BtoB企業のマーケティング担当者にとって、資料請求数、そしてリード獲得数は重要なKPIです。

この記事では、BtoB企業におけるホワイトペーパーの効果的な作成方法と、ダウンロード数を向上させるための実践的な方法を解説します。

Web上での見込み客との接点をいかに工夫するか、そしてWebサイトを訪れてくれた人の関心をいかに引くか、といった具体的なコツも紹介。BtoB企業におけるホワイトペーパー施策を強化するための具体的なTipsをお伝えします。

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ホワイトペーパーとは

ホワイトペーパーとは、BtoBマーケティングにおいて重要な役割を果たす資料です。

企業(見込み客)が抱える課題を深く分析し、その解決策を具体的に提示する文書です。見込み客に対して自社の知見・ノウハウを示し、信頼を築くことが主な目的です。

ホワイトペーパーの役割

ホワイトペーパーの主な役割として「リード獲得」そして「リードナーチャリング」が挙げられます。

・リード獲得

ホワイトペーパーは、企業が提供するソリューション(例:BtoB SaaSなど)に関心を持つ見込み客の連絡先情報を獲得するために使用されます。

見込み客がホワイトペーパーの内容を詳しく読みたいと思ってダウンロードする際に、個人情報や勤務先企業情報の入力(氏名、メールアドレス、所属先企業の情報など)を求めます。

このプロセスを通して、自社のソリューションに関心を持つターゲットユーザーのリード情報を獲得することができます。

・リードナーチャリング

ホワイトペーパーは、リード獲得後のナーチャリングにも役立ちます。

見込み客がホワイトペーパーの内容を理解することを通して、企業との関係強化が図られ、受注確度が高い有望顧客へと育成することができます。

商談の場で顧客に対してホワイトペーパーを提供するのも有効です。ビジネス上、解決すべき課題を正確に理解してもらって、自社が提供できるソリューションに関心を深めてもらうために役立ちます。

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営業資料(サービス資料)との違い

次表は、営業資料(サービス資料)と、ホワイトペーパーの基本的な違いを示したものです。

ホワイトペーパーは主に、見込み客の関心を引き、リード獲得につなげるためのツールです。

それに対し営業資料は、製品・サービスの具体的な情報を提供し、購入決定を促すために使用される場合が多いと言えるでしょう。

営業資料(サービス資料)
特徴
ホワイトペーパー
製品・サービスのメリット、料金などを説明し、購入を促す。
目的
ビジネスの課題解決や業界の洞察を提供し、関心を喚起する。
「買う」ことを具体的に検討している見込み顧客。
対象者
購入プロセスの手前段階にある、見込み客。製品・サービスに対する関心がまだ低いかもしれないユーザー。
製品・サービスの特徴、利点、価格など具体的な情報。
内容
製品・サービスの導入事例、ビジネス課題の解決策、業界レポート、展示会・セミナーレポートなど。
製品・サービスの訴求と商談実施や購入決定への導き。
目的の焦点
課題解決の提案や、情報提供による関心の喚起。
販売プロセスの中盤、購入検討段階で使用。
利用シーン
販売プロセスの初期段階、関心を持ってもらうために使用。
製品・サービスに対する具体的な関心がある場合。
ダウンロード動機
ホワイトペーパーの内容自体に興味がある。製品・サービスへの関心は必ずしも高くない場合も。

ホワイトペーパーの作り方の基本

ここでは一例として、「課題解決型(見込み客がビジネスの課題を認識できて、その解決策がわかる)」ホワイトペーパーの基本構成を解説します。

ポイントは、以下の5点です。各ステップは、読者の関心を引き、課題に対する理解を深め、最終的には製品・サービスへの関心を高めることを目的としています。

ステップ
内容と目的
① 導入 見込み客の関心を引くために、まずは冒頭でホワイトペーパー全体の内容を要約します。解決可能な課題や、提供できる有益な情報を明確にし、読者の興味を喚起します。
② 問題提起 見込み客が抱えているであろう課題について問題提起し、詳細に掘り下げます。読者の共感を促し、課題解決への期待を高めます。
③ 解決策の提示 提起した問題に対する具体的な解決策を提示します。実際の成功事例の紹介なども交えて、読者の共感を深めます。
④ 製品・サービス情報 解決策を実行するための製品・サービスを紹介します。製品情報の提示(スペックや価格など、詳細な訴求)は、ターゲット読者の購入検討度合いを想定して調整しましょう。
⑤ 結論 前段で提案した解決策が最適である理由を明確に伝えます。

