BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いとは?
BtoBマーケティングの流れや注目したいキーワードを事例とともに解説します。

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BtoBマーケティングとは?

BtoBマーケティングのBtoBとは「Business to Business」の略語。その名前の通り一般消費者(個人)ではなく、顧客対象が企業である場合に行われるマーケティング施策を総称している言葉です。

BtoBマーケティングもBtoCマーケティングも、顧客のニーズを理解し適切なアプローチによって購買や申し込みに繋げるという点は変わりません。
しかし個人を対象とするか企業を対象とするかという違いから、マーケティングの戦略を立てる上で注意すべき点やアプローチ方法も異なってきます。

BtoCマーケティングとの違い

BtoBマーケティング、BtoCマーケティングには以下のような違いがあります。

BtoBの顧客となる企業は、会社全体の利益や業務の改善・効率化をゴールとして商品やサービスを探しています。そのため、本当に業務が改善できるのかどうかをしっかり検証した上で、商品やサービスの選択を行う必要があり、意思決定までの時間が長くかかるという傾向があります。
また、一般的にはサービスや商品の価格がより高額になることが多く、意思決定に当たって社内の稟議や承認フローを経る必要があることも、意思決定までの時間を伸ばしている要因となります。

このことから、BtoBマーケティングを行う場合は、ある程度長期的スパンで戦略を立てていく必要があります。

そして、意思決定までに顧客に伝えていく情報も、BtoCのように個人の感情や欲求を掻き立てるものは求められていません。社内で複数の人が検討することを考え、「商品の客観的情報」「商品やサービスを購入したことによって期待される成果」「実際に過去に達成した成果の事例」など、合理性をもった商品・サービスの価値を伝えていくことが大切です。

BtoBマーケティング、4つのフェーズ

BtoBマーケティングでは成約までのプロセスにおいて大きく4つのフェーズ(段階)に分けて施策を考えることができます。

①集客

自社の商品、サービスの認知を獲得し、顧客の選択肢のひとつに加えてもらうためには、まず集客を行う必要があります。

集客のための施策は具体的に

  • オンライン広告
  • コンテンツマーケティング
  • 展示会などのオフライン施策

などが考えられます。

<オンライン広告>
オンライン広告は検索連動型広告やSNS広告を活用した集客方法です。ターゲットに対してダイレクトにアプローチすることで比較的短期間で集客ができるというメリットがある一方で、広告自体のCPMが高騰していることからもある程度の予算を確保して実施することが必要となってきます。

<コンテンツマーケティング>
それに対してコンテンツマーケティングは、広告よりもニーズが顕在化していない潜在層へアプローチができる施策です。広告と比較すると成果がでるまでに一定の期間が必要であり、コンテンツ制作の負担が増えることから運営体制をしっかりと構築することが求められる手法です。

コンテンツマーケティングとは?基礎知識や事例をまとめました
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<オフライン施策>
また、展示会をはじめとしたオフライン施策では、企業の担当者が直接足を運んでくれる会場でたくさんの接点を持つことができます。一方でブースの運営、出展費用、当日の人員などコストや労力がかかってしまうというデメリットもあります。

②リード獲得

社名や商品、ブランド名の認知をした見込み顧客(リード)を自社ページ等へ集客したあとは、さらに自社についての理解を深めてもらうアプローチをするために顧客の連絡先などの個人情報獲得を目指します。これを「リード獲得」と呼びます。

リード獲得の定義や成果をあげるポイントを解説した記事はこちらです
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リード獲得のために行う施策には具体的に以下のようなものがあります。

  • ホワイトペーパー作成
  • メルマガ登録
  • セミナー申し込み

<ホワイトペーパー>
ホワイトペーパーとは、企業(顧客)が解決すべき悩みや問題について分析し、その解決に繋がるソリューションをまとめた資料のことです。資料をダウンロードする際に担当者の連絡先情報などを入力してもらうことで、リード(顧客の個人情報)を取得することが可能となります。自社の専門領域、得意分野に興味関心の高いリードを獲得できる施策ですが、資料自体のクオリティを担保しなければ会社に対する信用度の低下も招いてしまうので注意が必要です。

<メルマガ登録>
また、メールマガジンへの登録を促してリードを獲得する方法もあります。メルマガでのアプローチはリード育成(リードナーチャリング)を行う上でも重要となってきます。メルマガに登録すれば有益な情報が得られると思ってもらえるようなコミュニケーションが必須です。

