オンライン広告の媒体として注目が高まっている「LINE」。Eコマース(以下、EC)におけるLINE広告の可能性を探るため、LINE社とアライドアーキテクツの共催のセミナーを取材しました!

 

 
LINE株式会社とアライドアーキテクツが開催したLINE広告の効果的な活用方法をテーマとするビジネスセミナーの内容をご紹介します。
 
セミナーのテーマは「LINE広告を使ってECサイトの集客や売り上げを伸ばす方法」を深堀すること。第1部では、LINEの各種ユーザーデータを踏まえ、LINE広告の優位性を解説したほか、運用型広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」の最新動向や活用事例を紹介。第2部では、LINE広告で成果を上げているドコモ・ヘルスケア株式会社のコンシューマービジネス部部長・松島 りんご氏が登壇し、LINE広告の成功の秘訣を公開しました。
 
そして第3部では、LINE株式会社で「LINE Ads Platform」セールス・コンサルティング室を主幹する池端 由基氏、EC事業者向けのコンサルティング事業を展開する株式会社シンクロで代表を務める西井 敏恭氏(兼 オイシックス Chief Marketing Technologist)、SNS広告専業代理店であるアライドアーキテクツ株式会社執行役員村岡 弥真人氏の3人によるパネルディスカッションを実施。ECのマーケティングファネルにおいて、「LINE公式アカウント」「LINE@」「LINE ビジネスコネクト」「LINE Ads Platform」が果たす役割や、運用のポイントなどについて、事例を交えてディスカッションしました。
 

当日はEC事業者を中心に100人以上が参加。セミナーへの注目度の高さがうかがえた

 

<当日のプログラム>

 
■第1部「EC事業社向け!LINE広告最新情報」
講演者: LINE株式会社 チーフセールスコンサルタント
     三節草 昂大(みせくさ こうだい)氏
■第2部「売上に直結するLINE広告の活用方法とは?」
講演者:アライドアーキテクツ株式会社 今崎 裕二氏
ゲスト:ドコモ・ヘルスケア株式会社
     コンシューマービジネス部部長 松島 りんご氏
■第3部 パネルディスカッション
「ECにおいて『LINE Ads Platform』が絶対不可欠な理由とは?」
パネラー:LINE Ads Platform
     セールス・コンサルティング室 室長 池端 由基氏
パネラー:株式会社シンクロ代表取締役
     兼 オイシックス株式会社CMT 西井 敏恭氏
モデレーター:アライドアーキテクツ株式会社 執行役員
     AD-Tech事業部長 村岡 弥真人氏
 
 

第1部「EC事業社向け!LINE広告最新情報」
〜データに見るLINE Ads Platformの優位性〜

 
第1部ではLINEの三節草チーフセールスコンサルタントが登壇し、LINEの主なユーザーデータを説明したほか、それらのデータに裏打ちされた「LINE Ads Platform」の優位性を解説しました。
 
LINE国内月間アクティブユーザー(以下、MAU)は7000万人を超えているほか、10~50代以上まで幅広い年齢層に利用されているとのこと。ユーザーの居住地は首都圏から地方まで全国に広がっており、生活に浸透したインフラとして使われていることから、「他のSNSではリーチできないユーザー層にも、LINEならアプローチできる」(三節草氏)と強調しました。
 

LINE株式会社 チーフセールスコンサルタント 三節草 昂大氏

 

<LINEの主なユーザーデータ>

・国内月間アクティブユーザー数:7000万人以上(世界全体では2億1400万人)
・国内月間アクティブユーザー率:70.8%
・ユーザーの男女比:女性52.6%、男性47.4%
※以上、LINE社媒体資料より引用
・年齢層:幅広い年齢層に利用されている(※グラフ1)
・居住地:全国の人口分布に近い(※グラフ2)
 

出典:LINE社媒体資料
ユーザーの年齢層は10代から50歳以上まで幅広い

 

