Instagramショッピング、Instagramライブ、機能の多様化とともに企業が活用できる可能性も広がっているInstagram。
そんなInstagramマーケティングを実施するうえで注目したい「UGC」について、メリットや活用するためのポイントを事例と共に解説します。

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ユーザー層が広がるInstagram

Instagramの現在の日本国内月間アクティブアカウント数は3,300万(2019年3月)。日本でのサービス開始当初は20代の女性を中心に活用されてきたInstagramも、現在ではユーザー層が拡大。10代、20代の若年層に加え、30代、40代の利用率も高いプラットフォームとなっています。

令和2年(2020年)と令和3年(2021年)を比較しても、各世代でInstagramの利用率は伸び、特に40代の利用率は10ポイント以上上昇するなど、ユーザー層の広がりがわかる。
出典:令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省

Instagramなど主要なSNSの最新のユーザー数をまとめています
主要SNSのユーザー数・年代別利用率まとめ

交流からショッピングまで。使い方も多様化

また、Instagramではユーザー層の拡大と共に、機能も多様化しています。
例えば、24時間で投稿が消える「ストーリーズ」や短尺動画に特化した「Instagramリール」のリリースにより、ユーザーがInstagramを活用して表現できるものの自由度があがりました。

さらに、双方向のコミュニケーションが可能な「Instagramライブ」、Instagramからショッピング体験ができる「Instagramショップ」など、コミュニケーションツールに止まらない使い方をする機能も登場しています。

特に日本のInstagramユーザーはショッピング機能を積極的に利用しているという内部データもあり、新しい機能がユーザーに浸透していることも伺える。
画像引用:Facebook Japanラウンドテーブル配布資料より

このような機能の多様化によって、Instagramのユーザー動向にも変化が起きています。

アライドアーキテクツが実施した調査ではSNSの情報をきっかけや参考に、「初めて利用するECサイトで商品を購入したことがある人」、「初めて利用するお店(小売店や飲食店)に実際に足を運んだことがある人」の割合は他のSNSと比較しInstagramが最も高いという結果となりました。

コロナ禍でEC化が進んだこともこの流れを加速させて、Instagramはいまや、ユーザーにとって近況のアップデートや交流の場にとどまらず、「消費購買行動」に近い場所へと変化しているのです。

企業のInstagram活用のメリットも増える

こうした「Instagramユーザー層の拡大」「機能の多様化」「ユーザーの意識の変化」によって企業がInstagramを活用するメリットも大きくなっています。

これまではメインだとされていた若年層の女性以外にも、男女問わず幅広い年齢層にリーチできるようになったこともそのひとつです。

また、充実した機能を活用することで「投稿を見てもらって情報を届ける」といったことにとどまらず、ユーザーと密接なコミュニケーションをとってファン作りやファンコミュニティ形成につなげることも可能となりました。

そして、消費購買行動に意欲的なユーザーが増えてきたことにより、ショッピング機能などを活用してInstagram経由の売上を作っていく企業も増えています。

Instagramでは日々精力的に機能のアップデートや新機能のリリースを行っていることから、今後もInstagramをビジネスに活用するチャンスはさらに広がっていきそうです。

InstagramマーケティングでUGCが注目なワケ

Instagramをビジネスに活用できる幅が広がるなか、ぜひ取り組みたい施策のひとつに「UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)活用があります。

UGCとはその名の通り、ユーザーの手によって作られ生み出されたコンテンツの総称。ブログ記事、YouTubeなどの動画投稿サイトに投稿された動画、各種SNSへの投稿やそれについてのコメント、レビューなどもUGCのひとつです。

実はこのUGC、企業のInstagram活用にとってたくさんのメリットをもたらしてくれるのです。

メリット①生活者の購買意欲を喚起できる

「63%の生活者が購入前に商品のUGCをSNSで探している」という米国のアンケート結果()もあるように、SNS上のUGCは生活者の購買の意思決定に影響を与えることがわかっています。
アライドアーキテクツが2022年8月に実施した調査でも、商品やサービスを購入する際に、生活者のクチコミやレビュー(UGC)を信頼しますか?との問いに対し、全体で64.6%の方がUGCを信頼すると回答するなど、UGCをはじめとしたクチコミ活用の重要性の高さがわかります。

