分かっているようで分かっていない?!マーケティング施策の「あるある」質問に、SMMLabが一問一答形式でお答えします!

最近よく「UGC*」という言葉を耳にすると思います。しかし、今なぜ注目されているのか、UGCを増やすためには何をしたらよいか、UGCを活用する際の注意点は?…など、改めて考えるとよく分からないことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「UGC活用」に関するよくある疑問・質問を11個ピックアップ、一問一答形式で回答しました。

* UGC(User Generated Contents)とは
企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことを言います。 最近はInstagramなどSNSに投稿された写真や動画などが UGCとして注目されています。

Q1:UGCって何で注目されているの?

A: UGCは信頼性の高い情報であり、同業他社との差別化にも大いに力を発揮するから。また、UGCを活用することでユーザーに受け入れられやすいデジタルコンテンツを大量に得ることができるから。

インターネット上に溢れる多数の広告に嫌悪感を抱く生活者が増加する一方で、信頼できる情報源として「SNS上での生活者のリアルなクチコミ=UGC」の重要性が高まっています。自らが欲しい情報を、ハッシュタグを使ってInstagramや各種SNSの中で検索したり、また実際にそのクチコミを見て購入を決定したりする生活者が増えているのです。さまざまな商品であふれかえる現在、自社商品に関するUGCの存在は「競合他社からの差別化」にもなります。

さらに、UGCは企業にとっての優秀な「デジタルコンテンツ」としても活躍します。アドテクノロジーの進化に伴う運用型広告市場の急拡大、メディアの多様化などにより、企業がクリエイティブに投資する時間とコストは大きくなる一方です。一方で、Instagramの台頭以降、世界中で膨大な量のUGCが毎日生み出されています。

よって、デジタル広告のクリエイティブ、LPやECサイト、メルマガや同梱物のコンテンツなど、さまざまな場面でUGCをクリエイティブとして活用することで、コストを抑えながら短期間にクオリティの高い商品画像を多数用意している企業が増えているのです。

Q2:どうやってUGCを増やせばいいの?

A: あらゆる顧客接点でUGC投稿を促進しよう。また、写真や動画投稿キャンペーンの開催や、モニター・インフルエンサーなどへの呼びかけも有効。

商品やサービスに満足したファンが自発的にSNSにUGCを上げてくれるのが一番理想の形かもしれません。しかしながら、自然増を待つだけではなかなか数が増えていかない、というのも現実でしょう。

そこで、まずは地道に、店頭、同梱物、メルマガ、公式SNSアカウントなど、あらゆる顧客接点でUGC投稿を呼びかけていくことが大切です。特定のハッシュタグが付いた投稿の中から、素敵な投稿を企業の公式SNSアカウントでも紹介する、あるいは特定のハッシュタグで投稿してくれたユーザーの中から、毎月何名に商品をプレゼントなどの企画で投稿を促進することも有効でしょう。

この方法では、費用をかけずに着実にUGCを増やすことができますが、その一方で時間がかかること、またユーザーに投稿してもらうための工夫が欠かせないことがデメリットとして挙げられます。

出典:キリンビール(@kirin_brewery)
キリンのインスタグラムアカウントでは、企業からの通常投稿やユーザー投稿を紹介する際に、必ずハッシュタグ「#きょうのキリン」を付ける運用をしている。

予算をかけられるようであれば、インスタグラムへの画像や動画投稿キャンペーンを行い、メディアへの露出や広告も活用して多くの人の参加を呼び掛ける、また、モニターやインフルエンサーを起用し商品に関する投稿を依頼することも有効です。

そうすることで、短期間に大量のUGCを生成することも可能です。ただし、ステルスマーケティングにならないよう、広告主とUGC投稿者の関係性の明示をしっかりと行うよう注意しましょう。

Q3:インフルエンサーやモニターによるUGCでも、オーガニックUGCと同じように信頼されるもの?

