中国向けに越境ECなどで商品を販売しようとする日本のメーカー企業は、どうブランディングしたらいいのでしょうか?具体的な施策のヒントとして3つのアイディアをご紹介します!

 
中国でのブランディングで知っておきたい3つの実践アイデア【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】

 
 
こんにちは、アイディールの小林です。
今回は日本メーカーの中国でのブランディング(ブランド作り)の重要性をについて、実践アイデアを3パターンに分けてご紹介したいと思います。
前回のコラム:【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】拡大し続ける中国EC市場で壁に当たってしまう日本企業の4タイプ
 
 

◎中国人消費者の心理について

 
まずは中国人の消費者心理について簡単に知っておいて頂きたいのですが、昔から日本人と中国人の違いが述べられる際には「集団主義」なのか「個人主義」なのかを挙げられることが多くあると思います。
実際には(特に日本在住の中国籍の方々に多く見られるようになってきていますが)、「集団への帰属意識が高く」、日本人的な自己犠牲精神を持った「集団主義」的な中国の方たちが増えているのは間違いないことではありますが、現実的に13億を超える競争社会の中で生き抜くためには「個」へのフォーカスが非常に重要なのが実情でもあります。
 
家族や親友などの身内を除いて、基本的に周囲とは争い続けなければならない関係性がどのような答えを構築していくかと言えば、「他人はどうなっても良い。」という感情への帰着です。
 
つまり逆の目線を想像すれば、相手はいつでも「自分たちを騙してもおかしくない。」という世界にいることになり、「騙されないようにしなければならない。」と考え始めることは容易に想像ができると思います。
 
一消費者としても、非合法の海賊品や粗悪品と戦い続けてきた中国人消費者だからこそ、ブランディングにおいてもいかに「信頼」を築いていくことがいかに大事なのか忘れないで頂きたいポイントです。
 
この辺りの話の深堀りや、中国EC市場でサービス提供者が中国人消費者といかに信頼を構築しているかという具体的な話については、次回以降のコラムで書かせて頂きたいと思います。
まずは今回のコラムのテーマに向けて、当社が普段から感じている事を述べさせて頂きます。
 
 

中国人消費者の心理について
 
 

◎日本メーカーのブランディングにおける勘違い

 
最初にお話したいのは、まだまだ日本メーカーは「中国国内におけるブランディングを軽視しているケースが多い。」という事です。
 
この現象を率直に言うと、すでに日本国内では一定の売上があり、ブランディングがある程度出来ているがゆえに、「中国でも同じように自社商品のブランドが浸透している」と勘違いしてしまう点にあると思っています。
 
前述した通り、中国人消費者の重要な心理は「騙されないようにしなければならない」という意識です。
 
現在の中国人消費者の購買力に惹かれる余り、この感情を無視して商品を売ろうとする事は自分たちが「日本のメーカーだから安心でしょう?」という傲慢さにも繋がる事を意識しなければいけません。
 
これについては逆を想像して頂きたいのですが、読者の皆さまは「中国国内の食品メーカーが作っている、中国国内ではトップシェアにあるお菓子」についてどの程度ご存じでしょうか(一例としてお菓子にしました)
 
日本の「ECサイト」で、「名前も知らない中国企業」が「中国語のパッケージ」のままで、「商品説明も一般的なレベル」で、「日本国内でどう支持されているのかも分からない」商品が売られていたとして。それを買うのか?それが(実際に)中国で売れていたとしても。と、考えて頂ければ、中国国内においても謙虚にブランディングを行っていく事が大事であることにお気づきになるかと思います。
 
実際の事例としても「日本に来た中国人インバウンド客に向けて脈絡もなくイメージ広告を見せたけれど、これが何にも繋がらなかった」という話がありますが、意外にこのような企業が多かったりもするのも実情なのです。
 
 
そこで中国でやるべきブランディングの具体的な実践アイデアを3パターンご紹介します。
 
 

中国でのブランディングで知っておきたい実践アイデア3パターン
 
 

◎中国でのブランディングで知っておきたい実践アイデア3パターン

 

1.徹底的に品質を上げる!

 
当然のことながら、品質については最大のブランドになります。
これは偽物や粗悪な商品と常に接してきた中国だからこそ、日本以上にプライオリティを持っていると考えてください。
特にMade in JAPANならば、尚更、求められるクオリティが上がるため、その落差は非常に大きな失望を与えてしまいます。
 
つまり、消費者からの苦情やアラートに対して、(現在の生産の都合上)どうしようもないし大目に見て欲しいと軽んじていると、あっという間にブランドは信頼を失い、二度と中国消費者はその商品を選択する事はなくなってしまいます。
 
しかし間違ってはいけないのが、商品の品質=中国人消費者が求める品質、である事が重要です。
 
日本メーカーの製品が「Made in JAPANで品質が良い」と謳う事は、もはや横並びで「最低限当たり前」のことになっています。
よって、品質アップの実践アイデアとしては
・必要最低限の機能がある事。
・値ごろ感のある価格で提供されている事。
・丈夫である事。
の3点を重要な指標にして頂くのが良いと思います。
 
 

2.きちんと認知を上げる!

