こんにちは、SMM Labの瀬戸口です。
インターネットやアンケート調査でユーザーの声を拾い、サービスの向上や商品開発に活用する例を耳にされたことがあると思います。ユーザーの声を集め、商品化する例としては、日本では無印良品による取り組み(モノづくりコミュニティー)が有名です。
今までは、ユーザーの声を集める際には、専用のサイトの立ち上げや、また外部機関等を使ってのアンケート調査が必要でした。しかしながら、今は、ソーシャルメディアを使い、会話、コメント、苦情などをリサーチすることによって、その声に基づいたプロダクトやサービスの開発・再設計をすることが可能です。これは特に、R&D(Research&Development)に費用を割けない中小企業にとっては、手軽で効率的な方法ではないでしょうか?集中した時間と覚悟さえあれば、ソーシャルメディアを使ってブランドを優位な方向に向けることができます。
そこで、今回はsocialmediaexaminerから、「3 Ways to Use Social Media for Product Research and Development(ソーシャルメディアを商品に関する調査や商品開発に利用するための3ステップ)」をご紹介します。ソーシャルメディアを効果的に、そして効率的に商品開発に活かすには?

 

via:無印良品 モノづくりコミュニティー
 
1.ロードマップを作成する
まず、何を成し遂げたいのかをしっかりと決めます。カスタマーサービスの好感度を上げるため、実際にサービスを受けた人からのフィードバックを受けたいのでしょうか?既存の商品に対する評価を知りたいのでしょうか、あるいは全く新しい商品を作り出したいのでしょうか?
ユーザーへのリサーチを開始する前に、まず何を目指すのか、その「ゴール」を決めることが、ロードマップ作成を成功させる第一歩目です。
次に、どのソーシャルメディア・プラットフォームを中心にユーザーリサーチするのかを決めます。
・YouTube:新商品のデモをユーザーに見せる際に適したメディア
Cisco社は、新しい商品やサービスに関するワードを、従業員や顧客に発表する際に、YouTubeを利用しています(参考:http://www.socialmediaexaminer.com/cisco-social-media-product-launch/
 
・Twitter:大多数へリーチさせ、リアルタイムにフィードバックを得たい際に適したメディア
2008年にZapposは、Twitterにてユーザーに次のような呼びかけを行いました。「Zapposで靴を購入してくれた人に送る確認メールは、今とても退屈でザッポスらしくないものになっています。そこで、この確認メールを楽しくするアイディアを募集します!あなたが考えた新しい確認メールのアイディアを、Twitterで投稿してください。よいアイディアを投稿してくれた人には、靴をタダで差し上げます!」
(参考:http://www.zappos.com/twitter/order-confirmation-email-contest.zhtml
 
・Facebook app:ファンのソーシャルリアクションを得たい時に適したメディア

 
VitaminWaterは、Facebookページのファンに、どの味が好みか呼びかけて投票させる試みをしました。企業にとっては、低コストで商品の調査ができるメリットがありますし、ファンは、投票で一番になった味を選んだ人の中から5, 000ドルをもらえるため、両社にメリットのあるものと言えます。さらに、この試みにより、このブランドがとてもクリエイティブなものだという印象をファンに与えました。
via: Social Co-Creation- Vitamin Water’s Social Media Product Innovation Experiment
 
 
 
また、旅先でもらえるマイルの管理ができる「Superfly.com」でも、Facebookを通じてユーザーの声が集められています。Superfly.comはサービス開始と当時にFacebookページを開設しました。開設の目的は、Superflyのサービスとユーザーの親和性を高めること、そして一方でサービスの気になる点(Pain Points)を発見することが目的でした。結果として、ターゲット通りの旅行好きなファンをページに集め、ユーザーの気になる点を洗い出し、サービスの改善につなげることができました。

尚、それ以外にも、航空会社や空港、ホテルでは、ソーシャルメディアを「低コストで、簡単にカスタマーのフィードバックを得られる方法」として活用するケースが増え始めています。
エストニア航空は、My Estonian Airというプロジェクトを立ち上げ、サービス向上のためのあらゆる意見を募集しています。

