ショッピング機能を効率的に活用するための5つのポイント

エーザイ株式会社は、「美 チョコラ」「ヘルケア」「尿酸ガード」など健康サポート商品の定期購入者を増やす目的で「LINE広告」を活用、静止画クリエイティブをアレンジして制作した動画クリエイティブの活用や、女性向けターゲティングに注力することで、新規顧客獲得数を大きく伸ばすことに成功しています。

今回は、同施策を担当するエーザイの佐藤氏とLINE株式会社の三節草氏に「LINE広告で新規顧客数を伸ばす秘訣」を詳しくお伺いしました!

エーザイの通信販売 新規顧客獲得にLINE広告を活用

-まずは佐藤さん、三節草さんのご担当領域を教えてください。

佐藤氏:医薬品の製造販売を行うエーザイは、昨今のセルフメディケーションの流れを受け、健康サポート商品を販売するダイレクト通信販売事業を、2010年からスタートしています。主に美容サプリ「美 チョコラ」(栄養機能食品)を中心とした美容領域と、血圧サプリ「ヘルケア」(特定保健用食品)や、尿酸値が気になる方向けの「尿酸ガード」(機能性表示食品)を中心とした生活習慣領域の製品を展開しています。

その中で、私はダイレクトレスポンス広告等を通じた新規顧客獲得や既存顧客へのCRM施策から全体の広告予算管理まで、マーケティング全般を担当しています。

エーザイ株式会社  佐藤 友昭氏 インタビュー画像
エーザイ株式会社 コンシューマーhhc事業部 トラスト本部 ライフタイムパートナー部 マネージャー 佐藤 友昭氏

三節草氏:2011年6月にメッセージングアプリとして登場したLINEは、現在ビジョンに「Life on LINE」を掲げ、24時間365日生活の全てを支えるライフインフラを目指しています。その中で、私の所属するマーケティングソリューションカンパニーでは、LINE公式アカウント、LINEで応募(旧LINEセールスプロモーション) 、そしてLINE広告といった企業様とLINEユーザーを近づけるための様々なソリューションを提供しています。

LINE広告(旧LINE Ads Platform:LAP)は2016年6月に提供を開始した運用型広告のプラットフォームです。運用型広告のプラットフォームとしては最後発の部類に入りますが、立ち上げてから約4年経過し、8,600万人(2020年9月時点)のユーザーにLINE内だけでなく外部ネットワークも含めて精度の高いターゲティングや効率的なアプローチを実現できるプラットフォームに成長してきました。

現在エーザイさんにはLINE公式アカウントの運用、LINE広告、またLINEで応募(旧LINEセールスプロモーション)まで幅広くLINEのソリューションをご活用いただいており、私はプラットフォーム側としてそのご支援をしております。

LINE株式会社  三節草 昂大(みせくさ こうだい)氏 インタビュー画像
LINE株式会社 パートナーセールス事業部 マネージャー 三節草 昂大(みせくさ こうだい)氏

LINE広告の出稿が伸びることで他媒体での広告効果にも好影響

-昨今ダイレクトマーケティングに参入する企業が増加し、多くのEC通販事業者さんが広告獲得単価の上昇に直面していると聞きます。エーザイのデジタル広告における獲得状況や、その中におけるLINE広告の現状を教えていただけますか?

佐藤氏:メーカー通販系事業者が増える中でCPMは上昇傾向にあり、新型コロナにより世の中全般のデジタル化が進む中、この傾向はさらに強まっていくと考えています。

ブロードやデモグラでの広告配信を続けていくと、徐々にターゲットにリーチし尽くしてしまうため、CPOの上昇はどうしても避けることができません。そうすると、目標CPOをクリアできず、広告予算が縮小する、それにより露出が減りさらに商品が売れなくなる…という悪循環が生まれてしまいます。

そこで、記事風広告やアンケート広告等、さまざまな広告コミュケーション方法を活用して効率を改善していくことが大切になりますが、加えて、「類似拡張配信」も大きな役割を果たしています。

