YouTuberやインスタグラマーなどを企業のブランディングやプロモーションに活用する「インフルエンサーマーケティング」の最新動向や成功事例などを解説したセミナーをレポートします!

 

株式会社VAZ 代表取締役社長 森 泰輝 氏

 
インフルエンサーを企業のブランディングや商品のプロモーションなどに活用する「インフルエンサーマーケティング」に注目が集まっています。特に若年層向けのマーケティングへの効果が期待されており、食品メーカーや消費財メーカーなど幅広いジャンルの企業がインフルエンサーを活用し始めました。
 
今回は、インフルエンサーマーケティングの最新動向や成果などを探るため、若年層向けマーケティングの専門エージェンシー株式会社VAZ(バズ)と、SNSマーケティング支援を行うアライドアーキテクツ株式会社が共同開催した「若年層向けインフルエンサー活用戦略セミナー」を取材。
最新のマーケティング手法や成功事例が多数公開されたセミナーをレポートします。若年層向けのプロモーションを検討している方や、若年層に話題のメディアを把握しておきたい方は必読です!
 
■講演1:「インフルエンサーマーケティング入門
~スマホネイティブ世代とどう向き合うべきか~」
スピーカー:株式会社VAZ 代表取締役社長 森 泰輝 氏
 
■講演2:「これからのインフルエンサーマーケティングを成功に導くコツ」
スピーカー:アライドアーキテクツ株式会社 金濱 壮史 氏
 
 

【講演1】 動画インフルエンサーを活用したマーケティングの最新動向と成功事例を公開!

 
「インフルエンサーマーケティング入門~スマホネイティブ世代とどう向き合うべきか~」と題する講演のスピーカーを務めたのは、若年層に人気のインフルエンサーが多数所属するエージェンシー、株式会社VAZ(バズ)の森泰輝社長。インフルエンサーマーケティングの最新動向や効果などについて、同社のクライアントの成功事例を交えて解説しました。
 

スピーカーの森泰輝氏。若年層に人気のインフルエンサーが多数所属している株式会社VAZ(バズ)の代表取締役社長を務めている。同社専属のインフルエンサーは約60人、合計フォロワー数約700万人でネット上のインフルエンサーマネジメントプロダクションとしては国内最大級。
 
 

中高生の話題の中心にはSNSやYouTubeがある

 
セミナーの冒頭、森氏は「若年層はSNSやインターネット動画を日常的に利用し、それらのメディアを通じてインフルエンサーに強いエンゲージメントを持っている」と指摘。
若年層が利用しているコミュニケーションツールやSNSに関する利用実態調査の結果を紹介し、1990年代中盤以降に生まれた世代は、友人との近況報告やコミュニケーションをTwitterとLINEで行い、動画はテレビだけでなくYouTubeで見ていることを解説しました。
そして、「若年層が接触するメディアが以前とは変わったことで、30代以上の世代が見ているコンテンツと若者が見ているコンテンツは大きく異なる。そして、若年層が接触しているメディアやSNSで影響力を持っているのがインフルエンサー」(同)と、インフルエンサーマーケティングが若年層に効果的である理由を説明しました。
 

女子大生、女子高生の98.5%が毎日LINEを使い、89.0%は毎日Twitterを利用しているという調査結果
 
 

芸能人並みの影響力を持つインフルエンサーも登場

 
森氏は、インフルエンサーの中にはSNS上で芸能人並みの影響力を持つ人もいると指摘。同社に所属する男性インフルエンサーの「テオくん」や、小中学生に人気の女性インフルエンサー「歩乃華(ほのか)」などは、TwitterやInstagramに投稿したコンテンツのリツイートやファボ数が数千件に達することを紹介した上で、「リツイートやファボの数ではトップクラスの芸能人と変わらないレベルで発信力や影響力を持っている」(森氏)と説明しました。
 

小・中学生に人気の歩乃華(ほのか)の投稿は多くのリツイートやファボがつく
 
 

森永製菓での成功事例

 
続いて森氏は、同社に所属するインフルエンサーを起用したプロモーションの事例として、森永製菓の取り組みを紹介しました。公開された事例の一部を紹介します。
 

■森永製菓の事例

【概要】
バレンタインデーに向けて、森永製菓の「ホットケーキミックス」「純ココア」「ダース」の販売促進を図るためプロモーション施策を実施した。主なターゲットは小学生から高校生までの女子。
 
【企画内容】
友人同士でチョコレートをプレゼントする「友チョコ」が流行していることを踏まえ、ホットケーキミックスと純ココア、ダースを使って手作りのチョコを作るレシピのことを「友チョコ方程式」という言葉で表現。「友チョコ方程式ダンス」という約1分間のキャッチーな歌を作り、インフルエンサーのダンス動画を制作した。
 
「友チョコ方程式ダンス」の動画を若年層に人気の動画投稿サイト「ミックスチャンネル」に投稿。さらに、動画を見た一般ユーザーに「友チョコ方程式ダンス」の自撮り動画を投稿してもらうためのキャンペーンも実施した。
 
「友チョコ方程式ダンス」がSNS上で話題になったタイミングを見計らい、女子中高生に人気の双子モデルのダンスユニット「りかりこ」が対象商品を使って友チョコを実際に作っている動画を制作。YouTubeなどに公開し、「友チョコ方程式ダンス」の話題を実際の商品の訴求につなげた。
 
【成果】
2月上旬時点で「友チョコ方程式」という単語はTwitter上で約4300ツイート、約530万インプレッションに達したほか、「りかりこ」の動画の再生回数は10万回を突破するなど成果を上げた。
 

女子中高生に人気の双子モデルのダンスユニット「りかりこ」が友チョコを作っている動画を制作し、商品の訴求につなげた(画像はYouTubeの画面のキャプチャ)
 
 
 
 

インフルエンサーを起用した動画制作のポイントとは?

