「SNSで見かけた商品やサービスが気になり、自分で詳しく調べるうちに欲しくなり購入した」「SNSの口コミを見てその場で衝動買いをした」「SNSで話題になっていたお店に行ってみた」など、SNSをきっかけとした購買行動を起こした経験はありますか?
また、「自分が読んで感動した本をSNSでも紹介した」「美味しかった食べ物の写真を撮ってSNSに投稿した」「とあるサービスでのネガティブな体験をSNSにシェアした」など、SNS上で口コミ投稿をしたことはありますか?
今回は約2,900名のインターネットユーザーに、SNSをきっかけとした購買行動や口コミ行動の実態を調査(調査概要は記事最後に記載)、Twitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTubeの各SNSを利用しているユーザー毎に購買行動・口コミ行動の傾向をまとめました。
(※)本記事ではTwitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTubeを5大SNSと表現します。
1.企業SNSアカウントとの関わり
企業SNSアカウントの利用は「Twitter」が最多、続いて「Instagram」「LINE」
各SNSを利用しているユーザーに企業アカウントの利用有無を尋ねたところ、Twitterユーザーは90%が「1つ以上フォローしている」と回答、5大SNSの中でTwitterが最多の結果になりました。続いて、Instagram80%、LINE80%という結果になりました。このことから、Twitter、Instagram、LINEにおいて「企業アカウント」のフォローがユーザーに浸透していることがうかがえます。一方で、YouTubeは36%に留まりました。
企業SNSアカウントフォローのきっかけは「キャンペーン」。「Twitterユーザー」と「Instagramユーザー」に特にその傾向が高い。
各SNSにて企業アカウントを1つ以上フォローしているユーザー別に「SNSにて企業アカウントをフォローしたきっかけ」を見ると、いずれのSNSでも「SNS上で開催されたキャンペーンに参加した」ことをきっかけに企業アカウントをフォローしていることが分かりました。中でもTwitterとInstagramのユーザーにその傾向が高く、両プラットフォームにおいて企業開催のキャンペーンが受け入れられていることが分かります。また、YouTubeユーザーにおいては、企業のウェブサイトやメールで紹介されていたことをきっかけに企業のSNSアカウントをフォローしたと回答した人の率が高いことが分かりました。
「広告を見た」と回答した人は、いずれのSNSでも20~30%程度に留まりました。
企業SNSアカウントフォローの目的は「お得な情報」や「商品情報」
各SNSにて企業アカウントを1つ以上フォローしているユーザー別に「SNSにて企業アカウントをフォローしている目的」を見ると、いずれのSNSでも「お得なクーポンやキャンペーン・セール情報を取得するため」が80%を超え、最大の目的であることが分かりました。次に「新商品の情報を取得するため」「好きな商品のより詳細な情報を取得するため」が続き、ユーザーはお得な情報や商品情報を求めて企業SNSアカウントをフォローしていることがうかがえます。
企業SNSアカウントフォロー解除のきっかけは「期待する情報が投稿されない」、「広告的な投稿が多すぎる」
各SNSにて企業アカウントを1つ以上フォローしているユーザー別に「SNSにて企業アカウントのフォローを解除するきっかけ」を見ると、いずれのSNSでも「期待する情報が投稿されない」が最多であり、次に「広告的な投稿が多すぎる」という結果になりました。
<まとめ:企業SNSアカウントとの関わり>
いずれのSNSでも直接的な購入を期待する投稿を過度に連続して行うことは避け、フォロー継続のメリットを感じてもらえる投稿や参加インセンティブのあるキャンペーン施策を定期的に織り交ぜて実施することが重要と言えます。
関連記事:Twitterユーザーの企業アカウント利用実態を調査した結果はこちら
