ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組まれている企業の担当者に、現場でのSMM活動の実際についてお聞きするインタビューシリーズ【企業担当者に聞くSMM最前線】
こんにちは、SMMLabの小川です。今回は、クチコミがクチコミを呼び、急成長を遂げたエプロンECショップ【シュクココロ】の下田真美氏にお話を聞きました。
全く無名だったECショップを、多くのメディアに取り上げられ、芸能人からのご指名をもらうまでに成長させた原動力はクチコミだった…。顔の見えない「インターネットショッピング」の世界において、ファンからアツい支持を受け、クチコミを呼ぶ秘訣とは?
エレガント、キレイ、かわいい!がそろったおしゃれなエプロンを
――シュクココロの概要を教えてください。
シュクココロは、気品のある姿と心をテーマにした日本製オリジナルブランドエプロンを販売する、エプロン専門のインターネット通販ショップです。毎日の家事が楽しくなる、エレガント、キレイ、かわいい!がそろったおしゃれなエプロンを取り揃えております。
毎日の暮らしの中で、姿も心も可愛く美しく輝けるようお手伝いさせていただくため、商品企画やパンフレット作り、生地選びや縫製仕上げまで、どれもこだわりをもって誠心誠意取り組んでいます。
世の中に無いんだったら自分で作ろう!と思った
――エプロンの販売を始めたきっかけ・経緯を教えてください。
結婚した当初に、主人からエプロンをプレゼントしてもらったことがきっかけなんです。柄はとても可愛かったのですが、ただ四角い生地の端を縫っただけのような感じで、あまり女性本来の体のラインは意識せずに作られているものでした。
実は、それまではあまりエプロンをしたことはなかったのですが、そのプレゼントをきっかけに、可愛いエプロンをインターネットで探してみたのです。すると、手ごろな値段でかわいいエプロンが販売されていないことに気がつきました。友達に聞いても、エプロンは地味で四角いだけ、ただ洋服の汚れをカバーできればいいもの、というイメージだったんですね。
きっと私のように可愛いエプロンが欲しいという方も多いのではないかと思い、今世の中にないのであれば私が作ってみようと考え、2007年11月にインターネットショップをオープンしました。
「シュクココロ」の名前の由来:淑女の『淑』と、気持ちの『心』を意味した造語。「淑」には「気品がある、品格、しとやか」などの意味があり、【心から可愛らしく、上品な気持ちをいつまでも】との思いを込めている。
ホームページリンク:http://www.apron-syukucocoro.com/hpgen/HPB/categories/94128.html
初めてのECショップ出店…「広告費」が必要という考えすらなかった
――ECショップを始めてから、どのような広告・マーケティング施策に取り組まれましたか?
実は私は音大出身でずっとピアノの講師をしており、OLや商売をしたこともありませんでした。パソコンについても全然詳しくなかったですし、正直「広告費」が必要という考えすらなかったのです。
そんな状態ですので、ショップをオープンしたものの、最初のうちはほとんど売れませんでした。Googleで「エプロン」と検索しても、10ページ目くらいまで行かないと自分のページが出てこない状態でした。ただ、唯一始めたものとして、ショップオープンと同時に、店長日記のブログを立ち上げて、その中でエプロンの紹介を始めたのです。妹から勧められたことがきっかけでした。
また、他の方のブログに訪問してあいさつをする活動も始めました。すると、他のブロガーさんが私のブログを見に来てくださるようになりました。「こんなエプロン見たこと無い!」「どこで買えるの?」「私も欲しい!」などのコメントもいただけるようになり、そのコメントに対してショップを案内したところ、少しずつショップに人が入ってきてくれるようになったんですね。また、他のブログ記事内でご紹介いただくことも増えていきました。
このようにして、ブログをきっかけにしてリンクも増えたので、1ヵ月後には、「エプロン」の検索で3ページ目くらいに入ることができました。
今でも、初めて、1着エプロンが売れたときのことを覚えています。縫製会社にもこれいいね、といわれ、私自身も一番気に入っていた商品でしたので、すごく嬉しかったですね。
クチコミをきっかけにしてSEOが向上、そしてメディアに取り上げられたことで一気に広がっていった
――その後、どのように認知を広げていったのかお聞かせください
クチコミに対する反応の良さを知っていたので、より多くの方にシュクココロの商品を知っていただき、クチコミをして頂けるような環境を作りたいという思いがありました。そんなときに、多くのブロガーにアプローチができる「モニプラ」の説明を聞き、まさにこれだ!と思いました。「モニプラ」を通じて多くのブロガーさんにシュクココロのエプロンの良さを知って頂き本物のファンを増やしたい、またそれによって良いブログを書いて頂けた場合は質の良いSEO対策になるという期待もあり、すぐに参加を決意しました。今でも、広告費は「モニプラ」のみです。
――ブログマーケティングにより、具体的にどのような効果がありましたか?
