/Instagram×EC最前線インタビューOGP

コロナ禍を経て、Instagramではeコマース機能であるショップ機能の拡充を進めています。ニューノーマル時代において生活者の消費購買体験が変化する中、Instagramはeコマース領域においてどんな価値を発揮するのでしょう?またInstagramを活用して成果をあげるのためのポイントとは?
今回は、Facebook Japan丸山祐子氏と、アライドアーキテクツ・井出修二朗の対談をお届けします。

コロナ禍において企業と生活者を結ぶ場として重要性が増しているInstagram

ーまずは、お名前と所属部署、ミッションについて教えてください。丸山様からよろしくお願いします。

丸山氏:Facebook Japanの丸山祐子と申します。現在コマース事業部にてインダストリーマネージャを務めています。Facebookには2013年に入社しまして、もともとは消費財や小売のお客様を中心にご支援させていただいておりました。

現在はコマース事業部にて、みなさまがご存知のような大手eコマースのお客様から、中小企業のEC化を進めているようなクライアント様まで幅広く担当しています。Facebook・Instagramのショップ機能や広告などを通してクライアント企業様のビジネスを支援し、同時に利用者の皆様の充実したショッピング体験を実現することをミッションに業務に当たっております。

Facebook Japan コマース事業部  インダストリーマネージャ 丸山祐子氏
Facebook Japan コマース事業部 インダストリーマネージャ 丸山祐子氏

ーありがとうございます。井出さん、お願いします。

井出:アライドアーキテクツの井出修二朗と申します。私は現在プロモーション本部の本部長と、Webインテグレーション部というところで部長を兼務しております。
SNSとwebを使いクライアント企業様のプロモーション活動の支援することが主な業務で、私はそこでチームの統括と、プロモーションを支援する自社プロダクトの責任者をしております。アライドアーキテクツへは2009年に入社し、そこから12年ほど、SNSの黎明期からSNSとWebを使った企業様のマーケティング活動のご支援をさせていただいております。

アライドアーキテクツ株式会社 Promotion本部 本部長 兼 Webインテグレーション部 部長 井出修二朗氏
アライドアーキテクツ株式会社 Promotion本部 本部長 兼 Webインテグレーション部 部長 井出修二朗

ーありがとうございます。早速お話を伺っていきたいと思います。まずSNSというところでいうと、やはり昨年以降新型コロナウイルス感染症拡大の影響は大きかったと思います。Instagramの利用のされ方にも変化があったと思いますがどのように捉えていますか?

井出:我々は新型コロナウイルス感染症拡大の後における生活者のSNS利用実態がどう変化したのか、という独自調査を行ないました。この調査によると、コロナ以前と比較して34%の方がSNSの利用時間が増えたと回答しています。中でもInstagramは44%の方が利用時間が増えたと回答し、特に趣味や好きなことについての情報収集のための利用時間が増えた人が多い傾向があります。また、その98%の方が、趣味や好きなことの情報収集に今後もInstagramを使いたいと答えています。

つまり、コロナ禍を経た「おうち時間」の増加と共にSNSの接触時間が増え、Instagramを情報収集として利用する方が増えた。そしてその利用は今後も継続されていくということがわかります。

丸山氏:本当に、井出さんがおっしゃっているようなトレンドは弊社でも感じております。やはり2020年はコロナ禍において大幅な生活様式の変更を強いられ、eコマースの利用が進むなど、生活のあらゆる面でのオンライン化が加速した年だったと思います。こうした状況の中、Instagramでは特にライブ配信の利用が非常に伸びておりまして、昨年の3月時点のある1週間とその翌週を比較した場合、Instagramのライブ配信の利用者が全世界で50%増加したという数字もあります。

コロナ禍では今までのように直接来店し、商品を見て触って確かめることが難しくなりましたので、自然と新しいショッピング体験、新しいSNSの使い方を取り入れているのかなと思います。

井出:Instagramでは機能追加をたくさんされていますが、その中でもやはりInstagramライブの利用率の伸びが顕著だったのでしょうか?

丸山氏:様々な機能がそれぞれより使われるようになったと捉えておりますが、特にInstagramライブはぐっと伸びたと言えます。もちろん、リールなど昨年導入したばかりの機能についても、著名人や若手クリエイターの方も含め、様々な方法で活用してくださっていて、利用は順調に広がっている印象です。

ーInstagramを利用するユーザーの属性や利用時間帯に何か変化はありましたか?

