詳細なターゲット分析から、一見意外に思える折込チラシとFacebook広告の媒体親和性を見出し、相乗効果を上げたマス広告とFacebook広告の連動出稿の事例をご紹介!

 
 
広告出稿において、自社商品のターゲットに合わせた媒体を選ぶことは基本中の基本。しかし、適正だと思われた既存媒体での広告効率が落ちてきていると感じた時、新たなメディアをどうやって探したらいいのでしょうか?また、メディアが多様化し消費者のメディア接触が変化している今、適正な広告媒体の選択が難しいと感じたことはありませんか?
 
今回はしっかりとターゲットを分析し、適正なメディアミックスを設計することで、50代以上をターゲットにしても、Facebook広告で成果をあげ、しかも既存媒体の効率も改善することが出来たという事例をご紹介します。
カゴメ株式会社マーケティング本部通販事業部 原 浩晃氏

カゴメ株式会社 マーケティング本部通販事業部 原 浩晃氏

 
大手食品メーカー、カゴメ株式会社の通信販売チャネル「カゴメの通信販売 健康直送便」で、2014年6月に発売した野菜ジュース「つぶより野菜」の新規顧客獲得を担当されている、マーケティング本部通販事業部の原 浩晃氏にお話を聞きました。
 
 

広告効率改善のスタートはターゲットと媒体の適正を見極めること

 
カゴメ「つぶより野菜」販売サイト

カゴメの通信販売 健康直送便「つぶより野菜」販売ページ

 
―― 「つぶより野菜」の新規顧客獲得では、どのような施策を実施されていらっしゃるのですか?
私は当初、オフラインだけを担当していたのですが、オフラインでの獲得効率が下がり始めていたのに比べ、オンラインの効果が上がりつつある状況があったため、広告媒体を商品基点で見直すことになり、2015年の10月からオフラインとオンラインを横断的に担当するようになりました。
 
全社的に広告費が削減傾向にある中で、新規顧客の獲得を効率化し規模を拡大するには、ターゲットを絞り適正な媒体を見極める必要がありました。
 
そこで、「つぶより野菜」のターゲットはどんな人で、どのメディアならリーチ出来るのだろうかと、定期CPO(Cost Per Order=顧客獲得単価)の効率と獲得規模の拡張性を考えながら、各媒体を評価・精査して整理しました。
 
 
―― その段階でFacebook広告の評価はどうでしたか?
CPAはまずまずで引き上げ率も良く、定期CPOも他の媒体に比べてよかったんですが、獲得規模が物足りない状況でした。事実、「つぶより野菜」の顧客は、平均年齢63歳で女性が多いため、属性情報だけだとFacebookでの獲得は限られてしまっていたのかもしれません。
 
しかし、実はFacebookでのCVRが5%ぐらいあったので、獲得メディアとしてあっているのではないかと感じたんです。そこで、もっと詳しく「つぶより野菜」の顧客の趣味嗜好を分析してみると、かなり知識欲求が強く、情報収集にも熱心であることがわかってきたので、Facebookにも媒体適正があるのではないかと仮説を立てました。
 
 
―― Facebookは今、中高年のユーザーが増えていると言われていますが、それでも50代、60代へのリーチを狙う媒体として、Facebookを選ばれるのは結構チャレンジな選択ではなかったですか?
Facebook広告単独ではないですから。メディアミックスで一定期間に集中して広告出稿すると、メディア接触量が増えることで、能動的な検索も増え、結果的に定期CPOの効率はよくなりますので、新たな可能性に踏み込む要素としてFacebook広告を取り入れたという形です。
 
 

 メディアミックスで見えてきた意外な媒体親和性

 
―― 今回は5月のGW明けから約1ヶ月間、メディアミックスで出稿されたということですが、結果はいかがでしたか?
通常、メディアミックスの効果として自然検索が平常月の4倍程度に増加するのですが、今回は6倍となりました。また、Facebook単体でも昨年の3倍のペースとなっています。
 
 
―― 折込チラシを投下した日から約5日間で、Facebook広告のCVRが通常日の4倍になっているのは驚きですね!
折込チラシに接触しているのは新聞購読者で、情報をお金を出して買う情報感度が高い方たち。相乗効果があったということは、新聞購読者がFacebookにもいらっしゃるということで、仮説がまちがっていないと感じました。
インタビュアー:アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部 アドテク事業部 鬼山 真記

インタビュアー:鬼山 真記
アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部 アドテク事業部

 
―― 新聞購読者が減少し、折込チラシの反応が落ちているという、昨今の一般的なニュースだけを見ていると、普通は折込チラシを止めてFacebook広告への移行を考えてしまいがちではないかと思うのですが、顧客を多角的に調査・分析されたことで、新聞折込とFacebookの媒体親和性に気付かれたわけですね。
弊社では蓄積した顧客のサイコグラフィック的なデータから、興味関心がかなり細かく見えているので、そこからメディアを想像すると、まだまだ新聞もいけるし、Facebookもあるだろうと思っています。
 
