顧客との1対1の関係構築に強いと言われるLINE。小売・飲食店舗や、EC領域でもマーケティング施策にLINEを活用する企業が増えています。

この記事では、2021年にどのような機能・サービス追加やアップデートがあったのか、情報をまとめました。LINEを介したユーザーとのコミュニケーションがどう進化したのか、情報のキャッチアップに役立ててください。

国内月間ユーザー数8,900万人のLINE。LINE公式アカウントの利用も拡大中。

LINEの国内月間ユーザー数は8,900万人(2021年9月時点)、LINE公式アカウント数は33万アカウント(2021年10月時点)にも上ります。
LINE公式アカウントでは顧客と1対1のコミュニケーションを展開でき、ダイレクトマーケティングに強いことから、多くの企業・店舗が集客に活用しています。

[出典]LINE LOCAL DAY基調講演

ところが、「LINE公式アカウントの機能が多すぎて、うまく使いこなせない」「お客様とこんなやりとりをしたいが、思うように使えない」といった課題を抱えている企業・店舗も多いのではないでしょうか。

ここからは、企業・店舗のマーケティング施策に有用な新機能・サービスをピックアップして解説します。

LINE公式アカウント経由のコミュニケーションがスムーズに!

①自動メッセージを送信できる「ステップ配信」

2021年2月、「ステップ配信」機能がリリースされました。「ステップ配信」とは、友だち追加以降、あらかじめ設定した条件に基づいて自動メッセージを配信できる機能です。
企業・店舗の負担を抑えつつ、ユーザーがより最適な情報を受け取れるようになり、メッセージ配信の効果を高めます。

②店舗の新型コロナ感染対策を効果的にアピール

2020年4月以降、コロナ対応によるLINE公式アカウントの機能強化が進められ、2021年4月には、店頭での感染対策をより効果的にアピールして来店者に安心感を与えられるようになりました。営業時間や休業日に関する案内だけでなく、感染症対策や来店時の注意点についてもプロフィール欄で分かりやすく告知できます。「店内」「スタッフ」「お客様」「その他」の項目別に、実施している対策内容を管理画面からチェックするだけで、プロフィールに反映されます。

③お客様とのチャットやコールの使い勝手が向上

お客様と1対1でのチャットやコールに関して、細かな改善・使い勝手向上が進みました。

●チャットでお客様に公式スタンプを送れる

2021年3月以降、お客様とのチャットで、管理画面からLINE公式スタンプを送れるようになりました。よりカジュアルで表現豊かなコミュニケーションが可能になります。

●チャットで相手の「入力中」を表示

2021年4月、チャット画面上で「入力中」ステータスと、入力中のユーザー名が表示されるようになりました。複数のスタッフで同時にお客様対応をしている場合、対応の重複を避けられます。

●個別のチャットでクーポンを送信可能

2021年3月から、管理画面で作成したクーポンをチャット経由でお客様に送れるようになりました。全体配信ではなく、特定のお客様へのお礼など、状況に応じたクーポンを個別に発行できます。

●チャットルームのピン留めやスパム設定、削除が可能に

2021年5月、特定のチャットルームを管理画面上部に固定できるようになりました。頻繁に対応が発生するチャットルームを素早く見つけられます。また、「要対応オフ」「スパムに設定」「チャットルームの削除」も可能に。既読を付けずに設定・削除が行えます。

●LINEコールをかけるためのURLやQRコードが発行可能に

2021年1月、お客様が店舗へLINEコール(無料通話)をかけるためのURLやQRコードを、管理画面から発行できるようになりました。お客様にコールを促したい場合、URLやQRコードをWebサイト・SNS・店頭に掲載するとスムーズです。

