(左)株式会社すかいらーくホールディングス マーケティング本部統合コミュニケーショングループ ソーシャルメディア&コンテンツチーム リーダー 吉田啓介氏
(右)株式会社すかいらーくホールディングス (以下同様) 龍康殿いくみ氏

 
ガスト、ジョナサン、バーミヤンなど、6アカウントで合計110万人超のTwitterアカウントを運用している「株式会社すかいらーくホールディングス」をゲストに迎えて開催した「公式Twitterアカウント活用術セミナー」(主催:アライドアーキテクツ株式会社)の内容をご紹介します。
 
第1部には、すかいらーくホールディングス、マーケティング本部ソーシャルメディア&コンテンツチームの吉田啓介氏と、アライドアーキテクツ鈴木悠真が登壇。鈴木が吉田氏にインタビューする形式でセミナーを進行、すかいらーくのTwitter運用開始背景から、現在の社内体制や目標設定の仕方、現在のTwitterアカウント運用戦略まで、同社のTwitter活用術について、実践的な内容を幅広く紹介しました。
 
第2部では、すかいらーくホールディングス、龍康殿いくみ氏が、「Twitter上での企業コラボ」をテーマに、同社が考える企業コラボのメリットや、企業コラボに至るまでのプロセス、企画へのこだわりなどを語りました。
 

 

■第一部
「すかいらーくのTwitter公式アカウント活用術」すかいらーくホールディングス吉田啓介氏
アイドルコラボで「Twitter」の力を実感!活用のきっかけに

(インタビュアー:アライドアーキテクツ鈴木悠真)
 
ーTwitterアカウントを開始した背景を教えてください。
 
私は現在ソーシャルメディア&コンテンツチームに所属し、ガスト、ジョナサン、バーミヤンなど6つのアカウント全ての運営や、すかいらーくアプリ、メルマガ等の担当をしていますが、初めてTwitterアカウント開設に至った2017年当時は、「バーミヤン」のブランドプロモーション担当をしていました。主な仕事内容は、季節ごとのプロモーションを企画し、チラシやニュースメディアなどの媒体ごとに予算を振り分け、結果としてどのようにして来店数を増やしていくかでした。
 
当時は主に「クーポン」を中心としたコミュニケーションをしており、いかに多くの場所にクーポンを露出させ、使っていただくかに焦点を当てていました。加えて「クーポン以外で来店いただける方法はないか」と考えていました。
 
また、バーミヤンはテレビCMなどのマスメディアに露出する予算を持っていなかったため、どうしたらより多くの方に知っていただけるかも課題に感じていました。
 
そこで取り組んだのが、「自社以外のコンテンツの力を借りる作戦」です。例えば「タレントさんやアニメとのコラボ」を実施すれば、その方々のファンにアプローチできます。
 
一番最初にTwitterアカウントを開設するきっかけとなったのが、この一環で実施したアイドルとのコラボプロモーションです。この告知を「店頭とTwitterのオーガニック投稿」を中心に実施しました。
 
すると、コラボを告知する最初のTwitter投稿が瞬く間に1万リツイートを超え、フォロワーも一気に15,000人ほど増加する結果となったのです。ファンの熱量がとても高く、積極的にコミュニケーションを取ってきてくださり、私たちが伝えようとしていることを、ファンの方がさらにその先のファンの方に伝えてくれたりする現象も起こり、売上にも変化が見えました。Twitter上でお客様とコミュニケーションが取れることを、とても楽しいと感じました。
 
これが、弊社がTwitterの力を実感する最初の出来事となりました。
 

多数の企業Twitterアカウント担当者がセミナーに参加、真剣にメモを取る様子が見られた。
(手前:インタビュアー)アライドアーキテクツ株式会社 echoes事業部 鈴木悠真

 

お客様の「脳内シェア」の向上を目指して

ーそれをきっかけに、現在Twitterのアカウントを合計6つ運用されていますが、どのような目的で活用していらっしゃるのでしょうか?
 
私たちのアカウントをフォローしてくださっている方々の中で、弊社ブランドに関する「脳内シェア」を高めることを目的としてTwitterを活用しています。
 
弊社のブランドは日常使いが多い業態ですから、例えば「歩いていたらガストの看板を目にした」「雨が降ってきたときにガストがあった」「今日のご飯何にしよう?」といった様々なきっかけで、選んでいただいていると思っています。
 
その目の前に迫った「どこでご飯食べよう?」を決めていただくときの、お客様の脳内ランキングの上位に入っていたい。Twitterで普段から弊社ブランドのロゴを目にしていただいていたり、メニューの写真を見てくださっていれば、選択肢として思い出していただけるのではないかと考えています。
 
マスメディアや折込チラシなど、他にも様々な方法はあります。加えてTwitterには圧倒的な拡散性とコミュニケーションの楽しさがあると思います。
 
 

社内の理解を得るために!