また、冒頭の「①導入」と末尾の「②結論」部分だけでもホワイトペーパーの内容が理解できるよう、最も伝えたいポイントを簡潔に盛り込むことが重要です。

ホワイトペーパー作成時のポイント

ホワイトペーパーを作成する際に考慮すべき重要なポイントをお伝えします。

取り入れると良いポイント

まずは、ぜひ取り入れてほしいポイントを紹介します。

ホワイトペーパー提供の目的を明確にする

ホワイトペーパーを提供する目的を明確に設定することが重要です。

<例>

  • リード獲得
  • ブランドや製品・サービスの認知度向上
  • 製品・サービスの理解促進

など、目的に応じて、まとめるべき内容、一番主張したいポイントは変わってくるはずです。よって、内容を練り始める前に、「ホワイトペーパーという接点をきっかけに、見込み客のどのようなアクションを引き出したいのか?」「次のアクションにつなげるために、最適な主張は?」と、ゴールから逆算して企画を進めていきましょう。

ターゲット設定と、テーマ決め

ターゲットオーディエンス(どのような人にホワイトペーパーをダウンロードしてほしいか)を明確にし、読者の関心・ニーズに合わせたテーマを選定しましょう。

<例>

  • IT業界で、直近、ビジネス上の悩みを抱えている人にダウンロードしてもらいたい。
    直近の悩みとは、リモートワーク定着に関する悩みを想定。
    社内コミュニケーションがうまくいかないことに関して悩んでいる。
    そのような悩みを抱えている企業の担当者に、自社が提供するコミュニケーションツール(SaaS)のことを知ってほしい。

できるだけ鮮明にオーディエンス像を描くほどに、伝えるべきゴールも的確になり、読者に「刺さる(ニーズに合っていて、深く共感できる)」コンテンツ制作を図れるでしょう。

▼SMMLabが提供しているホワイトペーパーの一例

Webからのリード獲得をミッションとしている担当者に、動画という具体的な手段で競合と差をつける方法をノウハウとして提供するEbookを用意している

読者が惹かれるタイトルの作成

ホワイトペーパーに関心を持ってもらい、実際にダウンロードしてもらうためには、読者の注意を強く引き、関心を喚起するタイトルが必須です。

タイトルを付ける際には「ホワイトペーパー全体の内容を要約したもの」であり、なおかつ「読者にとってのメリットを示唆するもの」を意識して作成してみましょう。ダウンロード意欲を刺激できることがポイントです。

見やすいレイアウトに工夫する

ホワイトペーパーの内容をまとめていく際には、読者にとっての読みやすさ(視認性)を考慮したレイアウトを心がけましょう。

テキストばかりで「読んで理解するのに時間がかかるな…」などと思わせるのではなく、画像やグラフも適度に挟み、重要なポイントは強調して特に目立たせるなど、視覚的にアピールする工夫も必要です。

▼SMMLabが提供しているホワイトペーパーの一例

図やグラフも挟みつつ分かりやすく情報をまとめる工夫をしている

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読了後、次のアクションへ誘導

ホワイトペーパーの終盤まで読んでくれた読者を次のステップへと導くための行動喚起(CTA)を明確に記載しましょう。

例えば、問い合わせフォームへのリンクや製品詳細ページへの誘導などが考えられます。

適切なページ数

ホワイトペーパーのボリュームは、ターゲットオーディエンスによって異なります。

自社とはじめて接点を持つユーザーを想定している場合は、課題や解決策を端的に把握できる短めの内容がおすすめです。

一方、既に自社に対してある程度関心を持っている見込み顧客に向けたホワイトペーパーならば、業界動向や、課題の深掘りなど、より充実した内容が適していると言えるでしょう。

NGポイント

ホワイトペーパー自体のクオリティを担保しなければ、わざわざ手間を掛けてダウンロードして読んでくれた読者を落胆させ、自社に対する信用低下を招いてしまうリスクも。「ホワイトペーパー制作で、やってはいけないポイント」もあらかじめ理解しておきましょう。