 
インターコンチネンタルホテルズグループでは、よく利用する顧客のプライベートコミュニティーを作り、彼らがどのようにホテルを利用しているかに耳を傾けています。これにより低コストでより効率的に調査ができるだけでなく、さらにファンのエンゲージメントを高めることに役立っています。

 
これらはあくまで一例です。実際にご自身のFacebookページで調査を行う際は、その目的や必要性に応じて、目標や戦略を変える必要があります。
 
2.関係性のある質問を投稿し、データを採取する


ロードマップを作成し、目的や方法を明確にした次は、具体的な質問を考えます。あくまでも、どのソーシャルメディアを使うか、という点を意識して質問を考えるようにしましょう。フォーマルな質問はTwitterやFacebook、ブログなどのインフォーマルな環境では何のリアクションも得られないかもしれないですし、ブログでは多くのコメントをもらえる質問だったとしてもTwitterのフォロワーには伝わらないかもしれません。
ここで一つ、事例をご紹介しましょう。
2009年春、AirTran Airways社は、新たにどのようなサービスがほしいかについての調査を行いたいと思っていました。そこでAirTran Airways社は、ウェブサイトを通じてファンに「AirTranでのご旅行で、足りていないものは何ですか?」といった単純な質問を投げかけました。それに対して、非常にクリエイティブで興味深いフィードバックがすぐに集まり ました。数週間後に導き出された答えは、「Wi-Fi」でした。AirTran Airways社は、正しい質問をし、貴重なデータを集め、それを上手くサービス改善に反映させました。AirTran Airwaysには、今では常にWi-Fiが完備されています。

 
ポイントは、あえて会話を作り出そうとすることではありません。まずは、ファンに質問を投げかけてみましょう。あなたが探している答えについて、きっと会話がなされるはずです。その際に、その会話の中に入っていくことを恐れる必要はありません。
また、質問を投げかけた際には、その答えを記録し、分析することを忘れないようにしましょう。データを分析することによって、そのサービスへのニーズや、今後のトレンドについてのヒントを得ることができるはずです。
 
3.データを集積して利用する
 
ユーザーに質問を投げかけ、貴重なデータを集められたら、次はそれをしっかりとサービス向上・開発につなげていきます。
Superfly.comのJonathon Meiri氏によると、彼らのサービスの機能である”elite circles” はFacebook上で集めたデータによって生まれた機能だそうです。”circle”内でユーザー同士が関わりあえるようにした結果、ユーザー間でのホテルや旅行プランなどの会話が自然と生まれ、それらをデータとして利用することで、最も快適な空間を作り出すことができました。
また、United Concordiaは、ソーシャルメディアを利用してユーザーのニーズを掘り起こすことで、大成功を収めました。
Facebookで、ターゲットを絞った有益な情報を提供し頻繁に質問される内容に答え続けることで、上手くコミュニティーを形成。低コストで数千人ものメンバーをFacebook上でつなげることに成功しました。United Concordiaの面白い特徴は、ソーシャルメディアの効果測定対象がいいね数やファン数ではなくコメントで「ありがとう」といってくれた回数にフォー カスしている部分です。その言葉を引き出すために、時間とエネルギーを集中して使っています。
 

最も重要なポイントは、リアルタイムにユーザーに返答をすることです。それに費やす時間とエネルギーに見合った効果が得られるまで、データを分析しながら軌道修正していきましょう。
 
さて、いかがでしたでしょうか?ご自身の商品・サービスについて、ファンに質問を投げかけてみるイメージはわきましたか?
実際にユーザーに質問を投げかけてみると、いかにユーザーは、ただ「購入する」「商品を受け取る」だけでなく、実際に商品開発のプロセスに参加したがっているかがお分かりになるはずです。
R&Dは、会社の成長に不可欠なプロセスです。もしこれからR&Dを行う場合は、一度そのツールを「ソーシャルメディア」にしてみてはいかがでしょうか?きっと、今までとはまた違う発見ができるはずです。
 
■参考記事:3 Ways to Use Social Media for Product Research and Development
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