今、多くの企業が注目している「インフルエンサー・マーケティング」ですが、成功させるには、どうすれば良いのでしょうか?
インフルエンサーのキャスティングなどを手がける株式会社N.D.Promotionの担当者に成功の秘訣を聞きました!

 

 
 
SNSユーザーの増加に伴い、クチコミを起点に商品やサービスのプロモーションを行う「インフルエンサー・マーケティング」に注目が集まっています。一方、「効果的にインフルエンサー・マーケティングを行うには、どうすれば良い?」「誰に、どのように依頼すれば良いのか分からない」と言った悩みを抱える企業も少なくありません。
 
そこで今回、インフルエンサーのキャスティングからプロモーション支援まで手がける株式会社N.D.Promotionの戸高純さんに、インフルエンサー・マーケティングを成功に導く秘訣をうかがいました。同社がキャスティングやイベント支援などを行った、コスメブランド「メイベリン ニューヨーク」のプロモーションキャンペーンの成功事例にそって話を掘り下げます。
聞き手:アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部 金濱 壮史
 
 

株式会社N.D.Promotion アカウントプランナー 戸高 純 氏

 

アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部 金濱 壮史(かなはま たけし) 

 
 

「メイベリン ニューヨーク」のインフルエンサー・マーケティング成功事例

 
金濱:本日は、インフルエンサー・マーケティングを成功させるポイントについて、お聞きします。よろしくお願いします。
 
戸高:よろしくお願いします。
 
金濱:まずは、御社の事業概要について、教えていただけますか?
 
戸高:弊社は主に原宿系・青文字系のモデルをマネジメントしている芸能事務所です。10代から20代前半に人気のインスタグラマーを中心に、いわゆるインフルエンサーと位置付けられるモデルも所属しています。プロモーションイベントのキャスティングや企画の考案、販促物の制作まで手がけており、最近ではコスメブランド「メイベリン ニューヨーク」さんのイベントをご支援しました。
 
モデルのマネジメント事業とは別に、10代後半~20代前半の女性をターゲットとしたウェブメディア「Nom de plume(ノンデプルーム)」も運営しています。「Nom de plume」では現役女子高生も読者ライターとして若者トレンドを発信しており、編集部が監修する形で運営しています。
 

ティーン向けWEBマガジン「Nom de plume(ノンデプルーム)」
http://www.nomdeplume.jp/

 
金濱:「メイベリン ニューヨーク」のプロモーションイベントでは、インフルエンサーのキャスティングや企画の支援を行い、インフルエンサー・マーケティングにおいても成果を上げたと聞きました。どのようなイベントだったのか、あらためて教えてください。
 
戸高: 8月から9月にかけて、「メイベリン ニューヨーク」の新作コスメのプロモーションキャンペーンをご支援しました。スマホネイティブである10代〜20代前半の女性のブランド認知度を高めることなどが目的です。
 
この企画の特徴は、ウェブと冊子、リアル店舗が連動したこと。例えば、イベント限定の冊子を作り、輸入生活雑貨店「PLAZA」の全国10店舗の店頭で配布しました。また、「メイベリン ニューヨーク」のプレスルーム「メイベリンハウス」では、新作コスメを体験したり、「Nom de plume」の所属モデルと一緒に撮影したりできるクローズドパーティーも開催したんです。このクローズドパーティーには抽選で選ばれた現役女子高生など、「Nom de plume」の読者約100人が参加しました。さらに、「Nom de plume」でイベント記事などを配信し、キャンペーンを拡散しました。
 
金濱:冊子とリアルイベント、ウェブを組み合わせたのは何故でしょうか。
 
戸高:単純なデジタル上のプロモーションだけでなく、冊子やリアルイベントも行うことでターゲット層のブランド認知拡大効果が最大化すると判断したからです。ターゲット層と親和性が高い「PLAZA」の店頭で冊子を配れば、より多くのユーザーにリーチできます。そして、クローズドパーティーのようなリアルイベントを開催することで、深い体験も提供できる。リアルとデジタルを組み合わせて、多方面からターゲットにアプローチする手法は、これからますます重要になると思います。
 
金濱:今回のプロモーションに関して、SNSでの拡散効果はいかがでしたか?
 