丸山氏:具体的には公表していませんが、全体的な傾向に大きな変化はありませんでした。Instagramというと若年女性に強いプラットフォームというイメージがあるかもしれませんが、実際には男性利用者も全体の43%と半数近くいらっしゃいますし、年齢層も幅広い方にご利用いただいています。また、利用時間帯については、どこかの時間帯に一極集中しているというよりも、朝起きた時、通勤途中、ランチの時間帯、夜寝る前など、1日を通して様々なタッチポイントで使っていただいています。

Instagramの時間帯別利用率についてのデータ
(参考)Instagramの時間帯別利用率についてのデータ。赤い背景が濃いほど利用が活発である。一般的な起床時間から就寝時間まで、幅広い時間帯で利用されていることがわかる。
画像引用:【2020年最新版】インスタグラム投稿、いいねがもらえるベストな時間帯は?|AppApp Lab.

ーありがとうございます。ハッシュタグの検索ワードの変化やボリュームについての変化はありましたか?

丸山氏:ワードやボリュームについては特に発表はしていないのですが、日本国内利用者のハッシュタグ検索の利用は非常に活発でして、2020年時点で世界平均と比較して5倍であるという数字が出ています。

また、ショッピングタグから商品詳細を見た利用者は2019年と2020年の比較で65%増加したというデータもあります。Instagramには様々な機能がありますが、日本国内ではハッシュタグ検索のような能動的な使われ方も、フィードやストーリーズに流れてくる投稿内のショッピングタグから商品詳細を見るといった受動的な使われ方も、両方が活発だというのが特徴だといえます。

消費者行動の変化
ショッピングタグを利用した投稿から商品詳細を見た国内利用者は2019年と2020年の比較では65%増加し、他国との比較でも3倍であるなど、日本国内においてはショッピング機能の利用が活発であることがわかる。
画像引用:Facebook Japanラウンドテーブル配布資料より

2021年・Facebook&Instagramのトレンドについて解説した記事はこちらです。
2021年Facebook&Instagramはこうなる!トレンドと活用ポイント解説

ー同時に、Instagramをマーケティング活動に取り入れる企業も増えていると思います。こちらに関して利用傾向やトレンドにはどのような変化があったとお考えですか?

井出:Instagramをマーケティング活動に利用したいという企業は増えているという所感があります。弊社ではInstagram活用に関するWebセミナーを定期開催していますが、参加企業の数は増加傾向にあり、特に2021年になってからはその傾向は顕著です。2021年度の施策としてInstagram活用の予算化を検討し、そのための情報収集を行なっている企業が多いという印象です。

ービジネスの規模的にはいかがですか?

井出:大手企業だけでなく中小企業のお客様も増えています。先ほど申し上げた弊社のセミナーの参加される方や、ホワイトペーパーをダウンロードされる方の中でも、中小企業の方が増えていると感じています。

業種的にはこれまではアパレルや化粧品、インテリア・雑貨などの業界は特にInstagramの活用が進んでいたと思いますが、このコロナ禍で業績的なダメージが少なかった一部食品系の企業も増加している傾向があります。

ー活用施策にはどんな特徴がありますか?

井出:ECをお持ちでないブランド企業ですと、これまではInstagramをブランディングに利用されていることが多い印象でした。しかし現在はそれだけでなく販促やプロモーションにどう活かせばよいかというところにお悩みでご相談をいただくケースが増えています。

丸山氏:オンラインで生活者との交流機会を増やす必要があると感じている企業も増えていると思います。Instagramライブ機能の利用が増えたという話にもありましたとおり、オフラインで実施できなくなった交流をデジタル上で実施するために新しくInstagramライブの利用を始める企業も多く見られるようになりました。

配信の仕方を工夫するのはもちろん、質問スタンプを活用して視聴者とコミュニケーションをとるなど、Instagramならではの機能を活用して顧客との関係構築に成功している例も多数あります。

InstagramやYouTubeライブ配信を活用している事例:GROOVE Xのマーケティング術
家族型ロボットLOVOTのGROOVE Xに学ぶ、D2Cマーケティング〜顧客とともに体験価値を作る〜

ーEC企業はいかがでしょう?