専門用語の多用

専門用語は読者にとって理解が難しく、内容の理解を妨げる可能性があります。専門用語の使用は避け、なるべく平易な言葉に噛み砕いて説明を記載するか、必要な場合は用語の定義や説明を必ず加えましょう。

話の展開がロジカルでない

話の展開がロジカルでない場合、読者が混乱し、メッセージの伝達力が弱まってしまいます。

  • 結論から伝える
  • 根拠を示す
  • 具体例を示す
  • 結論の再強調

といった明確な構成と論理的な流れを持たせ、読者がスムーズに内容を理解できるようにしましょう。

製品・サービスの「押し売り感」を出してしまう

製品・サービスの「価格訴求」「機能訴求」ばかりが並ぶなど、販売促進の内容が強いと、見込み客に抵抗感を与え、関心を深めてもらえない可能性も。
読者がまずはビジネス上の課題に気づくこと、その解決策を発見できることに焦点を当てるようにしましょう。

制作したホワイトペーパーのダウンロードを促す方法

ホワイトペーパーのダウンロードを促進するための具体的な方法として、以下5つが考えられます。それぞれ、具体的にどうやってダウンロードを促すことができるか、ポイントをお伝えします。

①オウンドメディア

自社のWebサイトやブログに、ホワイトペーパーを提供している旨を掲載。ホワイトペーパーの内容と関連性の高いコンテンツ内に、ダウンロードリンクを設置します。

また、WebサイトやブログのSEO対策も重要です。検索ユーザー(特定のキーワードで情報収集をしていて、ビジネス上の悩みを解決しようとしているユーザー)を強力に引き付けることができるよう、コンテンツのキーワード対策にも取り組みましょう。

そのキーワードで流入したユーザーにとって有益なホワイトペーパーを自然な流れで案内できれば、ダウンロードをする確率も高まります。

②メールマガジン

既存顧客のメールリストに対して、ホワイトペーパーの提供を案内するメールを送信します。メール本文では内容の一部を紹介し、ダウンロードリンクを設置して入手を促します。この手法は、すでにリードを獲得できている顧客に向けたナーチャリングとして有効でしょう。また、ホワイトペーパーのダウンロードをきっかけに、既存のリードでまだ受注に至っていない顧客が、今どんなテーマに関心があるかを把握して営業やマーケティング活動に役立てることも可能です。

③広告

「Facebookリード獲得広告」「LinkedInリード獲得広告」といったソーシャルメディア広告を活用し、SNSでビジネスの情報を収集しているターゲットオーディエンスに直接アプローチします。ユーザーの興味・課題に基づいた広告を配信し、広告から直接ホワイトペーパーをダウンロードできるリンクを提供します。

④セミナーの際の参加特典に

オンラインまたはオフラインのセミナーで、参加者にホワイトペーパーを特典として提供します。「セミナーに参加したことで、ビジネスの課題解決につながる有益な情報を詳細に得られた」と感じてもらうことが重要です。セミナーの付加価値を高め、製品・サービスに対する参加者の関心を引くのに役立つでしょう。

セミナー参加後のアンケート回答者にのみホワイトペーパーを提供する仕組みにすれば、アンケート回答率のアップにも有効です。

⑤オフラインでの営業活動に

見込み客のもとへ営業活動の一環で訪問した際や、展示会、あるいは同業者の交流会といった機会も考えられます。ホワイトペーパーを提供していることを紹介し、ダウンロードを促します。名刺交換時にQRコードやダウンロードリンクを提示すると、案内を受けた相手もその場でスムーズにダウンロードしやすいでしょう。

ホワイトペーパーのダウンロード数をアップさせるコツ

ホワイトペーパーのダウンロード数を増やすためには、Web上での見込み客との接点を充実させることが重要です。ビジネスの課題や疑問を解決すべく、情報収集を行っている見込み客に向けて「ここに、解決につながる情報があります」とわかりやすく、端的にアピールする必要があります。

①Web上で見込み客との接点を充実させる

たとえば、自社製品・サービスの公式サイトにブログを設置し、継続的に情報を発信することが効果的です。ビジネス上の課題に関して情報収集を行っているターゲットユーザーに対して有益な情報発信を継続的にできれば、その結果として長期的に、自社のコンテンツに信頼が生まれ、新たな訪問者を引き付ける役割を果たします。必ずしも特定の製品・サービスに話題を限定せずとも、業界全体に関連するテーマでオウンドメディアを運営することで、潜在顧客との接点を作ることができ、彼らの関心を引くことができるでしょう。

