コミュニティ支援、自治体との連携など、公益性の高い取り組みを精力的に行なっているFacebook。ショッピング機能のアップデートやリールのリリースなど、ユーザーの需要に対応した機能開発に注力をしているInstagram。

Facebook社が運営するこの2つの大きなSNSプラットフォームは、2021年どうなっていくのでしょう。また、企業はどのように活用していけば良いのでしょうか?

今回は、先日実施されたFacebook Japanラウンドテーブル2020の内容をもとに、これからのFacebookグループの展望と、企業の活用ポイントについて解説します。

Facebook社の2020年を語るポイント3つ

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大という未曾有の事態に直面し、我々をとりまく環境は大きく変化しました。こうした状況の中、Facebookのファミリーアプリのユーザー数は世界で32億人を突破(2020年9月時点)「コミュニティづくりを応援し、人と人とがより身近になる世界を実現する」をミッションに掲げながら、コロナ禍においてそのミッションを体現するような様々な取り組みを行ってきました。

その取り組みは大きく3つに分けられます。

①社会・経済への貢献

Facebook上でコミュニティを作ることができるグループ機能は2020年で10周年を迎えました。Facebook社は2020年、このグループ機能を活用したコミュニティ支援に尽力。対面でのコミュニケーション機会が減少するコロナ禍でも、人と人が繋がり保ち、コミュニティを育てていけるような支援を行なってきました。

そのひとつがFacebook Japanと株式会社オマツリジャパン(※)との共同プロジェクト 「祭り未来プロジェクト」です。これは新型コロナウイルス感染症の拡大によって困難に直面している日本全国の祭の主催者同士をつなぎ、悩みや知識、ノウハウの共有などを行うコミュニティを支援するものです。
昨年12月1日には「祭り未来会議キックオフセッション」も開催。Messengerルームで9人の参加者と、コロナ禍で祭りを開催した主催者をつなぎ、ナレッジの共有が行われました。

また、経済への貢献では「中小ビジネス助成プログラム」の運用を世界中で実施。
日本でも受付が行われ約690社のビジネスからの応募申し込みがありました。
さらに、Instagramの無料ビジネス機能に特化したオンラインセミナーの実施にも力をいれています。このセミナーは公開から3週間で2万6000回以上再生されるなど、その需要の高さがうかがえます。

このようにFacebook社は、2020年、ファミリーアプリを最大限に活用しながら、社会・経済への支援を行なってきました。

②安心・安全な環境作り

2つ目は、Facebook社が提供するサービスを安心に利用できるようにする取り組みです。

その1つがFacebook社がグローバルで展開しているのがデジタルリテラシー教育プログラム『みんなのデジタル教室』。これは、ユーザーがデジタル社会において求められるスキルを身につけ、責任のあるデジタル市民によるグローバルコミュニティの創造を目的に実施している一般向けの教育プログラムです。
日本でも12月3日に自由ヶ丘学園高等学校の1年生18名を対象にした先行特別授業が実施されました。

「みんなのデジタル教室」の特設サイト。プロジェクトの趣旨を説明するとともに、各種リソースを提供している。

また、リテラシー教育のための施策としては、誰でも気軽に授業のエッセンスを体験・学習することができるコンテンツ『タグでたどる物語』も展開しています。これは専用のアカウントを訪れるだけでInstagram上から誰でも参加が可能。プライバシーやセキュリティにまつわる物語を読み進めながらより良いと思う選択肢を選び、最後までクリアすると限定のARカメラエフェクトを使用できる企画となっています。

実際の投稿の1つ。SNSを利用する際に出てくるシーンに対してどう対処すべきかを、タグを選ぶことで学び進めていくコンテンツとなっている。

③イノベーション

そして、コロナ禍において直接的な人との接触が制限されるなか、Facebook社はイノベーションを追求して人と人、人と社会が繋がる社会の実現を目指しています。

そのための取り組みとして、Facebook社は8月、AR/VRチームの名称を「Facebook Reality Labs」に変更。10月に販売を開始したVRヘッドセットである「Oculus Quest 2」については、Facebook Reality Labsの日本専任チームを初めて立ち上げ、オンラインのみならず日本でも国内正規販売店での販売や、日本向けのコンテンツのリリースが行うなど、日本市場への本格的な参入に乗り出しています。

(※)株式会社オマツリジャパン:「祭で日本を盛り上げる」をミッションに、祭りを活用したプロモーションやブランディング戦略の立案・企画、祭りの企画・運営サポート、祭り団体の出演コーディネート、祭りメディアの運営を実施している。

2021年のFacebookグループはこうなる

人と人、人と社会の繋がり方が大きく変化した2020年をへて、Facebook社では2021年はデジタルシフトがさらに加速すると予測。
2020年に実施してきた3つの施策をさらに強化させ、人々の社会行動、消費行動のデジタルシフトに対応した機能開発や施策に着手しています。

例えば、オンラインでのメッセージ機能の利用が増えていることを背景に、Facebook社ではInstagramとMessanger機能の統合を実施。今後はWhatsAPPも統合していく計画です。

さらに、約300人以上の学生有志を中心に構成される「学生応援村」と災害ボラ ンティア支援活動を開始。デジタルシフトが進むなかで、Facebookを活用した新しい災害支援に取り組んでいます。