井出:やはりショップ機能の活用は進んでおり、もともとECを持っていた企業はもうほとんどがショップ機能を導入しているのかなと思います。そうした企業ではショップ機能を活用して売上を伸ばすことにお悩みを抱えているご担当者が多く、そうしたご相談をいただく機会が増えています。

丸山氏:ショップ機能の活用は増えており、特に中小企業の参入が増えている印象です。ショップ機能は無料でお使いいただけるので、リソースに限りはあるけどECを始めたい、コロナかをきっかけにECに注力したいという中小企業の皆様にも検討しやすいと思います。我々としても引き続きこうした企業のご支援にあたりたいと考えています。

Instagramは好きと欲しいを作る「発見型コマース」

ーありがとうございます。ショップ機能を活用や検討する企業が増えるなかで、Instagramが特にコマースにおすすめなのは何故なのでしょうか?

丸山氏:理由は大きく3つあります。まず1つ目は、Instagramは好きと欲しいを作るプラットフォームであるということです。

もともとInstagramは「大切な人や大好きなものとあなたを近づける」というミッションを掲げているプラットフォームです。つまり、ご家族や友人など大切な人と交流ができる場であると同時に、お気に入りの商品やブランドともつながることができるのが特徴です。実際に、利用者の9割の方が何らかのビジネスのアカウントをフォローしているというデータもあります。

また、Instagramを利用するときの心理状態として、趣味に関連することや好きなものに出会いたいという利用者の方が多いという傾向もあります。

さらにInstagramは、利用者の興味関心をもとに、様々なアクションデータを機械学習し、関連度の高い情報をパーソナライズして表示する仕組みになっています。既につながりのあるブランドだけでなく、利用者が興味を持ちそうな投稿や広告が表示されるので、自分ゴト化を促して、購買等のアクションにも繋がりやすいプラットフォームなんです。

ー欲しいという気持ちを喚起しやすいプラットフォームなんですね。

丸山氏:はい。今までの消費購買行動は、テレビや雑誌、インターネットなど、同じ商品についていくつもの情報を経て購買が生まれる、いわばフロー型であると言われてきました。それに対してInstagramは情報に触れた瞬間に好き、欲しいという気持ちにさせることができるので、購買までのファネルが短いプラットフォームであり、これこそがInstagramがコマースに向いている理由の1つです。

消費購買行動 図
趣味や好きなことの情報収集を行う利用者が多いInstagramでは、好きなものに出会いたいというモチベーションが高く、さらに個人にカスタマイズされた親和性の高いコンテンツが表示されることから、購入に結びつきやすいというメリットがある。

ー2つ目はどんな点ですか?

丸山氏:2つ目はInstagramが発見型コマースを実現できるプラットフォームであるという点です。例えばeコマースサイトで水を購入する場合、サイトを訪れるのは水が欲しいと思った時ですよね。そのため、水が欲しいと思う顧客をいかに自社サイトに誘導するかという施策が大切です。逆に言えば、特定の商品を購入する予定がない生活者をサイトに誘導するのは難しいと言えます。

一方でInstagramは毎日習慣的に利用されています。Instagramをきっかけとした購入は、Instagram上で投稿や広告を見て「そういえばこれが欲しかったんだ」と思い出したり、初めてみる商品を「これ素敵だな」と思ってもらってECサイトへ誘導できる特徴があります。目的をもって特定の商品を購入しにいかなくても、Instagram上では商品との偶発的な出会いが日々起きているんです。このように、利用者の趣味や嗜好に合わせた親和性の高いコンテンツを提示することで購入につながるという点から、我々はInstagramにおけるコマースの形を、商品が顧客を見つける「発見型コマース」と呼んでいます。これもInstagramのコマース活用をおすすめしたいポイントです。

ー3つ目はいかがでしょうか?

丸山氏:3つ目として機能の拡充があります。我々は2021年も引き続きコマース領域に注力し、eコマースに関わる機能について今後も様々な機能開発を行う予定です。eコマースに新規参入を検討されている企業、eコマースにより注力していこうと考えている企業への支援に加えて、利用者にもより充実したショッピング体験を提供し、エンターテイメント性のあるショッピング、ショッパテインメントを提供をしていきたいと考えています。

ー例えばどのような機能が追加予定なのでしょうか?