たとえば弊社・アライドアーキテクツが運営している当Webメディア「SMMLab」にも、ホワイトペーパーダウンロードのページがあります。

「SMMLab」は日頃から、企業向けにマーケティング関連の情報を発信しています。ホワイトペーパーダウンロードのコーナーでは「SNS活用事例集」「動画活用事例集」「UGC活用事例集」といった、企業のマーケティング施策に関連するホワイトペーパーを多数設置。読者が関心を持った際には、「氏名」「メールアドレス」「電話番号」「会社名」などを入力することで、無料ダウンロードできる流れとしています。

重要なポイントは、オウンドメディアのコンテンツとホワイトペーパーの内容が連携していることです。

ユーザーがブログ記事やWebサイトの内容に興味を持った際に、関連するホワイトペーパーへと自然に誘導することで、ホワイトペーパーへの関心を高め、ダウンロード数の増加につなげることができるでしょう。

▼例:「BtoB」がテーマの記事では、関連するテーマの「リード獲得マーケティング」のノウハウをまとめたホワイトペーパーを紹介

②資料請求ページに動画を掲載する

ホワイトペーパーのダウンロード数を増やすための効果的なアプローチの一つとして、資料請求ページに動画を掲載する方法があります。

弊社・アライドアーキテクツでは、資料請求フォームのページに動画を埋め込む試みを実施したことで、顕著な成果が得られました。ページから資料請求を完了するコンバージョンレート(CVR)は、約1.47倍に向上しました。

動画の効果的な活用でユーザーの関心を引き、ホワイトペーパーのダウンロードに直接、貢献することが伺えます。動画は資料の内容を簡潔に紹介し、ユーザーに資料の価値を理解してもらう効果的な手段となり得ると言えるでしょう。

③ダウンロードボタンにアニメーションを加える

ホワイトペーパーのダウンロード数を増やすためのもう一つの効果的な方法は、ダウンロードボタンにアニメーションを加えることです。これはメールマガジンやWebサイトで特に効果を発揮します。

アライドアーキテクツでは、メールマガジンやWebサイト上のダウンロードボタンにアニメーションを加えることで、ユーザーの注意を引き、クリック率を大幅に向上させることに成功しました。

具体的には、メールマガジン内に、アニメーション加工されたCTAボタンを使用。結果は、従来の静止画CTAと比較して、クリックスルーレート(CTR)が平均1.7倍に向上しました。

また、Webサイト上の「資料請求」ボタンにもアニメーション加工を施した結果、CTRが1.35倍に増加しました。

ダウンロードボタンに動的な要素を加えることで、ユーザーの関心をより強く引き、ダウンロードへの導線を強化することができます。アニメーションは、行動を促す強力なツールとして機能すると言えるでしょう。

BtoBマーケティングで迅速に成果を獲得するには

BtoBマーケティングで迅速に成果を獲得するためには、Webサイト、メールマガジン、広告デザイン、セミナー申し込みページ、ブログ記事、ホワイトペーパーなど、多様なチャネルの効果的な活用が不可欠です。

それぞれのユーザー接点で、ユーザーに響く内容を提供できているかどうか、実際に成果はどうだったか、データに基づいて検証し、継続的な改善を行うPDCAサイクルの実施が重要です。

しかし、マーケターやデザイナーがコンテンツ制作に時間を取られすぎていると、PDCAサイクルの実行に十分に手が回らない状況もあるでしょう。

「Webサイトやメルマガで、ホワイトペーパーの請求数を増やしたい」
「人手が足りない中でも、迅速に結果を出したい」
「ユーザーからのアクションを、もっと引き出したい」

といった悩みを抱えているなら、ITツールの活用も有効です。

ひとつの手段として、Webサイトやメルマガに設置できる動画・アニメーション素材を簡単に制作できるツール「LetroStudio」をおすすめします。マーケター自身が施策の目的に合わせて動画やアニメーションを短時間で制作し、すぐにコンテンツなどで活用することが可能になります。

効果的なツールの活用によって、素早く成果を獲得することが重要です。

この記事の著者

景山 真理

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、Webメディア・紙媒体で活動しています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、デジタルトランスフォーメーション。
Website:Mari Kageyama Writing Works