アライドアーキテクツ・ビルコム共催セミナー「スマートフォンとマーケティング」の内容をレポートします。
こんにちは、アライドアーキテクツ株式会社 Webソリューション局プロデューサーの井出修二朗です。
本日は、2012年11月28日にアライドアーキテクツとビルコム株式会社の共催にて開催したセミナー『スマートフォンとマーケティング』のレポートをお届けします。
今回のセミナーでは、各社が取り組む最新のマーケティング活用事例を交えながら、事業会社、インタラクティブエージェンシー、ソリューションプロパイダーなどそれぞれの立場から、今後の業界動向についての見解などをご講演いただきました。
「スマートフォン×ソーシャルメディア時代に企業がすべき5つのこと」
ビルコム株式会社 取締役 鳥潟幸志氏
2005年 ビルコム取締役に就任。以来、株式会社ユニクロ、協和発酵キリン株式会社、クラシエフーズ株式会社、株式会社BRIDGESTONE、Facebook, Inc.など国内外大手クライアントを持つAgency Div.を統括し、デジタル、ソーシャル、スマートデバイス領域における戦略プランニングなどに携わる。
鳥潟氏は講演の中で、前半はスマートフォンとソーシャルメディアへの考え方を中心に説明し、後半はより具体的に、実務での最適化施策について語りました。
■スマートフォンの普及について
インターネット白書によれば、スマートフォン所有率は29.9%。男女30代では40%。2014年には50%になるだろうと言われている。現在発売されている携帯電話の9割がスマートフォンであり、買い替えサイクルの2年間がたつと、8割、9割がスマートフォンに切り替えるのではと考えている。
■So what?
日々アップデートされるデータを追いかけるのではなく、自分たちに影響があるファクトを導き出し、「この先どういうことが起こりうるのか」を考え、かつアクションに結びつけることが重要である。
■マーケティングへの影響
- Always(常に身近にもっている)
- Customize(消費者の属性やビヘイビアデータから情報が絞り込まれる)
- セルフインタレストグラフ(自分に関係ない情報はすぐにシャットアウトする)
「消費者は企業の情報に興味がない」ということを受け入れるべき。
■対応すべきこと
- コンテンツ最適化
- contents development
- スマートフォンサイトの最適化(ユーザビリティ、アクセシビリティ・・・)
- リッチコンテンツ(PCのコンテンツそのままではなく、スマホの特性に 最適化させることが重要)
- Web App vs Native App(最低限のコンテンツを両方用意すべき)
- contents development
- コミュニケーション最適化
- タイミング(タイミングよくユーザーの時間に入り込む)
- ソーシャルコネクト(webのコンテンツとソーシャルを結合させる)
- セールスストラクチャー最適化(ソーシャルメディアのコンテクストをうまく自社のコンテンツに取り込みコマースへとつなげる)
購買して終わりの関係性ではなく、ユーザーを蓄積して、継続的で効率の高いマーケティングを行うことが重要。
「ゲーミフィケーションが可能にするO2Oソリューション」
株式会社博報堂DYインターソリューションズ
クリエイティブカテゴリーソーシャル企画グループ ディレクター 齋木佑介氏
2010年入社。大手クライアントの大規模サイトのリニューアルやアクセス解析視点でのサイトコンサルティングを経験。生活者と企業をつなげるソーシャルメディア起点の広告ビジネスの開発、ウェブコミュニケーションの提案を行っている。
齋木氏は、行動・情報連携のハブとなるスマートデバイスを使った体験型広告が生活者の行動を促進するとして、氏の手がけるサービス「じぶんクエスト」を紹介し、サービスを通じて生活者が成長し、企業との関係性が良くなるような体験価値の提供を目指していきたいと語りました。
■スマートデバイスの普及による行動の変化
野外ネット閲覧・検索が習慣として定着。
スマートフォンを活用することで買い物の満足度が高まった・・・46%
スマートフォンは、実際に来店・検討・購入といった行動へとつなげるO2Oの「行動HUB」になる。
■体験型広告が生活者の行動を促進する
事例:サントリー カールスバーグ
独自開発したプラットフォームでイントラネットからFacebookに発信できるようにし、来店回数に応じてグレードの上がるクーポン発行の仕組みを店舗レベルで管理。再訪問を促進する体験価値を提供している。
■「じぶんクエスト」とは
「位置情報/行為/サイト回遊/動画再生」など企業の課題(体験)をクリアすると称号やインセンティブが得られる、ゲーミフィケーションを取り入れたスマートフォン用Webサービス。
様々な課題=クエストを用意することで、店舗・イベントへの来店誘引、興味~理解 行動の喚起、有料顧客の育成を促進する。
■事例:TOKYO GIRLS COLLECTION 2012 A/W
じぶんクエストの仕組みを活用した「TGCクエスト」を実施。
操作方法がシンプルなため、普段からゲームに慣れていないF1層でも途中離脱することなく
体験して頂くことができた。複雑な専門用語は避けユーザーと同じ目線に立ったサイト作りが必要。
■ゲーミフィケーション
行動を促進させるためには、「体験をする必然性」、「行動する意味」を用意してあげることが重要。
「事業戦略に活かすソーシャルメディアとスマートフォン」
アライドアーキテクツ株式会社 執行役員
ソーシャルメディアマーケティング事業第一本部 事業本部長 津下本耕太郎
2007年アライドアーキテクツ株式会社に入社。2011年より事業本部長就任、Facebookキャンペーンアプリサービス「モニプラ for Facebook」を立ち上げ。2012年、執行役員に就任。現職就任以前は大手製造業のシステムエンジニアとしてオフショア開発などに従事。2004年上智大学理工学部卒。
津下本は、前半は主に自社サービス「モニプラ」におけるスマートフォン対応とO2Oの取り組みについて、後半は各社の取り組むソーシャルメディアマーケティングの事例から、キャンペーン設計上の指標や工夫について解説しました。