●発行したショップカードは「LINEマイカード」に表示されるように

2021年6月、ユーザーがLINEアプリ内の「LINEマイカード」を開くと、さまざまな店舗のショップカードをまとめて表示できるようになりました。ショップカードは、LINE上で発行・管理できるポイントカード機能です。お客様はLINEアプリ上でさまざまな店舗のカードをまとめて管理でき、店舗側は付与したポイントの状況を管理画面で可視化・分析して再来店を促すなどマーケティング施策に役立てることができます。

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LINE公式アカウントだけじゃない!LINEを起点に広がる豊かな顧客体験

ここからは、LINEを起点に、より豊かな顧客体験を提供するための新サービス各種をご紹介します。

①LINEの広告サービスがパワーアップ

●LINEの広告サービスをフル活用する企業向けのデータ統合基盤「ビジネスマネージャー」

2021年10月、データ統合基盤「ビジネスマネージャー」の提供が開始されました。 LINEのトーク画面上部の広告「Talk Head View」、LINE NEWSのトップ画面の広告「LINE NEWS TOP AD」をはじめ、LINE広告やLINE公式アカウントをマーケティングにフル活用する企業にメリットが大きいサービスです。
LINE広告のさまざまなメニュー同士でデータ連携できます。そこへ、LINE公式アカウント経由でユーザーの許諾を得て取得したデータも連携が可能になり、アプローチしたいユーザーに対して、最適なコミュニケーションを提供できるようになります。
今後は、Yahoo! JAPANをはじめ、Zホールディングス傘下サービスへの広告配信などLINEの外にあるデータとの連携も想定されています。

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●ギフト体験をユーザー同士でシェアできる広告メニュー「ペアギフト」

2021年2月から、LINEギフト内の新広告メニュー「ペアギフト」が提供されています。「友だちに商品を贈ると、自分も同じ商品が無料でもらえる」というキャンペーン実施が可能になります。
さらに施策後には、訴求商材に対するユーザーのブランドリフト調査も実施できます。 体験・気持ちをシェアできる新たなコミュニケーションをユーザーに提供し、新規顧客開拓も期待できます。

②LINE×販促分野にて、さまざまな提携が進行中!LINEを活用した新たな顧客体験を提案

広告メニュー以外にも、LINEを介した集客・接客機能がますます強化されています。

●LINEアプリ内で完結するスポット検索サービス「LINE PLACE」

2021年9月、LINEアプリ内で完結するスポット検索サービス「LINE PLACE」がリニューアルされました。ユーザーはLINEアプリ上で、気分や好み、現在地に合った飲食店を簡単に探すことができ、店舗情報をトークルームで友だちにシェアしたり、自分が訪問した店舗や注文したメニューなどを記録できます。また、「LINEで予約」に対応している店舗であればアプリを切り替えることなく、LINE上で予約が完了します。

●自社アプリをLINE内で公開できる「LINEミニアプリ」Partner Program

2022年春にオープン予定のパートナープログラムです。
LINEミニアプリとは、例えば、飲食店の「順番待ち」「テーブルオーダー」「会員証」などの機能をアプリ開発し、ユーザーがLINE上で利用できる仕組みです。
ユーザーが店内でアプリを使用すると自動的に友だち登録されるため、後日公式アカウントを介して再来店を促すアプローチも可能になります。
この「LINEミニアプリ」を既に実装している店舗もありますが、2022年2月以降は、一定の実績や基準をクリアしたパートナーが、LINEからアプリ開発支援・技術サポート・情報の先行開示などを受けられます。

[出典]LINE LOCAL DAY基調講演

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●店舗スタッフによるWeb接客が可能「LINE STAFF START」

2021年11月から、Web接客サービス「LINE STAFF START」が提供されています。 店舗スタッフによるWeb接客が可能になるアプリケーション「STAFF START」と、LINE公式アカウントを掛け合わせたサービスです。 店舗スタッフはLINE公式アカウントのチャットを介して、お客様と商品やコーディネート、キャンペーンなどについてオンライン接客ができるようになります。 また、スタッフ個人の売上を可視化することも可能です。 店舗で行う細やかな接客をオンラインに移行することができることから、既にアパレルやコスメ、家電量販店、家具・インテリアなどさまざまな業種・業界での活用が始まっています。

