ダイレクトマーケティングとは

「ダイレクトマーケティング」をダイレクトメールや通信販売のことだと思ってしまっていませんか?ビッグデータ活用が進む中で、今また注目される「ダイレクトマーケティング」を改めてチェック!

ダイレクトマーケティングとは
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用語説明

ダイレクトマーケティング(Direct Marketing)

顧客と個別・直接的な双方向コミュニケーションを行って、相手の反応(レスポンス)を測定しながら、ニーズや嗜好に合わて顧客本位のプロモーションを展開していくマーケティングの概念。
データベースマーケティング、インターネットマーケティング、CRM(顧客関係管理)、One to Oneマーケティングなど、今日でも重視されるマーケティング手法のベースとなっている。

米国の広告会社ワンダーマンの創始者として知られるレスター・ワンダーマン(Lester Wunderman)が1961年に初めて提唱した。

より個人を意識したコミュニケーションが求められる時代に

ソーシャルメディアによって企業と消費者がダイレクトに繋がることが容易になった今、顧客への直接的なアプローチ、継続的なコミュニケーション、データの獲得・分析、ROIの明確化といった「ダイレクトマーケティング」が持つ特性が、顧客中心の価値創造において重視され、その可能性に再び注目が集まっています。

元々ダイレクトマーケティングは通信販売(カタログ販売)を原点としているため、ダイレクトオーダー(電話・郵便などによる注文)獲得のための手法だと思われがちですが、現在はリードジェネレーション(見込み客情報の獲得)やトラフィックジェネレーション(販売チャネルへの集客)のための活用も増えており、単発的な売上だけではなく、顧客との関係性を深め、継続的な売上を目指す、LTV(Life Time Value=顧客生涯価値)の最大化を目的としたマーケティングシステムへと進化しています。

ビッグデータ活用でダイレクトマーケティングも飛躍的に進化

米国DMA(Direct Marketing Association)が、「一つまたは複数の広告メディアを使って、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成できる双方向のマーケティングシステム」と定義付けているように、相乗効果を高めるために複数メディアを組み合わせて活用し、個々の施策とレスポンスの関係などを継続的に検証・改善していくことが、ダイレクトマーケティングの成功のポイントです。

しかし、ダイレクトマーケティングに活用されるコミュニケーションのチャネルは、従来からの電話や郵便、メールといったパーソナルメディアや、初期段階で顧客を獲得するために利用されるテレビや新聞、雑誌、折込広告等のマスメディアに加え、ソーシャルメディアやモバイルデバイスなど、急増しています。

そのため、「誰にどのチャネルで何をオファーするか?」がより重要になっていますが、企業の「ビッグデータ」への取り組みが進む中で、デモグラフィック(性別、年齢、所得、職業、学歴、家族構成などの人口統計的属性)、ジオグラフィック(居住地、所在地などの地理的属性)だけではなく、購入履歴やレスポンス経路などの購買行動、さらにはライフスタイル、好み、価値観など、様々なデータを容易に収集、分析することが出来るようになったため、精緻なターゲティングや効果測定が可能になりました。

こうした「ビッグデータ」の活用は、ダイレクトマーケティングを飛躍的に進化させ、たとえば100人の顧客それぞれに、個別のアプローチや適切なメッセージを発信するといったことも出来るようになり、これまで以上に濃密なコミュニケーションで長期的な関係性を築けるようになったのです。

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信頼の元に得た情報で個別アプローチを最適化する

しかし、どのような情報が収集され、どう活用されているかが消費者からは見えづらい状態で、過度にパーソナライズされたアプローチは、嫌われるリスクもあります。「気持ち悪い」と思われないためには、日頃から「この企業になら自分の情報を提供してもいい」と思ってもらえる信頼関係を築くことが大切ですし、提供してもらうデータの見返りにふさわしい価値を提供しなければなりません。
そのためには顧客をしっかりと理解した上で、そのカスタマージャーニーに沿ったコミュニケーションシナリオが必要となるでしょう。

また、モバイルデバイスの進化・普及によって、消費者が広告を見てから購買行動に至るまでの距離や時間がどんどん短くなっていますので、これからのダイレクトマーケティングは、顧客の心地の良いタイミングに必要な情報を届ける即時性も求められます。顧客の手中にあるモバイルデバイスにプッシュで情報を届けることが出来る、SMS/SMMやLINEのようなモバイルメッセージの活用もますます進むことでしょう。

このように、ダイレクトマーケティングは今もなお進化しており、メディアの拡張とテクノロジーの進展によって、今後もさらにその領域を拡大していくであろう概念なのです。

イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