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2.SNSからの商品購入・来店経験
SNSをきっかけとした新規ECサイトでの購入経験は「Instagram」が最多、続いて「Twitter」「Facebook」
各SNSを閲覧しているユーザー別に「SNSの情報をきっかけや参考に、初めて利用するECサイトで商品を購入したことがあるか」を尋ねたところ、いずれのSNSでも過半数が「購入経験がある」と回答しました。SNS別ではInstagramが60.7%で最多、続いてTwitter55.2%、Facebook54.4%という結果になりました。
また、「ある」と回答した人に、そのきっかけとなった具体的な内容を尋ねたところ、いずれのSNSでも「企業アカウントのキャンペーンやクーポン」が最多であり、次に「フォローした企業アカウントの投稿」であることが分かりました。また、約3割のユーザーは「企業アカウントの広告」や「フォローしている友人や一般の方の口コミ投稿」を見て購入した経験があると答えました。
インフルエンサーの投稿と答えた方はいずれのSNSでも10%程度に留まり、一般ユーザー投稿の口コミをきっかけにした方の方が多いことが分かりました。
SNSをきっかけとしたパルス型消費行動は「Instagram」が最多、続いて「Facebook」「Twitter」
各SNSを閲覧しているユーザー別に「SNSの広告や投稿を見て初めて知り、その場でSNSからECサイトの購入画面を開いて商品購入をしたことがあるか(パルス型消費行動の経験有無)」を尋ねたところ、Instagramが最多で42.7%が「ある」と回答、続いてFacebook40.5%、Twitter38.1%という結果になりました。Instagramはビジュアルで訴求できるため、特にパルス型消費行動を起こしやすいと考えられます。
また、「ある」と回答した人に、そのきっかけとなった具体的な内容を尋ねたところ、いずれのSNSでも「企業アカウントのキャンペーンやクーポン」が最多であり、次に「フォローした企業アカウントの投稿」であることが分かりました。また、約3割のユーザーは「企業アカウントの広告」や「フォローしている友人や一般の方の口コミ投稿」を見て購入した経験があると答えました。
SNSアカウントのフォローをきっかけとしたECでのリピート購入経験は「Instagram」が最多、続いて「Facebook」「Twitter」
各SNSを閲覧しているユーザー別に「利用したことのあるEC通販・ネットショップサイトについて、SNSアカウントをフォローし、SNSアカウントの発信する情報をきっかけに再購入や別商品を購入したことがあるか」を尋ねたところ、Instagramが最多で42.7%が「ある」と回答、続いてFacebook39.9%、Twitter39.5%という結果になりました。
また、「ある」と回答した人に、そのきっかけとなった具体的な内容を尋ねたところ、いずれのSNSでも「お得なクーポンやセール情報」が最多であり、次に「新商品の情報」であることが分かりました。「既存商品のより詳細な情報」と回答したユーザーも40%以上にのぼっており、既存顧客とSNSを通じて関係を結び、定期的に商品情報を提供することがリピートの促進につながっている様子がうかがえます。
SNSをきっかけとした実店舗への新規訪問経験は「Instagram」が最多、続いて「Twitter」「Facebook」
各SNSを閲覧しているユーザー別に「SNSの情報をきっかけや参考に、初めて利用するお店(小売店や飲食店)に実際に足を運んだことがあるか」を尋ねたところ、Instagramが最多で50.5%のユーザーが「ある」と回答しました。続いてTwitter46.0%、Facebook40.4%という結果になりました。
また、「ある」と回答した人に、そのきっかけとなった具体的な内容を尋ねたところ、いずれのSNSでも「企業アカウントのキャンペーンやクーポン」「企業アカウントの投稿」だけでなく「フォローしている友人や一般の方の口コミ投稿」を見て購入した経験があると答えたユーザーが50%以上にのぼることが分かりました。
