こんにちは、SMMLabの藤田です。
引き続き、「ad:tech Tokyo(アドテック東京)」オープニング・キーノートプレゼンテーションから、「One Brand in Two Countries ~ソーシャルメディアマーケティング革命~」のレポートをお届けします。
プレゼンテーション前半のレポートはこちらの記事をご参照下さい。
【ad:tech東京2011レポート】「adidas US」デジタルマーケティングのトップが語る3つのキーワード
アメリカ adidas 社でデジタルマーケティングとブランドコミュニケーションを統括している Chris Murphy氏に続いては、アディダスジャパンのブランドマーケティング責任者である津毛一仁氏が登場しました。

■これまでの取り組み
2010年の段階では、日本のソーシャルチャンネルはまだまだ発展途上だったため、Twitter(フォロワー約10, 000人)と公式ブログ、モバイル、mixiといったチャネルで独立の企画を展開するにとどまっていました。

 
W杯南アフリカ大会のキャンペーンは結果的には大成功を収めましたが、やはりコミュニケーションが断片的で、盛り上がりが一時的であり、「エンゲージメント」につながらないという課題が残りました。
 
 
■3.11以降、教訓をいかして
 

人々の感性に大きな転換を与えた3.11後にスタートした「adidas is all in」キャンペーンでは、過去の反省を活かし、「もっと身近な人とのつながりを大切にしたい」というユーザーインサイトに答えるべく、Facebook、mixi、Twitter、Gree、ameba等ソーシャルメディアのチャネルを幅広く活用する公式ページを立て、PC, モバイル(ガラゲー・スマホ)にも対応することで、様々なユーザーを巻き込む全方位的な体制を整えました。これは「ブランド」自身をプラットフォーム化する取り組みでした。
 

今年8月末にリリースした「adizero LAB」は、メディアプロモーションを一切行わず、Facebook(コンセプトページ)、YouTubeのムービー、キャンペーンページだけで、4週間で80万アクセスを記録しました。
 
■360度、365日のコミュニケーションを目指して
 

津毛氏は、より具体的なマーケティング戦略として、「360:365」というキーワードを挙げ、「360度、365日の熱量を生み出すコミュニケーション」を目指し、あらゆるマーケティングをソーシャルメディアに結びつけて行く事が重要と語りました。新商品の認知が目的だった「adizero LAB」での成功から、ソーシャルメディアチャネルを取捨選択して、プロダクトとうまく組み合わせていくことが鍵になると考えたそうです。チャネルを使い分けカスタマイズしていくことで、ターゲットに一番マッチしたユーザーとのコミュニケーションを深堀し、中長期的なエンゲージメントの醸成が可能となるのです。
「adidas US」のChris氏は、キャンペーンの一時的な盛り上がりを「山脈」にたとえ、「消費者との対話が、キャンペーンの終了と共に途絶えてしまってはいけない。キャンペーン(山頂)とキャンペーン(山頂)の間に“谷”が出来ないように、ソーシャルメディアを活用して会話を続け、“高原”にする必要がある」と語りました。

また、「adidas US」では、全てのコンテンツにおいて75%以上のインタラクションレートを達成することを目標値にソーシャルメディアを運用しているとのこと。ソーシャルメディアでの消費者との対話は、最重要と位置づけられ、エージェンシーやテクノロジーを使うことなく、スタッフの「パッション」によって実現されているのだそうです。
 
360度(全方位)、365日(毎日)、「谷間」なく、いつもどこかで「ブランド」についての会話がされている状態を作る。消費者との対話が生み出す“熱”が、周囲を巻き込み、ファンとのエンゲージメントを深め、ブランドへの「愛」を育む。ブランドが自らを語るのではなく、愛をもったファンが友人に語ることが購買意欲の向上に繋がる。これこそが、これからのソーシャルメディアマーケティングが目指す姿なのです。
 
■前回記事
【ad:tech東京2011レポート】「adidas US」デジタルマーケティングのトップが語る3つのキーワード
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