Facebookのプラットフォーム・ポリシーが改定され、Facebookページの「いいね!」を条件にインセンティブを付与することが禁止となります。キャンペーンや特典によってファン獲得が出来なくなる11月5日以降、マーケターが考えておいたほうが良い3つのポイントをまとめました。

 
インセンティブで「いいね!」獲得が無くなる!これからのFacebookマーケティングについてマーケターが考えるべき3つのポイント
 
 
こんにちは、SMMLabの藤田です。
8月7日(米国時間)、Facebookのプラットフォームポリシー第4条第5項が更新され、ユーザーのページへのいいねやソーシャルプラグインをクリックすることに特典を与えることが禁止になりました。この変更により、ユーザーがそのページにいいねをしているかどうかをチェックして、いいねをしている人にのみリワードを与えたり、特別なコンテンツを表示することができなくなりました。
※Facebookプラットフォームポリシー(英語版)
https://developers.facebook.com/policy/
 
これは企業のマーケターにとって、Facebookページのファン獲得に大きな影響を与えると思われます。そこで今回は、これからのFacebookページ活用のために考えておきたいポイントをまとめてみました。
 
 
まず今回の改定について、Facebookのエンジニア、ハーシュディープ・シングは以下のように説明しています。

“To ensure quality connections and help businesses reach the people who matter to them, we want people to like Pages because they want to connect and hear from the business, not because of artificial incentives. We believe this update will benefit people and advertisers alike.”
“よりクオリティーの高いコネクションを保証し、企業が関係するべき人への接触を支援するために、我々はユーザーがインセンティブを動機にするのではなく、その企業と関係性を持ち、情報を受け取りたいと欲して「いいね!」することを望んでいます。このアップデートはユーザーと広告主に同様にメリットのあるものだと信じています。”

引用元:Facebook開発者向けブログ
https://developers.facebook.com/blog/post/2014/08/07/Graph-API-v2.1/
 
つまり、インセンティブがあるからではなく、企業やそのブランドとつながりを持ちたいからページを「いいね!」をしてもらうことが、ファンのクオリティを高め、企業が自社のメッセージをより効果的に届けることができるようになるという、本質回帰を目指したポリシー変更だと言えるでしょう。
 
この意図を理解した上で、マーケターの方はぜひ、以下の3点を考えてみてください。
 

1.Facebookマーケティングの目指すゴールとは?

 
なぜ企業はFacebookをマーケティングに活用するべきなのでしょうか?それは、Facebookだからこそ繋がれる人との関係を構築することによって、いままでのマーケティング手法では難しかった「効果」を得るためではないですか?
その効果はFacebookページの「いいね!」を増やすだけで得られるものでしょうか?
2012年になりますが、アメリカのNapkin Labs社が、20万~100万人のファンを持つ52のFacebookページを対象に、8週間に渡って3, 170人のファンを分析した調査では、以下の様な結果が出ています。
・Facebookページのファン数が増加しても、必ずしもファンがページにいいね、コメント、シェア等で参加する量が増加するわけではない
・Facebookページへの参加が上位10位の熱心なファンはあまりアクティブではない(いわゆる“普通の”)ファンに比べて、2.3 倍以上「いいね!」をし、1.8 倍以上のコメントをしている
・最も熱心な20人のファンについては、一人当たり普通のファン75人分の価値がある
参照記事
Napkin Labs Study Shows That Facebook Doesn’t Help Brands Drive Engagement; Superfans Do
http://www.marketwired.com/press-release/napkin-labs-study-shows-that-facebook-doesnt-help-brands-drive-engagement-superfans-1715181.htm
 
また、通販コスメブランド「米肌」では、Facebookページのファンは非ファンに比べ1.6倍もリピート購入率が高いという実績も出ています。
参考記事
Facebookで固定客を育てよう!米肌に学ぶECサイトとのソーシャル連携
http://smmlab.jp/?p=23769
 
このように、対話による相互理解の深化、ブランド・製品への興味・関心度向上によって得られるエンゲージメントこそが、ビジネスゴールに大きな効果を与えることはすでに証明されています。インセンティブに頼らない純度の高いファンベースを作ることが出来れば、これまで以上にファンからのFacebookページヘの関与が期待でき、コミュニケーションの質を向上させ、ビジネスゴールに繋がるエンゲージメント醸成が容易になるのではないでしょうか?
 
 

2.これからの「Facebookキャンペーン」をどう考えるか?