LINE広告の拡張においては、デモグラ・ブロード、類似配信による効率改善と予算拡大、出稿増加に伴うサーチリフトも相まって、他媒体含めた全体CPOが下がってきますので、KPIである目標CPOに余裕ができてきます。その分、様々な広告手法にチャレンジしやすくなり、露出も増え、商品の売上も上がる…そんな好循環を生み出せています。

-LINEの出稿が伸びることで他媒体の広告効果にも好影響が出ているのは大変興味深いですね。

佐藤氏:はい。LINE広告を出稿することで他媒体でも目に見えて獲得件数が増加しました。今まで「ヘルケア」では女性がなかなか獲得できないことが課題だったのですが、LINE広告で出稿することで女性を多く獲得できるようになったことがサーチリフトの急激な上昇に繋がり、獲得件数を増加できたのかなと考えています。従来、男性向けに広告を配信してきており、そこにずっとアプローチを続けてもリフト値はそこまで大きく伸長しませんでした。やはり新規で女性を獲得できたことで、全体の好循環を生み出せたのではないかと分析しています。

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エーザイ株式会社 コンシューマーhhc事業部 トラスト本部 ライフタイムパートナー部 マネージャー 佐藤 友昭氏

LINE広告で40~50代女性の新規獲得に成功

-他の媒体にも女性は一定数いると思いますが、なぜLINE広告で女性の獲得を急激に伸ばせたのでしょうか?

佐藤氏:媒体と商品の親和性によるものかと思います。もちろんInstagramも女性ユーザーが多いと思いますが、親和性が高いのはどちらかというと、美容商品と考えています。ヘルケアは年齢層の高いお客様が多く、美容には遠いカテゴリーであるため、Instagram以外で広く利用されている媒体の方が適切だと考えました。加えて、実際にファンミーティングでも、お客様がLINEをよく利用されているのを拝見しましたので、LINEにチャレンジしようと決心しました。

三節草氏:LINEは幅広い年代の方にご利用いただいており、40-50代の方にもリーチできることが一つの強みです。他のSNSは使っていないようなユーザー層にリーチできることも特徴です。

様々な類似オーディエンス配信の活用
LINE広告の類似拡張配信を活用することで女性ユーザーも含め新規ユーザーが増加、それによりサーチリフトが上がり他媒体へも好影響が出る良い循環が生まれた。

複数の広告フォーマットを駆使&配信面に合わせたクリエイティブで効率を改善

-「類似拡張」「女性配信」以外にも、エーザイさんのLINE広告における獲得件数増加のポイントを教えてください。

佐藤氏:ここ最近のLINE広告は、カルーセルなどダイレクト広告向けの新しいフォーマットが追加されており、バリエーションが豊富になってきています。それによりクリエイティブの摩耗スピードが遅くなり、効率改善のための手を打ちやすくなっていると感じています。以前のLINE広告では「出稿を開始すると新規獲得件数がすぐに伸びるが、落ちるスピードも速い」場合が多いのが課題でしたが、バリエーションが増加してからは、継続的に配信し続けられるようになっています。また、最近のLINE広告のアップデートに伴い配信面を限定できるようになったため、どこにどのように広告が出るかを想定したクリエイティブ開発が可能になり、効率改善につながりました。

三節草氏:エーザイさんのみならず、多くの広告主様から同じお声をいただいています。実際に、新型コロナの影響が最も大きいと思われた今年の4-5月にかけてもLINE広告の配信金額は右肩上がりに伸び続けており、2020年9月には過去最高の売上を上げることができました。

現在は、広告主、代理店の皆さまに「なるべく様々な広告フォーマットを使ってください」とご案内しています。いずれか一つの種類のフォーマットのみお使いいただいていると、それの効率が下がった時のリスクが大きいためです。スクエア、カルーセル、バーティカル、カード、など色々なフォーマットを試していただくことが、継続的に成果を上げるためのポイントと言えます。

LINE広告戦略におけるクリエイティブ制作のポイント
様々な広告フォーマットを活用し、配信面にあわせたクリエイティブ開発をすることでクリエイティブの摩耗のスピードが遅くなり効率改善のための手を打ちやすい環境を作り出している。

クリエイティブA/Bテストの延長線上で「動画広告」をスモールスタート

-さらに、最近は「動画」を活用することで大きく新規顧客獲得件数を伸ばしたと伺いました。まず、なぜ静止画だけでなく「動画」にチャレンジされたのか教えていただけますか?

