今や私たちの生活において当たり前のものとなっているSNS。
特にコロナ禍を経たニューノーマル時代においては、生活者との接点をもつためのプラットフォームとして、企業のマーケティングへの活用需要が高まっています。

そこで今回は、SNSマーケティングの今と、これからを考えるために、SNSマーケティングについて徹底的に解説していきたいと思います。

1.SNSマーケティングとは

SNSを利用して行うマーケティング施策を総称してSNSマーケティングと呼びます。具体的には、各SNSプラットフォーム上で自社のアカウントを運用する「公式アカウント運用施策」、SNSでユーザーが閲覧するタイムラインなどに広告を出稿する「SNS広告施策」、SNS上でユーザーに特定のアクションを促してコミュニケーションをはかる「SNSキャンペーン」、ユーザーがSNSに投稿した画像やコメントを活用する「UGC活用施策」などがあります。

2.SNSマーケティングはなぜ重要なのか

総務省の発表した「令和2年通信利用動向調査」では、日本におけるSNSの普及率は73.8%。特に19歳以下や60歳以上の年齢層での伸びが大きく、世代を問わず、SNSの利用が浸透していることがうかがえます(※1)

生活者のインターネット利用時間が年々増加し(※2)、SNSの普及率も上昇していることを考慮すると、生活者との接点として企業がSNSを活用することは重要です。

SNSは「知人の近況を知りたい」「人とつながっていたいなど」コミュニケーションを目的とした利用がもっとも多い傾向にありますが(※3)コロナ禍を経てその使われ方に変化がみられています。

アライドアーキテクツが実施した調査では、コロナ禍を経たニューノーマル時代のSNSは、生活者にとって情報取得の場として重要な位置を占めていることがわかっています。
特に、人との直接的な接触を避けたり、外出時間を短縮したりする傾向がある中、事前の情報収集のためにSNSを利用しているという声も目立ちます。

上記グラフなど調査結果の詳細とポイントについてまとめたコラム記事はこちらです。
4,000人の消費者データから考える、「ニューノーマル」時代のマーケティングで大切な3つのこと

さらに、SNSをきっかけとした商品購入や店舗来店の経験があるSNSユーザー、商品の口コミを投稿するユーザーも増えており、SNSは生活者の消費行動と密接に関わるようになっています。

上記グラフも掲載されている、生活者のSNSと消費行動の関わりについて行った調査記事は、こちらです。
【2020年最新版】5大SNSユーザーによる「SNSをきっかけとした購買行動・口コミ行動調査結果」公開!(Twitter、Instagram、Facebook、LINE、YouTube)

実際、SNSを活用したマーケティング施策に注力する企業も多く見られるようになりました。
特に昨今は「D2C(=Direct To Consumer)」という、従来の流通にのせての販売を行わず、 メーカーが直に顧客と売買取引するビジネス形態が注目されています。

このD2C型事業のマーケティングにおいては、顧客と繋がり続けながら、顧客の声を商品開発やプロモーションに生かし、その関係を深めていくことが重要です。そして、そのためにSNSを活用している企業事例も増えています。

商品を起点として進めていく従来型ブランドのマーケティングに対し、D2Cでは顧客との接点を起点にマーケティングを「運用」して改善を進めていくのが特徴である。

以上のように、
①インターネット利用時間の増加と共にSNSの普及率が上昇している
②SNSが生活者の消費行動に密接に関わるようになっている

といった背景から、SNSが生活者に与える影響力は高まり、SNSマーケティング施策に注目が集まっているのです。

3.SNSマーケティングの特徴

SNSではプラットフォームごと、使う機能ごとにユーザーは多様な動機をもち、メディアに接触しています。そのため、SNS上には様々なニーズや心理状態のユーザーが存在しています。

また、SNSはユーザーが人ベースで登録して利用するものです。よって、SNS上にはユーザーの年齢・性別・居住地といったデモグラフィック情報から、趣味や興味・関心に至るまで、それぞれのアカウントに紐づいた豊富なユーザーデータが存在しています。

これらを鑑みると、SNSマーケティングでは、目的に応じたプラットフォームや機能を選び、豊富なデータを活用することで、潜在層に対する認知獲得から、ブランディング、購入促進、長期的なコミュニケーションによるLTV向上施策まで、幅広い成果をあげる施策を展開できるのが大きな特徴でしょう。

