SNSの中でも、拡散性が高く幅広い層にリーチできるメディアとして活用が進むTwitter。
企業公式Twitterアカウントも確実に増加していますが、 その中で興味関心軸の異なるフォロワー同士を巻き込んで話題化や販促を図る「企業アカウント間のコラボ」に注目が集まっています。
そこで今回はTwitterを積極的に活用し、企業間コラボの実績もあるカルビー、そしてBSフジのTwitter担当者様をお招きし、コラボの裏話を語っていただきました。
※セミナー概要:
Twitter×企業コラボの裏バナシ #1
~カルビー×BSフジが語るTwitter運用ノウハウと企業コラボのリアル~
アライドアーキテクツ株式会社が開催したセミナーイベント。2022年6月17日にWeb上でのライブ配信形式で実施された。
登壇者
<スピーカー>(※50音順)
<モデレーター>
「認知向上」「ファン・話題作り」のために始めたTwitter運用
ー木嶋:本日はBSフジ×カルビーのコラボキャンペーンの裏話や、日頃からどのようにTwitter運用をしているかお聞きできればと思います。まずはTwitter運用の背景・目的をお話しいただけますか?
小垰氏:かっぱえびせんは、「やめられない、とまらない♪」のCMソングでもおなじみで、58年のロングセラー商品であり、子供から大人まで楽しめるブランドです。認知率は99%と、一般流通しているお菓子の中で高いものの一つと言えます。どこのスーパーでも取り扱いがあり「国民的お菓子」とTV等でもよく話題にされます。私自身もカルビー入社前、いちユーザーとしてそんな印象を持っていました。
ところがカルビーに入社後、消費者調査で意外と「味替わり商品(フレーバー商品)を知らない」「広告費を投じた商品リニューアルについて知らない」「キャラクター『かっぱえび家』を知らない」という結果に直面しました。また、パッケージ調査で「白い紙に、かっぱえびせんのパッケージを描いてください」と投げかけても、非常に悩んでしまって描けない人が多いことも分かりました。
このような実態を見て「まだまだ、かっぱえびせんの情報がお客様に伝わっていないのでは?何か工夫できないだろうか」と課題感を抱いたことが、Twitterに取り組むきっかけでした。
また、日々の生活の中、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭でお客様に「かっぱえびせん」に目を留めていただける瞬間は、一か月の間にそう何度もあるものではありません。しかしTwitterを活用すれば、1日に2回、3回とかっぱえびせんに接触していただくことも可能です。Twitterを通じてお客様と接する頻度を上げることで、ブランド想起や購買行動に影響を与えるのではないかと考えました。
かっぱえびせん公式Twitter運用の目的は
①もっと多くの人に知っていただく(フォロワー増加)
②もっとブランドを好きになっていただく(ブランド好意度UP/エンゲージメント獲得)
で、そのための手段として
①プレゼントキャンペーン、コラボキャンペーン
②キャラクター投稿(かっぱえび家)、通常投稿、引用RT(お客様の投稿に反応する)
に取り組んでいます。
小垰氏:「Twitterではフォロワー増加を目的としていない」と言う人も居ますが…1,000万フォロワーが居るなら、それでも良いと思います。しかし我々、かっぱえびせん公式アカウントはまだフォロワー40万人程度であり、フォロワーを増やすことはブランドを知っていただくきっかけが増えると同意なので、必要な目的の一つとして捉えております。
それに加えて、継続的に投稿を見たくなる仕組みづくりも日々実践しています。ロングセラーブランドですが、今のTwitterユーザーに面白がってもらえるような投稿を目指しています。エイプリルフールの投稿など、Yahoo!ニュースに取り上げられたこともありました。
ー木嶋:アカウントは、何人体制で運用していますか?
小垰氏:2人体制です。お客様の反応・コメントを見るのがすごく楽しいですね。
-木嶋:公式Twitterを立ち上げてから現在までのフォロワー数の推移を教えてください。
小垰氏:実は、かっぱえびせんアカウントはキャンペーンだけのために作られたキャンペーンアカウントでした。そのアカウントを運用し始めたという経緯があります。ちなみに当時はフォロワーは2,000人程度でした。
2019年の末以降、プレゼントキャンペーンを実施したり、「かっぱえび家」ネタ投稿の開始により少しずつ成長してきました。
しかし、RTの伸び悩み時期にぶつかりました。そこでTwitterインスタントウィンキャンペーンツール「echoes」を採用したことで、RTが1投稿につき2〜3万になりました。しかも1回きりではなく、どんどん増え、拡散力を感じました。
その後BSフジさんとのコラボキャンペーンを通じてフォロワー数が非常に大きく伸び、新たなフォロワー層を取り込むことにも成功しました。
ー木嶋:続いて、BSフジさんのTwitter運用背景・目的や体制について、お聞かせください。
倉岡氏:当社ではSNS班5名でTwitterを運用しています。
Twitter運用の目的は、BSフジの番組の認知向上/ファン、話題づくりです。BS局は地上波と比較した場合に「あの時間帯に、あの局では何の番組をやっている」と想起に至らない場合が多いです。しかし、いろいろなジャンルの番組があるので認知度を高めていきたい、というのが目的です。
投稿の工夫やキャンペーン投入で話題作りを図り、フォロワー獲得でファンづくり、そして企業コラボも重視しています。
当社でもカルビーさん同様、Twitterインスタントウィンキャンペーンツール「echoes」採用をきっかけにフォロワー数が急増しました。その後もキャンペーンを実施するとフォロワーが増える傾向が続きました。
2021年度は計6回のキャンペーン企画を投入し、年末にBS放送業界のTwitterアカウントでフォロワー数トップになりました。
その後カルビーさんとのコラボによりフォロワー数がさらに急伸、その後もキャンペーンは随時実施中です。
カルビー株式会社・株式会社ビーエスフジでもフォロワー数を増やした「echoes」の支援内容とは?
