最近良く聞く「オムニチャネル」、あなたはどんなものだか分かりますか?なんとなく分かっているつもりの今どきマーケティング用語を、SMMLabがやさしく解説します!


用語説明

オムニチャネル(Omni Channel)

実店舗やテレビ、通販サイト、ウェブサイト、DM、ソーシャルメディア、携帯・モバイルデバイスなど無数の販売チャネルを統合し、顧客に最もあう形で買い物体験を再構築する戦略のこと。
2011年に米国の老舗百貨店、Macy’sのテリー・ラングレンCEOが、「オムニチャネル リテーラー」になると宣言。
RFID(Radio Frequency Identification:無線ICタグ)を採用することで、店舗と通販の在庫を一元管理し、在庫の無駄を減らすと同時にリアルとネット、どちらにおいても顧客の要望に答えることを可能にし、その結果、Macy’sの2011年のオンライン販売が40%向上したということで大変話題となった。
これをうけて、2012年の年末商戦時には、オムニチャネル・リテイリング(Omni Channel Retailing)に取り組む企業が急増。ツイート、Facebookのいいね!などのソーシャルメディア情報と顧客リスト、過去の購買履歴、ポイントカードの会員情報などを照らし合わせ、最適なネットでのプロモーションキャンペーンを決定。さらにネットと店舗内の情報を統合、比較分析し、消費者の行動を先読みすることで在庫を管理し、欠品の回数も減らすことで商機を最大化させることに成功した。
日本では2013年年末に、セブン&アイやイオンなど国内トップの小売企業が相次いで取り組み強化を発表したことから注目が高まり、「チェーンストア革命」、「SPA革命」に続く「オムニチャネル革命」という、第三の流通革命に突入したと言われている。

昨今のスマートフォンやタブレットの急速な普及により、消費者は「いつでも、どこでも、好きなときに」買い物を楽しむことが可能になりました。そのため小売業者は、消費者の購買行動や嗜好の多様化に対し、様々な販売チャンネルを用意し、一貫性のある購買体験の提供が求められるようになりつつあります。

「オムニチャネル」戦略は、商品の認知から、検討、購買に至る一連の購買やマーケティングのプロセスを、顧客中心主義の観点から見直し再構築することで、顧客経験価値(カスタマー・エクスペリエンス)を高めることで、ブランド・ロイヤルティを獲得し、ブランド・エクイティを高め、最終的にはLTV(顧客生涯価値)を向上する取り組みです。

オムニチャネル戦略というと、チャネル、在庫、顧客データを統合するためのシステムや設備の整備といった技術的な側面に注目しがちですが、実はLTV向上に繋がるブランド体験を提供するために、多様化する「個客」の行動や心理を「理解」することが最も重要なのです。

つまり、自社の持つオンラインデータ、オフラインデータ、そしてソーシャルメディアなどからのデータを統合分析することによって、顧客を知り、顧客視点でシームレスなコミュニケーションを設計していくことこそが、今までにない消費体験の提供を目指すオムニチャネル戦略の本質だと言えます。

また今後、スマートフォンによる決済機能の多様化や、AR(拡張現実)、3Dプリンター等による擬似使用体験、ウェアラブル端末を含めてさまざまな「モノ」がネットワーク接続されるようになるIoT(Internet of Things)といった、テクノロジーの進化によって、購買プロセスのデジタル化や短縮が進み、消費を取り巻く環境はさらに大きく変化すると考えられます。

ですからオムニチャネルはマーケティングアプローチとして、小売や流通に限らず他領域でも意識しておく必要があるでしょう。

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