
「効果や安全性はきちんと伝えているはずなのに、なぜか選ばれない」「新しいカテゴリーに参入したものの、どんな言葉で価値を伝えればいいのか自信が持てない」——健康食品業界のマーケティングには、こうした悩みがつきまといます。機能性表示食品としての表現ルールがある中で効果・効能を謳うことはできず、かといって商品の魅力を抽象的な言葉でしか伝えられなければ、生活者の心には響きません。さらに、新規参入や新商品投入のタイミングでは、そもそも「どんな人が」「どんな理由で」商品を選んでいるのかという仮説自体が検証されないまま施策が進んでしまうことも少なくありません。
SNSのレビューやUGC(ユーザー生成コンテンツ)、購入者アンケートには、そうした仮説を検証するためのヒントが数多く眠っていますが、情報量が多く、感覚だけで読み解くには限界があります。
本記事では、CEPs(カテゴリーエントリーポイント)リスニング®やVOC(顧客の声)分析を活用し、思い込みを検証してマーケティング成果につなげた健康食品業界6社の事例をご紹介します。
AuB|”天然由来・無添加”への潜在ニーズをVOC分析で裏付けーー新市場参入時の訴求優先順位を明確化
AuB株式会社は、アスリートの腸内細菌研究から得た知見を活かし、腸内環境をサポートする商品を展開する企業です。2025年10月からは睡眠サポート市場に新たに参入し、タルトチェリーの濃縮果汁を使った「NIGHT CHERRY ESSENCE」の提供を開始しました。「天然由来」「無添加」という商品特性が差別化ポイントになるという仮説を持っていたものの、タルトチェリー自体の認知度が日本市場ではまだ低く、既に多くのプレイヤーがひしめく睡眠サポートカテゴリーの中で、この仮説が本当に生活者のニーズと合致しているのか、どう訴求すれば響くのかをデータで確かめる必要がありました。
Kaname.ax®を活用し、睡眠関連商品や美容ドリンク商品にまつわるX上のネガティブな声を独自AIで体系的に分析する「カテゴリーイグジットポイント分析※」を実施しました。SNSのUGCやレビューから購入の障壁や体験後の不満を洗い出し、カテゴリー内で生活者が離脱してしまう要因を可視化しています。
※カテゴリーイグジットポイント分析とは
「カテゴリーイグジットポイント分析」は、「Kaname.ax®」における「CEPsリスニング®」の分析メニューの一つです。SNS の UGC やレビューなどのネガティブな VOC を独自 AI 技術により分析し、そのカテゴリーやブランドの購入障壁や体験後の不満を明らかにします。
分析の結果、「天然由来」「自然な睡眠」への潜在的な需要の大きさや、甘味料・合成着色料への抵抗感、薬っぽさへの懸念、美容ドリンクにおける「飲みやすさ」「後味の良さ」の重要性が明らかになりました。これにより、当初持っていた「天然由来・無添加」という仮説が実際の市場ニーズとして裏付けられ、訴求の優先順位を明確にした上でランディングページのメッセージングを最適化。美容文脈も意識した「睡眠美容」というコンセプトも、市場分析の裏付けをもって自信を持って展開できるようになりました。

ご担当者様のコメント
今回のVOC分析で、弊社が届けるべき価値と、それが生活者の不安にどう応えるかが言語化されました。これにより、ローンチ初期のコミュニケーション設計が整い、スムーズな立ち上がりの土台ができたと考えています。
feileB|CVR最大1.8倍を実現ーーVOC分析でLPに表現しきれていなかった魅力を発掘
株式会社feileBは、広告代理業・EC事業・臨床試験支援事業を手がける企業で、D2C事業部では「できる限り食事に近く、食事よりも安全なサプリメント」をコンセプトにしたオーガニックサプリメントブランド「Lepeel Organics」を展開しています。主軸商品「レピールまめ鉄」はお子様向けという特性上、レビューやUGCといったリアルな声が集まりにくく、長期顧客と新規顧客がそれぞれ何に価値を感じているのかを把握しきれていませんでした。既存のランディングページは一定の成果が出ていたものの、客観的なデータの裏付けがないまま感覚的に改修することでパフォーマンスが下がるリスクを懸念し、改善に踏み出せずにいました。