 
それではFacebookページには今後、「プレゼント」や「コンテスト」といったキャンペーンは必要ないのかというと、重視するポイントが変わるだけで重要性がなくなるわけではありません。
パリとサンフランシスコを拠点とするFacebookマーケティングのソフトウェア開発企業AgoraPulse社の共同設立者であり、ヨーロッパでのソーシャルメディアマーケティングの先駆者として知られるEmeric Ernoult氏は、以下のように語っています。

“On the positive side, Facebook contests and promotions are still the only way to gather emails and other valuable data about your audience, whether they become fans or not. You may not be able to retarget them via your page newsfeed, but you will be able to retarget them using email (for free) or custom audiences (via paid Facebook ads).”
“肯定的な側面として、Facebookのコンテストやプロモーションは、ページにいいねをするかどうかに関わらず、オーディエンスからEメールアドレスやその他の高価値なデータを取得するための唯一の方法であることに変わりありません。ニュースフィードを介してリターゲティングすることは出来ませんが、Eメールのアドレスやカスタムオーディエンスを利用することで有料のFacebook広告を使ったリターゲティングが出来ます”
“In a nutshell, page owners who were looking at apps to grow their fanbase will be disappointed, and may want to test other means to compare cost. But those who were using apps to gather qualified data about their existing fans, or to use this type of campaign to gather qualified data with Facebook just being on the their acquisition channel, will probably not be that disappointed.”
“一言で言えば、アプリをファンベースを成長させるため見なしているページオーナーは失望し、コストを比較するために他の手段を試したくなるでしょう。しかし、アプリをFacebookページのファンについて価値のあるデータを収集する、もしくはFacebookをデータの収集チャネルとして活用するためのキャンペーンを実施していたページオーナーについては失望することはないでしょう”

引用元
Like gating will be banned on November 5, what does this mean for you?
http://www.agorapulse.com/blog/facebook-like-gating-banned
 
このように、Facebookキャンペーンを、単に「いいね!」獲得の手段としてではなく、Facebookページのファンを知る、ファンとファンでない人を区別する、自社のビジネスに影響度の高いファンを見つけるといった、データ収集に重点を置いて考えると、今後ますますその重要性は高まっていくのではないでしょうか。
 
 

3.マーケターにとってのFacebookとは?

 
インセンティブの付与によって獲得した「いいね!」ではなく、ユーザーの純粋な興味・関心による「いいね!」によって、上質なファンベースを構築すると、Facebookページへの参加が増えコミットメントが高まり、エンゲージメントが向上します。また、他のチャネルでは獲得できない実名制に基づいたソーシャルグラフに、ファンの推奨をもって接することが出来ます。
更に実名制に基づいた価値の高いデータを収集出来るとなれば、企業のマーケターならFacebookの広告媒体としての価値を見直すべきだと感じるはずです。
Facebook Japan代表取締役の岩下氏は、日経デジタルマーケティングのインタビューで以下のように語っています。

「Facebookは月間2100万人が利用しており、1日当たりの利用者数は1400万人に上ります。つまり、マスメディアに匹敵する大きなリーチを獲得できるメディアであるわけです。
こうした規模に、ソーシャルグラフ(ソーシャルメディア上の人のつながり)を掛け合わせられるわけですから、Facebookの活用は企業にとって、大きな効果を生み出します。」
「当社は、こうした活発な利用者へ、企業がアプローチできる様々な広告商品を用意しています。当社の広告商品の活用によって、マーケティング上の課題を解決していただく。そういう流れに変わってきていると理解していただきたい。」

引用元
「Facebookはマスメディア、GRPと同様の指標で広告在庫を購入できる」
Facebook Japan 代表取締役 岩下充志氏インタビュー
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmgp/20140722/269039/
 
これまで企業のマーケターにとってFacebookは、無料で使えるコミュニケーション・プラットフォームとしてその価値が評価されてきましたが、今後は詳細なユーザー情報が豊富なソーシャルメディアであるという媒体特徴を活かすという視点でFacebookを見直し、費用対効果の高い広告媒体として活用することを検討することも必要だと言えるでしょう。
 
 
いかがでしたでしょうか?今回のプラットフォーム・ポリシー改定は、多くのマーケターにとって「Facebookのマーケティング活用」の方向性を見直すきっかけになるかもしれません。自社にとってFacebookで繋がるべきはどんな人なのか?その人とどんな関係性を築いていくのか?そんなFaceook活用の本質を考えなおすヒントにしていただけたら幸いです。
 
 


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https://www.aainc.co.jp/service/smm/


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