■モニプラのO2Oキャンペーン
- チェックイン型
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アウトレットモールへの送客など
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店舗で受け取るサンプリング
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他のサンプリングに比べ配布にかかる費用を軽減できる
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店舗への確実な送客ができる
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商品体験者とその後ソーシャルで繋がることができる
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■ソーシャルメディアでの伝播
事例)10, 000人へのメーカー商品引換キャンペーンにて数日の間に約40, 000件のいいね!、コメントが発生。数百万人(推定)に商品名や写真がリーチした。
■O2Oに対する考え方
買って終わり、行って終わりではなく、関係性を維持し、オンラインとオフラインを気持ちよく循環してもらうことが重要。
■新サービス「モニプラFIND」
商品を消費・体験する際にスマートフォンで写真を撮影してアップロードすることで参加するキャンペーンを提供。ブランド体験が可視化されるとともに、消費された瞬間の情報が手に入るメリットがある。
また、「フレーム機能」により、商品の消費だけでなく生活のあらゆる瞬間にブランドが寄り添うことが可能。
■ソーシャル×マーケティング
ソーシャルメディアはリーチや購買を目的とするだけでなく、商品開発やカスタマーサポートにも活用できる。中小企業の成功事例では、顧客のフィードバックを元に商品を改善したり、販促物に反映したりといった一連のプロセスを柔軟・迅速に実行している。総合的な価値から指標を考えることが重要。
「無印良品ネットストア『お客様と時間を共有する』CRM&SocialMedia戦略~スマートフォンがもたらす可能性~」
株式会社良品計画 WEB事業部長 奥谷孝司氏
1997年1月 株式会社良品計画入社。3年間の店舗経験後、2年間取引先商社へ出向(ドイツ駐在)。家具、雑貨関連の商品開発、輸出入等貿易業務に従事。帰国後は 世界のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける。「WorldMUJI」企画を運営。2003年には社内初となるインハウスデザイナーを有する企画デザイン室の立ち上げメンバーとなる。2005年衣服・雑貨部へ異動し、服飾雑貨のカテゴリーマネージャーとして、無印良品の代表商品でもある、かかとの角度が90度の「足なり直角靴下」の開発を担当。2010年2月よりWEB事業部長に就任。
奥谷氏は、無印良品ネットストアにおけるCRM戦略と「顧客時間」の重要性について解説し、最近のスマートフォンやソーシャルメディアを活用したマーケティング事例を紹介するとともに、無印良品ネットストアのコミュニケーション戦略(BwithC)について語りました。
■無印良品ネットストア
2000年開始。2011年、売り上げ約90億。売り上げは全体の6-7%。MUJIネットメンバー350万人のうち、6割がネットストアを利用しない。半年間でのアクティブ率は12%(現在は15%)しかないので、店舗送客など、直接的な購買以外の役割を優先している。
■顧客時間の重要性
お客様の満足度を向上するために、お客様に関わっていた時間=「顧客時間」に入り込むことに注目。検討⇒購入⇒使用&消費のプロセスの中で、「検討」と「使用&消費」についてしっかりと傾聴と分析を行い、お客様との絆を作ることで、最終的に売り上げ向上に貢献する。
■店舗送客施策
「お客様の時間(顧客時間)をネットとリアルで使っていただく」がコンセプト。
- ソーシャルメディアからの情報発信による店舗送客
- 店頭受け取りサービス(2011年7月~)
- MUJI GIFT Cardへのクーポンチャージ(2011年11月~)
- 「電子クーポン」への挑戦
■スマートフォン活用事例
- Passbook企画(9月のiPhone5発売に乗じて企画。交換率の向上が今後の課題)
- 「ショプリエ」を活用した販促(対象商品をアプリでスキャンするとインセンティブがもらえる仕組み)
■ソーシャルメディア活用事例
- MUJI to GOキャンペーン(旅をテーマに、無印良品の商品情報をつけてすごろくゲームにしたキャンペーン)
- KNIT Like COLLECTION(店頭にいいね!のスカウターを設け、いいねの数だけボールが落ちて木琴がクリスマスソングを流す仕組み)
■無印良品ネットストアコミュニケーション戦略=B with C
お客様の声に応えるという姿勢が大切。共感とともに伝わる情報しか100万人に届けることはできない。「B to C」で情報を流す時代は既に終わっており、「B with C」でコミュニケーション戦略を立てるべき。お客様と一緒に課題を解決する、もしくは面白いことをこちらから提案する。そのためにはソーシャルメディアが必要。
更なる先のデジタルコミュニケーションプランでは、ソーシャルIDをベースにした世界共通のMUJIIDを構築し、オープンでシームレスなインフラを作りたいと考えている。
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以上、セミナーレポートでした。各社様々な取り組みや考え方がある中で、今回は構成上、概要しかお伝えできませんでしたがいかがでしたでしょうか。
弊社アライドアーキテクツでは、スマートフォンサイト制作、アプリの受託開発を含めたマーケティング支援を行っています。スマホのマーケティング活用にお悩みの際は、ぜひご相談ください。