Kaname.ax®の既存顧客分析サービスを活用し、自社顧客アンケート調査を第三者的な視点で分析。新規顧客には「購入のきっかけ」、長期顧客には「継続の理由」を尋ねる形で、顧客の状況に合わせてリアルな声を収集し、お客様が本当に魅力を感じている要素を客観的に抽出しました。
分析によって、調査では顧客が魅力に感じているとわかった一方でランディングページ上ではまだ十分に表現しきれていない要素が明らかになり、その内容をもとにランディングページの改善施策を実施したところ、コンバージョン率が最大1.8倍まで向上しました。抽出した要素はランディングページだけでなく広告クリエイティブにも展開され、成果の維持につながっています。熱量の高い生の声として社内外のチームに共有できる仕組みが整ったことで、広告運用のPDCAが加速し、関わるメンバーのモチベーション向上にもつながっています。

ご担当者様のコメント
お客様の声を集めて掲載するだけでなく、そこからプロモーションのPDCAを回す方法で使うことで、マーケティング全体の精度向上に繋がっています。さらに、自社アンケートと比べ、Kaname.ax®で集めた「レビュー」の方がリアル感があり生々しい声になっています。自社アンケートはレポートのようになりがちですが、レビューは感情が込められ、「他の人にも勧めたい」という熱のこもった声を集めることができています。
天藤製薬|”ボラギノール®”の信頼を新市場へーーVOC分析で継続顧客の本音を捉えた訴求最適化
天藤製薬株式会社は、創業200年を超える老舗製薬会社で、主力製品「ボラギノール®」ブランドで知られています。2022年からは自社ECサイト「BORRAオンラインショップ」を通じて健康食品や化粧品といった新カテゴリーへの展開を開始しましたが、約30年ぶりとなる新商品展開にあたり、店頭販売中心だったこれまでとは異なり顧客との直接的なコミュニケーションが重要になる自社EC上でどう信頼性を訴求すべきか、「ボラギノール」というブランド力だけでは便通改善カテゴリーの購入行動を十分に後押しできないという課題に直面していました。
Kaname.ax®を活用して顧客インサイト分析を実施し、ターゲットにとっての「ボラギノール」ブランドの価値を「100年以上続く実績による信頼感」と「エビデンスに基づいた商品設計と情報提供」の2つに整理した上で、継続顧客と短期利用顧客が商品に感じている価値の違いを分析しました。
分析結果をもとに訴求ポイントを明確化してクリエイティブを見直したところ、ヒートマップ分析でも顧客のレビュー部分の熟読率の高さが確認され、新規獲得の効率とコンバージョン率が改善しました。あわせて、長期継続者が感じている商品価値を実際の顧客の声として同梱物に掲載したところ、定期顧客が「もう少し続けてみよう」と感じるきっかけが生まれ、残存率の向上にもつながっています。今後はECシステムと連携した自動収集体制を拡充し、単発の分析から定常的な顧客理解へと発展させていく方針です。

ご担当者様のコメント
アライドアーキテクツ社との連携/Kaname.ax®の導入により、顧客の声の収集・分析が可能となり、実際のニーズや課題を正確に把握。それらを具体的な施策へ反映した結果、オンラインショップへの流入増加やLPの購買率向上といった成果が得られました。
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ボラギノール®の信頼を新領域へ。顧客インサイトを軸にした新商品成功戦略とは
生活総合サービス|既存顧客のVOC分析でブランドの伸びしろを発見ーー”boco to deco”の新たな価値を可視化
株式会社生活総合サービスは、「ていねい通販」を通じてすっぽん小町や高麗美人、boco to decoなど、女性のキレイと元気を応援する健康食品・化粧品を展開する通販会社です。主力の「すっぽん小町」に依存した事業構造から脱却し、他ブランドの成長も後押ししたいと考える中、「boco to deco」については「ママ向けブランド」というイメージが固定化しており、その世界観や価値をより効果的に伝えるためには既存顧客への理解を深めることが欠かせないという課題を抱えていました。
Kaname.ax®の既存顧客分析サービスを活用し、継続期間が長い顧客と短い顧客とで商品に感じている魅力がどう違うのか、また、どのような背景から「boco to deco」を手に取ったのかを比較分析しました。