戸高:成果の一例をあげると、「メイベリンハウス」で開催したクローズドパーティーでは、参加したモデルや女子高生などがたくさんの写真をSNSに投稿してくれて、Instagram上にハッシュタグ「#maybellinehouse」の投稿が約200件、新商品のキャッチコピー「#まつげにガールズパワー」の投稿は72件集まりました。
 

「Nom de plume × MAYBELLINE」イベントの様子とハッシュタグ投稿

 
 
金濱:冊子の制作など、クリエイティブ制作もN.D.Promotionが手がけたそうですね。
 
戸高:はい。女性誌などで活躍しているクリエイターなどが冊子の制作に携わりました。10代〜20代前半の女の子が「かわいい」と感じるクリエイティブはどのようなものなのか、大人には理解しにくいものです。制作物に対して「ダサい」という印象を持たれてしまうと、PR効果が高まらないどころか、ブランドを毀損しかねません。ですから、若い女の子達の価値観を肌感覚で理解しているクリエイターに制作を任せることが重要なんです。このことは、SNSで拡散を狙う上でも、非常に大事なポイントです。
 

「Nom de plume × MAYBELLINE」冊子

 

フォロワー数だけでインフルエンサーを選ぶと失敗しやすい

 
金濱:「メイベリン ニューヨーク」の事例を踏まえて、インフルエンサー・マーケティングを成功させるポイントを深掘りしていきたいと思います。まず、ハッシュタクグ付きの写真をユーザーに投稿してもらうには、どうすれば良いのでしょうか?「メイベリン ニューヨーク」のイベントで意識したことや工夫したことなどがあれば教えてください。
 
戸高:参加者が楽しめる世界観を、本気で作り込むことが重要です。「メイベリンハウス」のように空間全体を使って世界観を設計していると、写真が投稿されやすいですね。韓国のファッション・コスメブランド「STYLENANDA」が東京・原宿で運営しているフラッグシップショップ「スタイルナンダピンクホテル」なども、良いと思います。
 
フォトフレームを設置するとか、壁の一部にイラストを描くとか、そういった小手先の演出ではインスタグラマーは満足しません。一方、空間全体の世界観が作りこまれた施設では、来場者は感動し、たくさんの写真を撮り、SNSに投稿します。そして、投稿者が本気で良いと感じた写真は、結果的にSNSでクチコミが拡散しやすいはず。空間全体を設計するとコストがかかりますが、オーガニックの投稿と拡散が増えることが期待できるので、結果的に費用対効果が良いこともあると思います。
 

 
金濱:インフルエンサー・マーケティングに取り組む企業の悩みの一つとして、どのインフルエンサーに依頼すれば良いかわからないという課題があります。インフルエンサーをキャスティングする際の注意点はありますか?
 
戸高:PRしたい商品やサービスと親和性が高いインフルエンサーをキャスティングすることが大切です。商品とインフルエンサーのミスマッチが起こると、PR効果が出ないどころか、逆にフォロワーからステマだと思われて、企業とインフルエンサー双方のブランドに傷がつきかねません。
 
単純にフォロワー数が多いという理由でインフルエンサーを選ぶと、失敗することも多いです。そのインフルエンサーが過去にどのような投稿をしてきたのか、どんなキャラクターなのかといったことまで、しっかり理解して選ぶべきでしょう。この辺りは、インフルエンサーに依頼するクライアント側にも注意が必要だと感じます。
 
金濱:インフルエンサーと親和性が低い商品のPRの依頼が来た場合、御社は依頼を断ることもあるのでしょうか?
 
