広告用バナー、SNS投稿用の画像や動画、キャンペーンサイト。
マーケターが、インハウスのデザイナーや外部の制作会社・代理店に制作を依頼する場面は日々たくさんありますよね。
でも「思ったようなデザインが出てこなかった」「何度も修正が発生して時間がかかってしまった」など、デザイナーとのやりとりがどうも上手くいかない…という経験をした方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、マーケターがデザイナーと円滑にやりとりするために押さえておきたいディレクションのコツと、最低限知っておきたいデザインの基礎知識を解説!なかでも「WEB上のバナー広告」を作るシーンを想定して、説明していきます。
この春から初めてデザイン制作を依頼する業務に携わる方も、普段のデザイナーとのやりとりにお悩みの方も、ぜひ参考にしてください。
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1.デザイナーに依頼する前に、マーケターが準備するべきこと
例えば、ECにおける新規顧客獲得をミッションとしているマーケターがディレクションし、インハウスのデザイナーにLINE広告用のバナー制作を依頼するとします。
デザイナーに制作を依頼する前に、マーケターが準備するべきことは何でしょうか?
一つずつ解説していきます。
①希望の納期を決める(出稿までのスケジュールを見積る)
LINE広告を出稿したいのはいつですか?
「その広告をいつから使いたいか」から逆算して、いつまでにデザイナーにデザインの初稿を出してもらう必要があるかを見積り、希望の納期を提示しましょう。
デザインの初稿~広告出稿までの流れにおいて誰に何の確認が必要か、それぞれにどれくらいの日数が必要そうかを現実的に見積もったうえで、デザイナーに相談しながら納期を決めるのがマナーです。
デザイン初稿制作~広告出稿までの流れ
マーケターからデザイナーにバナー制作を依頼
↓
デザイナーが依頼に基づいてバナーを制作、初稿提出
↓
マーケターが確認(&デザイナーが修正)
↓
関係者に確認(&デザイナーが修正)
- 社内(上長や関連部署)
- クライアント(代理店がクライアントの広告出稿をする場合)
デザイン校了
↓
出稿
②ターゲットを決める
広告のターゲットを決めてデザイナーにしっかりと伝えます。
ターゲットとして伝えるべき項目例
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- どんな嗜好を持った方なのか
デザイナーがデザインのトンマナをイメージできるようにできるだけターゲット像を具体的にしておきましょう。
③KPIを決める
その広告の目的は何でしょうか?
広告出稿の目的例
- リーチ(インプレッション数)
- クリック(サイトへの流入数)
- コンバージョン(サイト内での購入数 etc)
そのバナーを出稿して得たい成果を明確にしてください。
④製品・サービスのポイントを押さえる
製品・サービスのポイントをデザイナーに伝えられるように準備します。
いつもお願いしているインハウスデザイナーであっても、製品・サービスに関する情報や、どんなお客様が利用しているかの情報はこまめに共有しましょう。
⑤訴求ポイントを決める
このバナーにおける訴求ポイントを決めます。
広告バナー用訴求ポイント例
- 価格訴求
- 期間限定訴求
- No.1訴求
今回のバナーでもっとも伝えたいことを決めてください。
⑥検証ポイントを決める
今回の広告では最初にどんなポイントの検証を進めますか?例えば以下のような検証ポイントの組み合わせが考えられます。
広告の検証パターン例
- 価格訴求・商品メイン
- 価格訴求・人物メイン
- 効能訴求・商品メイン
- 効能訴求・人物メイン
それによって、デザイナーにお願いするデザインのバリエーションが決まってきます。
⑦使いたい/使わなければいけない要素や色があるかを決める
ロゴや商品画像など必ず使ってほしい要素や、色のトンマナなどのルールがあるかをあらかじめ決めておきます。
⑧素材を準備する
必ず使ってほしい素材(ロゴや商品画像)などの素材を準備します。デザイナーがスムーズに業務を進められるよう、フォルダなどに分かりやすく整理する配慮も大切です。
デザイナーへの依頼テンプレートやヒアリングシートの利用もお勧め
これらの情報を漏れなく準備できるように、マーケターからデザイナーへの依頼事項をまとめたテンプレートを用意しておくのもおすすめです。依頼するクリエイティブの種類によって、テンプレートを複数種類に分けて用意しておいても良いですね。
広告代理店が広告主から依頼を受ける場合は、これらの要素を「ヒアリングシート」のような形式でまとめて聞くのも便利です。
2.デザイナーとのやりとりを円滑にするコツ7選
デザイナーに依頼する前にちゃんと準備したはずなのに、いざ依頼してみると思ったように上手く進まない!
そんな時は、デザイナーとのやり取りのコツを押さえられていないのかもしれません。
①マーケターが決めることと、デザイナーに任せることの線引きをしっかりと
広告のディレクションを行うマーケターが決めることと、デザイナーに任せることを上手く線引きできていますか?
色の使い方やレイアウトを細かく指示しすぎて、デザイナーを困らせていませんか?
