「コンシューマー・インサイト」とは? 日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?

ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」 している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。



用語説明

コンシューマー・インサイト(Consumer Insight)、消費者インサイト

消費者調査やこれまでの経験、社会的動向などを踏まえた消費者洞察によって引き出された、消費者の行動や態度の根底にある本音、核心のこと。

1990年代後半、英米広告業界では消費者の深層心理や潜在的な欲求、生活や行動の裏にある動機を理解し、広告戦略に役立てるアカウントプランニングという考え方が注目された。成長社会から成熟社会に移行するなかで、多様化・複雑化する価値観を持つようになった消費者の琴線に触れる広告を作るためには、表面的な分析だけでなく、時として消費者自身も意識していない欲求や思考の洞察が重要であると考えられた。

近年、コンシューマー・インサイトは広告だけにとどまらず、マーケティングや経営の領域においても、消費者との関係構築のための共感点として注目されている。

コンシューマー・インサイトが重要度を増す背景

マスマーケティング全盛の時代は、大衆を大きな括りの中で分類し平均的な傾向を捉えれば、消費者のニーズを満たすことができていました。

しかし経済が成熟するにつれ、それまでの表面的な分析だけでは説明の出来ない消費者行動が増え、消費生活はより複雑になりました。消費意欲が減退し、製品クオリティーや価格だけでは購買意欲を刺激することが難しくなる中で、消費を喚起してしていくためには、消費者の心を動かしている潜在的な欲求を理解することが、ますます重要になったのです。

ただ、アンケートやインタビューといった従来型のマーケティングリサーチでは、リサーチャーが意図する範疇を超えた回答を得ることは難しく、購買前の消費者心理を分析するデータとして十分とは言えない状況でした。

それが、アドテクノロジーの進化やソーシャルメディアの普及によって、消費者の日常的な行動をデータ化し、会話を観察・傾聴することが可能となったため、コンシューマー・インサイトを更に深掘りすることが出来るようになりました。

肥大化するデータの取捨選択が鍵

一方で、ソーシャルメディア上の消費者の声や購買情報だけに留まらない「ビッグデータ」が増え続け、スマートフォンやタブレットなど「デバイスの多様化」よって消費者行動がまたも大きく変化している今、膨大な情報をどうやって取捨選択し、その中からどのようなコンシューマー・インサイトを探り当てていくのか、マーケッターやリサーチャーには新たな悩みも生まれています。

その活路のひとつは、ソーシャルメディアによって継続的な関係を構築した、消費者との対話から生まれる気づきや発見を、情報精査のフィルタとして活用していくことではないでしょうか?

従来の定性調査・定量調査にソーシャルメディアを組み合わせて検証していくことが、より精度の高いコンシューマー・インサイトの獲得につながると考えられます。

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