特にショッピング機能など、ユーザーの購買行動に直結する機能も充実しているInstagramにおいて、UGCを活用することは売上の向上に大きな力となります。

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※)Olapic『Facebook & Instagram Advertising With UGC : A Practitioner’s Guide』

メリット②Instagramにはクチコミが投稿されやすい

また、アライドアーキテクツが実施した調査では、商品やお店を利用した場合に、そのクチコミを投稿する先として最も多い回答を集めたのがInstagramであるという結果もでています。

クチコミを投稿するきっかけについても、「良い点を多くの人に知ってもらいたい」「使った感想を伝えたい」といったポジティブな動機が2位と3位を占めており、その他の媒体と比較してもInstagramが最も高い比率となっています。

このようにInstagramはユーザーから好意的なクチコミが集まりやすい媒体なのです。

メリット③UGCの表現の幅も広い

Instagramの魅力のひとつに、豊富なフォーマットがあります。動画、静止画、複数枚の動画や静止画からなるカルーセル、短尺に特化したInstagramリール、カジュアルなやりとりができるストーリーズなど表現方法は多様。
具体的な使い方やテクスチャを伝えられる動画UGCから、「真似したい」「やってみたい」と思わせるようなアイデアの提案、ストーリーズでシェアされる「今使っていること」「今やっているもの」などの情報まで幅広く伝えることができます。

そして、様々な表現方法を採用して投稿されたUGCは、Instagramアカウント運用のなかだけではなく、マーケティングにおける様々な場面で活用できる可能性をもっています。

メリット④ユーザーとのコミュニケーションにもなる

InstagramでUGCを紹介したり、InstagramのUGCを外部のメディア(ECサイトや広告クリエイティブ、広告のLPなど)に利用する場合に必須となるのはユーザーから紹介や掲載の許諾をもらうことです。

もちろん、Instagramキャンペーンや予め「こちらのハッシュタグ投稿のお写真はリポストさせていただくことがあります」といった文言で細かな許諾確認作業を行わない場合もあります。しかし基本的には、そのUGCを投稿したユーザーに一声かけたほうが丁寧です。

許諾作業はトラブル回避だけではなく、ユーザーとのコミュニケーションのひとつ。ハッシュタグを使い自社のブランドや商品について投稿してくれる好意的なユーザーに対して、感謝の気持ちなどを伝えることでブランドへの熱量を高めることにも繋がります。

ストーリーズやフィードなどでシェアする場合には、投稿に対する感想などを一言添えるのも良いでしょう。

ファンとのコミュニケーションを行なっている施策事例をまとめました。
ファン作りにつながる・マーケティング施策事例10選

メリット⑤自分たちでは気がつかなかった商品の魅力に気がつくこともある

UGCはリアルな生活者の目線で投稿されるコンテンツです。そのため、企業側が用意した画像や動画よりもより自然で、ユーザーのタイムラインにも馴染みやすいという特徴があります。そして、これらの生活者視点の発信から、その商品やサービスを提供している企業が予想していなかった商品の使い方や、商品の魅力に気がつくこともあります。
このような顧客のリアルな声を商品の訴求の参考にすれば商品の魅力を効果的に伝えることができたり、商品改良、改善に活かしたりすることもできます。

メリット⑥運用コストの削減につながる

静止画、動画などビジュアルに特化したSNSであるInstagramにおけるアカウント運用や、広告にはビジュアルを用いたクリエイティブが必要不可欠です。
そして、オーガニックのポストや広告運用で成果をあげていくためには、これらのクリエイティブの良し悪しについて数値を確認しながら改善を加えていくことも大切です。
しかし一方で、こうした「運用改善」「施策改善」においてクリエイティブの制作コストが負担になってくる場合も少なくありません。
こうした局面でも、一般のユーザーの投稿であるUGCは、投稿や広告クリエイティブに活用でき、運用負担を軽減させるという点で大変有効なのです。