また、弊社の通販広告出稿の場合、テレビCMだけを単独で出稿することはないんです。かならず、「詳しくは折込チラシへ」と連動させる。折込チラシ単体のレスポンス率を1とした場合、テレビCMを連動すると2になるという効果は従来経験から分かっているので、今回折込チラシとFacebook広告の相乗効果があったとなれば、テレビ広告との連動にも可能性を感じますね。
 
 

VOCを活用し共感を呼ぶクリエイティブに

 
―― 広告の効果を左右するのは媒体選択だけでは無いと思いますが、クリエイティブ制作にもターゲット分析のデータを活用されているのですか?
クリエイティブに関してはデータというより、顧客の声=VOC(Voice Of Customer)そのものを活用する取り組みを始めています。
 
実は、「つぶより野菜」には発売当初から使用している広告効果の高いクリエイティブがあります。この「カゴメが80年間作りたかった」というカゴメ主語のメッセージは、とてもインパクトが強くて、何度テストを繰り返しても、ずっとこれに勝てるものがありませんでした。しかし、やはりすこしづつ効率は悪くなってきていたので、コミュニケーションを変えなければならないと感じていました。
 
カゴメ通販チラシ比較

左:カゴメ主語の常勝クリエイティブ 右:VOCを前面に押し出したクリエイティブ

 
弊社の顧客向け会報誌にはお客さまの声をお送りいただく葉書をつけているのですが、「つぶより野菜」には「感動した」「一生飲み続けます」というような、熱量の高いメッセージが年間3, 000件も寄せられていたんです。そこで、このVOCを思い切り全面に出してクリエイティブをつくったところ、テレビCMと連動でかなり良い効果が出ました。
 
また、弊社の折込チラシにはもう一点特徴がありまして、表面は世界観を伝えるクリエイティブに徹し、価格は裏面に掲載しているんです。何度テストしても価格が表に書かれていないもののほうが効果が高いので、お値段よりも本質的な価値を重視されるお客さまが多いのだと思います。
 
半年に一度、グループインタビューを実施しているのですが、実際「つぶより野菜」をご購入されるお客さまは、ご自身で旅した産地のものやこだわって作られた商品を「お取り寄せ」されている方が多いんです。
 
そして、電話でのお申込時に購入のきっかけをお聞きすると、お友達からのご紹介がすごく多い。ご友人として同じ価値観の方々が繋がっていらっしゃるから、クチコミの影響度が高いのだと思います。
 
そういった意味でお客さまがイメージしやすい。だからお客さまに共感していただけるクリエイティブを作ることが出来れば、後はそれをどこに出せばいいのかと考えることが出来る。ニッチなメディアをどんどん開拓してニッチマスにしようとしています。
カゴメ株式会社 マーケティング本部通販事業部 原 浩晃氏
 

顧客を知ることで見えてくる新たな顧客の存在

 
―― なるほど、すごく濃い客層をお持ちだから、その方たちを分析して似ている人にアプローチしていくことで、どんどん成果に繋がる……まさにFacebookの広告の類似拡張と同じアプローチですね。
プラットフォームの特性をベースに広告を考えてしまうと、それぞれの媒体ごとのトンマナや文脈を、それぞれに最適化するという方向性になってしまいますが、顧客がどんな人かがハッキリわかっていると、メッセージは集約されていきますね。
 
「つぶより野菜」のお客さまは7割がオフラインですから、そこでのコミュニケーションには知見がある。それをオンラインにも活かしていこうと思っていますので、Facebook広告だからといってオフラインと別には考えてはいません。
 
ただ、今後、より拡大していくには、やはりもっとソーシャルらしいコミュニケーションも別軸で構築していく必要があると感じています。カゴメがすごい野菜ジュースを作っているということを知っていただいた次の段階は、お客様が良いといってくださっている、インスタグラマーさんがオススメしてくれている、他にもたくさんの人が認めてくださっている……と、さまざまな方面から「カゴメいいね」というお声をいただいている事実をお見せできる場を展開していきたいと思っています。
 
カゴメ株式会社 マーケティング本部通販事業部 原 浩晃氏
 


 
<プロフィール>
原 浩晃氏
カゴメ株式会社
マーケティング本部通販事業部
カゴメ株式会社
http://www.kagome.co.jp/
カゴメ株式会社「カゴメ健康直送便」
http://shop.kagome.co.jp/index.html
 
インタビュアー:鬼山 真記
アライドアーキテクツ株式会社
マーケティング事業本部 アドテク事業部


このインタビューでお聞きした事例のFacebook広告に関する詳しいデータ等は
事例リリースでもご紹介しています!ぜひご一読ください。
SNS Marketing Case Study
「SNS広告専門チーム・ADUがカゴメ「つぶより野菜」のFacebook広告施策を支援、購買数が3倍に」
http://www.aainc.co.jp/news-release/2016/01239.html


■参考リンク:SNS広告に特化した最新鋭の技術を持つ専門組織「ADU」
https://www.aainc.co.jp/service/ad/


 
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