ)」が2019年に発表したデータによると、調査対象である20~69歳の男女500名のうち、4割の人がメルマガ経由で商品を購入したことがあると回答しました。読みたいと思うメールマガジンについては「キャンペーン情報」と回答した人が56.2%で最も多く、次いで「クーポン情報」(54.0%)という結果だったそうです。

9.ポータルサイトへの出稿:顕在層にアプローチ!魅力的な情報で差別化を

レストランや美容院を探す時、レジャー情報を探す時…まずはポータルサイトをチェック、というユーザー層は確実に存在します。他と比較された時に自社をどう選んでもらうのか、差別化がポイントとなります。

10.マストバイ:メーカーによる販促施策!ユーザーにも定着

来店数や店頭売り上げの向上を目的とする施策とは少し異なりますが、「商品の購入」を条件とするマストバイキャンペーンも、メーカーによる販促施策の一つです。商品そのものやレシートの写真を撮って応募したり、商品のシリアルナンバーやユニークQRなどからウェブ上で応募する形式が一般的です。

「ふなぐち」などのブランドで知られる菊水酒造は、商品購入の証明をQRコードおよびシリアル番号で行う方法で、デジタル上でマストバイ形式のキャンペーンを実施、取得したユーザー情報をもとにイベントへの招待やアンケートを行うことで、1万人以上の顧客情報を獲得しユーザーインサイトを可視化、その結果を販促活動に活かしているそうです。
(引用:https://webtan.impress.co.jp/e/2020/03/06/34959

まとめ:目的別・どの施策を選んだらよい?

最後に、これら数ある施策の中から、アプローチしたいターゲット(新規/既存)別に、どの施策を選んだらよいのかの目安をまとめました。

他にも、ターゲティングしたい範囲(全国/特定のエリア)や予算、運用に割ける人員体制なども考慮の上、自社に合った施策を選択しましょう。

以上、今回は来店者数や店頭売上増加などの「コンバージョン」に直結し、かつ「効果測定がしやすい」代表的なデジタル販促手法の中から、広告&プロモーション施策を中心に代表的な手法をご紹介しました。