出典:LINE社媒体資料
ユーザーの居住地は人口分布に近い

 
続いて三節草氏は、2016年6月に始まった広告プラットフォーム「LINE Ads Platform」について解説しました。「LINE Ads Platform」はLINEのタイムラインや、LINE NEWSのフィードに運用型広告を配信するプラットフォーム。広告主の業種は化粧品、金融サービス、ゲーム、健康食品など多岐にわたり、ブランディングからECのダイレクトレスポンスまで、幅広い目的で活用されているそうです。
 

出典:LINE社媒体資料
「LINE Ads Platform」はLINEのタイムラインや、LINE NEWSのフィードに
運用型広告を配信するプラットフォーム

 
大手クライアントの中には、1か月で数千万円規模の広告費を投じる企業もあることを紹介した上で、「LINEでリーチできるユーザーは膨大なため、月間数千万円規模でもCPAは合う」(三節草氏)と自信を示しました。
 
LINEのタイムラインのMAUは現在約5300万人。月1回以上、広告に接触したユーザーは4100万人に達しています。FacebookやTwitterを使わず、LINEのタイムラインのみを利用するユーザーも多数存在するとする調査データも示しました。また、LINE NEWSのMAUは約5900万人(2017年3月時点)に達しているそうです。
 

出典:2016年7月調査 マクロミル調査
全国男女 15-69歳 17,767サンプル ※スマートフォンユーザー
マクロミルの調査結果によると、LINEでしかリーチできないユーザーも少なくない

 
三節草氏は「LINE Ads Platform」の運用で成果を上げるにはクリエイティブが大切だと指摘。「効果の7~8割は、クリエイティブの内容で決まる」と述べ、クリエイティブの入稿と効果検証の頻度を可能な限り早くすることや、入札調整の頻度も最大限上げることを強調しました。
 
また、「LINE Ads Platform」では最近、「広告のセグメント配信を行った場合の料金倍率を撤廃」「広告の最低出稿金額(100万円)を撤廃」「エステなど、掲載可能な商品ジャンルを拡大」「正方形の広告クリエイティブが入稿可能になった」——などの改善策を講じたことも説明し、第1部を終えました。
 
 

第2部「売上に直結するLINE広告の活用方法とは?」
効果的なクリエイティブ作りの秘訣を公開

 
第2部では、アライドアーキテクツの今崎 裕二氏が登壇し、「LINE Ads Platform」で成果が上がりやすい広告クリエイティブのポイントを解説しました。
 
冒頭、今崎氏は「本日お伝えしたいのは、クリエイティブをしっかりLINEに最適化することができれば、『LINE Ads Platform』は(ECの)売り上げに直結するということ」と強調。LINEに最適化されたクリエイティブとは「タイムラインやニュース面に馴染むクリエイティブ」であると説明しました。
 
タイムラインに馴染むクリエイティブとは、ユーザーが投稿したような、良い意味で素人っぽい写真を使ったもの。セール情報などは載せず、商品の利用シーンを自然に表現すると、コンバージョン率が高まりやすいそうです。今崎氏によると、こうした「クリエイティブの勝ちパターン」は、FacebookやInstagram、Twitterなどのタイムライン広告と共通しており、Facebookなどで成功したクリエイティブをLINEに転用しても有効とのことでした。
 

LINEのタイムラインに馴染む広告クリエイティブを使い、
CPAの改善に成功した事例を紹介するアライドアーキテクツの今崎 裕二氏

 
LINE NEWS面に馴染むクリエイティブは、思わずクリックしたくなるような、コンテンツを意識したクリエイティブが必要と述べ、ニュースという情報を求めているユーザーの注意を引くネタを考えることが重要だと強調しました。また、出稿形式はバナーとタイトルのみのシンプルなデザインのため、「いかに目を引くようなタイトルをつけるかが、勝負の分かれ目になると思う」と指摘しました。
 
ここで、実際に「LINE Ads Platform」を使って成果を上げている、ドコモ・ヘルスケアのコンシューマービジネス部部長 松島 りんご氏が、LINE広告のクリエイティブ製作のポイントについて語りました。
 