ECでの商品購入ではキャンペーンやクーポンなどのお得情報がきっかけとの回答が圧倒的に多かったのに対し、店舗への訪問のきっかけには「フォローしている友人や一般の方の口コミ投稿」も大きな影響を与えていることがうかがえます。
SNSアカウントのフォローをきっかけとした実店舗へのリピート訪問経験は「Instagram」「Twitter」
各SNSを閲覧しているユーザー別に「利用したことのあるお店(小売店や飲食店)について、SNSアカウントをフォローし、SNSアカウントの発信する情報をきっかけに再訪問したことがあるか」を尋ねたところ、Instagramが最多で43.7%のユーザーが「ある」と回答しました。続いてTwitter41.6%、Facebook39.4%という結果になりました。
また、「ある」と回答した人に、そのきっかけとなった具体的な内容を尋ねたところ、いずれのSNSでも「お得なクーポンやキャンペーン・セール情報」が最多であり、次に「新商品の情報」「好きな商品のより詳細な情報」であることが分かりました。ECでの購入と同様に、リアル店舗への集客においても、既存顧客とSNSを通じて関係を結び、定期的に商品情報を提供することがリピートの促進につながっていることが分かりました。
<まとめ:SNSからの商品購入・来店経験>
いずれのSNSでもキャンペーンやお得なクーポンなどをきっかけとし、商品の購入や店舗の来店に大きな影響を与えていると言えます。企業はSNSの公式アカウントを運用してファンとつながり、定期的にユーザーのメリットになるキャンペーンや投稿を行うことによって、購買や来店を促進することができるでしょう。なお、リアル店舗への来店には、一般ユーザーの口コミが大きく影響するため、企業はユーザーによるSNS投稿を促す施策を行うことが効果的であると考えられます。
関連記事:【UGCはなぜ大切なのか?】ニューノーマル時代のマーケティングに企業がUGCを活用すべき理由
3.SNSへのUGC(口コミ)投稿
SNSに「購入した商品・店舗・ECサイト」の感想を投稿するのは「Instagram」「Twitter」
各SNSを閲覧しているユーザー別に「購入した商品や利用したお店・EC通販サイトやネットショップについて、SNSに感想を投稿した経験はあるか」を尋ねたところ、Instagramが最多で57.0%のユーザーが「ある」と回答しました。続いてTwitter53.5%、Facebook50.6%という結果になりました。
また、「ある」と回答した人にその理由をたずねたところ、いずれのSNSでも「投稿するとクーポンやプレゼントがもらえるキャンペーンをやっているから」が最多であり、ユーザーは何らかのメリットを求めてUGC投稿を行っている場合が多いことが分かりました。
一方で、「その商品・サービスの良い点をより多くの人に知ってもらいたいから」も各SNSで50%以上に及び、自ら進んでUGC投稿をする様子もうかがえました。ただし、「その商品・サービスの悪い点をより多くの人に知ってもらいたいから」も20%にのぼり、UGC投稿経験者の内、約5人に1人はネガティブな投稿を行った経験があることが分かりました。
「その商品・サービスを使った感想を企業やお店に届けたいから」と回答した人も約30%存在し、SNSは企業と消費者の間でのコミュニケーションツールとなっている様子がうかがえます。
SNSへのUGC投稿のきっかけとなるキャンペーン、「簡単」「賞品が必ずもらえる」「当落がすぐに分かる」と参加しやすい
各SNSを閲覧しているユーザー別に「SNSキャンペーンはどのような応募形式だと投稿しやすいか」を尋ねたところ、いずれのSNSでも「投稿・応募が簡単にできる」が最多であり、応募のハードルを下げることで、よりUGC投稿を促進できることが分かりました。「当選・落選がすぐに分かる」と回答した人も50%以上にのぼり、キャンペーン参加への手軽さが求められていることが分かります。「賞品やクーポンが必ずもらえる」「もらえる商品やクーポンの質が良い」がその次に続き、応募形式に加えてインセンティブの設計も重要であると言えます。
