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前回、「微博(ウェイボー)」や「QQ」「微信」など、日本でもよく報道で登場するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をご紹介しました。今回は広義でのSNSということで、WEB2.0以前から存在する掲示板的サービスも含む、クチコミサイトの主要どころをいくつか見ていきたいと思います。
 

百度贴吧

 
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●百度贴吧(バイドゥ・ティエバ)
https://tieba.baidu.com/

検索最大手の「百度」が展開する、ユーザー間のコミュニケーションスペースです。おそらく「掲示板サービス」という分類が適切でしょう。SNS全盛期の今も匿名ベースのユーザー交流の場として盛り上がっているのは、日本の「Yahoo!知恵袋」などと同様です。
画面左サイドバーにカテゴリーが並んでいます。エンタメ・趣味系が大半を占めており、見ていただくとわかりますが「日本明星(タレント)」「日本电视剧(電視劇→テレビドラマ)」「日本电影(電影→映画)」「日本动漫(動漫→アニメ)」「日本流行音乐(音楽)」と日本関連カテゴリーも多数あり、今中国で話題・人気のドラマやアニメが何なのか、ここから掴むことができます。
 
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例えばこれは映画「君の名は」カテゴリー内に作られたトピックのひとつ。テーマは「聖地巡礼」です。
●【圣地巡礼】东京都新宿区/涩谷区/港区便利图 你的名字吧 百度贴吧
新宿・渋谷・港区内で映画に登場する実在の場所を指示した地図を、「楼主」(日本では「トピ主」と呼ばれる)が公開し、さらに実際の映画のシーンの切り取りと写真を並べたものを貼っています。それに対し「ここは行ってみたい!」「ありがとう」など感想を述べたり、実際に行ったことある人がその場所についての思い出などを書き込んだりも。どうやらこの楼主、中国語が堪能な日本在住の日本人のようで、人気アニメ映画を軸とした日中交流の場にもなっています。
盛り上がっているトピックスを知りたいなら、右サイドバーの「热议(熱議)榜」を。中国語で「熱(熱)」という漢字は、「人気がある」「盛り上がっている」という意味でも使われます。
●贴吧话题热议榜单
他にも同様のユーザー間コミュニティー空間はいくつもあります。
●天涯社区(ティエンヤショチュ)
http://www.tianya.cn/

●豆瓣(ドウバン)
https://www.douban.com/

中国語がわからないと少々探索しにくい場でもありますが、中国人スタッフや中国語がわかるインターンなどがいるなら、そうした人たちに指示をして、情報収集するのにも使える空間でしょう。
 

58同城

 
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●58同城(トンチャン)
http://bj.58.com/

個人的な話で恐縮ですが、中国滞在時にはこのサイトを使って語学相互学習相手を探したり、不用品の売買などを行っていました。
日本の「売ります・買います」情報掲示板に近いもので、単なる物の売買にとどまらず、求職情報から家屋の修繕、さらには広告販売から法律相談、婚活などまで、とにかく思いつく限りのジャンルを網羅した総合マッチングサイトとなっています。
おそらく日中の文化の違いもあるのでしょう。
日本ではネットオークションや、フリマアプリと言われるものが登場して初めて「個人間売買を経験した」という人が大半かと思います。一方中国では、金銭のやりとりをともなう個人間での取引はネットに限らずリアルな場でも活発に行われています。「二胡(中国の楽器)を習いたいからどこかにスクールはないか?」と聞くと「二胡を弾ける人なんてまわりにいくらでもいるから、お金払って教えてもらえばいいじゃないか」と言われるほど。金銭交渉も厭わず、個人ビジネスも盛んな中国ならではのライフスタイルが、このサイトには色濃く反映されています。
ビジネスでこうしたサイトに直接かかわることはないかもしれませんが、覚えておくと中国滞在時あるいは中国で何らかの人手が必要になった時などに役立つはずですし、都市別になっていますので、地域による中国人のニーズの違いなどを探るのにも使えます。
同様のサイトに「赶集網」もあり、この2サイトの運営企業は一昨年合併したそうです。
●地場広告サイト58.com(58同城)が長年の宿敵Ganji(赶集)を合併へ——中国のインターネット企業の統合進む – THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
 

大衆点評

 
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●大众点评(ダージョンディエンピン)
http://www.dianping.com/

日本でクチコミサイトと言えば、グルメなら食べログ、化粧品なら@cosmeとカテゴリーごとに代表的なサイトが思い浮かぶでしょう。それではホテルだと?観光地なら?と考えるとちょっと悩みますが、今ならトリップアドバイザーあたりでしょうか。
そうしたエリア別のクチコミ情報の総合サイトが「大衆点評」です。基本的には食べログ同様、グルメカテゴリーがメインのサイトです。情報発信に積極的でかつ美食好き中国人の性質もあり、クチコミは質量ともにかなりのものとなっています。
 
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訪日中国人旅行者もスマホ版アプリを利用して店探しをしており、見てみると東京や大阪、京都といった主要都市部の飲食店にも多くの口コミが寄せられています。
●大众点评(東京・美食)
ちなみに東京エリアの美食情報上位は、ラーメンの「一蘭」と「かに道楽」。
一蘭(新宿中央東口店)のクチコミ数はなんと2,000件を超えています。注目度の違いもあり単純比較はできませんが、食べログの同店のクチコミ数は約170件。本国以外の飲食店についてもこれだけ多くのクチコミがつくという事実からも、中国インターネットユーザーがどれだけ精力的に情報発信をしているか、想像できるのではないでしょうか。
スマホアプリを入れておけば中国出張時の店探しに利用できますし、来日中国人向けのマーケティングを考えているのであればこのサイトは必見です。店舗向けの有料集客メニューも各種提供されており、クーポン掲載やキーワード広告など利用することもできます。
 