▶カルビー株式会社・株式会社ビーエスフジ含む9社の事例についてこちら
コラボで成果を出すカギは、企業間の親和性の高さ
ー木嶋:ここからは、2022年2月に実施された両社コラボの背景を伺います。
アライドアーキテクツがBSフジさんのキャンペーン運用を支援する中で「インプレッション、フォロワーを増やしたい」という話が出ました。そこで「コラボという手法が重要なのでは」と提案させていただき、コラボ先企業もいくつか弊社からご紹介しました。カルビーさんはその中の一つでしたが、なぜカルビーさんに決めたのでしょうか?
倉岡氏:Twitterの運用を続けていく中で、どうしてもキャンペーンがマンネリ化してしまう、新しいフォロワー層にリーチできていないという課題がありました。
「企業間コラボキャンペーン」という提案を得て、最初は「どうやるの?」と思いましたが、アライドアーキテクツさんにサポートいただき、コラボ候補企業も紹介いただけました。
今までのキャンペーンとは異なる形式で、フォロワーの方に新たに楽しんでいただける企画にできれば良いなと思い、社内で相談したところ「テレビを見ながらお菓子を食べるとか、シチュエーションとして多いよね」といった意見が出ました。
それで、カルビーさんにお願いしたいとアライドアーキテクツさんにお伝えしたんです。
ー木嶋:小垰さん、BSフジさんからのコラボの話を承諾した理由は?
小垰氏:弊社かっぱえびせんチームでは即決OKでした。
いろいろなコラボの話をいただくこともありますし、アライドアーキテクツさんにコラボ先の相談をすることもありますが、最も大事なポイントは、お客様が見た時に、両社の親和性がしっかりと感じられることです。
テレビもお菓子も、お客様の生活に近い業界です。お菓子を食べるシーンで、テレビを見るというのは、あり得ることですよね。お菓子を食べるシーンに最も近いところにあるアカウントから打診をいただけたことが、ありがたかったです。
必ずしも「フォロワー数が多いアカウントと組めば、自社のフォロワーも増える?」ではないと思います。実際にあまり、結果につながらなかった経験もあります。
それよりもユーザーは、コラボ企業同士の親和性をシビアに見ていると思います。
インプレッション数もフォロワー獲得数も数倍に!コラボ効果
ー木嶋:企業間コラボキャンペーンの内容を教えてください。
倉岡氏:キャンペーンは22日間で、100名様にオリジナルクオカードペイと、かっぱえびせん10種類詰め合わせが当たるという内容でした。
2つのアカウント(BSフジ、かっぱえびせん)をフォローし、BSフジアカウントでツイートされた対象投稿をRTしてもらいます。すると、リプライがユーザー宛に自動返信され、WEB上で動画を視聴後、抽選結果を表示する(その場で当落が分かる)、というフローです。
ー木嶋:ユーザーからの反響はどうでしたか?実施時に工夫したポイントもお聞きできればと思います。
倉岡氏:事前に「何か始まるよ」と匂わせ投稿をして盛り上げました。
倉岡氏:「これ、もしかしてコラボ?」「このコラボ熱い!」とかもありましたね。事前告知投稿もやりつつ、自社媒体含め広告展開も行って、互いのキャラクターを登場させて楽しい雰囲気のクリエイティブに仕上げました。
小垰氏:カルビーでもこういう投稿をしたら「ワクワク」「何かやるの?」などコメントが来ましたね。
ー木嶋:フォロワー数やRT数などのキャンペーン成果はどうでしたか?