その結果、長期間継続して利用している顧客が感じている魅力が、短期間で離脱してしまう顧客には十分に伝わっていないという実態が明らかになりました。この発見は、想定外の売れ方やブランドの新たな役割をいち早く見つけるきっかけとなり、広告やランディングページ、購入初期段階の情報、購入後のステップメールの見直しに活用されています。既存の基盤を活かしながら細かな改善を積み重ね、スピーディーに施策を試して振り返るサイクルを回すことで、ブランドの広がりを加速させています。

ご担当者様のコメント
顧客インサイト分析を活用することで、顧客が製品の真の価値をどのように捉えているのかを深く理解することができました。想定外の売れ方やブランドの新たな役割をいち早く発見するためのサポートをしていただき、ブランドの広がりを加速することができたと感じています。
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“物語”はお客様とともに。boco to decoの顧客インサイト活用事例
トウ・キユーピー|新規獲得1.3倍・CPO8%改善ーーCEPsリスニング®で見つけた”通年鼻の不快感”という訴求軸
株式会社トウ・キユーピーは、キユーピー株式会社独自の素材・技術を活かしたサプリメントやスキンケア商品を、キユーピーグループの公式通販ショップ「キユーピーウエルネス」で展開する企業です。主力商品「ディアレプラス」は、花粉が飛散する時期に即効性を訴求した低価格のお試し訴求を中心に展開してきましたが、派手な色使いや強い訴求表現がキユーピーの親しみやすいイメージと結びつかないという声が社内外から上がっていたほか、即効性を期待して購入した顧客の継続率が低く、シーズン外でも継続してくれているロイヤル顧客が何を理由に使い続けているのかを掴みきれていないという課題がありました。
Kaname.ax®を活用し、「花粉症、鼻炎、ハウスダスト」×「ケア」に関するX上のVOCを分析するCEPsリスニング®を実施したほか、自社顧客へのアンケート調査もあわせて実施。愛用歴と継続意向を軸に顧客を4象限に分け、LTVが長い顧客の利用背景や満足ポイントを抽出しました。
分析の結果、花粉による不快感だけでなく、通年で鼻の不快感に悩んでいる顧客が一定数存在し、即効性よりも時間をかけた体質改善を求めて継続利用していることが裏付けられました。加えて、菌活・腸活に関心の高い30〜40代という新たなターゲット層の存在も見えてきました。この発見をもとに、通年の鼻の不快感に寄り添う訴求軸へ転換し、ペルソナ設計からLP・バナー制作、広告配信までを一気通貫で見直した結果、広告費1.18倍の投資に対して新規獲得数1.3倍、CPO効率8%改善を達成。施策が本格化した月にはCPOが昨対30%改善し、獲得した顧客の3ヶ月継続率も5%良化するなど、獲得の量と質の両方で成果が表れています。

ご担当者様のコメント
感覚として捉えていた「通年で鼻の不快感を抱える方の存在」が、データで裏付けられたことで確信に変わりました。訴求軸を転換した結果、広告費1.18倍の投資に対して新規獲得数1.3倍、CPOは8%改善。数字で語れたことで社内の投資判断もスムーズに進み、顧客の声は施策まで落とし込んで初めて意味を持つのだと実感しています。
万田発酵|CEPsリスニング®とN1インタビューで検証ーー”腸内環境から美をつくる”訴求軸の妥当性を確認
万田発酵株式会社は、独自の発酵技術を武器に健康食品・化粧品・農業資材など複数の事業領域を展開する企業です。主力商品「万田酵素」はテレビ・新聞・折込といったオフライン広告を中心にブランドを築いてきましたが、顧客層は50〜60代に集中しており、30〜40代の若年層への訴求が課題となっていました。新商品「MANDA CARE PLUS」でSNS・インフルエンサーマーケティングに取り組んだものの、リーチは獲得できても購買にはつながらず、「誰に・何を・どう届けるか」という仮説自体が十分に検証されないまま施策を進めていたことが浮き彫りになっていました。
