経済産業省が、ソーシャルメディアが消費行動に影響を及ぼすようになり、企業はソーシャルメディアを有効に活用することで、より迅速に、より正確なニーズを知り、より広範に事業展開を行うことが可能となっているという調査報告書を公表しました!

 

 
経済産業省は4月11日、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア活用が、企業の事業活動を高度化するための取り組みとして有望な分野であるとして、普及にあたっての課題と、その解決策の検討内容を取りまとめた調査報告書と先進的な取組の事例集を公表しました。
今回はこの調査報告書から、興味深いポイントをピックアップしてご紹介します。
 
 
 

調査の背景及び内容のポイント

 
1. スマートフォンの普及等に伴い、ソーシャルメディアの利用者が急増し、消費行動においても、ソーシャルメディアから得られる情報が影響を持つようになってきている。
 
2. 企業にとってもソーシャルメディアは、低コストで消費者に情報提供をしたり、消費者ニーズを把握したマーケティングや商品開発を行ったりすることが可能。
特に中堅・中小規模の企業にとっては、従来では考えられないほど広い市場を相手にビジネスを展開できるようになる可能性がある。
 
3. しかし、活用できる人材の不足、適切な手法が分からない、ソーシャルメディアに対する心理的なハードルの高さなどが課題となっており、企業の活用はまだ十分とはいえない。
 
 
 

ソーシャルメディアに対する消費者の反応

 
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出典:経済産業省「企業のソーシャルメディア活用に関する調査報告書」
分析:「日経デジタルマーケティング」(日経 BP 社)

 

(1)消費行動スコア

各企業・ブランドのアカウント登録者・閲覧者(=ソーシャル接触者)のうち、「購入や利用の候補に加えた」「購入・利用した」「繰り返し購入・利用するようになった」と回答した人の割合を算出し、偏差値化したもの。
この消費行動スコアを、企業・ブランドの業種別でランキングすると、ソーシャルメディア投稿が売り上げに結び付きやすい業種などの傾向が分かる。
 
ソーシャルメディアによる売り上げ貢献が顕著な業種
・「ファストフード・コーヒー・宅配」
・「コンビニエンスストア」
【理由】
・LINE などを活用して割引クーポンの配信に積極的であること
・消費者が企業側の投稿をきっかけに認知し、気になった商品を気軽に試せる比較的安価な価格帯であること
 
ソーシャルメディア投稿が直接売り上げに結び付きにくい業種
・「自動車・二輪」
【理由】
・購入までのリードタイムが長く高額
 
 

(2)好感スコア

「好感スコア」は、企業・ブランド発のソーシャルメディア投稿が、好感度や共感のアップに結びついたかどうかを把握する指標。
スポーツブランドや、テーマパークなどのレジャー施設といった、固定ファンが付いている業種は好感スコアが高まりやすい。
「自動車・二輪」のように頻繁に購入しないもの、やや値の張るものは、好感スコアを高めることで、やがて訪れる買い替え時にプラス効果を与えることが出来る。
 
 

(3)興味関心スコア

「興味関心スコア」は、企業発のソーシャルメディア投稿に対し、リツイートやコメントなどをする、メルマガに登録する、キャンペーンに申し込むなど、購入には至らないが何らかのアクションを引き起こした度合いを偏差値化した指標。
「飲料・ビール」がトップなのは、頻繁に実施しているソーシャルメディアと連動したキャンペーンやプロモーションが影響していると考えられる。
 
 
 

ソーシャルメディアが企業の事業活動に与える影響

 
ソーシャルメディアを通じた消費者に対する働きかけ及びその反応は、「販売フェーズ」「商品開発フェーズ」「海外展開フェーズ」の3点で影響が顕著となっている。
 

(1)販売フェーズ

消費者がソーシャルメディアを通じて積極的に商品情報を得るようになっている。従来のようにマスメディアを通じたプロモーションを行った場合と比較して、ソーシャルメディアを活用したプロモーションを行った場合の方が、より早く商品の認知度を上げて売り上げにつながる例が出てきている。
実際に、スターバックスなど、BtoCの食品や外食産業などでは、ソーシャルメディアでの商品訴求が功を奏して、想定を上回る売れ行きを示すことが起きている。
また、ソーシャルメディアを活用することにより、販売フェーズに消費者を巻き込む企業も現れ、消費者も企業と一体となってプロモーションに参加することにより、商品の売り上げを底上げするということも起きている。
 
 

(2)商品開発フェーズ

ソーシャルメディアを活用すると、低コストかつ短期間で多くの消費者の声を集めることができるため、適切に活用することにより消費者のニーズを詳細に把握することができる可能性がある。
大手企業の一部では、商品開発のプロセスにソーシャルメディアを活用する動きが出ているが、中堅中小企業も、そうした情報をいち早く把握して商品開発を行うことにより、成長につなげることができる。
 
 

(3)海外展開フェーズ

ソーシャルメディアの活用により、海外展開の方法も多様化している。
例えば、商品を販売する企業が海外展開する場合、これまでは現地に販売拠点を置く、又は現地企業とパートナーシップを組むといったことが一般的だったが、ソーシャルメディアを通じてきめ細やかなプロモーションを行うことで、日本に訪れる際に確実に購入してもらう、あるいは海外から直接注文が来るといったことが起きつつある。
ソーシャルメディアは中国などアジアにおいても活用が進んでおり、日本企業にとって海外市場を開拓したりするための有効な手段として、今後も一層の活用が見込まれる。
 
ただし、中国では、FacebookやTwitterの利用が制限されているため、中国を念頭に置いた活用を行う企業は、現地で人気を集めている以下のようなソーシャルメディアを積極的に選択している。
Weibo(微博、ウェイボー):中国版Twitterとも言われ、月間利用者数は2億3600万人に上り、パソコンでも利用可能だが83%はモバイル経由のアクセス。
WeChat(微信、ウィーチャット):メッセージアプリの LINE にあたるスマートフォン向けサービスで、中国の IT 大手であるテンセントが提供している。LINE と同様にメッセージのやり取りと無料通話が可能。近年はモバイル決済の機能を強化している。月間利用者数は約6億5000万人に達している。
 
 
この調査では8業種42社のソーシャルメディア活用事例が具体的に紹介されている他、活用目的ごとに各社の取り組みの特徴やポイントをまとめた事例集も併せて公表されていますので、ぜひご覧になってみてください。
■調査報告書
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/pdf/sns_report.pdf
■事例集
http://www.meti.go.jp/policy/economy/consumer/consumer/pdf/sns_best_practice.pdf
 
経済産業省が企業のソーシャルメディア活用に関して、これだけ具体的な調査と分析を公表するというのは、もはやソーシャルメディアを活用しないリスクを考える時代になったと言えるでしょう。新年度を機に、更なるソーシャルメディア活用を考えてみてはいかがでしょうか。
 
 


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