そして、SNSはほとんどがスマホなどモバイル機器から利用されているのも特徴です。
ユーザーにとってよりプライベート感の強いスマホ上で接点を持つわけですから、企業がSNSでとるコミュニケーションでは、その状況を考慮して設計する必要があります。

アライドアーキテクツが行った調査では、企業アカウントのフォローを外すきっかけとして「期待する情報が投稿されない」「広告的な投稿が多すぎる」など、自分が接しているSNS上で違和感をもつコミュニケーションによって、フォローが外されていることがわかった。

4.SNSマーケティングの代表的な施策

続いて、SNSマーケティングで実施できる主な施策についてご紹介します。

4-1.企業公式アカウント運用

SNSマーケティングの施策として最もオーソドックスな施策のひとつである、公式アカウント運用。
SNSで公式アカウントを持てば、企業はそのプラットフォームのユーザーに、自社の商品やサービスについて認知・理解してもらうことができます。

インターネット上で企業の情報に触れてもらう施策には、ブログやオウンドメディアなどを活用したコンテンツマーケティング施策もあります。これらの施策と、SNS公式アカウントで行う情報発信とで大きく違うのは、情報が「ストック型」なのか「フロー型」なのかということです。

【フロー型とストック型のポイントまとめ】

ブログやオウンドメディアなどのWEBコンテンツで情報を届けていく場合には、更新を続けて有益なコンテンツを蓄積し、ユーザーが「探した時」に、的確に情報が届くようにすることが大切です。そのため、検索エンジンで検索された時に上位に表示されるようなSEO(検索エンジン最適化)対策を行い、検索上位を獲得して継続的なアクセスが見込める状態にする必要があります。

一方「フロー型」と呼ばれるSNS上での情報発信の場合は、最新の情報や、トレンドに沿ってユーザーの関心をひくような情報発信を行うことで、発信する情報をユーザーに発見してもらうことが求められます。また、SNS上にて強い関心を集める、いわゆる「バズる」状態を作れば短期間にたくさんの人に情報を届けることができるのも特徴です。

そしてもうひとつ、SNSの公式アカウント運用では情報伝達や認知獲得に止まらず、フォロワーとコミュニケーションを行うことによって関係性を深めていくことができます。こうした継続的な関係構築は、ロイヤリティや顧客体験を高め、LTVの向上にも繋がっていく有効な施策であると言えます。

いまなぜLTVが大切なのかといった背景とともに、LTVについて解説しています。
「LTV」とは?~今さら人に聞けないマーケティング用語をおさらい!

4-2.SNS広告

タイムラインや検索表示画面などに、広告を出稿する施策であるSNS広告施策。
自社アカウントのフォロワー以外のSNSユーザーに情報を届けることや、新しい接点を作っていくことができる施策です。

SNSには人ベースの豊富なユーザーデータが存在しますので、その他の運用型のデジタル広告と比べ、セグメントやターゲティングを詳細に行って広告を運用できるというメリットがあります。特に、昨今のcookie規制やIDFA変更など、アンチトラッキングの潮流においてデジタル広告のあり方が変化するなかで、 個を識別できる独自のデータを利用したSNSプラットフォームのターゲティングはその力を大きく発揮するでしょう。

加えて、リスティング広告などニーズが顕在化しているユーザーにコンバージョンを促すような施策だけではなく、未来の顧客となる潜在層にリーチして認知や購入意向の引き上げなど、最終的なコンバージョンの手前のコミュニケーションを行うことができるのも特徴です。

また、SNSは情報取得以外に親しい友人や知人とのコミュニケーションを目的に利用されることも多いプラットフォームです。そのため、広告に用いるクリエイティブ画像やテキストなどは、そうしたユーザーの媒体接触態度に合ったものにしていくことが大切です。

そして、プラットフォームや広告配信面によってリーチできるユーザーも違いますので、商材や目的から利用するプラットフォームを見極めて、それに沿った広告を配信することで、より効率的な広告運用が可能となります。

4-3.SNSキャンペーン

SNS上でユーザーに特定のアクションを促し、インセンティブを与える施策であるSNSキャンペーン。今やSNSユーザーにとってSNSキャンペーンは馴染みあるものになり、TwitterやInstagramを中心に、日々たくさんのキャンペーンが実施されています。

また、企業の公式アカウントをフォローするきっかけとしてもっとも多いのが「SNSキャンペーン」であるというアンケート結果もでており、SNSキャンペーンは生活者との接点創出に力を発揮する施策であると言えます。

