
「このシーンで飲まれているはず」「商品の強みさえ伝われば選ばれるはず」——自社側の思い込みと、実際に生活者がその商品を選ぶ理由や使うシーンがズレているというのは、どの業界のマーケティングにもつきまとう悩みです。なかでも飲料業界は、清涼飲料水、洋酒、日本酒、コーヒーマシンといった商材ごとに生活者の飲用シーンや重視ポイントが大きく異なるため、「どんな文脈で選ばれているのか」を勘や経験則だけで見極めるのは簡単ではないという課題を抱える企業も多いのではないでしょうか。SNSにはブランドや商品にまつわるUGC(ユーザー生成コンテンツ)や顧客の声も日々蓄積されていますが、その情報量の多さゆえに「本当に刺さるインサイト」を見極めるのも一筋縄ではいきません。
本記事では、CEPs(カテゴリーエントリーポイント)リスニング®やVOC(顧客の声)分析を活用し、思い込みを検証してマーケティング成果につなげた飲料業界4社の事例をご紹介します。
アサヒ飲料|”アレンジ用途”のCEPsで400万再生を実現ーー三ツ矢サイダーのバズを店頭POPまで一気通貫展開
アサヒ飲料株式会社は、三ツ矢サイダーやウィルキンソン、カルピス®、ワンダ、十六茶といった主力ブランドを展開する飲料メーカーです。マーケティング本部のプロモーション戦略部では、若年層であるZ世代へのアプローチが急務の課題となっており、X(旧Twitter)やInstagram、LINEといった既存メディアだけでは十分にリーチできていない状況がありました。TikTok運用も検討していたものの、限られた投資でピンポイントにターゲティングする方法や「TikTokでしかできないこと」の具体像が定まらず、定性的な感覚だけでは施策に踏み切れずにいました。
そこで、Kaname.ax®を活用して三ツ矢サイダーと競合ブランドのSNS投稿データをもとにCEPsリスニング®を実施しました。分析の結果、「アレンジ用途」が三ツ矢サイダーの際立った強みであることが定量的に裏付けられ、この発見をもとに「お弁当文脈」「食べられる保冷剤」「ライフハック要素」を掛け合わせた企画として、三ツ矢サイダーとフルーツを凍らせて保冷剤を作る動画を制作しています。
動画はTikTokとInstagramを合わせて400万回再生を獲得し、「買ってやってみたい」「今度お弁当に入れてみる」といった質の高いコメントが多数寄せられました。バズの反響を受けてわずか数時間で店頭POPが制作されるなど、SNSでの反応が営業部門との連携やフィジカルアベイラビリティの向上にまでつながっています。定量データに基づいて設計した施策だからこそ社内の合意形成もスムーズに進み、SNS運用が購買行動や営業活動にまで結びつくことを社内で証明する結果となりました。
ご担当者様のコメント
これまで定性的にしか把握できていなかった「フルーツポンチ作成」や「お菓子との組み合わせ」といった声が、定量データで「アレンジ用途」として明確に突出していることが証明されました。投稿がバズした報告を受けてすぐ「空中戦で動いているものを、現場・売り場で使えるようにしよう」と即座に社内展開し、数時間でPOP制作が決定。営業現場からも「商談で非常に使いやすい」と好評で、SNSが購買に繋がる可能性を社内で証明することができました。
ウィスク・イー|通常投稿の50倍再生を記録ーーCEPsリスニング®で見つかった想定外の”晩酌シーン”
株式会社ウィスク・イーは、2016年創業・2021年に日本上陸したアイリッシュウイスキーブランド「バスカー」の輸入代理店です。バーボン樽・シェリー樽・マルサラワイン樽の3種類を使い分け、華やかなフルーツアロマを特徴とする同ブランドですが、ウイスキーやジン、ラム、リキュールなど複数の洋酒ブランドを扱う中でSNS施策の成果が思うように出ず、顧客の声は集めていたものの「訴求軸がどこにあるのか」「実際にどのように語られているのか」を明確にできていないという課題を抱えていました。