丸山氏:現在米国でテストしている機能で、ライブ配信中に紹介している商品にショッピングタグを付ける機能があります。この機能を利用すれば、利用者の方はライブ配信中に気になった商品をカートにいれて購入できるため、よりシームレスなショッピング体験が可能になります。また企業にとっても、スムーズな導線によって、より購買へ誘導しやすくなると考えられます。 

ライブショッピングのイメージ
ライブショッピングのイメージ。ライブ配信中、下部のメニュータブから商品購入をすることができる。
画像引用:Facebookショップを国内で提供開始、中小ビジネスのオンライン事業をサポート

丸山氏:また同じく米国テスト中の機能で、ARショピングというものがあります。これはARカメラエフェクトを利用し、例えば家具なら自宅に置いた時の感じを確認できる機能です。実際の店舗に来店して購入することが難しいときでも、利用者とって購入を検討しやすく、企業にとっては売上向上につながる機能です。

ARショッピングのイメージ
ARショッピングのイメージ
画像引用:Facebook Japanラウンドテーブル配布資料より

Instagramショッピング機能の活用ポイントについて解説しています
【InstagramでEC売上をアップ!】ショッピング機能を効率的に活用するための5つのポイント

ーありがとうございます。ちなみに、利用者の方の購入動線としては、もともとそのブランドのアカウントをフォローしていてその接点の中で購入が生まれるのか、それともInstagramショップのようなもので、サジェストされて購入が生まれていくのか、どちらのパターンの方が多いと思いますか?

丸山氏:そのどちらもあると思います。先ほども申し上げましたが、日本の利用者はハッシュタグ検索の回数や、ショッピングタグから商品を閲覧する利用率が高く、能動的に自分に合う商品を探しにいく方が多いという特徴があります。一方で、発見タブやInstagramショップを眺めたり、フィードやストーリーズで流れてきた投稿など、受動的な情報から購入に至る利用者もいらっしゃいます。受動的・能動的、双方で商品と出会うことができるのがInstagramの強みと言えると思います。

Instagramでのショップ機能活用の成功の鍵は横断的な機能利用とトライ&エラー

井出:現状はまだショップ機能で成功しているというより、これから売上をあげていかなくてはいけないという企業の方が多いという印象です。こうした課題をお持ちの企業にもっとこう活用したら上手くいくといったアドバイスをいただけますか?

丸山氏:ショップ機能だけでなく、Instagramを活用する際に一番大切なのは、まずInstagramを活用して何を実現したいのかという目標設定をしっかりすることが大切だと考えています。例えば中小企業のお客様のように、Instagramでのプロモーションがダイレクトに売上に関わってくるのであればそこに目的を定めることはよくあるのかなと思います。一方、目標のないまま何となくアカウントを開設してみてしまうと、結局それがどんな成果につながるのか、どのように活用すべきかがわからなくなってしまいます。同時に、きちんと目標設定をしていただくことでInstagramを活用した充実したコミュニケーション施策の設計にもつながると思います。

ー確かにどんな施策でもKGIやそこに至るKPIの設計は大切ですね。

丸山氏:そのうえで、ショップ機能で成果をあげるためには、様々な機能を多角的に活用し、日常的に情報発信しながら顧客と双方向のコミュニケーションを取ることが重要です。例えば、ショップへの導線はプロフィールページにあります。フィード投稿やストーリーズのハイライトなどを活用してプロフィールを充実させ、ブランドの世界観や商品の魅力を積極的に発信することで、利用者に「ショップを見る」というボタンをタップしたいと思ってもらえます。

ちなみに、アカウントのプロフィールを見にくる利用者の方の3分の2はフォロワー外からという数字があります。つまり、フォローされていなくても、自社アカウントを訪れている利用者はたくさんいて、新たな顧客になる可能性があるんですね。様々なところから利用者に見られていることを意識し、プロフィールを充実させることで、その先の売上にもつながっていくと思います。

ーありがとうございます。設定する目標として、例えば新規顧客獲得と既存顧客向け、LTV向上などではコミュニケーションや活用方法も異なってくる部分があるのでしょうか?

