今注目されている生成AI。中でも今回は画像生成に特化した画像生成AIツールについてその概要やメリット、ビジネス利用上の注意点などを解説。商用利用可能な画像生成AIツールについてもあわせてご紹介します。
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そもそも生成AIとは?
生成AI(生成系AI)は、別名「Generative AI:ジェネレーティブAI」とも呼ばれています。生成AIの一番の特徴は多様なコンテンツを生み出すことができるという点。
従来のAIも、決められたデータから整理や学習を行いそれに基づいて何かを生み出すことはできます。しかし生成されるものについて、従来のAIが学習結果から予測し、構造化された数値データやテキストデータにとどまっていたのに比べ、生成AIは新しいものを生み出すことが可能となっています。つまり、新しいコンテンツを効率的に生成できる技術として注目されているのです。
ビジネス活用にも役立つ画像生成AI
そんな自由度の高いコンテンツを生み出すことができる生成AIにおいて、画像を生み出すことに特化しているのが「画像生成AI」です。
画像生成AIは端的に言えば、「テキストやデータ、ベースとなる画像を入力し、それに応じて全く新しい画像を作り出してくれる」もの。
ビジネスシーンでも、Webデザイン、商品写真生成など幅広く利用されています。
マーケティング領域においては
- WEBページへの利用
- 広告施策への活用(広告クリエイティブや広告のLPへ掲載する画像)
- SNS投稿のためのクリエイティブ
- CRMなど顧客に送付するためのコンテンツ
などの利用方法が考えられます。
画像生成AIを利用するメリット
画像生成AIのマーケティング利用には大きく以下のようなメリットがあります。
メリット①クリエイティブ制作における制作時間、工数の削減
どこで使われるものを作るにせよ、クリエイティブを制作するためにはそれ相応の時間がかかります。特にクリエイターやカメラマンとマーケターの意思をすり合わせながら満足のいくクリエイティブを作るという過程は決して単純なものではありません。
もちろん、そうした渾身の1クリエイティブが求められる場面もありますが、デジタル広告クリエイティブやSNS投稿コンテンツなどスピード感やカジュアルさが重視されるような施策においては必ずしも適しているわけではなく、生成AIによる画像が効率的である場合もあるのです。
メリット②機械学習機能によるPDCAの迅速化
また、生成AIの機械学習を利用することによってより効率的にかつ迅速にクリエイティブのPDCAを回す効果も期待できます。例えば広告クリエイティブで効果の良かったクリエイティブをもとにして新しく画像を作り出すことでさらに効果の高いクリエイティブを生み出すことも期待されます。
メリット③思いつかなかったアイディアの創出
人がアイディアを考える場合には、固定観念や先入観、常識などの影響を避けることは難しいと言えます。しかし、生成AIにはそうしたものが介入する余地がありません。その結果生み出されたクリエイティブには思いつくことのできなかったオリジナリティあふれるアイディアが具現化される可能性もあります。
メリット④操作性が高くて利用しやすい
生成AIは操作のしやすさも特徴のひとつです。生成AIは、利用するために特別な知識の習得をする必要はありません。画像のイメージや、参考となるデータを入力するだけなので普段スマホやパソコンを使っている人なら簡単に利用することができます。
チャット形式で画像を生成してくれるツールもあり、大変便利になっています。
生成AIをめぐって指摘されている問題点
メリットもたくさんある生成AIですが、その利用にあたっては様々なリスクも指摘されています。新しい技術であるが故にまだ法整備が整っていないというのが主な背景ではありますが、生成画像生成AIを利用する前にはこうした状況について把握しておくことをお勧めします。
①著作権上の問題
一番注意しなくてはならないのが「知的財産権(著作権)侵害のリスク」です。
こちらについては現状整理として、日本では文化庁ならびに内閣府の「AIと著作権の関係等について」で、生成AI画像を生成・利用した際の著作権に関する考え方が明記されています。
以下が該当の部分です。
「AIを利用して生成した画像等をアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合の著作権侵害の判断は、著作権法で利用が認められている場合※を除き、通常の著作権侵害と同様」
※個人的に画像を生成して鑑賞する行為(私的使用のための複製)等
「生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる」
これによると、生成AIによって生まれた創作物も、通常の著作物と同じ基準で扱われることが分かります。
そして、AIが生成した画像を利用する際は、AIを利用して生成した画像が他者の著作物を学習データに使用していた場合、類似性や依拠性が認められた場合には生成された画像の商用利用が著作権侵害に該当する可能性もあるので注意が必要です。