 
最後に森氏は、企業がインフルエンサーを活用する際のポイントを解説。「インフルエンサーごとに得意とする動画のテイストが異なるため、目的に合わせて誰をアサインし、どんな動画を作ってもらうかを熟考することが重要」と指摘しました。
インフルエンサーはビジュアル重視でInstagramにマッチした可愛い自撮りが得意な「タレント型」や、Twitterでバズるネタ動画などを得意とする「クリエイター型」などに分かれるとのこと。フォロワーの人数や属性も異なることから、目的やリーチしたいターゲット層、企業のブランドイメージなどに合わせてインフルエンサーを使い分けることが必要だと強調しました。
 

当日は大手メーカーや小売業の担当者ら約60人が聴講した
 
 

講演2 これからのインフルエンサーマーケティングを成功に導くコツとは?

 
セミナーの第2部では、アライドアーキテクツの金濱壮史氏がスピーカーとして登壇し、インフルエンサー、マーケティングの重要性が高まっている背景や、インフルエンサーマーケティングを成功させるポイントについて解説しました。
 

アライドアーキテクツ株式会社の金濱 壮史 氏。SNSマーケティングプランナーとして企画やプランニング、SNS広告、インフルエンサーマーケティングなどの業務に従事。エンゲージメントやWOM領域での支援を得意とする。
 
 

インフルエンサーを味方につけた企業が有利になる

 
金濱氏はマーケティング分野でインフルエンサーの存在感が高まっていることを踏まえ、「消費者が情報を得る手段としてSNSの存在感が高まる中、今後は彼ら(インフルエンサー)を味方につけて情報発信できる企業が有利になっていくのではないか」との見解を語りました。
 
ソーシャルメディアの台頭によってマスマーケティングの影響力が相対的に弱まっていることにも触れ、「かつては、テレビなどに出ている有名人の影響力がものすごく強く、テレビが発信した情報は幅広い世代に届いた。しかし、ユーザーが接触するメディアの種類が増え、消費者の趣味嗜好も多様化したため、マスメディアだけではリーチしにくい消費者が増えてきている」(金濱氏)と現状分析しました。
 
また、「人間は自分の生活から離れたところで起きている重大なニュースよりも、友人や知人の身近な話題に興味を引かれやすいことも、SNS経由の情報発信の重要性が高まっている一因ではないか」と述べ、「ユーザーの身近な人を介して情報を届けることが有効になってきた。こうした事情もあって昨今急激にインフルエンサーへの注目が集まっている」と指摘しました。
 

消費者が接触するメディアやコンテンツが増えていることから、企業が発信するメッセージがユーザーに届きにくくなっていることを説明した
 
 

インフルエンサーの影響力は階層化している

 
金濱氏は、インフルエンサーは影響力に応じて階層化が起きていると述べ、影響力の強さに応じて「有名人(フォロワー100万人以上)」「トップインフルエンサー(10万〜100万人)」「マイクロインフルエンサー(1万〜10万人)」「ナノインフルエンサー(フォロワー1000~1万人)」「一般人(フォロワー1000人以下)」に分類できると説明。そして、インフルエンサーの階層ごとにユーザーに与える影響の質が異なると指摘しました。
 
例えば、トップインフルエンサーはSNS上で絶大な影響力を誇り、一部はテレビなどのマスメディアや書籍出版などSNS以外でも活躍しているためユーザーにとって憧れの対象になりやすいとのこと。マイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーは、「ある分野に特化した情報を投稿していることが多いため、専門家としての信頼感があり、ニッチなジャンルでフォロワーから支持を集めているためエンゲージメント率も高い」と特徴を解説しました。
そして、「インフルエンサーがユーザーに与える共感の種類には『憧れ』『信頼』『親近感』の3つがある。インフルエンサーを活用する際は、目的に応じて適切な階層のインフルエンサーを選ぶことが重要」(金濱氏)と指摘しました。同社ではこうした知見をもとに、戦略的なインフルエンサー登用の支援を手掛けていると説明しました。
 

インフルエンサーは階層化されており、階層ごとにユーザーに与える影響の質が異なると解説
 
 

アライドアーキテクツとVAZがマーケ支援で提携

 
金濱氏は最後に、アライドアーキテクツとVAZが提携し、インフルエンサーマーケティング支援の新たなサービスを開始したことにも言及しました。
アライドアーキテクツによるキャンペーン支援と、VAZに登録しているインフルエンサーをセットで提供することで、インフルエンサーマーケティングをワンストップで支援するとのこと。
具体的には、インフルエンサーが投稿した動画をTwitterなどで拡散するキャンペーンや、一般ユーザーにコンテンツを投稿してもらうプロモーション施策などが実現するそうです。
 
 

高まるインフルエンサーマーケティングへの期待感

 
今回のセミナーではインフルエンサーをマーケティングに活用している企業の成功事例も多数紹介され、SNSを活用したインフルエンサーマーケティングの可能性の高さが示されました。
また、セミナー後の質疑応答の際には、インフルエンサーを起用することを想定した具体的な質問が複数の参加者から挙がり、多くの企業がインフルエンサーマーケティングに意欲的であることも窺い知れました。SNSを通じたインフルエンサーマーケティングは今後、若年層にリーチするための手段として活用が広がりそうです。
 
取材・執筆:渡部 和章
ライトプロ株式会社
http://writepro.co.jp/
 



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