アフィリエイトとは?その意味・仕組みから、アフィリエイト規制の流れ、アフィリエイト規制が企業にもたらす影響や今後の対策まで、分かりやすく解説します。

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アフィリエイト(affiliate)とは?用語解説・意味/定義の説明

ウェブサイトやメールマガジンが企業サイトへリンクを張り、閲覧者がそのリンクを経由して当該企業のサイトで会員登録したり商品を購入したりすると、リンク元サイトの媒体運営者に報酬が支払われるという成功報酬型の広告手法のことを指します(IT用語辞典より)。1996年に開始された米アマゾンドットコムのアソシエイトプログラムがアフィリエイトの始まりだと言われています。

アフィリエイトの仕組みがもたらすメリット

アフィリエイトは、個人、あるいは自社と異なる別の企業が運営するWebサイトやメールマガジン(媒体側)と企業がパートナーシップを組んで商品の魅力を発信することで、媒体側と企業の双方の利益になることを目的としたマーケティングプログラムです。

企業にとっては、自社と異なるチャネルで広く自社商品について宣伝してもらえるメリットがあり、さらにアフィリエイトプログラムを通じて、潜在的に商品に関心を持つ層にタッチすることも期待できます。成果報酬型の広告手法であるため費用対効果を管理しやすいこともあり、多くの企業にとって取り組みやすい手法として急速に普及しました。

一方媒体側にとっても、アフィリエイトプログラムへの参加により自社Webサイトやメールマガジンに必要なコンテンツを企業側から得られ、さらにそれを収益にもつなげることができるメリットがあります。その仕組みも簡単なタグの埋め込みのみで実現できることから、多くの個人や企業がアフィリエイトに参加しています。

また、媒体の閲覧者にとっても、企業サイトとは異なる視点・切り口での商品紹介を目にすることにより、商品選択の際の判断材料が増えるメリット、また欲しいと思った時にリンクからすぐにECサイトにアクセスできるメリットがあります。その意味で、媒体側と企業だけでなく、閲覧者であるユーザーにとってもメリットのあるプログラムであると言えます。

アフィリエイトの抱える問題点

本来は企業・媒体・ユーザーの三方にとってメリットがあるプログラムであるはずにも関わらず、媒体側がアフィリエイトの報酬を求めるあまりに虚偽や誇張表現を用いた記事や広告サイトを制作してしまい、それにより消費者が不利益を被るケースが頻発し、問題となっています。

  • 特に経験もしていないのにあたかも経験したかのようなエピソードを添えた商品やサービスのレビュー記事の掲載
  • 芸能人も絶賛など、事実と反する表現を用いた商品の紹介
  • 薬機法等の法律に触れる表現を用いた商品の紹介

これら記事の乱立は広告主のブランドイメージの毀損(きそん)につながります。また、景表法や薬機法といった法律順守の徹底は(一義的には)アフィリエイト広告を出稿する広告主の責任です。

実際に、法律違反の表現を使用したアフィリエイト広告を出稿した企業への注意喚起、措置命令などが複数件発生しています。

アフィリエイトに関する規制の強化

これらの問題に大きくメスを入れるべく、消費者庁は広告主や広告作成者、仲介会社を対象に大規模な実態調査を実施。調査と並行し、2021年6月から2022年1月にかけて、専門家を集めた「アフィリエイト広告等に関する検討会」も開催しました。2022年2月にはその内容を報告書としてまとめて発表し、悪質な事業者には厳正な法執行が必要と明記しています(※1)。また、2022年6月29日には、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」を発表、アフィリエイト広告の望ましい例も公表しました(※2)。

消費者庁が示したアフィリエイト広告の望ましい例の一部を抜粋

また、アフィリエイトプログラムを提供するASP側や、検索・広告のプラットフォーム側も各種規制を強化しています。

例えば、Googleは2017年12月に医療や健康分野の情報に関してより信頼性が高く有益な情報を上位表示させる対策を実施、これにより本分野の情報の60%にまで影響がおよびました(※3)。それまで健康や医療関連のワードで検索上位を占めていたサイトの順位が軒並み入れ替わり、健康食品や化粧品の通販においてアフィリエイトからの新規獲得を行っていた企業に大きな影響がありました。

