一般の人からはなかなか理解されにくい商品を、ソーシャルでどうやってうまくアピールしたらよいの?新たな顧客層を増やすためにどんな工夫ができる?そんな時に参考になるFacebookページ事例を3つご紹介します。


 
一般の人からはなかなか理解されにくい「ニッチ」で「マニアック」な商品や、敷居が高く近づきがたいと思われているサービス、日常生活の中でなかなか登場する機会のない商品等を、どうやってアピールしていけばよいのか。新たな顧客層の開拓にソーシャルを使ってみたいけど、本当に活用できるのか…と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、本当はこうした「ニッチ」な市場にこそ、ソーシャルメディアの特徴が活かされる側面が多々あるのです。
まず、ソーシャルメディアは、「友達」と「友達」のつながりの場です。「ニッチ」な商品のコアファンの友達から、今までそのような分野に特に興味のなかった友達の興味を喚起できる可能性があります。企業にとってみれば、今までなかなか出会えなかった人(潜在顧客層)にリーチできる可能性があります。
また、従来型の限られた「枠」ありきのマーケティングではなかなか自社の魅力を伝えきれなかった商品であっても、ソーシャルでは豊かな表現で発信できますし、また、消費者に向かって直接伝えることができます。
そこで今回は、日本国内でFacebookを活用する企業事例をWebマーケッターが解説するブログ「Facebookプロモーション国内事例集」より、ソーシャルメディアの特徴を上手く活かし、新たな顧客層の需要喚起にFacebookを活用しているページ事例を3つご紹介します。
*本記事は「Facebookプロモーション国内事例集」からの転載です。(SMM Labにて一部編集してお届けします)
 
ホールデビューしよう!
https://www.facebook.com/Halldebut
 
ファン数1, 800を超え1投稿あたりの「いいね!」やコメントなどの反応率も2%~高いときで9%ほどあるFacebookページ、「ホールデビューしよう!」をご紹介します。

 
このページは東京都交響楽団が運営しているようなのですが、ターゲットは潜在層。オーケストラにきたことがない人に興味を持ってもらえるような初心者むけコンテンツを発信しています。「興味を持ってもらう」と一言で言っても、実際の投稿でどうしたらいいのかというのは難しいですよね。では、このページが具体的にどういう投稿をしているのかをご説明していきます。
 
親近感をもってもらう
 
もし、あなたの友達が「コーヒー豆の数を数えてからコーヒーを入れてるんだよ」と言ったら笑っちゃいませんか。左の投稿では、こういったエピソードがが有名な作曲家の話として紹介されています。なんだか人間くささが感じられますよね。距離が縮まったような感覚になります。

 
左の投稿はオーケストラメンバーの紹介コーナー。オーケストラのメンバーというと、カタいイメージがありますが、ニックネームで呼びながら楽器のことを説明していたりと、なんだか身近に感じられる内容になっています。

右の「ホルンって、水洗いOKなんですね。」というギャップが感じられる内容を記載するのも、興味をひくには良い方法なのではないでしょうか。
 
“自分ごと”としてとらえてもらう
 
『知ってる?ホールのマナー』というコーナーでは「コンサートにはどんな服装が良いの?」など、もし自分がホールに行くならという場合でちょっと疑問に思いそうなことを紹介しています。

右は体験談。自分と同じような人がコンサートに行ったときの体験談を紹介。スッと頭に入ってきそうですよね。
 
わかりやすく伝える
 
左の投稿は用語解説。聞いたことがあるけれど、意味までは知らない「カンタービレ」という専門用語をわかりやすく解説しています。

スペインの踊りのリズムであるボレロを「タ」を使って、動画で表現。表現の切り口がユニークですよね。でも、この投稿はシェアが100件もついており、うまく拡散したようです。
 
画像はうまく使って目に留まるように
 
ここまでご紹介してきた画像に共通するのはシンプルに投稿をまとめたものが多いということ。投稿はまずファンの目に留まってもらわないといけないので、注意したいところですね。
 
実は興味がある人から広がっている!?
 
最初にターゲットは潜在層と書きましたが、実際のファンはある程度興味のある顕在層や内輪の人が多いのではと考えています。なぜなら、コメントを見るとある程度理解している人からの書き込みがあったりするからです。広告など、お金をかけた集客も大切ですが、ファンの反応をみてファンの友達が興味を持ってくれるのであればよりHAPPYですよね。なので、まずは周囲の人の協力も仰いで内輪でも良いからファンになってもらい徐々に盛り上げていくことも重要なのではないでしょうか。
 
 
株式会社東宝ハウス湘南
https://www.facebook.com/th.shonan
 
株式会社東宝ハウス湘南は湘南の物件に特化した不動産やさん。その東宝ハウス湘南のFacebookページでは湘南の風物詩や景色、グルメなど、地元ならではの情報を配信しています。いいね!、コメント、シェアなどの反応率も高いときで10%超えの人気ページです。