<セミナー申し込み>
自社のノウハウやソリューションに興味がある担当者のリードを獲得するためにおすすめなのはセミナーです。すでに自分たちの顧客となっている担当者をゲストに招いて実際の成果などについて顧客目線での話をしてもらうなど、自社商品、サービスへの理解、関心度引き上げにも繋がります。獲得したいリード像から逆算してセミナーのコンテンツを設計、運営していくことが大切となります。

③リード育成(リードナーチャリング)

広告、コンテンツマーケティング、セミナーなどでコストをかけて獲得したリードからの受注率・成約率を向上させるために重要なのは「リード育成(リードナーチャリング)」です。
セミナーや資料ダウンロードだけですぐに成約や受注にあがるわけではありません。特にBtoBマーケティングは検討期間が長い傾向があるため、このリード育成(リードナーチャリング)を丁寧に実施することで受注・成約件数のアップに繋げることができます。

リード育成を行うための施策としては主に

  • インサイドセールス
  • メールマガジン
  • セミナーコンテンツ

などがあります。

<インサイドセールス>
インサイドセールスとはメールや架電など遠隔的な手段によって顧客とコミュニケーションを行う内勤の営業のことです。インサイドセールスは特にコロナ禍で対面式の営業活動が難しくなったこともあり急速に浸透しました。
リード顧客とのコミュニケーションの中でヒアリングを行いながら顧客自身が気づいていない課題を見つけ出して検討段階を先に進めるなど、リード育成において重要な役割を担っています。

<メールマガジン>
ビジネスパーソンはメールボックスを開く頻度が高く、メールマガジンでのコミュニケーションも効果的です。また、一度に複数のリード顧客に対してメールを送ることができるので少人数で多くの顧客をカバーすることが可能であることもメリットのひとつとなっています。たくさんメルマガを送信すればよいというわけではなく、リード顧客の段階にあった適切な内容、頻度などをしっかりと設計することがリード育成につながるポイントです。

<セミナーコンテンツ>
ひとくちにセミナーと言っても規模や形態は様々です。自社のサービスや商品と直結するような具体的なノウハウやソリューションを発信するものもあれば、もう少し広く網羅的な知識を伝えることでその業界内でのプレゼンスやリード顧客からの信頼を築いていくものもあります。リード顧客の検討フェーズに合わせてぶつけるセミナーコンテンツを変えていくことで、より効率的にリード育成を行うことが可能です。

④カスタマーサクセス

BtoBビジネスの場合、BtoCよりも顧客対象の数は少なくなり、また一度の取引額は大きくなる傾向があります。そのため、既存の顧客のリピート率や定期サービスの場合の継続率、アップセルやクロスセルなど、取引を一度きりで終わらせない努力もとても大切です。
この考え方をカスタマーサクセスと呼び、カスタマーサクセスの考え方に基づいて行われるマーケティング施策をカスタマーマーケティングとも呼びます。

カスタマーマーケティングのアプローチには主に以下のようなものがあります。

  • オンボーディング施策
  • ユーザーコミュニティ形成
  • リテンション施策

<オンボーディング施策>
成約された商品やサービスを、顧客が正しくかつ有効に利用できるよう、軌道に乗せる(オンボーディング)ための施策はオンボーディング施策と呼ばれます。せっかく商品を購入、契約してもらっても、使い方が不明瞭であったり使いこなせないというストレスがあった場合、解約の恐れやリピート率の低下に繋がってしまうため、このオンボーディング施策はカスタマーサクセスの文脈でも非常に重要な施策となっています。
具体的には、チュートリアルやユーザーガイドの提供、マニュアルやFAQの作成、セミナーやワークショップの実施、導入コンサルティングなどがあります。

<ユーザーコミュニティ形成>
商品(サービス)を成約した企業担当者同士をつないでユーザーコミュニティを形成する施策です。ユーザー同士が情報を交換しあったり交流を深めたりすることで、商品(サービス)に対する愛着やロイヤルティの向上にも繋がります。コミュニティが深まれば、ユーザー同士が疑問点や使い方のノウハウを共有しあうような場面も期待されることから、さらなる商品(サービス)の活用にも繋がる施策です。

<リテンション施策>
リテンション施策とは、既存顧客に対して契約継続とともに、契約商品のアップグレード(アップセル)や関連商品の購入(クロスセル)を促すことを主軸とした施策です。
顧客の商品利用状況などに応じてさらなる課題解決、成果向上の提案とともに関連商品や商品アップグレードを促します。具体的なアプローチとしてはメール配信、サポート担当者によるヒアリング、自社コンテンツや活用セミナーの案内などが考えられます。