そこで、市場の実態を把握するためにKaname.ax®のCEPsリスニング®を実施し、インナーケア市場と発酵という領域のニーズの適合性、状況CEPsと体験価値CEPsの関係性をSNS上の投稿データから可視化。あわせて、定期購入者とお試し購入者を対象にしたN1インタビューも実施し、購買に至るプロセスや年代別の購買経路の違いを深掘りしました。
CEPsリスニング®の結果、ターゲットとして設定していたインナーケア市場と発酵領域のニーズが大きくずれていないことが確認でき、狙っていた方向性が的外れではなかったという安心材料が得られました。また、発酵食品としての味そのものへの評価が高いこともわかり、味の見直しや改善の可能性も見えてきました。N1インタビューでは、50代は既存ブランドへの信頼と周囲の影響から購入に至る一方、30代は酵素カテゴリーへの関心から検索し、複数回の広告接触を経て購入するという、想定していたSNS起点の流れとは異なる購買経路が明らかになりました。この気づきは「まず万田発酵を知ってもらう」のではなく「酵素というカテゴリーに関心がある人に万田発酵の存在を伝える」という発想への転換を後押しし、「腸内環境を整えることを起点に美をつくる」というポジショニングの妥当性を確認する結果にもなっています。

ご担当者様のコメント
市場を知ること、顧客を知ること——この2点に注視していく必要があると感じ、今回の取り組みに至りました。自社だけでは対応できない領域だからこそ、プロの知見をお借りしながら進めることの重要性を改めて実感しました。
▼事例の詳細はこちら
【カテゴリーエントリーポイント(CEPs)活用事例】若年層開拓の仮説検証で見えた、年代別の購買経路|万田発酵「MANDA CARE PLUS」× CEPsリスニング®×N1インタビュー
まとめ|健康食品業界のCEPsリスニング®・VOC分析に学ぶ、生活者起点のマーケティングとは
6社に共通するのは、社内にあった仮説や勘——AuBなら「天然由来・無添加という商品特性が差別化ポイントになるはず」、feileBなら「感覚的な改修ではパフォーマンスが下がるかもしれない」、天藤製薬なら「ボラギノールのブランド力だけでは新カテゴリーの購入を後押しできない」、生活総合サービスなら「boco to decoの世界観をどう伝えれば伝わるか分からない」、トウ・キユーピーなら「即効性訴求では継続率が上がらない」、万田発酵なら「誰に・何を・どう届けるかの仮説が検証されていない」——を、勘や経験則のままで終わらせず、データで検証してから施策に落とし込んでいる点です。
実際には、AuBは「天然由来・無添加」への潜在ニーズが裏付けられて訴求の優先順位が明確になり、feileBはランディングページに表現しきれていなかった魅力を発掘してCVRを最大1.8倍に押し上げ、天藤製薬は継続顧客の本音を捉えて新規獲得効率とLTVの両方を改善しました。生活総合サービスは既存顧客の声から新たな伸びしろを発見し、トウ・キユーピーは「通年鼻の不快感」という訴求軸への転換で新規獲得1.3倍・CPO8%改善を実現し、万田発酵はCEPsリスニング®とN1インタビューの組み合わせで自分たちの狙いが的外れではなかったことを確認しています。スポーツ由来の腸内環境ケア、D2Cのオーガニックサプリ、老舗製薬会社の新規事業、通販発の美容健康食品、大手食品メーカーグループの通販サプリ、発酵食品と、業態も商材もまったく異なる6社に共通していたのは、「思い込みと実態のズレ」をデータで可視化し、そのズレを埋める訴求やクリエイティブに落とし込むというプロセスでした。
今の訴求や施策が、思い込みだけで組み立てられていないか。一度データで裏を取ってみる、その一手間が次の成果や改善幅を左右しそうです。
CEPsリスニング®やVOC分析を、自社だけで一から仕組み化するのは簡単なことではありません。「Kaname.ax®」は、自社レビューやSNS投稿、アンケートなど多様な顧客の声をAIで分析し、CEPsの特定からクリエイティブ施策への展開までを一気通貫で支援するサービスです。今回ご紹介した健康食品業界の6社も、Kaname.ax®を活用しながら生活者起点のマーケティングを実践しています。気になった方は、ぜひサービス詳細もチェックしてみてください。
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