A:生活者の言葉であることに変わりはないため、生活者にとっての重要な情報源となり得る。ただし、信頼されるためにはその人自身の言葉で語られていることが大切。

生活者が求めている情報は、「企業目線ではない生活者ならでは」の感想であり、その点で、「一生活者」であるインフルエンサーやモニターの言葉も生活者にとっての重要な情報源となります。実際に、関係性を明示するハッシュタグ等が付いた投稿でも、興味のあるものであれば多くの人が閲覧していることを示すデータもあります。

ただし、その情報が信頼されるためには、生活者ならではの言葉で語られており、納得感があることが大切です。企業からインフルエンサーやモニターに「押し付けた言葉」や「作りものの言葉」、「良い点だけ紋切り型に並べた言葉」は効果がないだけでなく、企業やインフルエンサー自身のマイナスイメージにも繋がります。

よって、インフルエンサーやモニターを起用する際には、影響力を考慮するだけでなく、商品や企業、ブランドに共感してくれる方を起用すること、そしてコンテンツ制作は原則インフルエンサーやモニターに任せ、その方自身の言葉で表現してもらうことが重要です。

Q4:UGCにはどのような活用方法があるの?

A: UGCは、オンラインからオフラインまで、あらゆる「顧客接点」に活用されている。

UGCはユーザー目線で購買を促進するコンテンツとして、オンラインからオフラインまであらゆる顧客接点で活用されています。

・商品LPの「お客様の声」
・ECサイト上の「商品画像」「お客様の声」「お客様コーディネート」
・ECサイト購入完了画面(Thanks page)の「こんな商品もおすすめ」
・楽天などのモールにおける商品画像素材やクチコミ
・SNS広告などのデジタル広告のクリエイティブ
・SNS公式アカウントの投稿素材
・メルマガのコンテンツ
・パンフレットや同梱レターのコンテンツ
・店頭ポスターやPOPなどのコンテンツ

また、UGCを集めることで顧客インサイトを把握し、商品開発・改善につなげるだけでなく、コールセンターなどお客様との接点を持つ部署でのトーク改善などに役立てている例もあります。

出典:【新規にもリピートにも!】ECの売上UPに効く、UGC活用アイデア&事例7選
さまざまな企業がUGCをコンテンツに活用し、CVRの向上や商品のクロスセル等につなげている。

Q5:UGCを勝手に使っていいの?

A: UGCを活用する際は原則ユーザーからの許諾が必要。

UGCを掲載する際は、原則そのUGCを投稿したユーザーに許可を得なければなりません。無断で商用に使用する行為は著作権違反につながるため、注意が必要です。ただし、モニター施策などで事前に二次活用の許諾を得ている場合は必ずしも都度許諾を得る必要はありません。

ユーザー一人一人に許諾を得るのはなかなか骨の折れる作業ですが、ユーザーとコミュニケーションを取る良い機会でもあります。UGCを投稿しているユーザーはもともと商品や企業に対する好意度・ロイヤリティが高い場合が多いので、企業が二次活用することを喜んでくれるケースもとても多く、これをきっかけにエンゲージメントを深めることにも繋がります。

また、UGC収集・活用を支援するツールをうまく活用することで、効率的に許諾取得することも有効でしょう。

Q6:UGCを活用することで、ブランド棄損にならないの?

A:目的や活用する場所応じてUGCを出し分けることで調整することが大切。

UGCは生活者の投稿であり、企業がクリエイティブを作る際の「クリエイティブ基準」に沿うものばかりではありません。そのため、特にブランドを大事にしている企業からは、UGCを活用することでブランドイメージの毀損に繋がるのではないか?との声もよく聞かれます。

しかしながら、その理由で、ユーザーによる購入の強力な後押しとなり得るUGCをコンテンツに取り入れることそのものを真っ向から否定してしまうのはもったいありません。例えば、ブランドサイトのメインには置かない、広告LPのトーンにあったUGCのみを掲載するなど、活用する場所や見せ方を調整することで、UGCを上手に取り入れている企業も多く見られます。

出典:「次なる一手はInstagram UGCの活用」:快進撃の続くBOTANISTが挑む、新たなマーケティング戦略とは
BOTANISTを展開する株式会社I-neは、クリエイティブを通じてブランドの世界観を伝えることを重要視している。UGCをクリエイティブに活用する際は、クリエイティブ毎に目的を明確にし、ブランディング事業部とECセールス部の間でベストなクリエイティブを腹おちするまでとことん話し合うことで調整している。

Q7:UGCを活用したい。でも、薬機法に抵触しないか心配なのですが…?