プラットフォームごとに実施できるキャンペーン形式や、好まれるコミュニケーションは違いますので、キャンペーンを行う目的をしっかり定め、目的にあったキャンペーン形式・プラットフォームの選定を行うことがポイントです。

SNSキャンペーンに関するよくある10の質問に答えた記事はこちらです。
SNSキャンペーンについて、よくある質問10個に答えてみた!【マーケティング施策の「あるある」一問一答】
SNSキャンペーンの具体的な事例をお探しの方はこちらの記事をご覧ください
【2022年のSNSキャンペーン設計のヒントに】2021年注目されたSNSキャンペーン事例まとめ14選

4-4.UGC活用

また、SNS上の一般ユーザー投稿であるUGC(=User generated contents)の活用も、昨今注目したいSNSマーケティング施策の1つです。
SNS上のUGCは、生活者目線のリアルな口コミコンテンツであり、企業アカウントからの投稿や広告以上にユーザーにとって信頼しやすく、商品購入のきっかけとなるコンテンツだと言えます。

実際、60%以上の生活者が商品購入前にSNSのUGCを検索すると答えている調査データもあることから、自社商品についてのUGCをうまく取り入れれば、マーケティング施策の効果向上に繋げることが可能です。

UGC活用施策を行う上で大きな鍵となるのがどのようにしてUGCをSNS上に発生させるか。UGCを使って得たい成果によっても発生のさせ方は異なりますが、キャンペーンやモニター施策を行うことも効果的です。

SNS上のUGCは、ユーザーに口コミとして活用してもらうほか、企業のSNSアカウントの投稿コンテンツや広告のクリエイティブとしてなど、様々な活用の仕方があります。ユーザーのUGCを二次利用する場合には許諾を取ることが大切ですが、その際に発生するコミュニケーションによって関係性を深めることに成功している事例もあります。

また、UGCはSNSの中にとどまらず、広告LPやCRMなど、その他のデジタル上のコミュニケーションに活用したり、商品を発送する際の同梱物や店頭のPOPなどに使用したりするなど、幅広い施策に利用できます。

4-5.インフルエンサー施策

SNSでたくさんのフォロワーを抱えるユーザー(=インフルエンサー)に自社の商品やサービスにまつわる投稿をしてもらうのがインフルエンサー施策です。
インフルエンサーの投稿もUGCの一部ですが、インフルエンサー自身が持つ拡散力とブランド力を利用することができ、効率的に認知の拡大と好意度の醸成につなげることができます。

一方、インフルエンサーを活用した企業のPR施策にユーザーが慣れてしまったことや、一部の悪質なステマの横行などによって企業のインフルエンサー施策に対するユーザーの目は厳しくなっている傾向があります。

そのためインフルエンサー施策を行うときは、インフルエンサー自身に本当に商品を好きになってもらったり、商品の良さを理解してもらうようなコミュニケーションを心がけることが大切です。同時に、インフルエンサーの選定の際も、単純なフォロワー数だけを見て決めるのではなく、本当に自社のブランドに合っているか、自分たちのターゲットとする顧客に届きそうな人であるかを基準に選ぶことが必要です。

こうした背景から近年は、マイクロインフルエンサーと呼ばれる、フォロワーの数は多くないもののその距離が近く、エンゲージメントの高いインフルエンサーを活用する企業が増えています。
また、エンプロイー(社内)インフルエンサーと呼ばれる、SNS上での発信力がある自社の社員を活用したインフルエンサー施策も注目されています。

インフルエンサーマーケティングの具体事例とポイントをご紹介!
インフルエンサーマーケティングの成功事例11選&ポイント解説【施策目的別】

4-6.ソーシャルリスニング

SNS上にある顧客の声を収集し分析して活用する施策であるソーシャルリスニング。
企業主導で行う顧客アンケートとは異なり、SNS上の自然な発言を集めるため、自社製品やブランドに対するリアルな感想を知ることが可能です。

例えば、自社製品やブランドに対し顧客が自分たちの想定外の価値を感じているようであれば、広告コミュニケーションなどの訴求内容の改善に生かすことができます。
また、顧客アンケートではなかなか正直に回答してもらいにくい、製品やサービスに対する不満なども、SNS上の投稿ならより顧客の本音に近いものを集められるので、より的確な製品・サービス改善につながります。