佐藤氏:LINE広告の新しいフォーマットの一つとして動画も活用し継続的に出稿ができれば、静止画クリエイティブの摩耗も防げるのではないか、それによりLINE広告全体の出稿金額も維持できるのではないかと考えました。また、世の中の流れとして動画がどんどん当たり前になる中で、今の段階で動画を攻略しておいて損はないだろうという考えもありました。

-ポートフォリオを強固にし、安定的にスケールする基盤を作るために動画にもチャレンジされたということですね。一方で、それまで静止画で勝ちパターンを作れていた中で、新たに「動画」にチャレンジすることで一時的にCPOが悪化する懸念もあったと思います。社内ではどのように理解を得たのですか?

佐藤氏:まずは通常の広告運用におけるクリエイティブA/Bテストの延長線上として「動画クリエイティブ」をスモールスタートし、実績を作ることに注力しました。やはり、最初から「動画広告をやります」と声高に言ってしまうと、万が一うまくいかなかった場合に次に動画のチャレンジがしにくくなりますから。まずは小さな実績を作ってそこから拡大していくことが大切だと思います。

また、「動画」というと一般的にCMのようなイメージがあり、大掛かりな施策と捉えられがちですが、私たちがまず取り組んだのは「カジュアル動画」の活用でした。動画制作ツールなどを活用し、制作リソースをかけすぎずに動画クリエイティブのパターンを増やしていくことも必要だと考えます。

アライドアーキテクツ株式会社 村岡弥真人氏 インタビュー画像
インタビュアー:アライドアーキテクツ株式会社 CPO兼プロダクトカンパニー長 村岡 弥真人氏

カジュアル動画を活用し、獲得件数が大きく伸長

-カジュアル動画とは具体的にどのようなものですか?

佐藤氏:静止画をアレンジして動画クリエイティブを制作しました。静止画クリエイティブの中でお客様が一番気にする箇所、例えば「エーザイ」「血圧サプリ」「お申し込みのオファーボタン」だけを点滅させて動画にしたものです。

動画広告出稿当初は、静止画ですでに出しているものを一部動画にしただけのクリエイティブなので、静止画と同じものとして見られてあまり意味がないのではないかという懸念もありました。しかし、実際に出稿してみるとこの動画広告単体でもかなりの件数を取ることができ、意外とはまるのだなと分かりました。

三節草氏:動画というと「作りこまなくては」という印象が強く、制作のリソースが足りない…など急にハードルが高い施策に受け止められがちですが、実はこのようにクリエイティブの一部だけを動かす動画、箱開け動画など、そんなに作りこまないカジュアルな動画でも十分に成果に繋がっています。スマホで撮った動画や物撮りの動画だとしても、静止画とは印象が変わりますし、配信面も変わります。カジュアル動画をもっと気軽に広告に活用することで件数を伸ばすことが期待できます。

-カジュアル動画が成果につながっているのですね。その他に、LINE広告における動画クリエイティブ制作のコツはありますか?

三節草氏:「最初の1秒をハック」し、動画のサムネイルを最適化することが大変重要です。

LINE広告ではサムネイルが選べず最初のコマがサムネイルとして表示されるため、最初にインパクトのある静止画を入れておかないとユーザーに流されてしまうのですね。例えば、ブランド系の動画では最初に黒い画面から始まるものや、企業のロゴから始まるようなものがありますが、それだとユーザーのタイムラインにただ「黒い画面」「企業のロゴ」が出てくるだけになってしまいます。

動画広告が配信されるタイムラインやLINEニュースでユーザーに目を留めてもらえるように、静止画広告で効果が出ている画像などを最初に持ってきていただくことが大切です。

LINE株式会社  三節草 昂大(みせくさ こうだい)氏 インタビュー画像2
LINE株式会社 パートナーセールス事業部 マネージャー 三節草 昂大氏

静止画のノウハウを活かして「動画広告」のPDCAを回す

-静止画の場合は当たったクリエイティブをベースにして、色や文字を変えたパターンを量産し、A/Bテストを行うことで広告の効率を上げていくことが一般的ですが、動画広告ではどのようにPDCAサイクルを回しているのですか?