戸高:それは、ありますよ。プロモーション効果が期待できないものは、きちんとお断りした方がクライアントにとってもメリットがあるはずですから。また、インフルエンサーのキャラクターイメージに合わない投稿内容の依頼がきたときは、内容を変更できないかクライアント側と相談しますし、インフルエンサーのブランド価値を棄損する案件は断ります。
インフルエンサー・マーケティングというのはそもそも、インフルエンサーに対するフォロワーの信頼があってこそ成り立ちます。「このインスタグラマーがオススメしている商品なら、自分に合うだろうし、使ってみたいな」とフォロワーが感じるからこそ、他の広告よりも高いパフォーマンスを発揮する可能性があるわけです。ですから、インフルエンサーのイメージに合わないPRは避けるべきなんです。
 
プロモーション効果が高まるキャスティングを行うと同時に、PR案件の内容をきちんと見定めてインフルエンサーのブランド価値を守ることも、プロダクションの重要な役割の一つだと考えています。
 

 
金濱:逆に、インフルエンサーと商品の親和性が高いと、プロモーション効果も高まるのでしょうか?
 
戸高:その通りです。インフルエンサー自身が本当に良いと感じた商品なら、PR案件でも積極的にオフショットを投稿したり、フォロワーに薦めたりしますよ。
 
「メイベリン ニューヨーク」のイベントが良い例ですが、インフルエンサーたちがイベントを楽しんでいたため、オフショットも自発的に投稿していました。クライアント側もインフルエンサーに投稿内容を強制しなかったからこそ、うまくいったのだと思います。
 
金濱:大事なことは、インフルエンサーが自分の言葉で語りたくなる環境を整えることだと。
 
戸高:それは、すごく大切だと思います。インフルエンサーが本音で語っていないと、フォロワーの心は動かないですよね。だから、どうすればインフルエンサーが商品を好きになってくれるか、イベントを本気で楽しんでくれるのか、その辺りをよく考えてイベントの内容を工夫することが必要だと感じています。
 

 
 
 

人気になるインフルエンサーはどんな人?事務所の役割とは?

金濱:御社にはたくさんのインフルエンサーが所属していますが、人気が高いインフルエンサーに共通点はありますか?
 
戸高:SNSの媒体によって求められる特性は異なりますが、欠かせない要素はセルフプロデュースの力でしょうね。あとは、SNSの媒体の特徴に合わせて、フォロワーが増える施策をきちんと継続していると人気がでます。例えば、Instagramでは、おしゃれなスポットに行き、写真を撮るのが上手いとフォロワー数が伸びやすい。
 
Twitterなら、どんどん自分の内面的な部分を出していくと、ファンが増えやすいという特徴もあります。等身大でがんばっている子は、ファンが応援してくれやすいんです。あとは炎上を避けるスキルも必要ですね。
 
金濱:炎上を避けるために、所属するインフルエンサーのマネジメントで注意していることはありますか?
 
戸高:投稿内容については、しっかり指導しています。例えば、不用意に見ず知らずの人と写真を撮らないようにするとか、未成年なら、自分がお酒を飲んでいなくても、絶対にお酒の缶が写真に写り込まないようにするとか。悪いことをしていなくても、フォロワーの勘違いによって悪評が広がってしまうことはありますから。
 
金濱:炎上などを防ぐ意味でも、事務所によるマネジメントは重要ですね。
 
戸高:10代の女の子たちに、社会のルールや常識を守ってもらい、他者への誹謗中傷などを防ぐには、やはり会社がしっかりマネジメントすることも大切です。
 
また、先ほどインフルエンサーのブランド価値を毀損しないように案件を吟味すると言いましたが、その点でも事務所が果たすべき役割は大きいと思っています。フリーランスとして活動しているインスタグラマーやユーチューバーの中には、クライアントからの依頼をやみくもに受けてしまったために、本人のキャラクターのイメージが崩れたり、短期間で露出しすぎたために飽きられてしまったりするケースが目に付きます。クライアントとの条件交渉や、自身のブランディングを個人で行うことは簡単ではありません。インフルエンサーとして長く活躍できるように、事務所がしっかり守ってあげることが大切だと考えています。
 
金濱:今回伺ったお話から、インフルエンサー・マーケティングの可能性や、成功させるためのヒントを見つけることができました。本日はありがとうございました。
 


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