ドコモ・ヘルスケア社が販売している腕時計型の歩数・睡眠データ計測器「ムーヴバンド」のLINE広告で成果を上げているクリエイティブは、「一般の消費者が、日常使いしているような写真」(松島氏)とのこと。Facebook広告の勝ちパターンを、LINE広告に水平展開したことで、成果を上げています。
 

ドコモ・ヘルスケア、コンシューマービジネス部部長の松島 りんご 氏

松島氏によると、かつてFacebook広告で、モデルを起用した写真や、おしゃれなデザインの広告クリエイティブを使っていたものの、コンバージョン率やCPAが非常に悪かったそうです。広告をタイムラインに馴染むクリエイティブに変更したことで、CVRは1.3倍、獲得件数は16倍に跳ね上がるなど、成果が劇的に改善。そのノウハウをLINEに生かしていると説明しました。
 
また、LINE広告の特徴として、「獲得件数がFacebookよりも多く獲れる」(松島氏)ことを実感しているそうです。
 

SNSのタイムライン上でクリックされやすい広告クリエイティブを説明する松島氏

 
ドコモ・ヘルスケアでは、ユーザーが投稿したような自然な、タイムラインに馴染む広告クリエイティブが成果をあげたことから、さらに踏み込んでUGC(User Generated Contents、ユーザーが投稿したコンテンツ)をクリエイティブに使う取り組みも進めています。アライドアーキテクツが提供しているUGCの収集・運用ツール「Letro」を使い、Instagram上のコンテンツを広告に活用。CVRやCPAの改善に成功しているそうです。
 

広告クリエイティブにUGCを活用してCPAの改善に取り組んでいる

 
 

第3部 パネルディスカッション
「LINE公式アカウント」「LINE@」「LINE ビジネスコネクト」「LINE Ads Platform」は、ECにどう役立つのか?

 
第3部は、LINEの池端氏、シンクロ(兼オイシックス)の西井氏、アライドアーキテクツの村岡氏の3人によるパネルディスカッションです。媒体(LINE)、広告代理店(アライドアーキテクツ)、広告主(オイシックス)という、それぞれの立場から、ECにおけるLINEの効果や可能性について意見を交わしました。
 

LINEの池端氏(左)、シンクロの西井氏(中央)、アライドアーキテクツの村岡氏(右)

 
パネルディスカッションの議題は、「LINE公式アカウント」「LINE@」「LINE ビジネスコネクト」「LINE Ads Platform」が、ECのマーケティングにおける「認知」「お試し購入」「リピート」「ロイヤル化」の4つのフェーズにおいて、どのような役割を果たすのかを議論すること。それぞれのプロダクトの特徴や役割、活用方法、効果などについてディスカッションしました。
 
 

■LINE公式アカウント

「LINE公式アカウント」は、アカウントを友だち登録しているユーザーに対して、プッシュメッセージを送信できるサービス。池端氏は、「クーポンや新商品情報などをユーザーに直接届けることができるため、『リピート』や『ロイヤル化』に効果を発揮する」(池端氏)と説明しました。
 

LINE Ads Platformセールス・コンサルティング室 室長 池端 由基氏

 
この池端氏の説明に対し、西井氏は、過去に「LINE公式アカウント」を運用した経験を踏まえ、「スタンプを活用することで、公式アカウントは『認知』や『お試し購入』にも効果を発揮する」と指摘。公式アカウントをフォローしたユーザーにスタンプを無料で提供するキャンペーンを行った場合、数百万人のユーザーを獲得できたそうです。
 
公式アカウントやスタンプの利用料金は高額ではあるものの、百万人単位で見込み客を獲得できることを考えれば、「マス広告や大手ポータルサイトのクリック課金型広告と比べても、(LINE公式アカウントの方が)CPAが良くなることも十分にありうる」(西井氏)と述べました。
 
スタンプを作るときは、広告色を排除し、自社のターゲットユーザーが使いたくなるスタンプをデザインすることが重要だと強調しました。
 

株式会社シンクロ代表取締役 兼 オイシックス株式会社CMT 西井 敏恭氏

 