Kaname.ax®を活用して、SNS投稿やカスタマーデータをもとにCEPsリスニング®を実施し、顧客の生の声をファクトベースで分析しました。
分析の結果、想定していた「ハイボールとして飲まれる」訴求とは裏腹に、「週末自宅で晩酌」「フレーバーを楽しむ」といった新たな飲用シーンが浮かび上がり、パーティーやBBQよりも「一人でゆっくり飲む」という文脈の重要度が高いことが判明しました。この発見をもとに「帰宅したら夫がバーテンダーをやっていた」という設定のInstagramリール動画を制作したところ、通常投稿の約50倍の再生回数、エンゲージメント率3倍以上を記録しています。「トロピカルな味が気になる」「飲んでみたい」といったコメントに加え、ウイスキー初心者や女性など想定外の層からもポジティブな反応が得られ、メーカー発のブランドイメージをそのまま日本市場に適用するのではなく、日本市場に合わせたコンテンツ制作の重要性を実感する結果となりました。

ご担当者様のコメント
分析結果を見た瞬間、これまで想定していた飲用シーンとの大きなズレに驚きました。特に「一人でゆっくり飲む」というシーンは想定外で、新たな可能性を感じています。メーカー側のブランドイメージをそのまま日本市場に適用するのではなく、日本市場に合ったコンテンツ制作の重要性を、あらためて実感しました。
沢の鶴|”休日の昼下がりに飲む”というCEPsを発見ーーCEPsリスニング®で若年層向けの質の高いUGCを創出
沢の鶴株式会社は、2021年にミニボトル日本酒「SHUSHU Light」を発売した老舗酒造メーカーです。パッケージリニューアルを機に20〜30代の若い世代への認知拡大を目指していたものの、日本酒のカジュアルな楽しみ方をどのシーンで訴求すれば効果的なUGCが生まれるのか明確な仮説を持てず、社内の推測に頼らざるを得ない状況でした。
Kaname.ax®を活用して「日本酒×ミニボトル」というカテゴリでVOC分析を伴うCEPsリスニング®を実施したところ、「食事と共に楽しむ」「リラックスして落ち着きながら」「休日の昼間に飲む」「女性が好んで飲む」といったCEPsが抽出されました。この結果をもとにターゲットを絞り込み、X(旧Twitter)でのアカウントフォロー・引用ポストキャンペーンとDMでの利用シーン投稿依頼、Instagramフォトコンテストを組み合わせたモニター施策を展開しています。
施策の結果、友人と乾杯するシーンの投稿や「休日のランチにぴったり」「お休み中のおやつタイムに」といったコメントが多数寄せられ、狙っていた「休日の昼間に飲む」「週末・休日に飲む」というCEPsにしっかり合致した質の高いUGCの創出につながりました。創出されたUGCは商品LPにも掲載され、競合が言及していない独自の訴求軸を見つけられたことが、パッケージリニューアルに伴う認知拡大の手応えにもつながっています。

ご担当者様のコメント
今回の大きな成果は、利用シーンの訴求に成功したこと。特に印象的だったのは、ユーザーが友人と乾杯しているシーンの写真を投稿してくれたり「休日のランチにぴったり」などのコメントを付けてくれたことです。私たちが強化したいと考えていたCEPsにしっかりとマッチしており、非常に質の高いUGCの創出に繋がりました。
ソロフレッシュコーヒーシステム|”静音性・温度安定”を訴求軸に再設計ーーVOC分析で顧客の不満を強みへ転換
ソロフレッシュコーヒーシステム株式会社は、UCCが独自開発したカプセル式ドリップコーヒーシステム「DRIP POD」を展開する企業です。自宅で手軽にこだわりの味わいを楽しめる製品として運用面では一定の手応えを得ていたものの、生活者の意思決定は利用文脈や重視点によって一様ではなく、DRIP PODの価値をどのような訴求で伝えれば獲得効率が上がるのかを明確にしきれていないという課題がありました。