ーTwitterを実際に立ち上げるとなっても、社内からなかなか予算や人員の割り当ての承認が得られないケースが多いと聞きます。御社の場合はどのように進めてきたのでしょうか?
 
一番最初にアイドルコラボでTwitterアカウントを立ち上げた後、2018年11月にはTwitter運用の専属チームができるまでに至りますが、その過程では、工夫したことも少なくありません。
 
まずはTwitterとは何か、その価値を分かってもらうことが大事と考え、社内でTwitter講習会を複数回実施しました。タイムラインの見方を説明し、Twitterユーザーの間で普段どのようなことが行われているかを説明しました。
 
実際に触ってみてもらうのはとても大事で、それによってTwitterの理解が進んだかな、と思います。
 
また、その一環として、社内の通路に「自社ブランドに関するつぶやきの一覧がリアルタイムで流れてくるモニター」を設置したんです。お客様の生の声をリアルアイムに聴くことがいかに大事かを、社内に知ってもらうきっかけになっていると感じます。
 

株式会社すかいらーくホールディングス 吉田啓介氏
 

専属チームでTwitterを運用!目標設定、予算獲得にも一工夫

ーそのような過程を経て立ち上げた6アカウントの、現在の運用体制を教えてください。
 
今は2名体制で行っています。
 
普段の投稿数は、各アカウントで1日1投稿以上を原則としています。ブランドプロモーション担当と定例会を持ち、社内の情報を集めています。それらの情報を、すかいらーくアプリではいつ、Twitterではいつ、各アカウント毎にどのような切り口で情報を発信するかを考え、投稿内容を企画しています。
 
投稿内容のチェックにはツールを入れており、必ず「ダブルチェック」する体制を敷いています。一人が投稿予約したら、もう一人にメッセージが飛び、内容を確認してOKしたら、実際の投稿予約がされる仕組みです。その際、私の上司にもccが飛ぶように設定しています。
 
ー目標KPIはどのように設定していますか?また、それを達成するための「社内予算」を獲得するときの考え方を教えてください。
 
一番重要な指標としているのは、Twitter上でのリーチ数です。まずは、たくさんの人に知っていただくことを一番のポイントとしています。
 
そのKPIの達成には、広告やキャンペーンなどに使うための「予算」が必要です。弊社の場合は、ガスト、バーミヤンなど、それぞれのTwitterアカウントで必要な年間予算額を計算し、承認を得るようにしています。
 
Twitterでの客数効果=何人に情報を届けたい=何リーチ必要だ、という数値が出ますよね。そのために必要な予算の根拠として、弊社はデジタル広告の実績を参考にしています。バナーを見てクリックする人の割合、クリックした人の中から実際にご来店いただいた方の割合を基に、Twitterでこれだけの人数を店舗に来ていただくために、オーガニックでこれくらい、残りの部分は広告配信でこれだけのリーチが必要、そのための予算は…というロジックです。
 

企業コラボでTwitterを「みんなで盛り上げる」

ーTwitterアカウントをより有効に活用するために、現在どのようなことに取り組んでいるのでしょうか?
 
二つありまして、まず一つ目は「企業コラボレーション」の積極的な導入です。よりコンテンツの深さ、面白さを出せると考えて他社のTwitterアカウントとのコラボを開始しました。
こちらは、外食戦隊「ニクレンジャー」というコラボ企画です。
 

 
吉野家さんがある日公式Twitterで「肉関連企業5社を集めてニクレンジャーを結成する」という企画をイラストとともに「ボツ企画」として紹介したところに、弊社を含め5社が乗っかり、企画が成立しました。
 

 
これがTwitter内で大変な話題となり、結果として多くのテレビ番組にも取り上げていただきました。
 
一番大きく変わったのは「社内からの評価」でした。正直、Twitter内だけで盛り上がっていても、Twitterを普段から使う習慣のない方にはわかりにくいですが、テレビに出たことで、社内から「Twitterってすごいんだね」と声がかかるようになりました。
 