そして、ソーシャルリスニングは顧客の声を知るだけではなく、潜在顧客層の洗い出しをして商品のターゲット層を明確にしたり、SNS上で炎上しそうな自社に対するマイナスな意見に対して早い対策を講じる助けにもなります。

ソーシャルリスニングを効率的に行うためのツールやクラウドサービスもたくさん存在しています。施策を行う際にはこうしたマーケティングツールをうまく活用しながら進めていくことがポイントです。

5.SNSマーケティング・プラットフォーム別解説①Twitter

現在日本国内におけるTwitterのアクティブユーザーは4500万人(2017年10月時点)。10代・20代の若年ユーザーが多い傾向がありますが、30代のユーザーも36%います(※4)

Twitterは即時性が高いメディアであり、最新の情報を求めるユーザーが多いのが特徴です。Twitter Japanによると、月間のTwitterユーザーの67%がTwitterを使って情報検索をしていると言います(※5)

Twitterで最も利用されている検索方法はキーワード検索で、Twitterで情報を検索する72%のユーザーがキーワード検索を利用しています(※6)。企業がTwitterを利用して情報を発信する際には、「検索されやすい」キーワードを意識した発信を心がけると良いでしょう。

また、2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、Twitterを利用した情報取得や情報発信が活発に行われ、Twitterを利用するユーザーは増加(※7)しました。
Twitterでは、こうした需要の高まりに対応し、Twitter上の会話の安全性を高め、正しい情報が発信されるための取り組みに注力
同時に、24時間で消え、リツイートなどの拡散の対象とならないフリート機能のリリースなど、ユーザーのアクティブな利用と積極的な会話がうまれる土壌作りに取り組んでいます。

そんなTwitterで実施できる主な施策は①公式アカウント運用②Twitter広告③Twitterキャンペーンの3つです。

特にここ数年はユーザーの参加障壁が低いオートリプライ機能を活用したインスタントウィンキャンペーンが人気。フォロワー獲得や拡散の最大化による認知獲得だけでなく、クーポン施策などを絡めたデジタル販促に活用している事例もみられます。

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そして、Twitter社自身が、広告メニューの拡充など企業がマーケティング活動にTwitterを積極利用できるようなアップデートも多く行っていることから、Twitterは今後もますます注目のプラットフォームとなりそうです。

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6.SNSマーケティング・プラットフォーム別解説②Instagram

現在のInstagram日本国内におけるアクティブアカウント数は3300万(2019年3月時点)。
男女比をみると、男性が43%、女性が57%と女性ユーザーの方が若干多い(※8)傾向があります。Instagramは10代20代の若年層ユーザーが多いものの、30代、40代のユーザーも多く、幅広い層のユーザーと接触が可能(※9)なプラットフォームです。

InstagramもTwitterと同様に情報検索が多く行われています。Twitterではキーワード検索の利用が最も多かったのに対し、Instagramではハッシュタグ検索が盛んに行われていることが特徴で、日本のユーザーはグローバル平均の3倍近い回数のハッシュタグ検索を行っているという調査データもあります(※10)

リアルタイム性やリアルな情報を求めて情報検索を行うTwitterに対し、Instagramのハッシュタグ検索では、トレンドや流行のヒント、自分の趣味にあった商品やサービスを探すための検索が活発です。

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そんなInstagramで実施できる主な施策には、①公式アカウント運用②Instagram広告③Instagramキャンペーン④Instagramショッピングの4つがあります。

また近年Instagramは、短尺動画に特化した「Instagramリール」のリリースやストーリーズ・Instagramライブ機能のアップデートなど動画フォーマットの充実に取り組んでいます。これからのInstagram活用には、この動画フォーマットへの対応をうまく進めていくことが重要です。

そして、もう1つ。今後ますます注目の機能はInstagramショッピングです。コロナ禍においてECを利用する生活者が増えるなかで、Instagramは生活者にとって購買行動の場としての機能提供に注力。様々な新機能を提供し、Instagram上でのより良い購買体験の提供に努めています。

Instagramを活用したマーケティング施策においては、このショッピング機能をどう活用していくかもポイントとなっていくでしょう。

7.SNSマーケティング・プラットフォーム別解説③LINE

現在日本国内におけるLINEの月間ユーザー数は8,900万人。日本の人口のおよそ70%以上をカバー(※11)しています。
男女比をみると、男性が44.4%、女性が55.6%とやや女性の割合が多い傾向がありますが、ユーザーの年齢層の幅が広く、特に40〜50代のユーザーは全体の半数以上です。

