ダイレクトマーケティング

2023年もまもなく終わろうとしています。

この1年も、10月からのステマ規制の施行(景表法の改正)、AIの台頭、TikTok広告等の新たな媒体のさらなる普及など、デジタル広告業界にはさまざまな変化がありました。

「新たな競合がどんどん参入してくる」「媒体単価も引き続き高騰の傾向」「表現の規制も強まる中で差別化が難しい」など、ダイレクトマーケティングに取り組む広告主からはさまざまな声が聞こえてきますが、2024年に向けてどのような点を強化するべきなのでしょうか?

今回は、弊社 アライドアーキテクツ株式会社 取締役の村岡とのインタビューを通じて、2023年のデジタル広告業界に起きた変化を振り返りながら、これからの2024年に向けてダイレクトマーケティングに取り組む企業が押さえておきたい点をまとめました。

おすすめの資料

ebook

売上アップにつながった有名EC/D2Cブランドの施策の中身大公開

平均KPI改善1.2倍~1.9倍の成果を出し続ける有名ブランドの成功事例はこちら

ダウンロードする(無料)

2023年は、デジタル上での新たな表現手段の普及が加速。すべては顧客体験の向上のために

ー2023年、デジタル広告市場にはどのような変化がありましたか?

村岡:景表法等の各種規制の強化により、クリエイティブ表現の差別化がますます難しくなっています。EC参入企業も増え、広告の媒体単価が上昇傾向にあるのも、この数年一貫して続いているトレンドです。

そのような中で、2023年の後半から特に、従来の広告からLP(ランディングページ)に遷移させるだけでない、さまざまなコミュニケーション方法が台頭してきたように思います。
今まで王道だった広告から従来LPに誘導するパターンからの脱却
とも言えるでしょうか。

村岡
アライドアーキテクツ株式会社 取締役 村岡 弥真人

例えば、健康食品やサプリメント、化粧品等を販売するDMJえがお生活(株式会社ディーエムジェイ)では、LPのファーストビューに40秒ほどの動画を設置しています。スマホから広告経由でLPに流入すると、いきなり画面全体を占有する動画が再生されるような体験となっています。

従来、ユーザーはLPの長い画面をスクロールして商品の情報を得なければなりませんでしたが、このスタイルであれば、冒頭の40秒の動画を受動的に見るだけでLP全体に書かれているポイントが理解できます。

それによって、ユーザーに負担をかけることなく商品の理解を深めてもらうことができ、CVRの向上にもつながるという訳です。実際に、このDMJえがお生活様のケースでは、ファーストビューを動画化することでCVRが平均1.25倍(最大1.7倍)改善しています。

村岡:このほかにも、広告をクリックするとLPに遷移せずチャットでのコミュニケーションが始まるパターンや、診断コンテンツを挟むパターンなど、広告から遷移した先での表現方法がよりダイナミックになってきたと感じています。

これらのトレンドは、すべて「顧客体験をリッチにしなければ他社と差別化できず、CPAやCVRの改善につながらない」という、さまざまな広告主に共通する課題感から来ているのではないでしょうか。

ー顧客体験をリッチにするさまざまな手法が台頭してきているということですね。ただ、そもそもどんなことが「顧客体験のリッチ化」につながるのでしょうか?広告主各社はどのような取り組みをしていますか?

村岡:顧客体験をリッチにするとは、お客様一人一人が欲しい形でコミュニケーションを行うことで、気持ちよく商品を検討いただいたりお買い上げいただくことだと捉えています。
それを実現するために、より顧客の解像度を上げる取り組みに力を入れる広告主が増えていると感じます。

従来ももちろん、例えば「東京に住む30~40代のビジネスパーソン」といったような特定のペルソナを想定してマーケティングコミュニケーションが考えられてきました。しかし、最近は、さらにその一歩先の「ライフシーン」にまで踏み込んでコミュニケーションを細分化し、広告やその先のLP等のコミュニケーションを設計する傾向があります。

例えば、同じ「東京に住む30~40代の経営者」であったとしても、普段の食生活において「自分で自炊しているのか」「食事の宅配サービスを使っているのか」「家族が料理を作っているのか」等によっても、ライフシーンは全く異なりますよね。

ここまで細分化するとキリがないのでは…という声も聞こえてきそうですが、逆にここまでやらないと「広告の成果はジリ貧」になっていってしまうという現状があると感じます。目の前のクリックやCPAを合わせるだけのコミュニケーションに寄っていってしまうと、結果的にダイナミックなCPAの変化が起きないという状態に陥ってしまうのです。

競合も増えて他社との差別化が難しい時代に、頭一つ抜けた成果を上げるためには、こうした本質的なアプローチを取りながら打ち手の総量を増やしていくことが大切なのだと思います。

顧客解像度

「顧客体験の向上」を徹底的に追求できる企業は、「顧客理解」に圧倒的に時間を割いている

ーどのようなライフシーンにどのような訴求をしたら顧客体験がリッチになるのかの見極めはとても難易度が高いことだと思います。これらをやり続けられる企業の共通項は何だと思いますか?

