日本テレビがFacebookの協力を得て実施した「JoiNTV」や、初のスマホ向け放送局でSNSとの連動も可能な「NOTTV」の開局など、ソーシャルメディアとテレビを組み合わせた動きに注目が集まり始めています。今回は、「ソーシャルテレビ」に関する注目データやサービスをご紹介します!


こんにちは、SMM Labの小川です。
突然ですが、あなたはテレビを見ながら、感想をTwitterやFacebook等のSNSにつぶやいた経験はありますか?またニュースフィードに、友人のテレビに関する感想が流れてきて、思わずテレビをつけた経験はありませんか?

昨年12月に放送された『天空の城ラピュタ』内で、主人公が「バルス!」と叫ぶ時点での瞬間最高ツイート数が毎秒14594回となり、世界記録を塗り替えたというニュース、また日本テレビが今年3月に実証実施した、テレビ画面内でソーシャルネットワークサービスFacebook上の「友達」と一緒にテレビ番組を楽しめるサービス「JoiNTV」、4月にスマホ向け放送局として新しく開局した「NOTTV」等、近頃ソーシャルメディアとテレビを組み合わせた動きに、大変注目が集まっています。
そこで今回は、そんなソーシャル×テレビに関してのユーザー行動データや、注目サービス、またこの流れが具体的にどのような影響を持ちえるのかについて、ご紹介したいと思います。
Watching tv
Watching tv / KaiChanVong

(補足)
・JoiNTV:日本テレビが実証実験で行っている番組。Facebook上の友達が同じ番組を視聴していると、テレビの画面上に「○○さんが視聴中です」というメッセージと一緒に、「友達」の顔写真と名前が表示される。また、番組視聴中にテレビリモコンの「青ボタン」を押すと、Facebook上と同じ番組を視聴中の「友達」のテレビ画面上の両方に「○○さんがいいね!と言っています」と表示される。この際、「いいね!」を押したシーンの詳しい情報も提供されるので、知りたい情報のメモ代わりや、関連情報を友達に知らせる用途で利用できる。さらにFacebookの情報を利用したプレゼント応募も可能で、この場合は番組中に当選者を決定して知らせることもできる。 参考記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120305/384649/
・NOTTV:日本初のスマートフォン向けマルチメディア放送。TwitterやFacebookと連動し、テレビの感動を友達とシェアすることも可能とされる。
 
86%の人はテレビを見ながらモバイル端末を利用、さらにその40%はSNSを閲覧している
米Yahoo!が昨年1月に、アメリカ在住の13歳~64歳、8, 384名を対象に行った調査によると、テレビを視聴しているとき、86%の人はモバイル端末を利用、さらにその40%はSNSを見ているという結果が出たそうです。

データ元:http://advertising.yahoo.com/article/the-role-of-mobile-devices-in-shopping-process.html
上記は昨年のアメリカのデータですが、「国内のFacebookユーザーの内約70%はモバイルからアクセスしている」とのデータもあることから(2011年11月、MMD研究所調べ)、日本でも同様に、テレビを見ながらモバイルでSNSにアクセスしているユーザーが多いだろうと推測されます。
参考記事:Facebookアクセスの7割はスマートフォンから!スマートフォンユーザーのソーシャルメディア利用実態まとめ
 
SNSでシェアされやすいテレビコンテンツは「Winning」「Entertaining」「Funny」
では、SNSにおいて、テレビに関するどのような話題が投稿されているのでしょうか?昨年10月のNielsenの調査によれば、スポーツ等での勝利や、面白おかしいコンテンツなどについて、友人同士でシェアされる傾向があるようです。尚、こちらの調査では、他にも「女性よりも男性の方がSNSでテレビの話題をシェアする傾向にある」、「週末よりも平日火・水・木の方がシェアが多くなる」等、興味深い結果が公表されています。

データ元:http://blog.nielsen.com/nielsenwire/global/social-media-and-tv-whos-talking-when-and-what-about/
 
ソーシャルメディアで9%バズのボリュームが上がると、視聴率も1%上がるというデータも
さらには、同じく昨年10月のNielsen調査によれば、18~34歳の年齢のユーザーについて「番組の初回放送4週間前にソーシャルメディアで9%話題が盛り上がると、1%視聴率が上がる」という結果が出たそうです。これは、よりSNSの普及が進んだアメリカのデータのため、現在の日本にそのまま当てはまるとは言えませんが、今後同じように、ソーシャルメディアで事前に話題を呼んだ番組(あるいは放送期間中に話題を呼んだ番組)が、視聴率としても高い結果になる可能性があることは、頭に入れておいた方がよさそうです。

データ元:http://blog.nielsen.com/nielsenwire/online_mobile/the-relationship-between-social-media-buzz-and-tv-ratings/
 
ソーシャルメディア×テレビを組み合わせた面白いサービスも続々登場
このようなソーシャルメディア×テレビの親和性、「みんなでテレビを見る面白さ」に着目したサービス/アプリも続々と誕生、様々な機能が追加され目を離せない状況になってきています。
以下は、国内の代表的な”ソーシャルテレビ”アプリです。いずれも、Twitterのつぶやき等を通じて、リアルタイムに番組を楽しめるサービスで、各社「盛り上がっている番組のプッシュ通知」「番組チェックイン機能」「Facebook Open Graph対応」など、様々な機能が追加されています。
 
tuneTV
7チャンネル別にTwitterのつぶやきを表示。盛り上がっている番組をプッシュ通知する機能や、番組に”チェックイン”で友達に番組を共有できる機能を保有。