LINEの強みは高い普及率とアクティブ率。その他のSNSと比較して利用する年齢層も幅広く、圧倒的なリーチ力を持っていることが最大の特徴です。

こうした強みを生かし、LINEではメッセージの送受信にとどまらず、LINEチラシ」や「LINEで予約」機能など、ユーザーの生活に密接に関わる様々なサービスの提供を実施しています。

企業向けには、広告メニューの拡充やより柔軟なデータ活用の促進、ビジネスの規模に依存しないサービスの提供などに着手。
ユーザーの生活に密接に関わる多種多様なサービスを媒介に、生活者と企業をつなぐ巨大なプラットフォームとして、LINEの存在感は今後も増していくと予測されます。

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そんなLINEで実施できる主なマーケティング施策は、①公式アカウント運用②LINEプロモーションスタンプ③LINEミニアプリ④LINE広告⑤デジタル販促施策の5つです。

特に、LINEを起点として企業がWebアプリを展開できる「LINEミニアプリ」は、LINEの強みであるアクティブなユーザーに効率的に自社のアプリ利用を促すことができる、LINEならではの施策です。

また、今後注目したいのが「デジタル販促施策」へのLINE活用です。
コロナ禍において、我々の日常のなかの様々な場面でデジタルシフトが加速。販促施策にもデジタル化が求められています。

LINEは、クーポン配布機能や、LINEチラシなどデジタル販促に活用できる機能が充実しています。

こうした機能を活用してデジタル化を進めていくことは、今後の企業の販促施策を成功させるために重要になってくるでしょう。

LINEマーケティングについてより詳しく解説している記事はこちらです。
5分でわかる!LINEを活用したマーケティングとは?特徴・手法・ポイントを解説【2022年度版】

8.SNSマーケティング・プラットフォーム別解説④Facebook

現在、日本国内におけるFacebookの月間ユーザー数 2,600万人(2019年7月)。世界では月間ユーザー数は29億人を突破(2021年09月)しています。
ユーザー層としては、日本においてはビジネス層である30代〜50代のユーザーが多く、特に50代男性の48%に利用されています(※12)

実名での登録が原則であり匿名性が低いこと、そして動画、静止画、長めのテキスト、リンクシェアなど様々な投稿フォーマットが利用できる点が特徴のFacebook。
数あるSNSのなかでもオフシャル感が強く、仕事関係の相手とのコミュニケーションのために利用するユーザーも多いプラットフォームです。

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、社会や経済が大きく変化するなかで、Facebookは「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」というミッションを元に様々な取り組に着手。
中小企業向けの助成金制度の創設やFacebookショップ機能の提供など、ビジネスや学校・地域など様々なコミュニティを積極的に支援しました。

さらに、VRやAR技術を利用したイノベーションにも注力。我々の生活のあらゆる面において急速に進むデジタルシフトに対し、Facebookならではのノウハウで対応をしています

そんなFacebookで実施できる主なマーケティング施策は①Facebookページの運用②Facebook広告③Facebookショップの3つ。

特にFacebook広告は、実名制のために正確性の高いユーザー登録情報を活用したターゲティングを実施できることが強みです。さらに、広告クリエイティブのフォーマットや配信面も豊富。広告予算や目的に応じてFacebookのアルゴリズムが働き、最適な場所に広告を自動配信させる「自動配信機能」を利用すれば広告施策の効率化も可能です。

またFacebookでは、Instagramと同様にプラットフォーム上でユーザーに商品を販売することができるFacebookショップを持つことができます。Facebookショップは無料で利用ができるため、ビジネスの規模を問わず、簡単にECページをもつことが可能です。

コロナ禍によって生活者の購買行動が変化しEC利用が進むなか、FacebookとInstagramのショッピング機能の拡充は今後も進み多様な規模のビジネスを支援しながら、ユーザーの新しい購買需要に対応していくと思われます。

Facebookマーケティングのポイントが5分でわかる解説記事はこちらです
Facebookはマーケティングにどう活用すべき?特徴・手法・ポイントを5分で解説【2022年度版】