村岡:まず一つは経営陣も含めてマーケティングに関わる全員が「顧客理解」に向き合っており、そのための時間やリソース投資をしっかり行っていることです。

以前、オルビス株式会社の小林代表取締役社長が、我々アライドアーキテクツ主催のイベントに登壇いただいた際に、「お客様の買いたい気持ちを正確にデータで追えていなければ、構造の強いLTVを積み上げていくことができない」「Google Analyticsのような各種ツールの管理画面を自ら見て洞察・判断できることが大事」とお話しされていましたが、これらのエピソードはまさに「顧客理解にどう向き合うか」の企業姿勢を表す一例だと思います。

成果を上げるために最適化する手法やギミックは色々存在していますが、そのやり方だけ分かっても本質的な改善にはつながりません。日々の業務や得られる情報の中から、お客様のことを徹底的に理解しようとする企業カルチャーがあるかがポイントだと思います。

それに加えてもう一つある共通項は、とにかく行動量を担保できる組織がどうかという点です。いくら顧客理解を深めても、全てのライフシーンに対してぴったりの提案をすることは不可能です。「他社の5倍、10倍の検証量をこなす」というつもりで、行動量を積み上げるからこそ見えてくることがあります。ダメもとの一手からブレイクスルーが生まれる瞬間もありますから。

「頭を動かしながら、ちゃんと手も動かす。これをやり切れているかどうかが重要ではないでしょうか。

打ち手

行動量を積むためにインハウス化する企業も増える傾向

ー「行動量を積む」という意味では、広告クリエイティブでは一定の行動量を詰めているものの、ダイレクトマーケティングでもう一つ重要な要素であるLPについてはなかなか手が回らないという声も耳にします。それはなぜなのでしょうか?

村岡:本来であれば、広告クリエイティブだけでなく、LPももっと細かく成果を測りPDCAを回す必要がありますが、なかなかそこまで手が回っていない企業様も多いようです。

実際に、弊社が2022年に行った調査でも、「広告クリエイティブの改善運用・PDCA」をあまり実施できていない/実施できていないと回答した人に対して、「広告クリエイティブ以外のクリエイティブの改善運用・PDCA」をあまり実施できていない/実施できていないと回答した人の方が人数が多い結果が出ています。

クリエイティブの運用状況・運用できない理由

広告とLPではもともと制作のヘビーさが違うため、ある意味自然なことだとも言えます。
また、広告は検証量が多いためさまざまなノウハウが貯まりやすい傾向にありますが、LPの検証量を担保できている企業は少ないためノウハウが貯まりにくく、さらに遠ざかってしまう負のサイクルが生まれている現状もあるかもしれません。

ただ、もう一つの理由として業界の構造上の問題もあるように感じています。LPに手を入れようとすると、制作会社、運用保守の会社、広告を回している代理店…など、さまざまな関係者に確認が必要で時間がかかるから、どうしても後回しになってしまうということがあるようです。

最近は広告クリエイティブだけでなくLPの制作も内製化したり、AIやツールを上手く使うなど、LPのPDCAのスピード感も上げようとチャレンジする企業が増えています。今までの代理店との役割分担を見直して、一部は自分たちでインハウス化してみたり、あるいは代理店とのPDCAのやり方そのものの構造を変革しようとする流れがあると感じています。

このような時代の流れにおいて、私たちアライドアーキテクツも含めて、広告主を支援する立場の人間は「代理店だからこそできる役割」を見直すタイミングに来ているのだと思います。

村岡

顧客理解において「UGCに向き合うこと」が当たり前に

ー「顧客理解を徹底する」という観点では、UGCをマーケティングの軸に置く企業も増えていますよね。

村岡:そうですね。ほんの数年前までは、UGCをLPや広告クリエイティブ、ECサイト等に載せるという思考に留まる企業が多かった状態でしたが、最近はUGCをチャネルに応じて最適化して掲載し、CVR向上などの直接的な成果につなげる「運用型UGC」という概念が当たり前になってきたと思います。この点は時代の変化を感じますね。

また、今までは化粧品や食品、健康食品などのいわゆる通販D2CブランドがUGCを積極的に用いるケースが大半でしたが、最近は住宅や金融、教育、ウェブサービスといったさまざまな業界の広告主がUGCに注目する流れが出てきています。

他社との差別化をするために顧客の解像度をあげる必要性がある今、UGCに向き合うことは、どの業界においても必須になっているのではないでしょうか。

ー顧客接点の作り方が大きく変わりつつある中、2024年以降のダイレクトマーケティングではどのようなチャレンジが必要になるでしょうか?

村岡:採算が合う状態でいかにコミュニケーションを細分化できるか、かつ行動の総量を増やせるかがダイレクトマーケティング業界における戦い方になると考えます。LowValueなジョブはテクノロジーで解決し、人間の頭は「ブランドが伝えるべき真の価値は何なのか」の追求に使っていくべきでしょう。これをやり切れるかがどうかが分かれ目になってくるのではないでしょうか。

アライドアーキテクツは、抜本的なCVR改善を実現する「LP改善ソリューション」を提供しています。これまで、UGCや動画を通じて圧倒的な量のPDCAを回してきた実績をベースに、業界・商材に関わらずLPの成果改善を支援します。

▼詳しくはぜひこちらから詳細をご確認ください。
Letro「LP改善ソリューション」サービスページ

ebook