倉岡氏:新規フォロワー獲得数約18,000名、総RT数約35万と、いずれもKPIを達成でき、2021年度内のキャンペーンと比較しても非常に良い結果となりました。1日あたりの新規フォロワー獲得数も約800名(過去平均比125%)と高い成果が得られました。
過去に実施したキャンペーンと比較して、フォロワー獲得効率が良かったと言えます。
<コラボキャンペーンの成功要因>
- かっぱえびせんアカウントでもキャンペーン告知
- 魅力的なインセンティブ設計
- Twitterアカウントのジャンル×フォロワー規模を考慮したコラボ先選定
- ユーザーメリットや楽しさの訴求が明確なクリエイティブ
かっぱえびせんアカウントで告知RTをしてもらったことも大きな影響がありました。かっぱえびせんの紹介でフォロワーやリーチを獲得でき、1日のオーガニックインプレッションが2倍以上増え、1日あたりの新規フォロワー増加数も3倍になりました。これは、コラボキャンペーンならではの成果だと言えます。
小垰氏:告知RTは、期間中に計11回行いました。しかしユーザー目線で親和性が低く、違和感のあるコラボキャンペーンだったとしたら、頻繁にRTすると広告っぽくなってしまいます。
自然にユーザーメリットや楽しさを訴求できるクリエイティブだったからこそ、奏功したと思います。
倉岡氏:インセンティブのクオカードペイは、誰にとっても利用メリットがあります。さらに、Twitterユーザーに人気の高い商品ジャンル「お菓子」を組み合わせ、100名というボリューム感も反響がありました。
クリエイティブは、キャラクターを起用して親しみやすく、視認性高く、メリットを明確に訴求するよう意識しました。バナーにはアニメーションを付けたり、スライドショー形式で複数枚を見せる工夫もしました。
このような工夫の結果、効率良くTwitter上で露出を獲得でき、費用対効果が高い施策となりました。
<コラボキャンペーンの良かった点・継続していくポイント>
- 定期的にキャンペーンを実施
(既存フォロワーを中心とした番組認知拡大の好循環を維持) - 勝ちパターンのクリエイティブを継続
(視聴者が親しみやすく、楽しそうなものに工夫することが、参加者数に影響) - 課題や目的に合わせたコラボキャンペーンを設計
(ユーザーから見て親和性があること。
普段からアクティブなアカウントでエンゲージメントが高いこと。
交流投稿の協力を得られること。)
→お互いに良い関係を構築できることが、コラボキャンペーン成功のポイント
ー木嶋:コラボの結果、BSフジアカウントはフォロワー獲得数やインプレッションなどの成果が非常に良かったですよね。カルビー側はどうでしたか?
小垰氏:我々はRTでサポートする側でしたが、フォロワー数は約2万人伸びました。しかもその後、落ちなかったことが凄く良かったです。コラボの親和性が高かったので、継続してフォローしてくれるユーザーを獲得できました。
倉岡氏:BSフジとしても、新しい視聴者層を獲得できました。キャンペーン後に若干、フォロワーは減りましたが、減少幅は小さかったですし、当選賞品が嬉しかったという事後の好意的な反響ツイートもありました。
このコラボを見て営業部宛に、新たなコラボ希望企業からの打診が来るようになり、フォロワー獲得以外の反響もありました。
ー木嶋:Twitterの拡散力や、獲得したフォロワー数を、どのように次なる施策に活かしていくか、展開の仕方も大切ですね。「懸賞アカウントにばかりフォローされる」など、フォロワーの質は気にしますか?
小垰氏:懸賞ユーザーに関して、最初はネガティブに捉えていました。あまりかっぱえびせん自体には興味がなく、インセンティブ目当てなのかと…しかし、拡散力が凄いです。情報拡散してくれる方だと捉えると、発想が逆転しました。今では、懸賞ユーザーか否かは、キャンペーン設計や抽選の上であまりネガティブに捉えていません。
倉岡氏:我々も以前は「本当に番組を見て、楽しんでくれてるのかな…?」など、同様の疑問を抱いていました。でも今は小垰さんと同じで、積極的にキャンペーンに参加して情報拡散してくれることが意義だと捉えるようになりました。
ー木嶋:あくまで見え方が「懸賞アカウント」というだけで、いち生活者であることには変わりはありませんからね。キャンペーンを生活者と接点を持つ機会と捉えて運用することが大切ですね。
それでは、最後に一言ずつお願いします。
小垰氏:Twitter運用の上で、担当者ならではの悩みはいろいろあると思います。私自身も、いろいろありました。
でも今は、支援企業との協業、運用支援ツールの活用など、以前よりもチャレンジしやすい環境が広がっています。コラボキャンペーンのような取り組みを通じて、数値・実績を残して社内にアピールすることで、「やはりこれからは、Twitterをやる意義があるよね」と周囲の理解も進むはずです。
倉岡氏:時代の流れも速く、日々試行錯誤の連続ですが、自社だけでなく、さまざまな企業と接点を持つチャンスも広がっていきます。コラボなどにも取り組みながら、今後もSNSマーケティングを盛り上げていければと考えています。