A:薬機法の適用範囲となるため、企業は十分に注意して活用する必要あり。

化粧品やサプリメント、健康食品などの販売企業にとって、薬機法はもっともセンシティブな話題の一つでしょう。そのため、お客様の声としてUGCを活用したいが、薬機法への抵触を恐れてスタートできないというケースも良く見られます。

企業がUGCをLPや広告クリエイティブとして活用する時点で企業の表現物となるため、たとえもともとのUGCがユーザーによるオーガニックな投稿であったとしても、薬機法の対象となります。

よって、企業がUGCを活用する際は薬機法に抵触しないか十分注意して活用するUGCを選択する必要があります。対策の一つとして、InstagramなどのUGCを活用する場合、より薬機法に抵触しやすい「投稿のテキスト部分」は非表示とし、「写真」だけをコンテンツとして活用しているケースも見られます。

Q8:UGCを広告クリエイティブや、広告からの遷移先であるLPに活用したいのですが、審査落ちしませんか?

A:審査基準に抵触する場合はある。活用するUGCの選択により調整を。

クチコミの表現が厳しい媒体では審査基準に抵触する場合があります。

よって、投稿のテキスト部分なしで画像のみの表示にし、テキストでの審査基準に抵触しないようにするなど、媒体にあわせた工夫が必要です。

Q9:UGC活用には具体的にどのような作業があるの?ツール利用と手作業、どちらを選べばよい?

A:大きく分けてUGC収集、ユーザーへの許諾取得、サイトや広告への活用、効果測定の4つのステップがある。UGCの活用内容や今後の継続見込み、どれだけのボリュームのUGCを扱うのかによって、ツール利用/手作業の判断を。

UGCを活用する際に大切なのは、適切なUGCを収集し、許諾を得て活用し、活用結果をきちんと測定することで効果の高いUGCを見極め、次なるUGCの収集~活用に活かす、というサイクルを回すことです。デジタル広告のクリエイティブには素早くPDCAを回すという考えが根付いていますが、これはLPやECサイト、メルマガなどでも同じであり、クリエイティブは摩耗していきます。

UGCツールには、例えば「複数のハッシュタグを与わせて適切なUGCを一挙に収集してくる」「ユーザーに一括で許諾申請でき、かつ返信の管理ができる」「UGCをサイトに埋め込む作業が簡単にできる」「レポート画面で各UGCのパフォーマンスが一覧で見られる」など、UGC活用に必要な作業を効率化する機能が多数搭載されているため、企業は素早くPDCAを回せるようになり、UGC活用の効果を最大化しやすくなります。

その一方で、当然費用がかかってきますので、どのようにUGCを活用したいのか、今後どれだけのボリュームのUGCを扱いたいのかを考え、長期的に見てどちらが効率がよいかを考えることが重要です。

※クリックで拡大表示

Q10:LP上にUGCを掲載したい。適切な表示位置は?UGCはどれくらいの頻度で入れ替えるべき?UGCは「ベタ貼り」ではダメなの?

A: 実績上効果が出やすい箇所はあるが、あくまで自社のLPのストーリーにあわせた表示位置、形式を選択することが重要。1カ月に1回は入れ替えることを目安に。「ベタ貼り」ではなく、ぜひembed機能の活用を。

主に、それまで「お客様」の声を掲載していた箇所、雑誌掲載実績などの権威づけコンテンツの近辺、商品オファー近辺の3箇所にUGCを掲載する企業が多いです。

ただし、大切なのは、あくまでもそのLPのストーリーに沿った場所にUGCを掲載することです。どんなに良い口コミでも、LPを閲覧するユーザーが自然に読める場所に表示されていなければ、ユーザーのアクションを阻害する要素になりかねません。きちんと効果測定しながら、自社の最適な表示場所を探していくことが最も大切です。