9.SNSマーケティング・プラットフォーム別解説⑤その他注目のSNS

その他にも、様々なSNSをマーケティングに活用することができます。ここからは特に注目したいSNSについて簡単にご紹介していきます。

9-1.YouTube

動画配信プラットフォームとして多くのユーザーを抱えるYouTube。日本国内のアクティブユーザー数は約6,200万人(2018年12月)であり、週に1回以上動画を視聴するユーザーの89%がYouTubeを利用しているという調査結果もあります(※13)

YouTubeで企業が実施できる施策は大きく次の3つ。

①公式チャンネル運用
②YouTube広告
③YouTuberとのコラボレーション

YouTubeは他のSNSとは異なり、公式チャンネルに投稿した動画はストック型の情報として蓄積されていきます。お気に入り登録をしてもらえば、ユーザーにいつでも動画コンテンツを視聴してもらうこともできます。

また、ライブ配信でユーザーとコミュニケーションをとることも可能
商品の使い方やブランドの魅力を伝える動画プラットフォームとして、企業による活用も活発です。

運用しているその他のSNSでYouTube動画のリンクをシェアし、動画視聴への導線をつくる施策も効果的です。

通信会社大手・ソフトバンクの公式YouTubeチャンネルでは、同社のテレビCMや企業活動について伝える動画を公開。また、サービスや端末の使い方を丁寧に説明した動画を公開することで、オンライン上での顧客サポートを行っています。

お手本にしたいYouTubeの企業公式チャンネル30チャンネルを下記の記事で紹介しています!
【動画活用方法別まとめ】企業・ブランドのYouTube公式チャンネル30選!

また、YouTubeで人気のクリエイター(=YouTuber)に動画内でブランドや商品を紹介してもらう施策も活発に行われています。しかし、ユーザーにとってYouTuberの企業タイアップ企画が馴染みのものになる一方、ユーザーはそうした企画タイアップに慣れてしまっているという側面もあります。

YouTubeでタイアップするクリエイターを選定する際には、自社の商品やブランドとの親和性や、クリエイターに商品のポイントをよく理解してもらうコミュニケーションも大切です。

YouTubeを活用したコミュニケーション施策に注力している株式会社GROOVE Xの施策についてのインタビューはこちらです。
家族型ロボットLOVOTのGROOVE Xに学ぶ、D2Cマーケティング〜顧客とともに体験価値を作る〜

9-2.TikTok

若年層を中心に利用が拡大しているのが、短尺動画に特化したプラットフォームである「TikTok」。日本国内のユーザー数は950万人と言われています(2018年12月)。またユーザーの利用時間も増えており、この2019年から2020年にかけては79%のユーザーがTIkTokの利用時間が増えたと答えた調査結果もあります(※14)

TikTokで実施ができる施策は以下の通りです。

①公式アカウント運用
②広告
③Challenge(キャンペーン)
④Stamp

フルスクリーンで展開され、様々なエフェクトやスタンプを活用した動画クリエイティブを投稿できるTikTokでのアカウント運用は、ユーザーに楽しく商品理解を促したり、ユーザーの「やってみたい」「投稿してみたい」という気持ちを刺激するようなコミュニケーションを行うことができます。

そして、広告には「Top View」「Take Over AD」「Infeed Ad」の3つの配信面があります。アプリ起動時に配信される「Take Over AD」や、アプリ起動時に表示されそのまま自然にフィード画面に誘導する「Top View」はTikTokならではの広告メニューであり、効果的にユーザーの関心をひくことができます。

また、指定ハッシュタグの投稿を促し、ユーザーが作成したコンテンツをハッシュタグチャレンジページに集約できるのは、キャンペーン型広告メニューである「Challenge」。この機能を活用すれば、ユーザーによる拡散効果も期待でき、効率的にブランド認知を促すことができます

@mari0607_mg みんなはどんな映画を見てた??🎥参加したら豪華賞品が当たるかも!? ネトフリしか勝たん🥺👊#ネトフリこれ観てたチャレンジ #PR ♬ #ネトフリこれ観てたチャレンジ – DJ KOREMITETA
動画配信サービス「Netflix」が昨年末行った「#ネトフリこれ観てたチャレンジ」。2021年にユーザーがNetflixで観た作品をシェアするという簡単なチャレンジと、人気TikTokerを起用したpr施策でたくさんの応募が集まり、TikTok上にたくさんのUGCを生み出した。