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他にも、旅行やコスメなど、専門特化のクチコミサイトがいろいろありますが、それらについてはまた別途ご紹介したいと思います。
微博やQQは、自身がユーザーとして実際に利用していないと「どういったコミュニケーションが交わされているのか」外からは窺い知れない部分もありますが、掲示板サイトなら共通トピックに対してユーザーが集まって会話がなされているため、傍観者として見ているだけでも理解しやすく、十分に価値ある情報収集の場となります。
 
1.知りたいトピックのキーワードをリストアップ
2.そのキーワードの中国語を確認(オンライン翻訳サイト利用など)
3.キーワードを手掛かりにクチコミ・掲示板サイト等で関連しそうなトピックスを探す
4.オンライン翻訳サイトを利用して、どういった内容が語られているか調べる
5.頻出する単語があればメモし、それについても調べる
 
ただぼーっと眺めているだけでは、なかなか外国語のサイトを理解することはできません。
突破口として具体的なキーワードをいくつか決め、それを手掛かりに探索してみてください。カテゴリーから探すのか、検索窓口からスタートするのか、探索方法は自由です。サイトの基本構成はどの言語のサイトもそれほど大きくは変わりませんし、共通の漢字見出しもあります。少し時間をかけて凝視していれば、どのあたりがカテゴリー一覧で、どこに最新トピックスが並んでいるのか、見えてくるはずです。
 

<TIPS>オンライン翻訳サービス

 
少し前にリリースされたGoogle翻訳スマホアプリの最新版が、「すごい」「近未来的!」と話題になりました。
翻訳アプリを起動し、缶ジュースのパッケージなど翻訳したい対象物にカメラを向けるだけで、画面上に写り込んでいるアルファベットの文字列を日本語に置き換えてくれるというものです。
●Google翻訳の新機能「リアルタイム翻訳」が楽しすぎてお祭り状態 | AppBank
残念ながらこの「リアルタイムカメラ翻訳」機能、日本語─中国語間ではまだ使えませんが、一度写真を撮影すれば、その中に写り込んでいる単語をタップするだけで翻訳をしてくれます。音声入力で翻訳してくれる機能もありますし、ちょっとしたトラベル会話程度ならまあまあの精度です。今後さらに進化すれば、外国語の単語を必死に暗記する必要性はますます薄れてゆくことでしょう。
近い将来テクノロジーにより言語の壁が完全に消え去ったとしたら、それは日本人にとって「海外進出の好機」となるのか、はたまた「言語の壁で守られていた国内市場の競争が激化する厳しい時代」の訪れとなるのか───。さあどちらなのでしょう。
 
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ところで未修得あるいは不得意な外国語のサイトを見る際、オンライン翻訳サービスを活用している方は多いですよね。Google翻訳では、左側の入力ボックスに単語や文章を入力すれば、右側に自動翻訳された日本語が表示されます。
ご存知の方も多いと思いますが、この入力ボックスに翻訳したいページの「URL」を貼り付けて「翻訳」をクリックすれば、そのページ全体が翻訳されます。
 
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自動翻訳の限界で、意味不明な文章の羅列になることも多々ありますが、ざっくり理解できればいいと割り切って斜め読みする分には便利な機能です。
頻繁に利用する方でブラウザが「Chorome」なら、拡張機能を利用してもいいでしょう。いちいちGoogle翻訳を開かなくても、見ているページの全体翻訳が簡単にできます。
●Chromeウェブストア「Google翻訳」
自動翻訳したものを見ても全く意味が分からないという場合は、右上の「原文」をクリックして漢字を見てみましょう。奇異な自動翻訳日本語より意味が推測しやすくなることもあります。
また今回ご紹介したような掲示板サイトなどでは、ネット特有の表現も混ざっています。例えば百度贴吧を見ていると「蟹蟹」という書き込みが散見されます。「なぜ蟹がこんなに登場するんだ?」と首を傾げるかもしれませんが、実はこれ、「蟹」と「謝」の発音が同じ(xie/4声)ために使われるもので、意味は「ありがとう」。日本の掲示板サービス発の「藁」(発音が「笑」と同じ)と同じネット固有の表現です。日本のアニメから生まれた新しいネットスラングも数多くあり、自動翻訳では訳しきれない単語が多いのも事実です。
自動翻訳された文章の中から、意味をなしているもの・なしていないものを切り分けつつ、推察力で空白地帯を埋め全体の意味をざっくり把握できるようトレーニングしてみてください。最初は戸惑いますが、そのうち次第に慣れてくるはずです。
 
 
 


profile_wada和田 亜希子(Akiko Wada)
都市銀行、検索エンジン等を経て2001年独立。企業からの受託でクチコミを活用したマーケティング、アフィリエイト・プログラム導入運用支援などを行うかたわら、「東京ビアガーデン情報館」「台湾温泉ガイド」などの専門サイトを企画運営。主な著書「アフィリエイト・マーケティング実践マニュアル(翔泳社)」「ひとつの ブログで会社が変わる(技術評論社)」「ミニサイトをつくって儲ける法(日本実業出版社)」。


 

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