■LINE@

続いての議題は、「LINE@」のECへの効果について。「LINE@」はLINE公式アカウントよりも安価に、フォロワーに対してメッセージを配信することが可能。顧客とコミュニケーションを図るためのツールとして活用するEC事業者が増えており、メルマガのような使われ方をすることも多いそうです。
 
西井氏は、オイシックスでの「LINE@」の運用実績や、多くのEC事業者に対してコンサルティングを行ってきた経験などを踏まえ、「LINE@のメッセージの到達率は、メールよりも圧倒的に高い場合が多い」と説明。「リピート促進や顧客のロイヤル化には欠かせないものだと思う」と私見を披露しました。
 
そして、「LINE@」の友だち登録を増やす具体的な方法として、ECサイトやオウンドメディアで友だち登録キャンペーンを行ったり、商品の梱包箱に「LINE@」の案内チラシを同梱したりすることを挙げました。
 
 

■LINE ビジネスコネクト

「LINE ビジネスコネクト」は、企業が顧客とワン・トゥ・ワンでコミュニケーションを取るためのツールです。ユーザーごとに異なる情報を配信できるほか、チャットでカスタマーサポートを行うことも可能。基幹システムやコールセンターと連携することで、高度なCRMも実現します。
 
池端氏によると、「LINE ビジネスコネクト」の導入社数は約180社。例えば、ヤマト運輸は荷物の再配達依頼をLINE上で行えるようにしているほか、リアル店舗を持つアパレルメーカーがハウスカードとして利用する事例も増えているそうです。顧客とワン・トゥ・ワンのコミュニケーションが実現することから、「リピート促進やロイヤル化に非常に効力がある」(池端氏)と自信を示しました。
 
 

■LINE Ads Platform

最後の議題は「LINE Ads Platform」のECにおける重要性について。「LINE Ads Platform」の特徴について西井氏は、「(リーチできる)ユーザーの数が、とにかく多い。月額で数千万円の広告費をかけてもCPAが合っている会社もあるはず。自身も過去数社で、Facebookよりも多くの広告費を使っていた」と述べ、「LINE Ads Platform」は顧客獲得規模が大きいことがメリットだと強調しました。また、他のソーシャルメディアと比べると、首都圏以外の地方部で影響力が強いそうです。
 
村岡氏は、「LINE公式アカウントやLINE@、LINE ビジネスコネクトは『リピート』や『ロイヤル化』に役立つプロダクトだが、『LINE Ads Platform』は『認知』や『お試し購入』に高い効果を発揮する」と説明。さらに、LINEの圧倒的なリーチ力に言及し、「特に若い世代を大量に獲得できるということで、(サービスが始まったとき)広告業界でも話題になった」ことも明かし、「弊社としては、絶対に使った方が良いとEC事業者さまにお薦めしている」と強調しました。
 

アライドアーキテクツ株式会社 執行役員 AD-Tech事業部長 村岡 弥真人氏

 
池端氏によると、「LINE Ads Platform」は現在、広告のセグメント配信を強化することや、タイムラインやニュースフィードの広告在庫を増やしていく取り組みを進めているそうです。
 
パネルディスカッションの終盤、池端氏は、ECにおける「認知」「お試し購入」「リピート」「ロイヤル化」の4つのフェーズにおいて、それぞれのプロダクトの住み分けを説明。
そして、マーケティングツールとしてのLINEが目指す方向性について、「マーケティングのフルファネルの“認知”から“獲得”まで(それぞれのプロダクトが)カバーし、さらに獲得後の“リテンション”や“ロイヤル化”までLINEというプラットフォームで実現したい」と語り、パネルディスカッションを締めくくりました。
 
 
■取材・執筆
ライトプロ株式会社 渡部 和章
http://writepro.co.jp/
 


LINEをはじめ、Facebook、Instagram、Twitter等のSNS広告に関して
運用を検討している、既に運用している成果を更に向上したいなど、
お悩みや課題がありましたら、様々なご提案が可能ですので、
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