新型コロナウイルス感染症の影響を受け、私たちの「外食」に対するニーズは一変しました。現在、外食業界・飲食店は、急速に変化する消費者ニーズへの対応が求められています。

そのような中、飲食店への集客ツールとして広く活用されている「LINE」は、2020年10月15日に中堅・中堅企業向けにイベント「LINE SMB DAY」を開催、新生活様式に対応するさまざまな新機能や事例を紹介しました。

今回の記事では、本イベントの中から「外食業界・飲食店向け」のLINEの新サービス・新機能の内容と、現在LINEを活用して集客の効果を上げている飲食店の事例をご紹介します!

外食業界・飲食店が押さえておくべき「LINE」8つの新サービス・新機能

LINE公式アカウントは、多くの飲食店の集客に利用されているサービスです。2020年9月時点でLINE公式アカウントのアクティブアカウント数(月に1度以上機能を利用している認証済みアカウント)は24万にものぼり、その内の18%が飲食店・レストランのアカウントです。

今回の「LINE SMB DAY」では、外食業界・飲食店のLINE公式アカウント活用がより便利になるさまざまな新サービスや新機能が発表されました。

1.LINEで予約(2020年11月16日提供開始予定)

「LINEで予約」は、LINEが持つ店舗情報ページや店舗が持つLINE公式アカウントのプロフィールからオンラインでの即時予約や、LINEのトークを通じた有人または自動応答での予約が可能なサービスです。

ファーストパートナーとして有料加盟店49,469店(2020年9月時点)を持つ「ぐるなび」と連携、「ぐるなび」加盟飲食店のうち、席のみ指定でのオンライン即予約に対応している店舗において、LINEからの予約が可能となります。LINEアプリ内の店舗情報ページや店舗の持つLINE公式アカウントのプロフィールページなどに予約ボタンが掲出され、ユーザーはアプリを切り替えることなく、LINEの中で直接予約をすることができます。

予約した際の「予約完了メッセージ」、予約日直前の「リマインドメッセージ」、店舗訪問後の「レビュー案内」などの各種通知がLINEのメッセージで自動的に配信されるため、ユーザーは予約情報を確実に確認でき、ノーショー対策につながります。

2.LINEプレイス、LINE内で店舗の検索が可能に(2021年2月以降提供開始予定)

2021年2月以降には、LINE内で飲食店などのお店を探すことができるサービス「LINEプレイス」もスタート予定です。

本サービスの中で特に目玉になる機能が「コレクション」です。ユーザーが複数の店舗をリスト化し、それをトークルームで友だちに共有することが可能です。これにより、ユーザーは外部サイトに移動することなく、LINEのトークルーム内でスムーズにお店選び~予約まで行うことができます。

またこのコレクションは「公開/非公開」を選ぶことも可能であり、公開されているコレクションは誰でも見ることができます。今後LINE内で独自の観点でお店をキュレーションする「インフルエンサー」も登場するかもしれません。

3.LINEコールの機能が拡充 有料で固定電話への転送も可能に

2020年7月に、LINE公式アカウントに新機能「LINEコール」が追加されました。これは店舗のLINE公式アカウント経由で、LINEの電話を使って店舗にコールができるもの。音声通話だけでなく、ビデオ通話も可能なため、店舗側はビデオ通話を使って実際に店内の様子をお客様に見せながら予約を取るなどの対応が可能になります。7月開始以降、すでに7万件以上のLINE公式アカウントがこの機能を設定しています。

さらに、2020年9月末にはLINEコールを固定電話に転送する機能を一部の有料プランで開始しました。日中の営業時間中はLINEのチャット対応が難しい、スマホが手元にないなどの場合でも、固定電話でユーザーから連絡を受けることでタイムリーに漏れなく問い合わせに対応できるようになります。

4.支払いリンク機能、LINE公式アカウントからも発行可能に(2020年内提供開始予定)

2020年7月に、テイクアウトの事前注文やデリバリー注文などの際に、LINE Pay加盟店のMy Pageで支払い用リンクを発行してLINE等のメッセージで送れる機能のプロトタイプ版がリリースされました。

2020年内には、さらにLINE公式アカウントの画面内「支払いリクエスト」からLINE Payの支払い用リンクを発行してメッセージ上に送れるようになる予定です。これにより、LINE PayとLINE公式アカウントはよりシームレスに繋がるようになり、LINEを通じてユーザによりスムーズな決済体験を提供できるようになります。

5.LINE広告、ターゲティングが拡充、電話番号・メールアドレスや半径(3km~)を指定して広告出稿が可能に

8,600万人(2020年9月時点)のユーザーにリーチできる運用型広告「LINE広告」は、2019年11月にセルフサーブ型での提供を開始以降、アカウント開設数が拡大しており、飲食店も含め現在多くの中堅・中小企業にも利用されています。

LINE広告にはさまざまな機能が追加されており、ターゲティングも従来の年齢・性別などに加えて、電話番号・メールアドレスや半径指定、収入などの情報も指定できるようになりました。