 
みるぞう
今盛り上がっている番組が色分け表示され、一目で分かるアプリ。1週間先までの地上波・BSのテレビ番組表を閲覧可能。

 
ピーチク
こちらは、弊社(アライドアーキテクツ株式会社)と株式会社オレンジ・アンド・パートナーズで共同提供しているサービス。ピーチクがお勧めの番組をお知らせする「勝手に番組ピーチク」機能、オススメ番組の見忘れを防止する「視聴予約」機能、毎週の「週間テレビ番組ソーシャルランキング」の公開、盛り上がっている番組をプッシュする機能、スペシャルコラボ番組コーナー等がある。
また、この度、Twitterアカウントとの連携に加え、Facebookアカウントとの連携を開始、同時にFacebookのオープングラフへの対応も実現。さらに、「いいね!」「わくわく!」「つまらない」「泣ける!」の4種のボタンのいずれかで参加できる「ピーチクスタンプ」機能も新たに追加。(詳細はこちらのニュースリリースをご参照:ソーシャルテレビサービス「ピーチク」スマートフォンアプリ、Facebookのオープングラフに対応~「いま観ている番組」をアクティビティに表示、より直感的な「視聴体験の共有」が可能に~)。

iPhone版 http://itunes.apple.com/jp/app/id470502147?mt=8
Android(tm)版 https://market.android.com/details?id=jp.ptic.android.client
Facebookページ:https://www.facebook.com/ptic.jp
(現在ピーチクアプリのバージョンアップ記念として、抽選で50名にamazonギフト券1000円があたるキャンぺーンを開催中。http://on.fb.me/Hjd8Uv
 
尚、アメリカでは、すでに200万人が利用するGetGlue(番組チェックイン機能、パーソナライズレコメンデーション機能等)、番組チェックインの利用度によりバッジやポイントがたまる要素も兼ね備えたmiso等、様々なアプリが存在します。
 
スマートテレビにも要注目
テレビとインターネットがつながった多機能テレビである「スマートテレビ」にも注目しておく必要があります。「スマートテレビ」は、映画や音楽、ゲームなどの様々なコンテンツを受信・ダウンロードでき、さらにSNSにも接続できるというもので、先日ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、スマートテレビとタブレットコンピュータが話題を二分したとのことです。今後の世界のスマートテレビ市場は、2016年までに2650億ドル規模になると予測されています。
参考記事:アップル、グーグル、韓国勢が混戦模様ついに「スマートテレビ」が盛り上がる!?
 
ソーシャルメディア×テレビで生まれる新しい可能性とは?
では、このようなソーシャルメディア×テレビを組み合わせる流れは、具体的にはどのような影響があるものなのでしょうか?また、今後どのような可能性をもたらすものなのでしょうか?
ユーザー側:新たな発見の機会を与え、リアルタイムに共有する体験を可能に
まず一つは、ユーザーにとって「新たなテレビ番組の発見」の機会を与えるものであると言えます。友人の投稿により「自分ではまず見ることのない番組」を知るきっかけが生まれます。さらに、テレビの場合は、その投稿が「まさに今、リアルタイムで放送されているもの」であることも多いでしょう。すると、「同じ番組を一緒に見て意見交換や感想を共有する」という体験ができます。そしてその情報はいいね!やRTを通じて、友人の友人にまで伝わり、さらに広がりを見せる可能性があるのです。
また、近頃は番組生放送中にTwitterで意見を受け付ける様子もよく見られます。このような流れが進めば、視聴者同士がリアルタイムに交流するだけでなく、視聴者と番組が交流することも可能になるでしょう。
これらの体験が、「テレビ」をより楽しく魅力的にすることは間違いありません。
 
コンテンツ提供側・スポンサー側:視聴者層の特定を可能にさせ、広告効率アップを可能に
そして、コンテンツを提供するテレビ局側にとっては、番組に関する感想・意見や、どのような話題が視聴者に受け入れられるのかについてのデータを取ることが可能になります。これにより、従来、主に「視聴率」のみを番組良し悪しの判断基準としていたテレビ局も、より具体的に視聴者の反応を知り、具体的な改善策を取ることができるようになります。さらに、SNSが持つ膨大な「ユーザーのプロフィール・属性情報やアクション履歴」のデータと組み合わせれば、「どこに住み、普段どのようなことに興味を持ち、どのようなページを見ている何歳の人が、この番組を見ているのか」を明らかにすることができる可能性もあるのです。海外記事では、将来的にこのようなデータを用い、テレビCMも現在のFacebook広告のようにターゲティング広告になるのでは?という意見まで出ています。(参考記事:Is There A Future For Social TV?
これはスポンサー側にとっても非常に大きなことです。「視聴率」だけでは見えない、「本当に視聴者から受け入れられている番組は何なのか?」「その番組は、自社のターゲットに合っているのか?」を知り得るため、より効率的にCM出稿ができるようになるでしょう。
また、「リアルタイムで友人と楽しむ体験」に価値を見出す視聴者が増えれば、CMを飛ばさずに見る機会も増えると考えられます。また、スポンサーにとっては、CMをきちんと見てもらえるだけでなく、CMの感想についてつぶやいてもらえたり、友人同士で会話を交わしてもらえる可能性もあるでしょう。そうなると、今後はよりテレビCMとソーシャルメディアキャンペーンを組み合わせた施策も有効になってくると思われます。
 
以上、今回はソーシャルメディア×テレビ周辺の注目データやサービス、今後の展望について簡単にまとめました。ユーザー側としても、そしてマーケッター側としても、今後ますます面白くなりそうな”ソーシャルテレビ”。あなたはどのような感想をお持ちですか?ぜひご意見やご感想をコメント欄にお寄せください!
 
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