同じ外食業界の「競合同士」でコラボするのはいいの?という考え方もありますが、私たちはそこは問題に思っていません。
 
食事するのには1日3回、10日では30回のチャンスがありますが、それの全部を同じお店に来ていただくのは難しいことですよね。その内の1回でも来てくれたら嬉しいです。ですので、Twitterをきっかけに業界を一緒に盛り上げ、それぞれのお客様に「外食の楽しさ」を知っていただければ、Win-Winでいられると考えています。
 

オートリプライ・インスタントウィン形式のTwitterキャンペーンでさらなる躍進を

もう一つ、力を入れて取り組んでいるのが「Twitterキャンペーンの積極的な実施」です。春のフォロワー様感謝祭、50万人達成キャンペーン、バレンタインキャンペーンなど、季節やイベントの節目にあわせて、積極的にTwitterキャンペーンを実施することで、多くの方にフォローしていただく事、お客様の「脳内シェア」が少しでも高まることを目指しています。
 
キャンペーンを通じて、弊社のロゴや料理の写真がたくさん露出し、多くの方に目に触れていただくことで、キャンペーン参加者や、またその先のお友達にも弊社のことを少しでも頭に入れていただけたら、というのが狙いです。
 

 
ー具体的にはどのようなTwitterキャンペーンを実施しているのか教えてください。
 
Twitterプロモーションツール「echoes」を活用し、オートリプライ・インスタントウィン形式のキャンペーンを実施しています。
 
一番最初に「オートリプライ・インスタントウィン形式」のキャンペーンの力を実感したのは、一昨年の冬に参加したTwitter Japan社の企画「クリスマスボックス」の時です。オートリプライ・インスタントウィン形式にすることで、その場ですぐに結果が分かる楽しさがあると体感しました。また、通常のフォローリツイートキャンペーンよりかなり多くの反響をいただくことができました。
 
同じ形式でキャンペーンをできるツールを探しているときに出会ったのが「echoes」です。価格面でのハードルの低さ、ツールに対するサポートの手厚さが決め手となり、2018年11月より導入開始、以降継続的に利用しています。
 

アカウントをフォローし、対象の投稿をリツイートすることで参加できるキャンペーン。結果がオートリプライでその場で返ってくる仕組み。ハズれても、翌日のツイートから再度キャンペーンに参加可能。
(詳細はこちらの記事から参照可能→【リツイート数が通常キャンペーンの10倍に!】すかいらーくホールディングスが実践する「ユーザー参加型Twitterキャンペーン」の裏側

 
また、この仕組みを使うことで、ハズれてしまった参加者の方を、別のアカウントのキャンペーンに誘導できます。1日3回の食事の内、全てガストに来ていただくことは難しくても、ガスト、ジョナサン、バーミヤンなど自社グループに来ていただくのは可能性があります。キャンペーンのインセンティブを「すかいらーくお食事券」にすることで、どのブランドの店舗でもお使いいただけるように工夫しています。
 

 
また、数値面での実績も以前に比べて達成しやすくなりました。その分の時間をキャンペーンの企画などに充てることができています。
 

「echoes」を活用し、オートリプライ・インスタントウィン形式のキャンペーンを実施した結果、従来のリツイートキャンペーンの10倍以上(リツイート数)の結果が得られた。
(詳細はこちらの記事から参照可能→【リツイート数が通常キャンペーンの10倍に!】すかいらーくホールディングスが実践する「ユーザー参加型Twitterキャンペーン」の裏側

 
ー今後のTwitterアカウントの活用の展望を教えてください。
 
今後もより多くの方に「脳内シェア」を高めていただけるよう、echoesも活用しながら、リーチ数を伸ばしていきたいと考えています。また、脳内でより深く記憶に残るエンゲージの高い投稿や企画を実施できるよう、努力していきたいです。
 

■第二部
「すかいらーくが実践:Twitter上での企業コラボ」すかいらーくホールディングス 龍康殿いくみ氏

6アカウント全てのTwitterアカウントの企画に参加している龍康殿(りゅうこうでん)氏が、「Twitter上での企業コラボ」をテーマに、同社が考える企業コラボのメリットや、企業コラボに至るまでのプロセス、企画へのこだわりなどを紹介しました。
 

株式会社すかいらーくホールディングス 龍康殿いくみ氏
 

企業コラボ 3つのメリット

まず龍康殿氏は、Twitterでの企業コラボには、「違うクラスタへのリーチ」、「ブランディング」、「想起のきっかけ」の3つのメリットがあると語りました。
「企業コラボを推進することで、もともとは弊社をあまり知らない方、異なるクラスタの方にも私たちの存在を知っていただくことができます。自分がフォローして応援している企業が、別の企業のことを応援していたら、その別の企業に対しても何となく好きという気持ちが生まれるのではないかな?と思っています。自分の好きな人が食べているものを食べたくなるのと同じ心理です。」(龍康殿氏)
 