ブログ記事経由で、多くの方にホームページに流入していただけるようになりました。また、質の良い記事が蓄積されていくことでSEO効果があり、「エプロン」や、「かわいい エプロン」のキーワードで一位を取ることができるようになりました。「モニプラ」に参加する前は、まだ2位~3位あたりにおりましたので、SEO効果が非常に大きかったと思います。
また、「エプロン」で検索をすると、「シュクココロ」に関する記事がたくさん出てくる、ということで、メディアの方から取り上げて頂くこともできました。「シュクココロ」の名前は、そこから一気に広がったように思います。今では、本当に多数の雑誌やテレビに取り上げて頂き、また芸能人の方にもご指名いただけるようになりましたが、実は、今でも自分たちからマスメディアに売り込む活動は一切していません。雑誌社やテレビ番組担当の方が、ブログのクチコミ記事を見つけてくださって、お声がけをしてくださっている状況です。また、同じくクチコミ記事が大手量販店バイヤーさんの目に留まり、卸契約につなげることもできました。
クチコミの鍵は、オンリーワンのブランディングと、お客様との密なコミュニケーション
――それほどまでに多くのブロガーの方に喜んでクチコミしてもらえる理由は何だと思いますか?
まず一つは、シュクココロにしかない、オンリーワンの商品をご評価いただけていると思っています。実は、シュクココロのショップをオープンする1年前から、数々の縫製会社に掛け合っての「納得のいく」サンプル作りや、ショップのキャッチコピー考案など、他と差別化してどのようにブランディングするか、しっかりと準備を行っていました。
でも、実はそれから程なくして、同じ生地を使って、ほとんど同じデザインで作られた類似商品が出回り始めたんですね。その時は本当に悔しく思いました。それからは、他から絶対にまねされない商品を作るために、生地からオリジナルで作ることにしたんです。生地にシュクココロのロゴマークを入れることで、ブランディングをしようと思いました。
ロゴは、エレガントなハート型のかぼちゃの馬車のイメージ。その中にSyuku Cocoroの頭文字の「S」が入っている。
また、新商品をどんどん出していくように心がけております。今回新しく考えたのは、上下別のエプロンを組み合わせることができる「セレクトエプロン」というシリーズです。この商品は実用新案登録もしており、シュクココロにしかないものとなっています。このセレクトエプロンは、下が黒、上がピンクの水玉など、上と下をコーディネートできるため、色々な組み合わせでお楽しみいただけると思っております。シュクココロのエプロンをぜひリピートしてお使いいただきたい、という想いもありますね。
上下のコーディネートを楽しめるセレクトエプロンシリーズ:http://www.apron-syukucocoro.com/SHOP/845775/list.html
喜びの声であれ、苦情であったとしても、一人一人のお客様の声を真摯に受け止め、丁寧に接するというところもご評価いただいていると思います。ショップのオープン当初からお客様の声をできる限り聞き、コミュニケーションを取るように努めています。
モニターを募集するときは、「どうやったらシュクココロの商品の良さを知っていただけるか、どんな企画だとモニターに参加する方が喜んでくださるか、シュクココロと参加する方の双方にメリットがあるか」を考えています。商品は、私たち作り手にとっては、お嫁に出す子供のようなものです。ですので、ただモノをあげてブログ記事を書いてもらえばいい、懸賞目的でもとにかくファンが増えればいいというのではなく、親身に「使っていただける」方にモニターをしていただけるよう、工夫しています。
<次回へ続く>
次回は、お客様との実際のエピソードや、お客様の声をどのようにサイト運営や商品開発につなげているか、また今後シュクココロが目指す姿などについてお伺いしています。次回もお楽しみに!
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下田真美氏 プロフィール
株式会社シュクココロ 専務取締役、エプロンショップ【Syuku Cocoro】代表
シュクココロ【素敵な可愛いエプロン専門店】: http://www.apron-syukucocoro.com/
2011年度Eストアー東京都の銘店金賞受賞、2009年度Eストアークチコミ大賞受賞
インタビュアー:小川 裕子(アライドアーキテクツ株式会社 SMMLab)
■参考リンク:国内最大規模の企業ファンサイトモール「モニプラ」
http://socialmedia.monipla.jp/
■【企業担当者に聞くSMM最前線】
・株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン 高橋 淑恵氏(1/2):
http://smmlab.jp/?p=5027
・タマホーム株式会社Facebook課 川野和義氏(1/2):
http://smmlab.jp/?p=2717
・ライフカード株式会社 鎌倉早佑理氏(1/2):
http://smmlab.jp/?p=2473
・リーデル(RSN JAPAN 株式会社) 西村 敏雄氏(1/2):
http://smmlab.jp/?p=681
・ハウスウェルネスフーズ株式会社 丸山佳代氏(1/2):
http://smmlab.jp/?p=19