ほっかほっか亭 OGP

コロナ禍を経て、我々の生活は大きく変化し、これからは「ニューノーマル」時代が到来すると言われています。また、それによって「デジタル上での顧客との接点創出」や「継続的なコミュニケーション」を実現していくマーケティング施策が改めて注目されています。

フランチャイズチェーンのお弁当専門店として、創業43年を誇る老舗「ほっかほっか亭」を展開する株式会社ハークスレイでも、今年に入ってからSNSを活用したマーケティング施策に注力。デジタル上での顧客との接点を活用した施策に取り組んでいます。

今回は、同社の百岳氏に、SNSを中心したデジタル施策の戦略や、同社がSNSについて感じる価値についてたっぷりとお話を伺いました。

コロナ禍を経て改めて感じた「顧客との接点」の大切さ

ーまずは御社の事業内容と百岳様の業務内容について改めて教えてください。

私たちハークスレイグループは、お客様の生活に役立つ企業として地域社会に貢献するとともに、「安心」「安全」を基本とした、さらなる価値の創造を目指し、「食」に関わる様々なサービスを提供しています。

中でも私は、販売促進部・IT推進課の課長として、お弁当のテイクアウト専門店「ほっかほっか亭」の販売促進施策に従事しています。

特に我々のIT推進課では、従来の折り込みチラシなどの販売促進施策から脱却し、いわゆるIT戦略的な施策に取り組んで成果をあげることを目指しております。そのひとつとして、直近ではSNSを活用したマーケティング施策に力をいれています。

ほっかほっか亭 ウェブページ
ほっかほっか亭のウェブページ。各店舗で手作りにこだわったフランチャイズを展開し、提供商品も地域ごとに異なるものがある。

ーありがとうございます。SNSの活用に注力される前の施策としては、「折り込みチラシ」が重点施策だったのでしょうか?

そうですね。もともと我々は広告費よりも食材にお金をかけたいと考えており、広告宣伝に使える予算が潤沢にあるわけではありません。

その中できちんと販売に結びつけていく施策として、店舗の周辺で生活をしているお客様に直接働きかけて来店・購入を促す折り込みチラシや、店頭での告知物などの施策に力を入れてきました。

ーそんな御社が、SNSを活用したマーケティング施策に注力されることにした背景について教えてください。

SNSの強化に踏み切った背景には、新型コロナウイルスの影響による消費者行動の変化があります。

例えば、オフィス街など「ビジネス立地」にある店舗では、テレワークの浸透によってお客様の数が鈍化。従来の店頭告知物のような施策で販売を促すことが難しい状況でした。

加えて、コロナ禍では、消費者のSNSの利用時間が増えたというデータもでていました。こうした状況から、タイミングとしては今が最適だと考え、SNSを活用した施策に力を入れていくことにしました。

ーコロナ禍において、持ちにくくなったお客様との接点を、接触時間が増えているSNSを活用することで新しく創出していこうとされたんですね。

はい。ただ、コロナ以前から新しい顧客接点をどう作っていくべきかという課題はもっていました。ほっかほっか亭というブランドは若年層を含めて一般認識率は高いのですが、顧客層は30〜40代がメインです。しかし、ブランドの今後を考えていくうえでも、やはり10〜20代の若年層と接点をもち、来店に繋げていくような施策には取り組まなくてはいけません。

そうなると、従来の折り込みチラシなどの施策ではリーチしませんし、何か別の施策を実施する必要性は感じていました。こうした課題も、SNSに注力していこうという動きに繋がっていると思います。

ーこの若年層の接点は今年に入って強化されようと思ったのでしょうか?

いえ、当社は創業43年になりますが、若年層との接点作りは長年の課題でもあります。
というのも、実は、若い時にほっかほっか亭でお弁当を買ったという経験がないと、その後も商品の購入や来店にハードルを感じやすい傾向があるんです。

その点でも若年層の方にご来店いただき、まずは1つでもお弁当を買っていただく体験を作ることが大切だと考えています。

SNSとアプリの連携によって売り上げの最大化を目指す

ー様々なSNSがある中で、御社ではTwitterとInstagramのアカウントを運用されています。それぞれのアカウントの目的や役割について教えてください。

Twitterのもつ即効性、リアルタイム性は情報を届ける施策にはとてもフィットしていると考えています。しかし、より効率的に届けたい人に情報を届けるためには、基礎となるフォロワーの数を担保する必要もあります。

実はTwitterについては、SNSに注力する以前より運用していましたが、フォロワーが5万人前後のところから伸び悩んでいたんです。

ですのでTwitterはまず、フォロワー数を着実に増やし、そのフォロワーに対して戦略的に伝えたい情報を伝えていくことを運用の目的に置いています。

ほっかほっか亭の公式Twitterアカウント。GIF動画を活用した情報発信(左)や、フォロワーからのキャンペーン当選報告投稿(右)をリツイートするなど、Twitterを活用したコミュニケーションに力を入れている。

ー効率的にフォロワーの数を増やすためにはどのような施策に取り組まれていますか?