パターンもさまざま!企業コラボ事例

次に龍康殿氏は、Twitterでの企業コラボ事例を紹介しました。
 

1.「#ガストくじ」

 
すかいらーくアプリの画面提示でお会計が無料になるチャンスがある「ガストくじ」をTwitterで一緒に盛り上げてくれないか、と呼びかけたところ、複数の企業がこれに賛同。
各種の公式アカウントがガストの店舗に遊びに来て運試し、外れたら自腹!(但しガスト公式がそのアカウントを紹介)という内容で実施、各コラボ企業のカラーが出ることで、見ている方が楽しめる企画になったそうです。
 

2.インセンティブコラボ

 
すかいらーくグループのTwitterアカウントとコラボ企業のアカウントの2つをフォローして参加することで、すかいらーくのお食事券とコラボ企業からのプレゼントの双方が当たる形式のインセンティブコラボ型キャンペーンを、最近、積極的に実施していると紹介しました。
 
「インセンティブはすかいらーくお食事券や、バーミヤンのロゴが入ったノベルティなど、必ず自社に関わるものにしています。商品券などをインセンティブにした方が引きが強いかもしれませんが、やはり私たちのお店に食べに来たいと思ってくださる方と繋がることが絶対的な条件なので、この点にはこだわりを持っています。懸賞参加を目的にTwitterをやっている方々の参加も歓迎しています。インセンティブが弊社グループのお食事券である限りには、私たちのお客様であると考えています。」(龍康殿氏)
 

3.単発コラボ

 
他にも、お互いにメニューを食べあったり、Twitter上で「予期せぬ」大喜利が始まったり…など、様々な単発のコラボが行われているそうです。
 

どうやって企業コラボに至るの?

このような企業コラボは、Twitterアカウント担当者同士の情報交換や、どちらかからのアプローチにより実現されているそうです。
 
「まずは企画を練ります。そして、こういう切り口の企画なら、きっとこんな企業が乗ってくれるかな、という候補をピックアップしていきます。もともと面識のある企業だけではなく、Twitter担当者向けのセミナーで名刺交換した企業にメールを出してみたり、TwitterのDMや、その企業のホームページからアプローチしたりもします。色んなTwitter担当者と繋がりがあるアライドアーキテクツのような企業にも、ご紹介をお願いしたりします。そうして連絡が取れたら、あとは企画の趣旨だけお伝えして、一緒に盛り上げていくようにしています。これをやってください、と指示をするようなやり方はしていません。」(龍康殿氏)
 

企業コラボにおけるすかいらーくの「3つのこだわり」

また、龍康殿氏は、すかいらーくには企業コラボにおいて「3つのこだわり」があると説明しました。
 

1.サービスや商品から離れすぎない企画にすること

 
お店のサービスや商品から離れすぎず、切り口を考え企画することを大切にしているそうです。このコラボを実施することで、すかいらーくに対するどんな気持ちが生まれるか、それがどうサービスに繋がるかを、常に頭に入れているとのこと。
 

2.「面白いこと」に注力し、個人の活動にしない

 
「すかいらーくが繋がりたいのはお店のファンであって、運営している私個人のファンではありません。私の個人的なことを話したらその話題が好きな方には来ていただけると思いますが、弊社のサービスには興味のない方も生まれてしまいます。あくまで、弊社アカウントにどんな人に来ていただきたいのかを考え、面白いことだけに注力しすぎないようにしています。」(龍康殿氏)
 

3.コラボ企業にも必ずメリットがあること

 
コラボする以上はどちらかだけがメリットのある形ではなく、必ずWin-Winの関係性にすることが重要と考えているそうです。
 
最後に、龍康殿氏は、セミナー参加者に「すかいらーくとのTwitter上でのコラボ」を呼びかけ、講演を締め括りました。
 

 
以上、今回は「株式会社すかいらーくホールディングス」をゲストに迎えて開催したセミナーの内容をご紹介しました。同社とのコラボにご興味をお持ちの方、Twitterの運用やキャンペーン実施にご興味をお持ちの方は、ぜひ下記からお問い合わせください。
 
 
●お問い合わせはechoesの公式サイトから
echoes【公式サイト】