デザイナーは「表現のプロ」です。マーケターがしっかりと要素を伝えていれば、それをどう見せるかの最適解は、デザイナーが提示してくれます。
マーケターとして伝えるべき要素を伝えられていないのに、表現方法だけやたらと細かく指示する…なんてことにはならないよう、役割分担をしっかり把握しましょう。
②バナーの構成要素を踏まえて、漏れなく情報を伝える
バナーは大きく分けて以下の4つの要素で構成されています。デザイナーに制作を依頼する際に、それぞれの要素についてマーケターから漏れなく指示をすることが大切です。
バナーの構成要素
- キャッチコピー:バナーを目にした人にまず伝えたいメッセージです。簡潔に伝わりやすいメッセージにしましょう。マーケターがあらかじめキャッチコピーを決めて、デザイナーに伝えます。(例:40代からの肌ケア決定版)
- 画像:バナーの第一印象を左右するのが画像です。商品画像、イメージ画像など、バナーの目的に応じて適切な画像を使うことが重要です。必ず使わなければいけない画像や、使ってほしい画像があるときは、マーケターがその素材を用意してデザイナーに渡してください。
- ロゴ:ブランドの認知を高めるために、ロゴを入れるケースが多いです。要素を少なくするために、あえて入れない場合もあります。マーケターが素材を用意してデザイナーに渡してください。外部のデザイナーに依頼するときや、代理店が広告主のバナーを制作する際は、ロゴに関するレギュレーションを確認することもお忘れなく。
- CTA:「お申し込みはこちらから」「今すぐクリック」「資料をダウンロードする」などのCTAのパターンをマーケターが用意して、デザイナーに伝えます。
もちろん、バナーを出稿する媒体の情報や、バナーのサイズやファイル形式を伝えることもお忘れなく!
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③バナーの中で強調したい要素の優先順位を伝える
マーケターがバナーの中で強調したい要素の優先順位を決めて、デザイナーに伝えましょう。同じテキストや画像を使っていても、強調の優先順位が違うだけで印象が大きく変わります。
④大事な要素の後出しはNG!
すでに制作が始まっているにも関わらず、「●●もターゲットに含めて」「強調箇所はやはりこちらで!」…そんな依頼を気軽にしてしまっていませんか?
制作の途中から、大事な要素を後出しで伝えるのはNGです!最初から全てやり直しになる可能性もあります。そうなると、やりとりが複数回になりマーケター・デザイナーともに時間が取られますし、進行スケジュールも遅れてしまいます。
やむを得ず発生してしまう場合もあるかもしれませんが、極力避けなければなりません。
デザイン制作開始以降の変更を避けたい要素
- ターゲットの変更
- 訴求ポイントの変更
- 要素の追加
- 強調の優先順位の変更
- 使わなければいけない色の追加や変更
⑤修正点はできるだけまとめて伝える
デザインの初稿提出後に修正が発生する場合は、マーケターができるだけ修正点をまとめてから、デザイナーに伝えましょう。
上長、関係者などの関係各所から異なる修正要望が出るかもしれませんが、それをまとめあげるのもディレクションの腕の見せ所です。
Aさんに●●と言われたからデザイナーに修正を依頼する
→そのあとBさんから△△と言われたからデザイナーに修正を依頼する…
このようなことを繰り返すうちにそもそもの指示内容に矛盾も発生しかねません。
非効率なやり方で消耗するのではなく、できるだけ一回で修正できるようにディレクションしましょう。
⑥バナー広告を出稿した成果をフィードバックする
バナー広告を出稿後、立てた目標に対して成果はどうだったかをデザイナーにも共有しましょう。
出稿したクリエイティブの勝ち/負けの要素をロジカルに分析し、それをデザイナーに伝えることで、次の改善につなげます。
成果の伝え方とPDCAへの展開方法(例)
ディレクター:このキャッチコピーの成果が良かったから、横展開をしたい
→デザイナー:そのキャッチコピーを利用したうえで、レイアウトや色、画像の組み合わせなどのパターンを提供する
⑦基礎的なデザイン知識を身に着ける
「CTAボタンはとりあえず目立つ赤で!」「訴求の文言はとにかく目いっぱい大きく」…そんなオーダーをしていませんか?…もしかしたら、デザイナーは「色やレイアウトのバランスをどうやっておさめよう」と悩んでいるかもしれません。
マーケターが基礎的なデザイン知識を身に着けておくことで、バナーのバリエーション制作を依頼するときなどに、このようなジレンマを解消することにつながるでしょう。
マーケターも押さえておきたいデザイン基礎知識
・色の選び方:
基準となる色(例えばブランドカラー)に、さらに色を足してバナーにアクセントを付けたい場合は、色相循環図において反対の位置にある色(補色)、もしくは基準となる色の類似色を選ぶと良いでしょう。
架空のブランドを例に見てみましょう。
ブランドカラーの赤のみを使用したバナー(左)に色のバリエーションを出したい場合、
- 補色を足す(真ん中)
- 類似色を足す(右)
といったパターンが考えられるでしょう。
・色の数と配色の割合:
一つのバナーの中にたくさんの色を同時に使ってしまうと、配色が難しくなります。もし迷ったら、色は3色、割合は70%、25%、5%するとバランスが取りやすくなります。
また、ベースカラーを背景色に、キーカラーをブランドカラーに、アクセントカラーには補色を使うのがおすすめです。
以下は、配色バランスによって見え方が変わることの一例です。70:25:5の原則に従った配色の方が、ブランド認知+訴求の強調の両面においてバランスが取れていることがお分かりになるかと思います。
・色やフォントの与える印象:
それぞれの色やフォントには、もともと持ち合わせている性質があります。デザイナーは、バナーを通じてどんな印象を与えたいのか、どんな行動を喚起したいのかにより、色を使い分けていると知りましょう。
以上、今回はマーケターがデザイナーと円滑にやりとりするために押さえておきたいディレクションのコツと、最低限知っておきたいデザインの基礎知識を解説しました!ぜひ日々の業務にお役立ていただけると幸いです。
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