InstagramマーケティングでUGCを活用するポイント【事例あり】

ではInstagramマーケティングにおいて実際にどのようにUGCを活用すればよいのでしょうか?UGC活用に取り組む企業の事例からそのポイントをご紹介します。

事例①商品の使い方や特徴をUGCを通じて訴求|株式会社カインズ

インテリアから日用品まで、くらしに役立つ商品を販売しているホームセンターのカインズ。同社の公式Instagramアカウント(@cainz_official)では「#cainzlife」を使用してカインズ商品を使ったInstagram投稿を募集。
公式Instagramアカウントの投稿に、UGCを利用しています。

実際に商品を購入し使用しているユーザーの投稿により、「商品の特徴」や「商品購入後にどんな点が改善されるのか」などをわかりやすく伝えている同アカウント。
選ばれるUGCは、そのユーザーの視点で丁寧に感想やおすすめの使い方が綴られたものが多く、中には「1ヶ月使ってとても良いと感じたのでご紹介します」というユーザーの投稿もありました。
また、UGCを使った投稿をする際には、投稿主のアカウントの特徴や投稿主からのひとことコメントがキャプションに添えられています。ただ二次利用するだけではなく丁寧なコミュニケーションが行われていることが伝わるのもポイントです。

▶︎ここがポイント

  • 本当に商品の魅力が伝わるのはどんな投稿なのかしっかりと吟味し、UGCを厳選
  • 投稿したユーザーに対する感謝が伝わる丁寧なコミュニケーション

事例②UGCを利用した動画投稿で手軽に商品の魅力をわかりやすく伝える|日本トイザらス株式会社

昨今様々な場面で「動画化」の流れが加速するなか、Instagramでもリールなどを利用して動画を投稿するユーザーが多く見られるようになりました。こうした流れの中で、動画フォーマットでの投稿に取り組む企業アカウントが増えてきましたが、一方で動画は静止画に比べて制作コストやリソースの負担が大きい傾向があります。
ベビーグッズ、アパレルを扱うベビーザらスの公式Instagramアカウント(@babiesrus_jp)では動画の投稿に一般ユーザーの動画UGCを活用。負担を軽減しながらアカウント運用に動画フォーマットを取り入れることに成功しています。

動画は静止画に比べて伝えられる情報量も多く、臨場感やよりリアルな商品の使用感、テクスチャなどを表現することができるフォーマットです。
とりわけ、ベビー用品など子供の手に触れるものについては、真剣に選びたいと思う保護者は少なくありません。その点でも、同アカウントが発信している動画UGCは、実際に商品を使っているユーザーの様子を伝えやすく、商品の訴求に効果的です。

▶︎ここがポイント

  • UGCを利用することで動画の制作負担を軽減
  • 商品について的確に伝え理解を促す

事例③静止画UGCをスライドショー形式でリール動画に|眞露株式会社

ハッシュタグを使った動画投稿はユーザーの投稿ハードルが高く集まりにくい場合もあります。しかし、静止画のUGCを組み合わせてスライドショーにして動画風のクリエイティブを作ることも可能。眞露株式会社のInstagramアカウント(@jinro_jinro)では静止画UGCを使ってリール動画を投稿しています。

新商品である「#チャミスルトクトク」のハッシュタグをつけた投稿をリール動画にしている同アカウント。「外×チャミスル」など、商品の利用シーンやテーマでUGCをまとめ、スライドショーにして、商品のPRを行なっています。
また、Instagramのリールフィードは、フォローしているアカウント以外の動画もおすすめとして表示されることがあります。この取り組みは、このようなリール動画の特徴を利用し、新商品のUGCをフォロワー以外のユーザーに届け、商品やアカウントの認知獲得にもつなげている事例です。

▶︎ここがポイント

  • 静止画UGCを複数組み合わせて動画クリエイティブを制作
  • リール動画として投稿することでフォロワー以外の認知も獲得

事例④UGCを使ってファンのコミュニティを強化|コールマンジャパン

ブランド特有のハッシュタグを活用した投稿を促すことで、ブランドファンのコミュニティの結びつきを強めているのは、アウトドアブランド・コールマンジャパンの公式Instagramアカウント(@coleman_japan)です。

