日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?

ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。

用語説明

クラウドソーシング(Crowd Sourcing)

Crowd(群衆)と Sourcing(調達先、源)を組み合わせた造語で、業務依頼者が不特定多数の人に対して、業務を発注したり、アイディアや問題解決を募集することや、そのためのWEBサービスの名称。
専門家や請負業者に外注する従来のアウトソーシングに対して、必ずしもプロフェッショナルではなく、作業に見合うだけの知見や技術を持った一般人の労働力を活用するので、多様なニーズに対応できるリソースを相対的に安価で調達することが出来る。
2006年6月の米国Wired誌「クラウドソーシングの台頭(The Rise of Crowdsourcing)」にジェフ・ハウ(Jeff Howe)氏が寄稿したブログ記事で「クラウドソーシング」の定義が初めて発表されたと言われる。
日本におけるクラウドソーシングの利用は2009年頃から本格化したと言われており、2011年の東日本大震災以降から在宅ワークやテレワーク(ITを利用した場所や時間にとらわれない働き方)への需要が高まり、場所と時間を選ばないで働くことができるクラウドソーシングが急速に浸透し始めた。
ちなみに、クラウドソーシングのクラウドは「crowd」(群集)であり、クラウドコンピューティングやクラウドサービスの「cloud」(雲)とは意味が異なる。

労働力不足をITの力で解決するクラウドソーシングは「働き方」革命?!

高速インターネットや無線LAN、スマートフォン、クラウド等の普及が進む中で、世界最速と言われる少子高齢化の急速な進展に伴う、生産年齢人口の減少が大きな社会的課題となっています。

従来、在宅ワークの中心的ユーザーだった子育て中の母親のほか、厳しい就職環境から自由な働き方を希望するようになった若者や、リストラされた中高年層、収入や生きがいといった第二の人生の充実を求めるシニア層など、企業がこれまで活用しきれていなかった多種多様な人材層に、新しいワークスタイルとしてクラウドソーシングが広がっています。

一方、企業にとっても、開発やデザインといった専門的な業務や、少額なために企業間では受発注しづらい業務などに関し、高コストになりがちな労働力を必要な時に必要なだけ、比較的安価に調達することが出来るクラウドソーシングが、使い勝手の良いサービスとして利用されるようになってきています。

クラウドソーシングは、このように業務の受注側であるネットユーザーと発注側である企業の双方にメリットのある形のサービスであるため、急速に普及し始めており、政府の試算によると、2030年には3人にひとりがオンラインワーカーになるといわれいます。

発注・受注・仲介の三者共に急成長しているクラウドソーシング市場

矢野経済研究所の調査によると、2012年時点でその市場規模は100億円を超え、2013年度は前年度比230.9%の246億円となり、2017年度には1, 474億円規模に達し、その数年後には一兆円産業になると予測されています。

出典:矢野経済研究所「BPO市場・クラウドソーシング市場に関する調査結果 2013」の データを元に総務省がグラフ作成http://www.yano.co.jp/press/pdf/1161.pdf

このように国内のクラウドソーシング市場規模は右肩上がりで成長を続けており、市場活性化に伴ってサービス事業者の参画も急増。現在では200社とも言われる事業者が参入しています。

事業者と利用者の急増にともなって、クラウドソーシングは雇用対策や起業、地方活性化につながる有効なサービスであることを国も認知。住む場所や個人の環境にとらわれない新しい働き方を実現するためのサービスとして、平成26年版情報通信白書や中小企業白書2014にも取り上げられました。

参考:総務省「平成26年版情報通信白書」第1部第4章第2節
2 求められるワークスタイルの変化と女性の活躍
(4)クラウドソーシング
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141240.html 中小企業庁「中小企業白書2014」第5章
新しい潮流ー課題克服の新しい可能性ー
第1節 ITを活用した外部資源活用
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/10Hakusyo_part3_chap5_web.pdf

急速普及で顕在化する課題解決と今後の発展へ向けた取り組み

クラウドソーシングでは、今までマーケットに存在しなかった仕事が生まれており、これまで働いていなかった人が、インターネットがつながっていれば少額からであれ仕事ができるようになりましたが、一般的に普及し始めたことによりリテラシーの低い利用者も増え始めています。

クラウドソーシングの特性や効果的な活用法を理解していない発注企業や、契約、仕事に対する姿勢、案件の進め方に疎い受注者が増えており、労働単価の下落や質の低下、雇用契約で守られてきた労働者の保証などの課題が顕在化してきています。

以上のような課題に対応する組織として、2014年5月、クラウドワークス、ランサーズ、パソナテック、ライフネス、リアルワールドというクラウドソーシング関連5社の社長や会長が代表理事となり、共同運営する初の業界団体が設立されました。これからのクラウドソーシング業界の発展のために、利活用に関する制度や環境の整備、普及啓発強化などへの取り組みが期待されています。

一般社団法人クラウドソーシング協会 ウェブサイト
https://crowdsourcing.jp/

参考:一般社団法人経営情報学会
「日本におけるクラウドソーシングに関する考察」
多摩美術大学 / 立教大学 兼任講師 大嶋淳俊
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasmin/2014s/0/2014s_105/_pdf

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