企業SNSアカウントによるUGCの紹介投稿、好意的に受け止めるユーザーが過半数
各SNSを閲覧しているユーザー別に「企業SNSアカウントが自分の投稿を引用して投稿したり紹介投稿をした場合、どのような印象を受けるか」を尋ねたところ、いずれのSNSでも「そのブランドやお店・サービスがより好きになる」が最多であり、好意的に受け止められていることが分かりました。企業はユーザーからのSNS投稿を促し、さらにそれを企業が紹介することによって、ユーザーとのエンゲージメントをさらに深められると考えられます。
ただし、「自分の投稿を引用してほしくない」も11~15%程度存在しています。企業がユーザー投稿を紹介する場合には、ダイレクトメッセージやコメント機能を通じて事前に許可を取る、特定のハッシュタグがついている投稿は企業から紹介する場合があることをプロフィール欄に分かりやすく掲示するなど、ユーザーへの配慮が不可欠です。
<まとめ:SNSへのUGC(口コミ)投稿>
いずれのSNSでも、多くのユーザーが商品の購入後や来店後にSNSにUGC(口コミ)を投稿していることが分かりました。純粋に「良い商品・サービスを多くの人に知ってもらいたい」ことから投稿されているケースも多い一方で、クーポンやプレゼントがもらえることが投稿のきっかけとなるケースがやはり多く、UGC(口コミ)投稿を促進するためには投稿キャンペーンが有効と言えます。投稿・応募の簡単さや賞品・クーポンが必ずもらえること、当選落選がすぐに分かるキャンペーンが参加しやすく多くのUGC投稿につながるでしょう。
また、企業からのユーザー投稿の紹介は好意的に受け止められています。企業はユーザーとのコミュニケーションを深める一環として(きちんと許諾の取得・ルールなどを設定した上で)、積極的にユーザー投稿を紹介すると良いでしょう。
関連記事:【事例で解説!効果的なUGCの増やし方】認知拡大から継続購入まで、目的に応じたUGC生成方法とは
4.調査結果全体まとめ
本調査を通じて、改めてSNSが消費行動に大きな影響を及ぼしていることが明らかになりました。いずれのSNSでも、多くのユーザーがキャンペーンやお得なクーポンなどをきっかけとし、商品の購入や店舗の訪問などの購買行動を起こしています。中でもInstagram、Twitterのユーザーにその傾向が高い様子がうかがえました。リアル店舗においては、一般ユーザーの口コミが大きく影響していることも分かりました。
このようなSNSをきっかけとした購買行動の起点を作るために、企業はSNSに投稿したくなるような商品・サービス作りと同時に、SNS上の公式アカウントにおいて日頃から投稿を行い、フォロワーとのコミュニケーションを深めることが大切です。フォロー継続のメリットを感じてもらえる投稿や参加インセンティブのあるキャンペーン施策も定期的に実施すること、SNS上のUGCを増やすために投稿キャンペーンなども実施することで、継続的に購買行動の「きっかけ」を創りだしていくことができるでしょう。
新しい生活様式において、SNSの利用時間は伸びる傾向にあり、SNS上で情報が検索される機会も増えています(出典:「新型コロナウイルス感染症拡大以降の「新しい生活様式」における、消費者のSNS利用実態調査」)。企業はSNSを「消費行動のインフラ」と捉え、積極的に活用する努力が求められます。
■調査概要
調査名称 :SNS利用に関する調査アンケートへご協力のお願い
調査主体 :アライドアーキテクツ株式会社
調査時期 :2020年8月26日~9月2日
調査方法 :モニプラ(アライドアーキテクツ株式会社)でアンケート調査を実施
調査対象数:2,908名(アンケート回答完了人数)
※設問ごとの有効回答数を「n=」で記載しています。
※本調査の内容を転載・ご利用いただく場合は「アライドアーキテクツ株式会社調べ」とクレジットを記載してください。
本調査結果を「Instagramアクティブユーザー」1,400人に絞って分析。企業がこれからInstagram経由の購買や口コミを促進するために何をするべきかまとめた資料も用意しました。以下よりダウンロードいただけます。