日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?
ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。
用語説明
BYOD(Bring Your Own Device)
従業員が高性能ノートPCやスマートフォン、タブレットなどの個人所有の情報端末を、企業内に持ち込んだり、外部から社内ネットワークにアクセスするなど、業務に活用する利用形態。レストランやパーティー等で「飲み物は各自持ち寄り」を意味する“BYOB”(Bring Your Own Booze/Bottle)という英語表現をもじったとされている。
日本でも注目されはじめた私物デバイスの業務利用
私物の端末を企業内での業務に使うという動きは、数年前から海外で盛んになってきており、アメリカではすでに75%の企業が何らかの形でBYODを許可しているとも言われています。
日本でも以前から、私物端末の業務利用を許可している企業はありましたが、従業員の所有物であるデバイスを完全に管理することは難しく、ウイルス感染や紛失・盗難に伴う情報漏えいなど、セキュリティー面に不安もあったため、個人情報保護法が施行されて以来、原則禁止とする企業が多くなっていました。
しかしスマートフォンや超軽量高速PC、タブレットなどが急速に普及するなかで、企業が支給するデバイスよりも個人所有のものの方が高性能であることが増え、社内だけでなく自宅や出先でも端末の種類を問わないクラウド型サービスが利用可能になってきたことから、BYODによる従業員の生産性や満足度向上のメリットが大きくなってきました。
また、高度なセキュリティーを実装出来る「VPN」 ( Virtual Private Nework ) を構築したり、遠隔操作で端末の情報を削除したり、ロックをかけたりできる「MDM」(Mobile Device Management)による管理ツールやサービスを利用することにより、利便性を損なわず安全に導入出来る環境が整ってきたことで、日本でもBYODに注目が集まり始めています。
BYODのメリットと懸念される課題点
企業側のメリットとしては、
- 高性能なノートPCやスマートフォン、タブレットを安価な導入コストで業務利用できる
- 従業員が使いなれたデバイスを利用出来るため生産効率が向上する
- 社内だけでなく自宅や出先でも同じように業務出来るため活動効率が向上する
- 使い勝手の良い在宅・遠隔勤務環境を構築できるため、緊急時の事業継続性確保にも活用できる
などが上げられますが、
- ウィルス感染や紛失・盗難に伴う情報漏えいなどのセキュリティー面の不安
- 利用するサーバーのライセンス管理の難しさ
- 高性能な機種が次々とリリースされることから、新しいデバイスが正しく利用できるか検証するためのIT管理者の手間とコスト
- 「いつでも」「どこでも」業務活動が出来る状況をどのように勤怠管理するか
- 端末購入費や通信費に対しての補助が必要か
- デバイス内にある従業員のプライバシー情報の取り扱い
- 私物デバイス内のアプリやクラウドサービスの業務活用をどうするか
といった課題・懸念も残されています。
また、従業員にとっては、デバイスが自由に選べることや、勤務場所を選ばないことで働きやすさが向上する一方で、常時勤務環境の中で公私を区別し、自身のプライバシー情報と業務上のプライバシー情報を分けて管理することが必要になるなど、自己管理能力と高いセキュリティ意識が求められます。
こうしたことからBYODは、デバイスの管理やシステム構築、セキュリティーツール・サービスの導入だけでなく、従業員の理解・協力のもと、社内ルールや運用ポリシー、それを遵守するための仕組みを整備し、正しい指導・管理の下で運用することが重要です。
イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