BtoBマーケティングで今注目のキーワード5つ

続いて、BtoBマーケティングで今特に注目したいキーワードについてご紹介します。

①オフライン広告

オフライン広告とは

  • テレビCM
  • ラジオCM
  • 新聞・雑誌広告
  • 屋外広告(OOH)
  • 電車、バスなどの交通広告

など、インターネット広告(オンライン広告)以外の施策のことをさします。

特に、デジタルサイネージのひとつであるタクシー広告は近年注目が高まっている施策のひとつです。その背景としてタクシー広告が、タクシーの乗車機会が多いビジネスマンや経営者などの富裕層に効率的にリーチできると言われていることがあります。
実際、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会が行なったアンケート調査では、会社経営者の半数超が毎月10回以上タクシー、ハイヤーを利用すると答えており、ビジネス層でもとりわけ意思決定力をもつ経営者層にダイレクトにアプローチできる施策であると言えます。

タクシー広告に興味のある方はぜひこちらをご覧ください
【最新版】タクシー広告とは?メリットや費用を徹底解説

②コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、商品の売り込みをするのではなく顧客にとって有益な情報(コンテンツ)を提供することで、購買・成約に繋げていくマーケティング手法です。

コンテンツを設置するチャネルは

  • オウンドメディア
  • SNSアカウント
  • ポッドキャスト

など様々。最近はTikTokでビジネス情報を探す若手マーケターなども増えており、様々なアプローチでリード獲得のための集客を行うことが可能となっています。

同時に、良質なコンテンツを出すことによって企業としての専門性をアピールし、信頼度の上昇につながる成果も見込めます。特にコロナ以降、直接担当者と対面しての商談の機会が減ってきたこともあり、こうしたコンテンツ発信がこれまで以上に重要視されているという背景もあります。

一方、コンテンツマーケティングには短期的な成果が見えにくいといった特徴もあるので、取り組む際は先を見据えてしっかり計画を立てて行うことが大切です。

コンテンツマーケティングの基礎知識と事例はこちらに記載しています。
コンテンツマーケティングとは?概要・特徴・成功ポイントを解説【事例あり】

③ABM(アカウントベースドマーケティング)

AMB(アカウントベースドマーケティング)は別名キーアカウントマーケティングとも呼ばれるBtoBマーケティングの手法のひとつです。
AMBでは、具体的な企業や団体をターゲットアカウントに設定し、そのターゲットアカウントからの売上を最大化できるように戦略的にアプローチを行います。

例えば展示会や大型セミナーに出展した場合に得られるリードは、高い関心をもってくれる優良リードではありますが、実際にブースにきてもらわないと、相手がどんな業種のどんな企業の担当者であるかはわかりません。また、従来型のWEBマーケティングによるリード獲得はリードの大量獲得に繋がる可能性はありますが、相手の温度感(ただの情報収集なのか具体的に購買や導入を検討しているのか)が不明確となっています。

それに対しAMBでは、営業とマーケティング担当が足並みを揃え、優良リードを獲得しようという戦略となっています。
マーケティング段階(リード獲得段階)から、営業の意向も汲み取りながら、自社の戦略に合致した優良リードを獲得していくこのAMBの考え方は今後もどんどん浸透していくと見られています。

④CRMマーケティング

CRMは「Customer Relationship Management(=顧客関係管理)」の略です。企業が顧客との良好な関係を築くことを目的とし、顧客の基礎情報や行動といった情報を管理していくマーケティング手法やそのためのツールを指した言葉です。

CRMが注目されるようになったのにはいくつか理由がありますが、まず大きなものとして「LTVが重視されるようになっている」というものがあります。

昨今、BtoBマーケティングでも、BtoCマーケティングでも、新規顧客獲得重視の考え方から獲得した顧客を育成しロイヤルティを高めていく施策に注目が集まっています。

新規獲得施策にかかるコストの上昇などがその理由ですが、特にBtoBマーケティングにおいてはBtoCと比較して「全体の顧客数が少ない」「取引単価が高い」といったこともLTVが重視される背景にあると考えられます。
LTVを高めていくためには、顧客の状態をよく理解し、顧客に対して適切なタイミングで適切な情報を届けることが重要。そのことからもCRMマーケティングは注目されているのです。

⑤動画活用

動画市場は動画視聴環境が整ってきたこと、コロナ禍によるデジタルシフトなどを追い風として成長を続けています。株式会社サイバーエージェントによると、動画広告市場は順調に成長を続け、2022年は5,601億円と前年対比133.2%成長。2026年には1兆2,451億円に達するとの予想がされています。