2020年9月に実施された佐賀県武雄市とのオンライン傾聴ボランティアの様子。2019年8月に発生した豪雨災害から1年を迎える佐賀県武雄市の被災地住民の方に対して、Messengerルーム機能を使用して傾聴ボランティアを実施した。
画像引用:【Facebook Japanと「応援村」の連携プロジェクト第二弾】『防災の日』佐賀県武雄市と“オンライン傾聴ボランティア”を実施|Facebook

さらに、昨年は新しい働き方の支援として「Infinite Office」を発表しました。これは、Oculus Quest 2で使用できる”VRオフィス”を提供する機能です。コロナ禍を経てリモートワークのスタイルを採用する企業が増える中、Facebook社のもつ技術力とノウハウを生かし、どこでも快適に仕事ができるような環境整備に力をいれています。

YouTubeで公開されている「Infinite Office」のイメージ動画。VRを駆使し、距離を感じさせないビジネスコミュニケーションの実現を目指している。

このように、対面でのコミュニケーション機会が限定的になる社会において、Facebook社は2021年も、人と人、人と社会の繋がりを維持するような機能提供、ノウハウ共有に力をいれていくでしょう。

また、Facebook、Instagram共に2020年はショッピング機能のアップデートを精力的に行い機能の充実に努めてきました。

Facebook・Instagramのショッピング機能の最大の特徴は無料で簡単にオンラインショップを開くことができること。スモールビジネスからグローバルブランドまで、ありとあらゆる企業がFacebook/Instagramのアプリ内で顧客と繋がることが可能です。

さらにショッピングにまつわる機能については、米国にてテストを実施し、まだ日本では展開されていない機能もあることから、2021年はこうした新しい機能の提供開始や、テストの実施なども期待できそうです。

そして、Facebook社がこうした機能アップデートを行う背景には、コロナ禍を経て変化した人々の消費行動にあります。

例えば、新型コロナウイルス感染症の流行によって店舗でのショッピングを減らしたり、 店舗に足を運ぶ頻度を減らしたりすることを検討している人は49%。2020年3月と4月を比較した際、 従来は実店舗で購入していたものをオンラインで購入したと回答した人が1,6倍に増えたという調査結果があります。

画像引用:Facebook Japanラウンドテーブル配布資料より
加えて、生活者の消費行動にSNSが与える影響が大きくなっているという調査結果もあります。アライドアーキテクツが実施した調査ではSNSの情報をきっかけや参考にして、初めて利用するECサイトで商品を購入したことがあると回答したのは、どのSNSでも5割を超えています。

このように消費行動のデジタル化が進み、同時にSNSが消費・購買行動に与える影響が増すなかFacebook・InstagramのEC化は進んでいるのです。

Facebookショッピング機能の概要はこちらの記事でご紹介しています。
【日本でも提供開始!】無料でECが作れる「Facebook ショップ」の基本機能とは?

2021年に活用したいInstagramのショッピング機能

日本国内においては、Facebookファミリーアプリの中でも、特にInstagramが活発に利用されているという傾向があります。

なかでも、2019年と2020年を比較すると日本のInstagramユーザーのうちショッピングタグがついている投稿などから商品詳細を見たユーザーは65%増加。他国と比較すると日本のユーザーは3倍多く商品詳細を見ているなど、ショッピング機能の利用が活発であることもうかがえます。

画像引用:Facebook Japanラウンドテーブル配布資料より

また、アライドアーキテクツが行なった調査では、利用しているSNSのプラットフォーム別に「SNSの広告や投稿を見て初めて知り、その場でSNSからECサイトの購入画面を開いて商品購入をしたことがあるか(パルス型消費行動の経験有無)」を尋ねたところ、Instagramが最多で42.7%が「ある」と回答しています。

実際、Facebook社は、Instagramの機能開発において特にコマース領域へ注力する動きを強めています。
例えば、2020年12月10日(米国時間)には、Instagramの短尺動画機能であるInstagramリールに、ショッピングタグをつけることができる機能が日本を含む各国でリリースされました。

また、米国ではライブショッピングやARショッピングなど、Instagram上でのユーザーの購買行動を促進していくような機能のテストも行われています。2021年もこうした新しい機能やサービスが開発され、Instagramのショッピング機能はますます充実していく見通しです。

生活者の消費行動のデジタルシフト(オンライン化)がますます進むと思われる2021年において、

①日本のInstagramユーザーは活発にショッピング機能を利用している
②InstagramはSNSプラットフォームの中でも購買行動に近いプラットフォームである
③Instagram自体がコマース領域に注力したプラットフォームになっていること

これら3点を踏まえると、Instagramを活用したEC施策をうまく進めていくことが、2021年のビジネスを飛躍させるためのポイントの1つと言えるでしょう。

Instagramのショッピング機能を活用するポイントや、ショッピング機能を上手に活用している企業事例についてまとめている記事はこちらです。
【InstagramでEC売上をアップ!】ショッピング機能を効率的に活用するための5つのポイント

いかがでしたか?

今回はFacebook Japanラウンドテーブル2020をもとに、2021年のFacebookグループの展望と、注目したいInstagramのショッピング機能についてご紹介しました。
ぜひ、2021年の施策設計にお役立てください。