その他、ユーザーが動画を投稿する際に使用できるオリジナルのステッカーや、フィルター、特殊効果を作成することができる「Stamp」では、自社のブランドや商品についてユーザーに楽しみながら認知や理解してもらうことが可能です。

9-3.note

「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに掲げるnoteは、この一年で利用ユーザーの成長が著しいプラットフォームです。
2020年5月には月間アクティブユーザー(MAU)が6,300万を突破( ※15)。個人・法人、プロ・アマ問わず、様々なアカウントがオリジナルの文章やマンガ、写真、音声を投稿しています。

そんなnoteを活用すれば、企業はブログのような形で情報発信をすることができます。
noteが優れているのは記事のリコメンド機能(投稿した記事に近しい属性の記事ページにレコメンド表示される仕組み)、カテゴリページの拡大など、6,300万のユーザーに届きやすい仕組みが用意されていること。また、note編集部からピックアップ記事として紹介されることでアクセスが伸びる期待もできます。

さらに、UIはシンプルで非常に使いやすく、HTMLやCSSなどの知識がなくても取り組むことができます

そして、note社サーバーを共通で利用するため、独自のサーバー構築やメンテナンスが不要。セキュリティ管理も同社が実施するなど、企業が手軽に安心して利用できる体制が整っています

法人向けに提供している有料サービス「note pro」(月額5万円/税抜)を利用すれば、独自ドメインの適用、メニューやテーマカラーのカスタマイズ、アナリティクス機能の利用など、より充実したマーケティング活動を行うことが可能です。

商品やサービスが溢れて選択肢が増える現代においては、生活者の消費・購買行動における情緒的価値の重要度が増し、商品の良さだけではなく、企業人格やその取り組みも重要な判断基準となっています。
noteを活用して情報発信をすることで、企業は生活者に自分たちの人となりや、企業姿勢を効率的に伝えることができます。

登山者向けのアプリサービス「YMAP」の公式noteは、同社の取り組みや考えについてわかりやすく伝えつつ、アプリユーザーの登山記録である「活動日記」をピックアップして紹介するなど、ユーザーとの密なコミュニケーションの場として活用されている。

企業のnote活用についてのヒントと事例を紹介したコラム記事はこちらです。
【MAU6,300万!】企業は「note」をどう活用すべき?ブログとどう違う?活用手法&事例まとめ

9-4.Pinterest

全世界で4億人のアクティブユーザーを抱え(2020年7月時点)、ミレニアル世代を中心に利用が拡大しているPinterest。Pinterestを利用すれば、ユーザーはネット上の画像を自分の「ボード」に「ピン」して集めたり、他の人のボードに貼られた画像を「リピン」するなど、自分のお気に入りの画像を集めて保存することができます。

また、今年の3月にはピックアップタブ機能の提供を開始。これは同プラットフォームがキュレーションしたトピックや人気のピンから最新のコンテンツをユーザーに知らせるものです。

そんなPinterestを活用したマーケティング施策は大きく以下の2つ。

①アカウント運用
②広告

企業はPinterest上にアカウントを持ち、自社の商品やブランドについて伝えるピンを作成して情報発信を行うことができます。
同時にすべてのピンにはURLを追加することができるため、自社のWEBサイトやECサイトへの導線作りにも効果的です

また、ピンを集めた「ボード」にわかりやすいタイトルをつけることで、ユーザーに見つけてもらいやすいアカウントとなります。

広告では「スタンダード」「動画」「ショッピング」「カルーセル」「コレクション」という5つのフォーマットの利用が可能。

特に「コレクション」はアイディアを探しにきているユーザーに対して、自社の商品やブランドを使ったライフスタイルの提案ができる、Pinterestならではの広告メニューとなっています。

Panasonicの公式pinterestアカウント。Pinterestには「料理」「レシピ」などのアイディアを求めて訪れるユーザーも多く、そうした目的をもったユーザーに対して的確に情報を提供し、ブランドとの接点を作ることに成功しています。

Pinterestを活用したマーケティング施策のポイントについて解説しています!
的中率80%?!Pinterest Predictから読み解く!2021年のトレンドと企業によるPinterest活用のこれから