表示場所だけでなく、表示の仕方も工夫の余地があります。UGCを縦に並べて見せるのか、タップすると横スライドで表示されるスライダー形式にするのか。いくつ表示するのか。ユーザー名も出して表示するのか、コメントは出すか出さないか。など、細かな点にも気を配り改善を積み重ねることで、より効果の向上に繋がっていくでしょう。

また、よりリアルなクチコミであることを訴求するために、UGCの投稿日も表示することが好ましいです。その場合、あまり古い日付のUGCだとサイトがアクティブでない印象も与えかねません。2週間~1ヵ月程度を目安にUGCを入れ替えることをお奨めします。

出典:お試しセット購入後の「引き上げ用LP」にUGCを活用、CVR1.15倍に【大地を守る会/オイシックス・ラ・大地株式会社】
オイシックス・ラ・大地は、PC版LP上のUGC掲載を横3枚表示から2枚表示へ、一覧表示からスライダー表示へ、さらにCTRが比較的高いUGCを一番前に追加するなど、細やかな運用を行うことで、LPのCVRを1.15倍に改善させた。

LPにUGCを掲載する際に、UGCをキャプチャしてそのまま貼る「ベタ貼り」方式ではダメなの?と思う方も多いのではないでしょうか。しかしながら、以下3つの理由から、「ベタ貼り方式」ではなく、Instagramのembed機能やツールを用いてユーザーの投稿をそのまま表示する方が望ましいと言えます。

  • はじめからLPに組み込まれているユーザーボイスは、企業により作りこまれた印象があり信頼度が低くなってしまう。UGCをそのまま表示することで投稿日やユーザー名を見せることもでき、リアルなクチコミであることが伝わりやすい。
  • ベタ貼りではなくInstagram投稿をそのまま埋め込むことで、興味を持ったユーザーはクリックしてコメントの全文を読むことができる。
  • ベタ貼りではなくInstagram投稿をそのまま埋め込むことで、ユーザーがどのUGCに興味を持ちクリックしたの効果測定ができるようになり、反応を見ながらコンテンツの入れ替えができるようになる。

Q11:UGCを上手に活用している企業さんはどこ?

A:LP上への活用ではDINETTEやオイシックス・ラ・大地、ECサイトへの活用ではDoCLASSE、広告クリエイティブの活用ではBULK HOMME、SNS公式アカウントへの活用ではキリンがおすすめです。

①DINETTE

DINETTE株式会社は、商品のLP上にUGCを掲載しています。サイトのデザインにも合うUGCを選択することで、ブランドイメージに違和感を与えずにUGCを活用することに成功しています。

同社インタビュー:D2Cは原価度外視の初期投資がカギ。DINETTE尾崎氏が語る新しいコスメブランドの形とは?

②オイシックス・ラ・大地

オイシックス・ラ・大地株式会社は、初回のお試しセットを購入した顧客に本商品の購買を促すLP上にUGCを掲載しています。顧客に「定期コースを取り入れた生活」が具体的なイメージとして伝わることを重視し、顧客が実際に「大地を守る会の食材を使って作った料理」のUGCをメインに活用しています。

③DoCLASSE

アパレルブランド「DoCLASSE」は、ECサイトの商品ページにInstagramのUGCを掲載しています。ユーザー目線の「リアルなコーディネート」は、ページを訪れた人の共感を呼びCVRの向上に貢献しています。

④BULK HOMME

株式会社バルクオムは、SNS広告のクリエイティブにUGCを活用しています。UGCをそのまま使うだけでなく、その上に企業からのテキストメッセージを組み合わせることで、ユーザ色が強すぎる、広告色が強すぎる、のちょうど中間のクリエイティブを創りだすことに成功しています。

⑤キリン

キリン株式会社は、公式Instagramアカウントの投稿にUGCを活用することで、投稿本数を確保し、安定的なアカウントの運用に役立てています。許諾取得のプロセスでユーザーとのコミュニケーションも生まれているようです。

以上、今回はUGC活用についてよくある質問11個にお答えしました。UGCはお客様の貴重な声であり、企業の資産です。商品やサービスを磨き上げることはもちろんのこと、思わずUGCを投稿したくなるさまざまな工夫を施したり、また生まれたUGCを色々なアイデアでマーケティングに活用したり…、ぜひ本記事を参考に取り組んでみてください!