同アカウントではキャンプ、アウトドアを楽しみたい人に向けて知識やノウハウを発信し、キャンパー、アウトドア好きのInstagramユーザーのコミュニティを形成しています。また、「#キャン友」タグと呼ばれる、テントにつけるタグを作り、キャンプ場でのキャンパー同士の繋がりが生まれるような施策にも注力。さらに「#私のコールマン」がついたハッシュタグ投稿を呼びかけ、SNS投稿に活用することで、ユーザー同士が同ブランドの世界観を共有し、ファンコミュニティの結びつきの強化に成功しています。

▶︎ここがポイント

  • 日頃からInstagramを通してブランドのファンとコミュニティ作りに取り組む
  • ハッシュタグ投稿によってブランドの世界観をユーザー同士で共有

事例⑤ファンと交流しながらブランドメッセージを表現|ぺんてる

文房具メーカーのぺんてるの公式Instagramアカウント(@pentel_official)でも、Instagram投稿にUGCを利用しています。

ぺんてるのストーリーズのハイライト

#pentel_life」をつけた、同社の商品を使った投稿を募集している同アカウント。寄せられた投稿は、サインペンを使ったアートや、筆ペンで書かれたメッセージ、かわいいお手紙のデコレーションなどバラエティ豊かなものとなっています。
こうしたハッシュタグ投稿はストーリーズでシェアされ、ひとつひとつに丁寧なコメント、感想が添えられています。ハッシュタグ投稿をしてくれたユーザーとしっかりコミュニケーションを取りながら「正解からはみだそう、表現するよろこびをはぐくむために。」というブランドメッセージを体現しています。

▶︎ここがポイント

  • ただ紹介するだけではなく、ひとつひとつに丁寧なコメントを添える
  • UGCを通して、ブランドメッセージを表現

事例⑥UGCをキャンペーンのインセンティブに|ピジョン

ブランドハッシュタグを使ったUGC生成施策として代表的なもののひとつにハッシュタグ投稿キャンペーンがあります。
ベビー用品ブランド・ピジョンの公式Instagramアカウント(@pigeon_official.jp)でもハッシュタグ投稿を促すキャンペーンを行なっています。

同社が実施しているのは「オリジナルボトルプレゼントキャンペーン」。アカウントをフォローし、ハッシュタグをつけて商品を使っている様子を投稿することで応募ができます。
このキャンペーンで注目したいのは、インセンティブとして投稿したUGCを使ったオリジナルのボトルをプレゼントするというユニークさです。「世界にひとつだけのボトルが当たるかもしれない」という期待感によって良質なハッシュタグ投稿をたくさん集め、商品認知、ブランディングに成功しています。

▶︎ここがポイント

  • 思わず投稿したくなるキャンペーン設計
  • 良質なUGCがInstagram上にたくさん生まれ、商品認知とブランディングに

事例⑦広告LPにUGCを活用してCVRが向上|POST COFFEE株式会社

Instagram上のUGCはInstagram投稿以外にも活用できます。日本最大級のコーヒーのショッピングモールPostcoffeeを運営するPOST COFFEE株式会社もInstagramUGCを活用することで成果をあげている企業のひとつです。

同社の「コーヒーのサブスク あなた専用のコーヒーボックスがポストに届くコーヒーの定期便」の新規顧客獲得向けLP(診断ページ)と診断結果ページに掲載されているUGC。
画像引用:UGCは全てのビジネスの根幹。PostCoffeeがUGC施策に本気で向き合う理由とは?|Letroブログ

同社では日頃から、SNS投稿キャンペーンやアンバサダー施策によってUGCの生成に力を入れていました。その結果、現時点で1.6万件におよぶハッシュタグ投稿がInstagram上に生まれています。同社はこれらのハッシュタグ投稿を、コーヒーのサブスクサービスの新規顧客獲得向けの広告LPに掲載。LPを訪れた生活者にサービスを利用したあとの生活イメージを想起させることで獲得効率があがり、LPのCVRが最大1.8倍になりました。

同社の取り組みについて詳しくご紹介したインタビュー記事もご覧ください
UGCは全てのビジネスの根幹。PostCoffeeがUGC施策に本気で向き合う理由とは?|Letroブログ

いかがでしたか?
今回はInstagramにおけるUGC活用について事例を含めてポイントをご紹介してきました。ぜひ今後の施策にご参考ください!