また、2019年5月にはYahoo!が「Yahoo!プロモーション広告」における広告掲載基準の変更を発表。「広告のクリック等をさせることを主目的としているもの」に該当するサイトはヤフー株式会社の提供する全てのサービス、提携パートナー上での広告掲載ができなくなりました(※4)。それにより、アフィリエイトサイトを含む成果報酬型サイトのYahoo!への出稿が実質不可能となり、アフィリエイトを主な流入源としていた企業に大きな影響が出ています。

アフィリエイト規制による企業への影響

これら規制強化の流れを受けて、通販EC企業の新規獲得広告予算のかけ方にも変化が起き始めています。

2020年にアライドアーキテクツが化粧品や健康食品などをECで販売する通販業界の有名企業17社にアンケートを取った結果によると、2018年には「最もコンバージョンが獲得できた広告媒体」としてアフィリエイトが一番大きな割合を占めていましたが、2019年以降はその割合が減少していることが分かります。アフィリエイト広告を主な新規顧客獲得手段としていた企業は、そのモデルだけに頼らない新たな手段を開拓する必要性に迫られているのです。


アフィリエイト規制への対策方法とは?

まず、アフィリエイトという優れた広告プログラムをこれからも有効に活用するためには、アフィリエイターとの信頼関係の構築が不可欠です。企業は宣伝のために「媒体を利用する」という姿勢ではなく、よりよい媒体に「パートナーとして選んでもらう」努力が必要でしょう。ただ単に成果報酬金額を上げるのではなく、質のよい媒体に取り上げてもらえる商品作りや、商品ストーリーの提供、また適切な成果報酬の承認・支払の実行が大切です。企業側にアフィリエイトというプログラムと真摯に向き合うモラルが求められていると言えます。

同時に、アフィリエイトだけに頼らない新規獲得ルートの開拓、流入した顧客を確実にコンバージョンに導く工夫、そして一度購入してもらった顧客に末永く商品を継続してもらう努力も不可欠です。

①新規顧客獲得ルートの開拓

運用型広告へのシフト

今後もアフィリエイトへの一極集中を避け、SNS広告などの運用型広告へ予算をシフトする動きが進むと考えられます。サードパーティCookie規制の流れも相まって獲得型運用広告のルートは一極集中する傾向にあり、CPMやCPAの高騰は避けられないでしょう。

クリエイティブの重要性が増す

その中でも継続的に成果を出していくための鍵として、クリエイティブの重要性が高まっていると言えます。各社は動画の活用など新たなクリエイティブ開発にも積極的に取り組んでいく必要があります。

広告に頼らない獲得の仕組みを構築

さらに、自社の商品に関するUGCを最大限に生かす「運用型UGC」の実践や、自社の商品に関して熱量高く発信してくれるインフルエンサーを巻き込んだ施策生活者・ファンとのコミュニケーションを通じて関係性を作り上げる努力など、広告に頼らない仕組みの構築もより重要になるでしょう。

②流入した顧客を確実にコンバージョンに導く工夫(CVR向上施策)

運用型広告におけるCPMの高騰が避けられない中で目標CPAを維持するためには、広告から流入した顧客のコンバージョン率(CVR)を上げる工夫が求められます。

CVR向上施策としては、LP上へのUGC掲載や、チャットボット導入などに注目が集まっています。

③一度購入してもらった顧客に末永く商品を継続してもらう施策(CRM施策、LTVの向上)

新規顧客獲得だけに力を入れるのではなく、顧客に長く商品を継続購入してもらう努力も不可欠です。顧客視点でどのようなサービス提供・コミュニケーションをすればより継続してもらえるのか、各社はサービス・商品設計やCRM施策の改善を続けています。

昨今のアフィリエイト規制強化が広告主に突き付けている課題は、生活者に寄り添わず効率のみを重視しすぎた広告の仕組みへの警鐘とも言えます。本来、広告とは生活者により豊かな体験を提供するきっかけになるものであるはずです。生活者に寄り添う商品・サービス設計とは何か、それを広告でどう伝えるべきなのか、今改めて問われているのです。