そんな動画広告は、BtoBマーケティングにおいても活発に利用されています。また、広告にとどまらず、

  • SNSでの情報発信
  • セミナー動画
  • 導入企業の動画
  • チュートリアル動画
  • CRMのコンテンツ
  • オウンドメディアに掲載するコンテンツ

など様々な場面で動画コンテンツが利用されるようになってきました。

動画というと制作ハードルの高さに躊躇してしまう場合もあります。しかし近年は静止画をつなぎ合わせてひとつの動画にしたり、簡単な編集によって作られる「カジュアル動画」の利用も進んでいます。

用途や目的に合わせて最適な動画コンテンツを活用することで、マーケティングの施策効果を高めていく動きは今後も要注目です。

お手本にしたいBtoBマーケティング事例4選

最後に、お手本にしたいBtoBマーケティング事例をご紹介します。

1:ポッドキャストを通して企業のメッセージやミッションを伝える|SmartHR

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供している株式会社SmartHRではポッドキャストを活用したコンテンツマーケティングに取り組んでいます。
同社のミッションである「労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる」を達成すべく作られているこのコンテンツは「働くの実験室(仮)」。
その名の通り、様々な立場のビジネスパーソンをゲストに迎え、働くことについて語りあいながらじっくり考えていくコンテンツになっています。
同社のミッションや企業人格を表し、信頼構築を含めたブランディングに取り組んでいる事例です。

「働くの実験室(仮)のコンテンツ一覧ページ。ポッドキャストのコンテンツを書き起こしした記事も公開している。

2:ユーザーコミュニティ運営で顧客満足度を向上|Trailblazer Community(Salesforce)

Salesforce社が運営するユーザーコミュニティ「Trailblazer Community」では、同社の製品を利用する世界中のユーザー同士が繋がり、意見・情報交換が行われています。
「Trailbrazer Community」は、同社が直接運営母体となるユーザー会とユーザーが自走することを前提としたコミュニティグループの2種類があります。特にコミュニティグループはSalesforceユーザー以外も参加ができることから、様々な層のユーザーによって構成された活発なコミュニティ運営がされているのも特徴です。
実際、この「Trailblazer Community」施策により、

  • 受注商談金額が2.5倍
  • パイプラインが2倍
  • 顧客離れを25%削減

といった成果も見られており()、コミュニティを活かしたBtoBマーケティングの成功事例のひとつとなっています。

(※)【超・実践編】Salesforce 坂内本部長に聞くユーザーコミュニティの立ち上げから継承まで|Markezine

コミュニティを活かしたマーケティング施策について解説しています
コミュニティマーケティングとは?メリットや成功事例を解説

3:SNSを活用してユーザーとコミュニケーション|キントーン@サイボウズ公式

サイボウズのクラウドサービス「kintone(キントーン)」の公式X(旧Twitter)アカウント(@cybozu_kintone)では活発な情報発信を行なっています。
投稿されるのは、導入事例記事やリリースなど様々。リポストや引用リポストの機能も活用してアカウントは運用されています。中には、kintoneを使い始めたユーザーの投稿を引用し、参考となる事例や資料をすすめるといったユニークなサポートを行なっている投稿も見受けられます。SNSの特性を活かしながら、BtoBマーケティングに役立てている事例です。

4:アニメーションや簡易動画を活用してCTR、CVRが向上|アライドアーキテクツ株式会社

アライドアーキテクツ株式会社では、CTRやCVRの改善のために動画やアニメーションを活用しています。

例えば、メールマガジン内から記事のリンクに誘導するCTA(「詳細を見る」のボタン)にアニメーション加工を施し、従来の静止画CTAと比較してCTRは平均1.7倍(最大2.8倍)となりました。また、このSMMLabでご紹介しているお役立ち資料ページにも簡易動画を活用。資料の中身を少しだけ見せる動画クリエイティブを設置し、さらに「どんな人に見てもらいたいのか」をしっかり明記したことで、ページから資料請求を完了するCVRが約1.47倍になるという成果を出しています。

この改善事例について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください
【メルマガやWebサイト上のCTAクリック率が1.35~1.7倍に】BtoBマーケティング×動画による成果向上事例

いかがでしたか?今回はBtoBマーケティングについて、BtoCマーケティングとの違いや注目したいキーワードなどを解説しました。
ぜひ今後のマーケティング施策設計にご活用ください。