これにより、一度訪問したことがある顧客の電話番号リストを指定しての広告配信や類似拡張、またお店の近くに住んでいるユーザーを指定しての広告配信などが可能となっています。

6.LINE Tagにより、LINE経由のユーザー行動が可視化できるように

従来はLINEのメッセージ内での外部サイトのクリック数などは計測できましたが、メッセージから遷移した外部サイトでの行動履歴などは取得できませんでした。

今回、LINE Tagの開始により、企業は自社サイトにLINE Tagを埋め込むことで、LINE公式アカウントのメッセージを経由したユーザーがサイトで予約や注文をしたのかなどの行動を可視化できるようになります。それにより、今後のLINE公式アカウントでの最適なメッセージ運用が可能です。

さらに、2020年内には、このLINE Tagを活用し、ユーザーの外部サイトでの行動履歴をもとにしたLINE広告配信もできるようになります。

7.ステップ配信機能により、ユーザー行動起点でメッセージの自動配信が可能に(2021年以降)

2021年以降には、予め設定したセグメントに対してシナリオを設計し自動的にメッセージを配信する「ステップ配信機能」のリリースが予定されています。

例えば、LINE公式アカウントを友だち追加した30代女性ユーザーに「友だち追加の1日後」にお店の紹介をするメッセージを配信する、そのメッセ―ジを読んでサイトに訪問したが予約完了していないユーザーには3日後にクーポンを配信するなど、ユーザーの行動を起点にシナリオを設計し、自動化してメッセージ配信することができます。

このステップ配信機能は二段階でのサービスリリースが予定されており、2021年初旬以降には「友だち追加」を起点としたメッセージ配信が可能に、2021年春以降には「メッセージクリックやコンバージョン」を起点としたメッセージ配信が可能になる見込みです。

8.LINEマーケットプレイス(2020年10月15日より提供開始)

LINEマーケットプレイスは、企業のLINE活用をサポートするさまざまなパートナ企業のサービスを探し、その場でオンラインで申し込みができるサイトです。申込み後は、LINE公式アカウントとサービスを連携することで、すぐに利用が可能となります。

第一段階では14社19アプリが参加、月額3千円~10万円くらいまでのバラエティに富んだサービスが紹介されています。飲食店向けには、テイクアウトの注文~決済までをサポートするアプリや、オフラインでの来店者を追跡できるアプリなどが提供されています。

今後参加パートナー企業やアプリがさらに拡充されていく予定です。また、アカウントのメッセージ配信設計やクリエイティブ制作、レポーティングなどの運用をサポートするパックもこのLINEマーケットプレイスで提供されていく見込みです。

LINEマーケットプレイス:https://line-marketplace.com/jp/app/

事例紹介:熊本のらーめん屋「黒亭」、LINEで餃子クーポンを配信し1,500個の注文

セッション4「地域のお店におけるLINE活用~基本機能を駆使した好事例をご紹介~」では、LINEを活用し店舗の集客やECの売上向上につなげた事例として、熊本県に4店舗を展開するらーめん屋「黒亭」の事例が紹介されました。

らーめん屋「黒亭」は、店舗とECショップ、それぞれのLINE公式アカウントを開設、運用しています。キャンペーン情報やクーポンなどユーザーに直接メリットがあるメッセージに加えて、ブランドイメージを効果的に伝えるコンテンツを配信しています。また友だち追加広告を活用して効率的な友だち獲得に努めています。

・友だち追加広告:CPF60円、友だち数は500→3,700に拡大

2019年11月から出稿を開始し、月2-3万円の出稿を続けた結果、LINE公式アカウントの友だち数は500名から3,700名となり、700%以上増加しました。また、友だち追加特典として商品をお得に購入できるように価格を設定、現在のCPF(友だち一人あたりの獲得コスト)は60円と想定より低い数値を実現しています。

・顧客の生活サイクルに合わせてメッセージ配信、餃子クーポン配信は1,500個の注文に

また、店舗とECのLINE公式アカウントそれぞれで顧客の生活サイクルに合わせたメッセージ配信を行っています。例えば店舗のアカウントでは週末の来店を促進するために毎週金曜日にメッセージを配信、ECのアカウントでは休日の購買を促進するために毎週土曜日にメッセージ配信を行っています。

その他にも、ユーザーの誕生日月に合わせたメッセージ配信なども行っています。誕生月にあわせて「餃子クーポン」を配信したところ、1500個もの注文が入ったそうです。

・リッチメニューを活用したコンテンツを配信

また、自社ブランドの公式オンラインショップ、採用ページなどリッチメニューを活用したコンテンツ配信にも力を入れています。季節などにあわせて、その時々に打ち出したいクリエイティブに差し替えながら運用しているそうです。

以上、今回の記事では「LINE SMB DAY」から、「外食業界・飲食店向け」のLINEの新サービス・新機能の内容と、現在LINEを活用して集客の効果を上げている飲食店の事例をご紹介しました!新機能を把握し上手に利用することで、LINEを集客ツールとしてより有効に活用しましょう。