Kaname.ax®を活用して、SNSデータとアンケートデータを組み合わせたVOC分析・CEPsリスニング®を実施し、顧客の声を整理・構造化しました。分析の結果、「抽出時の音がうるさい」「抽出温度が熱すぎる、あるいはぬるすぎる」といった顧客のネガティブな声が浮かび上がり、これらの不満の裏返しとして「静音設計」「温度安定」を比較検討時に効く訴求軸として捉え直しています。
この発見をもとに、静音性や抽出温度の安定性を前面に出した広告クリエイティブを制作し、中間LP・LPの改善にも反映したうえで、広告運用からクリエイティブ制作、LP改善までを一気通貫で最適化しました。顧客が何を重視し、どこで迷いや不安を感じているかを整理できたことで広告やLPで優先して伝えるべき内容の解像度が高まり、得られた示唆をスピーディに施策へ反映して改善サイクルを継続的に回せる体制が整っています。
ご担当者様のコメント
顧客がどのような点を重視し、どこで迷いや不安を感じているのかを整理できたことで、広告やLPで何を優先して伝えるべきかの解像度が大きく高まりました。広告運用だけでなくクリエイティブ制作やLP改善まで一気通貫で伴走してもらえたことで、得られた示唆をスピーディに施策へ反映し、改善サイクルを継続的に回せる状態をつくれています。
▼事例の詳細はこちら
顧客の声を起点に訴求を再設計。広告〜LPを一気通貫で最適化
まとめ|飲料業界のCEPsリスニング®・VOC分析に学ぶ、生活者起点のマーケティングとは
4社に共通するのは、社内にあった仮説や勘——アサヒ飲料なら「若年層にどうリーチするか」、ウィスク・イーなら「バスカーはハイボールとして飲まれているはず」、沢の鶴なら「どのシーンを訴求すればUGCが生まれるか分からない」、ソロフレッシュコーヒーシステムなら「単一訴求だけでは獲得効率が頭打ちになる」——を、勘や経験則のままで終わらせず、データで検証してから施策に落とし込んでいる点です。
実際には、三ツ矢サイダーは「アレンジ用途」という誰も定量化していなかった強みが400万再生のバズにつながり、バスカーは「ハイボール」ではなく「晩酌」「フレーバーを楽しむ」という想定外のシーンが再生回数を50倍に押し上げ、沢の鶴は「休日の昼下がり」という具体的な文脈が質の高いUGCを生み、ソロフレッシュコーヒーシステムは顧客の不満そのものを訴求軸に転換しています。清涼飲料水、洋酒、日本酒、コーヒーマシンと商材がまったく異なっていても、CEPsリスニング®やVOC分析によって「思い込みと実態のズレ」を可視化し、そのズレを埋めるクリエイティブや訴求に落とし込むというプロセスは共通していました。
今のSNS運用や広告訴求が、社内の「効くはず」という思い込みだけで組み立てられていないか。一度データで裏を取ってみる、その一手間が次のバズや改善幅を左右しそうです。
CEPsリスニング®やVOC分析を、自社だけで一から仕組み化するのは簡単なことではありません。「Kaname.ax®」は、自社レビューやSNS投稿、アンケートなど多様な顧客の声をAIで分析し、CEPsの特定からクリエイティブ施策への展開までを一気通貫で支援しています。今回ご紹介した飲料業界の4社も、Kaname.ax®を活用しながら生活者起点のマーケティングを実践しています。気になった方は、ぜひサービス詳細もチェックしてみてください。
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Kaname.ax®は、顧客の声(UGC・VOC*)をAIで解析。マーケティングコミュニケーション設計~実行支援までを一気通貫で支援するプラットフォームです。
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