●オンラインとオフラインを融合させた顧客コミュニケーションを可能にする「LINE×Microsoft Azure」

2021年11月より、LINEとMicrosoft Azureのパートナー各社によるリテール共同プロジェクトがスタートしました。 オンラインとオフラインの垣根を超える「OMO施策」を可能にし、顧客体験を向上させるプロジェクトです。

例えばユーザーは次のような、ストレスのない購買体験が可能になります。

  • 自宅でお気に入り商品をLINE上でチェック
  • 来店したら、LINEでチェックインし、接客してほしいと店舗スタッフに知らせる
  • 店頭で待ち時間なく接客を受け、商品をピックアップ
  • LINEで決済

お客様にストレスのない顧客体験を提供したい、と考えている小売店舗に適するソリューションです。

③LINE完結ECを誰でも構築できる!

●LINE連携オンラインストア構築サービス「MySmartStore」

2021年10月、オンラインストア構築サービス「MySmartStore」が先行リリースされました。
LINE公式アカウントと連携し、販促から購入後のアフターフォローまでLINEで完結するオンラインストアを誰でも容易に構築できます。
今後は、サイトへの流入経路や主な顧客層を確認できる機能も搭載予定。
ストアの開設や運営、集客サポートから顧客管理まで、ワンストップで提供すると発表されています。
本格提供開始は、2022年春を予定しているとのことです。

ユーザー側の体験はこう変わった!

ここからは、店舗・企業向けの機能やサービスではなく、ユーザー向けの使い勝手で変わった点をお伝えします。友だちや企業・メディアとのコミュニケーションが、ますます充実しました。

①ビデオ通話でもスタンプが使えるように

2021年6月、ビデオ通話でもスタンプが使えるようになりました。リアクションに使いたいスタンプを選択すると、画面中央に数秒間表示されます。グループ通話中にスタンプを使えば、友だちの会話をさえぎらずにリアクションをすることが可能になります。

②キーワードフォローで、興味関心に合う情報を自動収集

2021年11月から「LINEスマート通知」の機能が強化され、特定のキーワードをフォローすると、興味関心に合う情報を必要なタイミングで自動受信できるようになりました。アイドルなどの人物名、アニメ・映画などのタイトルや住んでいる地域など、好きなキーワードを入力しフォローすれば、最新情報を受け取ることができます。自ら情報を探しにいかなくても、必要な情報がLINEに届くため、大事な情報を見逃すことがありません。

③「タイムライン」が動画中心の「LINE VOOM」にアップデート

2021年11月以降順次、「タイムライン」が動画中心のプラットフォーム「LINE VOOM」にアップデートされています。LINE VOOMは友だちではなく、フォローで繋がる場です。気になるクリエイターをフォローするとさまざまなショート動画を楽しめるほか、興味関心に合う動画や、人気動画のレコメンド表示もあります。

公式アカウントで快適な顧客体験を叶えるには?

わたしたちの生活に身近なメッセージアプリLINEは、コミュニケーションインフラとしてますます進化を遂げています。 特に注目すべきはLINEを起点に、より簡単・スムーズ・快適な顧客体験を叶える機能の拡充です。
LINE公式アカウント運営担当の方が、日常生活ではLINEのいちユーザーであるケースも多いはずです。
ぜひ、ユーザー視点も大切にしながらお客様とのコミュニケーションを充実させていきましょう。

この記事の著者

景山 真理

フリーランスのライター。EC店舗、タウン情報誌制作会社、マーケティング支援企業などへの勤務経験を経て、Webメディア・紙媒体で活動しています。専門領域はデジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、ECのセールスメルマガ、デジタルトランスフォーメーション。
Website:Mari Kageyama Writing Works