10.SNSマーケティングを成功に導くポイント3つ

これまで、SNSを活用したマーケティングについて解説をしてきました。
最後に、これからのSNSマーケティングを成功に導くポイントをまとめていきます。

10-1.プラットフォームごとの特性の把握

たくさんのSNSが生まれ、利用されている昨今、それぞれのプラットフォームは区別化や独自性を高めるため、日々積極的な機能開発アップデートを実施しています。特に、昨今は、コロナ禍によって人々の生活様式や意識に大きな変化がみられ、これに対応する形でそれぞれのプラットフォームごとの特色が色濃くなっています。

こうした背景から、2021年のSNSマーケティングにおいては、プラットフォームごとの特性をつかみ、どのようなコミュニケーション設計を行うべきか、また自社にとって最適な施策は何かを考えていくことがポイントとなってくるでしょう。

10-2.動画コンテンツの活用

我々の生活におけるデジタルシフトが加速し、企業と生活者との関係においてもデジタル上の接点が重要となっています。
こうした状況において、伝えられる情報量が多く、視認性の高い動画コンテンツは、生活者に対して商品やブランドの認知・理解を促すのに効果的なフォーマット形式です。

そんなSNS上での動画マーケティング施策でポイントとなるのは、メディアに馴染むこと。
スマホからの利用が主であるSNSにおいて、動画を閲覧するときのユーザー心理を汲み取り、メディアや配信面との違和感のない動画クリエイティブを活用することは大切です。

また他のデジタル施策と同様に、どういったクリエイティブが成果を得やすいのかのPDCAを回せる体制を整えることが成功の鍵となります。

SNSへの動画活用で注目したい「カジュアル動画」についてのインタビューはこちら
コスト削減だけではない!手軽に作れる「カジュアル動画」を活用すべき本当の理由

10-3.横断的な機能やサービスの利用

Twitterキャンペーンの実施時には広告を活用することで施策効果が増します。また、Instagramショッピングでは、投稿や広告、まとめ機能などさまざまな機能を活用することでより高い成果を上げることができます。
そしてLINEは、各サービスから得られたデータを横断的に活用する「クロスプラットフォーム構想」を推進しています。

このように、各プラットフォームでは提供する様々な機能やサービスを併用することで、よりマーケティングの効果を高め、有意義な施策にすることができます。

そのため、自社のビジネスがどのプラットフォームを使い、どういった目的をもってマーケティングを行っていくのかを定めプラットフォーム内の機能やサービスを最大限に活用することが重要です。

いかがでしたか?
今回はSNSマーケティングについて徹底的に解説をしてきました。ニューノーマル時代のマーケティングにおいて欠かせないものとなるであろうSNSマーケティング。
ぜひ、これからのマーケティング施策設計にお役立てください!

また、アライドアーキテクツでは2021年のSNSマーケティングの実績と2022年の展望について、企業のSNSマーケティング担当者549名にアンケートを実施。その結果をまとめた資料は無料でダウンロードいただけます。こちらもあわせてご参照ください。

※1)令和2年通信利用動向調査の結果|総務省
※2)令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
※3)2020年度 SNS利用動向に関する調査|株式会社 ICT総研
※4)Nielsen Mobile NetView 2017年9月度|ニールセンデジタル株式会社
※5)Twitterでわかる現代の消費行動パターン|Twitter Japan
※6)モバイル&ソーシャルメディア 月次定点調査(2020年6月度)|株式会社ジャストシステム
※7)Q2 2020 Letter to Shareholders|Twitter
※8)カンタージャパンによるFacebook委託調査、2018年5-6月|Facebook社
※9)モバイル&ソーシャルメディア 月次定点調査(2020年6月度)|株式会社ジャストシステム
※10)Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破|Facebook社
※11)LINE Business Guide 2022年1-6月版|LINE株式会社
※12)モバイル&ソーシャルメディア 月次定点調査(2020年6月度)|株式会社ジャストシステム
※13)動画&動画広告月次定点調査(2020年9月度)|株式会社ジャストシステム
※14)2020年度 SNS利用動向に関する調査|株式会社 ICT総研
※15)noteの月間アクティブユーザーが6,300万突破。法人利用も半年で倍増の1,600件に。|note株式会社

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SMMLab編集部

当メディアは、SaaSツールとデジタル人材で企業のマーケティングDXを支援するアライドアーキテクツ株式会社が運営しています。2005年の創業以来、ソーシャルメディア×テクノロジーを基軸にした6,000社以上への支援から得られた豊富な実績・知見をもとに、マーケティングの最新情報をアップデートし、それを実践に活かすための具体的なアイデアを記事にまとめて発信しています。