丸山氏:本当に多種多様な業種の方にご利用いただいており、商材やブランドイメージ・ターゲット層などによっても変わってきますので、これが正解と言うのは難しいです。ただ、どんなにショッピングタグを活用した投稿をしても、その投稿自体を見てもらえなかったり、自社アカウント(プロフィール)に来てもらえなかったりしたら無駄になってしまいます。そのため、新規の顧客獲得や売上貢献を目標としていても普段からフォロワーをはじめとしたInstagram利用者とのコミュニケーションは大切です。

同時にフィードやストーリーズはその利用者と親和性の高いコンテンツから順番に表示されるようになっているので、日頃からきちんとコミュニケーションをとり、エンゲージメントを高めることで、ショッピングタグを利用した投稿をみてもらいやすくなるんです。

ー新規顧客獲得にしても既存顧客向けの施策にしても、日々の投稿やコミュニケーションは大切なんですね。

丸山氏:はい。それを前提として、なかなかリーチが増えない、既存顧客ばかりだとビジネスが大きくなっていかないと言う場合には、広告の活用をおすすめしています。Instagram広告は1日あたり数百円という少額から出稿ができますのでビジネスの規模問わず利用していただきやすい特徴があります。より新規の人にリーチしたいということであれば広告をうまく活用していただくこともよいと思います。

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井出:我々のお客様のなかにはInstagramを活用したコミュニケーションはマーケターさんの負荷が高いという意見もよく耳にします。こうした場合どういった風にInstagramに向き合うべきなのでしょうか?またどういった工夫ができるのでしょう?

丸山氏:まずは投稿に対するハードルを下げることをおすすめします。そもそもInstagramは顧客と直接的な接点をもって交流するためのツールという側面があります。企業規模や業種によって違いはありますが、全ての投稿で完璧なコンテンツをあげようとしなくても、ブランドの個性を出したり、親近感をもってもらえたりする投稿の方がむしろ効果がでる場合もあります。例えばフィードのようにアーカイブ化される投稿についてはブランドの世界観を守りながら、ストーリーズでは日常に近いものをあげるなど、親しみやすく気軽にできる投稿でハードルを下げていくのもポイントです。

ーその他工夫できることはありますか?

丸山氏:また運用体制の工夫もおすすめです。例えば、日常的に顧客との接点が多く、ニーズを把握している店舗スタッフの方に持ち回りで投稿をしてもらう企業もあります。ライブ配信であれば、商品開発担当者が開発プロセスの様子を詳しく話すコンテンツなどもよく見かけます。1人の担当者が全ての投稿の更新を行わなくてはいけないと思うと、ネタも尽きますしかなり負荷が高くなりがちです。しかし様々な立場の方々を運用に巻き込むことでより多くのリソースも得られ、投稿のバリエーションを増やすことができます。

あまり身構えずに、とにかくトライ&エラーを繰り返しながら色々な機能を使ってみてやっていくうちに自社なりの正解をつかむというのが良いのかと思います。

ーありがとうございます。最後に今後のInstagramとしての展望についてお聞かせいただけますか?

丸山氏:これまで通り大手企業様へのご支援もさせていただきながら、特に中小企業においてはコロナ禍で大きな打撃をうけた企業様も多いと思うので、引き続き支援していくような取り組みを行いたいと考えています。例えば昨年好評をいただきました中小企業向けのオンラインセミナーは今年も実施予定です。

ーコマースに関する機能追加を行いながら、引き続き活用ノウハウを提供されていくんですね。

丸山氏:はい。コロナ禍で人々の生活様式が変化してeコマースの利用が増える中、やはりInstagramは利用者の方の「欲しい」といった欲求を作ることができる稀有なプラットフォームだと思います。

私自身、Instagramで出会って好きになり、継続して商品を購入しているアパレルのブランドもあります。また、全然買いに行くことができなくなったシンガポールのアクセサリー屋さんのストーリーズを目にして数年ぶりに商品を購入したこともあります。このように、Instagramは自分の好きなブランドとつながるのはもちろん、新しい「好き」と出会うことができる場ですので、今後も利用者の方にとって楽しいショッピング体験ができる新しいeコマースの形を作っていきたいです。

そして、企業の方にも様々な機能を活用していただき、自社と親和性の高い利用者に情報を届け、ブランドのファンを増やして、eコマースの売上向上という成果に貢献できればと思います。