 
次に「該当商品は(競合が多いにも関わらず)中国ではまったく知られていない」事を前提にしなければいけません。
これだけ購買力が高くなった国には世界中から物が集まってきており、もはや「売られていない」物はありません。つまり、それだけ競合との戦いが激しくなっている事を意識する必要があります。
 
そこで有効なのがインフルエンサー(網紅:ワンホン)マーケティングによるブランディングと言われていますが、最近は少しずつ中国人消費者の行動も変わってきており、誰かの商品紹介に対して「この人はこう言ってるけれど、本当かな?」と検索をして答え合わせをする傾向が出てきています。
 
そこで、この対策として「メーカーサイトや商品サイトの中国語化」を始めとして「口コミサイトなどの第三者目線サイトでも商品紹介されている」状況を作り、「知って貰える機会」を失わないようにしなければいけません。
このような「受け皿」を用意することで、インフルエンサーマーケティングの効果が倍増していくのです。
 
その他、当社が普段からメーカー様にお話ししている事は、テレビや映画などの映像の力をいかに活用するかという点です。
 
映像による日本へのインバウンドおよび商品ブランディングの最も有名な事例と言えば、2008年に中国で公開された映画「狙った恋の落とし方(原題「非誠勿擾」監督「フォン・シャオガン」)」で間違いないと思います。
 
日本でも著名なビビアン・スーさんらが出演したこの映画は北海道の東部を舞台にしており、映画のヒットと共に旅行先として北海道の人気を非常に高くしただけでなく、映画内で使用されたスバルのアウトバックもその後人気になるなど、映像内広告(プロダクトプレイスメント)の大成功の一例としてよく知られています。
 
すでに10年以上も前のコンテンツがいまだに影響を与え続けていることに驚かれるかもしれませんが、事実現在も中国人インバウンド客には北海道は人気のエリアでもあり、スキー・スノーボードのようなウィンタースポーツの人気の助長まで行うような状況になっています。
 
参考記事:なぜ?日本のスキー場で急増する中国人客―中国メディア(レコードチャイナ)
http://www.recordchina.co.jp/b163746-s0-c50.html
 
 
この時、中国人インバウンド客の目に止まる場所(=彼らが訪問する店舗)で戦略的に商品を販売することで、さらに認知が固いものに変わっていきます。
 
一度でもメディアコンテンツ内で強力なタッチポイントを作ることができてしまえば、身内の口コミやSNSの情報などが元となり次々と同じプランに続いていくのは、爆買いが産まれたプロセスとまったく同じで、何よりこういった所からブランディングを行っていくことは非常に可能性が高いことが容易に想像できると思います。
 
 
よって、認知アップの実践アイデアとしては、
・中国語のメーカーサイトや商品サイトを用意する事。
・Q&Aサイトや口コミサイトへのレビュー、使用動画など、消費者が客観的な判断が下せるようなコンテンツをあらゆる所にちりばめる事。
・映像を活用して商品にまつわるストーリーを軸としてタッチポイントを作る事。
・日本国内で戦略的に販売網を構築をする事。
・これらの準備ができてから大々的にインフルエンサーマーケティングを行う事。
をアクションプランとして頂くのが良いと思います。
 
 

3.他社との差別化ポイントを上げる!

 
アイテム数が多くそこに一貫性がない場合(そのメーカーや商品に対しての圧倒的な強みや品質がない場合)は、どうしても薄利多売の戦略を目指していかざるを得なくなります。
 
どの商品で、どう戦うのか、をまずは考え、いっそ1つのアイテムでブランディングを始めるのも良いアイデアだと思います。一点集中で、商品を通じてメーカー名が認知されれば、次からの戦い方がグッと楽になってきます。
 
前述の通り、今の中国で「売ってないものはない」状況な訳ですから、他社といかに差別化を計っていくかは非常に重要な課題であると言えます。
 
インバウンド客に向けた商品群を見ると非常に分かりやすいと思いますが、各社同じように、
◦日本製
◦安心、安全
◦匠の技術
◦高いコストパフォーマンス
といった横並びのキャッチコピーを掲げている事が多いのが実情です。
 
よって、差別化アップの実践アイデアとしては、
・商品をあえて絞り込む事。
・よりストーリー性の高い、商品の切り口を作る事。
の2点をマーケティング課題として頂くのが良いと思います。
 
 
その他、細かいポイントについてもいくつかありますが、いずれにしてもブランディング(ブランドを作るという事)は、そんな簡単に、そして短時間で出来る事ではありません。
 
中国は、世界最大の市場であるがゆえに、世界中から競合が目を向けています。
短期的な成功に焦らず、派手さがなくともじっくりブランディングをしていく事から始めて頂ければと思います。
 


<筆者プロフィール>
小林 淳(Jun Kobayashi) 株式会社アイディール代表
小林 淳(Jun Kobayashi)
株式会社アイディール代表。
世界初のモバイルメールのメディア企業、某大手電機メーカー子会社、CRM系企業の役員を経て、2007年株式会社アイディールを設立。
現在は中国に向けた越境ECを中心に、日本のメーカー企業の中国におけるブランディングやセールスを行っている。
中国に向けた越境ECプラットフォーム運営の株式会社アイディール http://ideal-inc.com/
 


 

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