佐藤氏:弊社の場合は動画単体のPDCAを回すというよりは、静止画で見つかったファクトを動画に展開してテストしていく方法を取っています。やはり弊社全体としてはまだまだ静止画の出稿額の方が多く、そこで得られるノウハウが多いため、静止画で見つけたファクトを動画に転換していくというフローが、スピードも速いし当たる確率も高いです。今後、全出稿額における動画広告の比率が増えていけば、動画単体でのPDCAを回していけるかなと考えています。

三節草氏:動画の順番や尺の長さを変えることで、同じ動画の中でもPDCAを回している広告主や代理店も多くいらっしゃいます。やはり動画素材をたくさんお持ちの方は多くないですし、新たに動画素材を作るとなると制作のリソースもかかってきますので、一つの動画の中で見せ方を工夫されているようです。

-現在、「静止画」と「静止画風動画」ではどちらのほうが効果が出ていますか?

佐藤氏:「ヘルケア」では、静止画風の動画クリエイティブを導入後、CPAを目標水準に近い形で維持しながら獲得件数を倍増させることができました。

ただし、LINE広告全体で見れば、まだまだ静止画の方が強いです。まだ静止画風動画への取り組みを始めたばかりで多くのパターンを作れていないのと、またLINEユーザーがまだあまり動画に慣れていないのもあるかもしれません。今後は、時代の経過によってバランスが変わっていく可能性はあると思います。

三節草氏:動画の配信面はまだ静止画よりも少ないので、同じユーザーに広告が当たりやすい というのもあるかもしれませんね。ただし、今後はLINE内でも動画コンテンツを増やし、それに伴い動画広告の配信面も増やしていくので、ユーザーへも着実に浸透していくのではないでしょうか。

動画広告配信在庫も急拡大予定
LINEはこれから動画広告配信可能在庫数を急拡大していく方針。

LINEプラットフォームをフル活用し、デジタル広告激変期に備える

-最後に、LINE活用における今後の展望を教えてください

佐藤氏:今後はLINE広告だけでなく、通販専用のLINE公式アカウントの運用やLINEオープンキャンペーンで獲得したリストを活用したクロスターゲティング配信などにもチャレンジしていきます。また、LINEのTalk Head View(※)も実施し、それにより全体のレスポンスにどれくらいの変化があるのかも見ていきたいと考えています。

(※)Talk Head Viewとは
1日1社限定で、トークリストの最上部に動画を掲載することができるサービス。1日で5,000万UU以上(2019年6月実績を参考)にリーチすることができる。

三節草氏:デジタル広告全体としてCPMが高騰する傾向にはありますが、LINEは2020年に入ってフォーマットや配信面の追加などにより広告在庫を増やしており、ユーザーも増加しているため、まだ余剰がある状態です。これからもLINE広告の様々な使い方をご提案し、ビジネス伸長に貢献していければと考えています。

また、今はSafariやGoogleにおけるサードパーティーCookie制限などに代表されるように、デジタルマーケティングそのものが大きく変化するタイミングだと捉えています。その中で私たちは、LINE IDを起点に、LINE公式アカウントやLINE広告、LINEで応募(旧LINEセールスプロモーション)など複数のソリューションをまたいでデータを連携し、全体のアトリビューションを見て施策のバランスを取れるクロスプラットフォーム構想を推進しています。これからのポストCookie時代の一つの答えとしてLINEクロスプラットフォームをご利用いただけるよう、これから2021年に向けて力を入れて進めていきたいです。

-これからもエーザイさんの取り組みやLINEプラットフォームの進化を楽しみにしています。ありがとうございました!