実際、米国では生成AIやそれを装備したサービスに対して訴訟が起こっているケースもあります。(※)画像生成AIをはじめとする生成AIを利用する際にはこうしたリスクに対してもしっかりと認識することが大切でしょう。
②クリエイターの仕事を奪う
また、同時に指摘されているのは「生成AIによってクリエイターの仕事が奪われ、立場が脅かされる」という指摘です。
生成AIを利用してクリエイティブを生み出すことにより、企業はクリエイティブ作成のコストや工数を減らすことができます。しかし、このコストや工数削減の観点ばかりが注目されて、クリエイターの活躍機会を奪ってしまうという懸念の声も払拭できていません。同時に、人間の手によって生み出されてきたクリエイターの文化保存という点でも画像生成AIの利用について慎重な見方をする人もいます。こういった状況や、AI技術がもたらすメリットデメリットを正しく把握し、今後克服していくことが求められているのです。
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商用利用ができる画像生成AIツール5つ
最後に、商用利用が認められている画像生成AIツールをご紹介します。
1.DreamStudio
「DreamStudio」は、ユーザーが入力したテキストをもとに画像を生成する「訓練済みのAIモデル(Diffusion Model)」である「Stable Diffusion」を搭載した画像AI生成ツールです。作りたい画像のイメージを言葉で入力するとそのイメージにあった画像を自動で生成することができます。
利用料は定額制ではなく、その都度課金する形式が採用されており、サービス上で画像を使用するときに消費する「クレジット」を購入して利用することが可能。初回利用時は無料トライアルとして25クレジットが付与されるので、試しにそちらを利用してみる、という使い方もできます。
2.Midjourney
Midjourneyはイラストを自動生成するお絵描きAIツールです。テキストから画像を生成することができるこの「Midjourney」はアメリカにある同名の研究所によって開発されました。
コミュニケーションアプリのDiscord経由で利用することが可能。ユーザーがDiscord上でテキストをメッセージ送信すると、その内容に基づいてAIが画像を生成してくれる仕組みです。なお、Midjourneyは有料ユーザーのみ商用利用が可能となっているので注意が必要です。
3.DALL・E2
DALL-E2は、OpenAI社によって開発された画像生成AIです。テキストを入力して画像を生成することができ、2023年6月に待機リストなしで一般公開されました。
DALL-E2は、テキストから画像を生成するだけでなく、生成された画像からさらに類似画像を生成できる「Image to Image」の機能が搭載されており、画像のサイズなどの細かい加工もサイト上で行うことが可能。以前は無料クレジットも提供されていましたが、2023年4月6日以降に登録したユーザーは原則有料クレジットの購入によってサービスが利用できます。
また、商用利用は可能ですがImage to Image(画像から画像生成をする場合)では、元となる画像の著作権を侵害する可能性もあるので注意が必要です。
4.Adobe Firefly
Adobeが2023年9月に一般提供を開始した生成AIである「Adobe Firefly」。商用利用が可能であるほか、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe ExpressなどのAdobeが提供するその他のアプリでも、生成AIを用いた機能が正式に実装されています。
また、Adobe Fireflyはオープンライセンスのコンテンツや著作権切れのコンテンツ、さらにアドビが運営するストックサービス「Adobe Stock」を利用して学習されたAIのため、生成AI利用で懸念される著作権侵害のリスクが少ないというのがメリットです。
5.Canva
オンラインで利用できるグラフィックデザインツールである「Canva」。豊富なテンプレートと素材を利用することができ、様々なクリエイティブを手軽に作ることができるサービスとして人気です。
このCanvaにもAI画像自動生成機能が搭載されており、ユーザーは入力したテキストから自動で画像を生成することができます。
なお、Canvaを利用して生成したクリエイティブについては
- 自社のホームページに掲載する
- SNS投稿に使用する
- マーケティング素材(広告、営業資料など)として使用する
などの商用利用が認められています。画像生成AI機能を使った画像についても、Canvaの条件に従う限り商法プロジェクトを含む合法的な目的で使用することが可能です。
ただ、画像に対する独占的権利を持たない=他の人も使う可能性があるという点や、作成した画像が使用に問題ないことを保証するものではないという注意喚起をしているため注意が必要です。
いかがでしたか?
今回は今話題の画像生成AIについてご紹介しました。ぜひ今後のマーケティング活用にお役立てください。