 
まずは湘南に住みたい気持ちとページを盛り上げる
 
このページは、観光情報サイトのページと見間違えるほどに風景やイベント、観光地、グルメなど湘南の魅力を伝える投稿が多くを占めています。

 
そういった投稿をすることによるメリットは以下2点です。
・ファンの「湘南に住みたい!」気持ちを強める(潜在層を顕在層に引き上げる)
・ページが盛り上がる(もともと湘南が好きなファンに受ける内容だから)
物件の情報提供よりも、この基盤づくりがまずは大事ですね。
 
次にお客様の声
 
東宝ハウス湘南はTHRのグループ会社。そのTHRのFacebookページではお客様インタビューを掲載しています。その記事を東宝ハウス湘南のページでも紹介しているのです。

 
これはニーズが顕在化しているユーザーにとって、東宝ハウス湘南で家を買うことをイメージしてもらうには有効なコンテンツですね。このコンテンツはグループ会社が“見せる”用に作ったのではと感じるようなしっかりとした内容とクオリティの高い写真が掲載されている点もポイントですね。
 
Facebookのなかの情報が充実
 
東宝ハウス湘南のFacebookページ内では、おすすめ物件、物件情報検索、スタッフ紹介など、コンテンツが充実しています。Facebookページ内で情報が取得できるという点でも◎なのですが、驚くのはスタッフの情報。担当者がわかるようになっていて、みんな個人アカウントを取得しているのです。

これは乗り越えるべき課題もあるのかもしれませんが、“人”が見える、信頼感をえるという意味では魅力的ですよね。
 
東宝ハウス湘南のFacebookページは押し売り感がないところが、とても気持ちがよいです。しかるべき人(潜在層)にはうまくニーズ強化&顕在化、東宝ハウス湘南との間の関係性・信頼性構築、東宝ハウス湘南で家購入するイメージをもってもらうところまで、一連の流れに対応したコンテンツがバランスよく配信されているページです。
 
 
風船のことなら、株式会社バルーンズプロ BALLOON ‘S PRO CO., LTD
https://www.facebook.com/balloonspro
 
最後に、少し変わった事例をご紹介します。風船屋さんのバルーンズプロのFacebookページは、いいね!などの反応率は1%~高いときで10%と高いページ。「風船」というなかなか生活の中で利用する頻度が少ない商品をどう知ってもらうか、工夫されているページです。
 

 
シェアでクオリティの高い写真をひっぱってくる
 
写真が重要なFacebookページの運用において、どういった写真をどこから集めてくるかは結構悩みどころですよね。このページでは、毎回の投稿に写真を用いているのですが、その材料の入手と写真の紹介の仕方が変わっているのです。
「Thank you.○○さん」という言葉から始まる写真投稿は、なんと他ページやユーザーからの『シェア』。動物の写真を中心に、どれも目が喜ぶような、いいね!を得やすい写真が揃っています。そして、工夫が感じられるのがコメントです。動物の写真には動物のセリフっぽくしたコメントを加えたり、うまい合いの手になるようなコメントを入れたりしています。

 
結果的にいいね!だけでなく、コンスタントにシェアされていたりもします。
 
最初は「風船屋さんなのに風船の写真じゃない…」と思いましたが、良く考えてみるとそうそう風船が必要になるシーンもないものです。
それであれば、いつか必要になるかもしれない潜在顧客むけに、関係性を築くためにこういった投稿をしているというところでしょうか。そう考えるとポイントは2つ。
①ページのタイトルとプロフィール画像で自己表現
②ビジュアルにこだわることが、よりターゲットとのマッチング性も高める
①はどんな写真を投稿するにあたっても必ず目にするページのタイトルとプロフィール画像が何屋かわかりやすいということ。
タイトルには社名だけでなくしっかり「風船のことなら」という一言が入っており、ロフィール画像はもちろん風船です。
②バルーンズプロの企業サイトを見るとこだわりが感じられる素敵な風船がいっぱい。ということは、おそらくこの会社の顧客になる人は風船のビジュアルにもこだわる人なはず。そうすると、Facebookページに投稿している写真にいいね!するような人とターゲットが重なるのではと考えます。
考えすぎかもしれませんが…このような手法もある、という見本になる事例ですね。
 
 
以上、今回は「Facebookプロモーション国内事例集」より、新たな顧客層の需要喚起にFacebookを上手に活用しているページ事例を3つご紹介しました。ぜひご参考にしていただければ幸いです。
 


<ライター紹介>
柴 佳織 (Kaori Shiba)

企業のFacebookページのコンサルティングから、解析・運用支援などを行う。また、Facebookマーケティングのライターや講師も務めている。
 
 
・Facebookプロモーション国内事例集 http://fbsample.blog.fc2.com/
・Facebookプロモーション国内事例集(FBページ)https://www.facebook.com/case.japan
・インサイトスコープ 数字から見えるFacebookのムコウ側 http://www.insight-scope.com/
 
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