フォロワーを増やすことが最終的なゴールではありませんが、Twitterで行うインスタントウィンキャンペーンは、効率的なフォロワー数の増加に大きく寄与し、大きな成果がでています。また、このキャンペーン形式ではたくさんのリツイートも生まれますので、結果としてSNSに注力する上で「目に見える成果」を社内で共有できるという価値もあります。

そして、キャンペーンではインセンティブとして店舗で使えるクーポンの配布をしています。新規のお客様との接点を作り、店舗で使えるクーポンをインセンティブとすることで、店舗に誘導しお弁当を食べてもらうきっかけ作りをゴールに、施策を展開しています。

※SMMLab編集部追記:
ほっかほっか亭では、インスタントウィンキャンペーンによってフォロワーの増加や店舗送客で高い成果をあげています。同社のキャンペーン施策について以下の記事をご覧ください。
【18倍のフォロワー増加数、12倍の拡散効果を実現!】お弁当専門店「ほっかほっか亭」が挑戦する、来店効果を可視化する新しいTwitter×Intagram連動型キャンペーンとは?

ーInstagramはいかがですか?

Instagramはこの6月から運用を始めたばかりで、Instagramのフォロワーさんを見ていると、Twitterとはまた違う層の方がフォローしてくださっている印象があります。

また、Instagramは、ビジュアルを通してブランドイメージを視覚的に伝え、ブランドに対する好意や好感を醸成できるメディアです。Twitterとは伝える内容を区別し、違う層のお客様との接点作りに取り組んでいきたいと考えています。

ほっかほっか亭の公式Instagramアカウント。同社のお惣菜を活用したアレンジメニューや、同社のこだわりである「手作り」が伝わるようなビジュアルを使った投稿など、Twitterとはまた異なった軸での投稿も見られる。

ーTwitterにはリアルタイムな情報伝達、Instagramにはビジュアルを通してのブランディングという役割があるんですね。

そうです。そして、SNS施策全体として1番大きな目的はやはり店舗送客です。

フランチャイズビジネスをして行く上では、SNSをきっかけにお客様を店舗に誘導し、そこでお弁当を買っていただいて初めて「成果がでた」と言えると思いますので、これをいかに実現するかが重要だと考えています。

ーそれぞれのコミュニケーション方向性や投稿内容に違いがありながらも、SNS全体として「店舗送客」に繋げていくんですね。

はい。さらにご来店いただいたお客様の関係性を深め、再びほっかほっか亭を選んでもらえるような施策につなげていくことも大切だと考えています。

そのための1つとして、ほっかほっか亭アプリの運用にも取り組んでいます。

同社のアプリでは、来店ポイントやお得なクーポンなど、既存顧客の来店率や利用率を高める目的の施策に取り組んでいる。

このアプリは、弊社の商品を食べたことがあるであろう既存のお客様に、お得な情報のご案内などを行い、リピート率などをあげて行くことなどが目的です。

SNSを活用してお客様との接点創出から店舗送客を行い、アプリでのコミュニケーションによってロイヤルカスマー化を目指すというこの連携が、売り上げの最大化にもつながっていくと考えています。

withコロナ時代に、店舗と顧客をつなげるソーシャルメディアの価値

ーwithコロナ、アフターコロナで消費者の意識や行動も変化しています。改めて、こうした状況のなか、御社が考えるSNSを活用したマーケティング戦略について教えてください。

そうですね。やはり、消費者の意識としては外食を含め店舗へ足を運ぶという行動を控える傾向はこれからもまだ続いていくのではないかと思います。

そのうえで、我々のように店舗に近い生活圏の方々に対して店舗上のコミュニケーションを行なってきた企業の場合、どのようにお客様と接点をもち、コミュニケーションを行なっていくのかは大きな課題です。

※SMMLab編集部追記:
コロナ禍を経て変化した消費者意識を掴むことは、今後のマーケティング戦略において非常に大切です。こうしたニューノーマル時代の消費者意識の変化と今後のマーケティングのポイントについては、以下の記事で解説しています。
4,000人の消費者データから考える、「ニューノーマル」時代のマーケティングで大切な3つのこと

特に今は、大手のコンビニさんをはじめ、たくさんの場所でお惣菜やお弁当を買うことができ、その商品ラインナップもとても充実しています。
そのため、お客様もどこの何を買うか迷ったり、それぞれの違いが分からなかったりということも多いのではないでしょうか。

こうした時代の中で、ほっかほっか亭を選んでいただくためには、お客様にほっかほっか亭と他の商品との違いについて理解していただく必要があります。

例えばほっかほっか亭では、ご飯は炊きたてをご用意し、煮魚や焼き物、卵焼きなどご提供するお惣菜のほとんどを店内で調理しています。

これには、毎日食べる食事の大切にし、体に良く作りたての美味しいものを届けたいという我々の思いがあります。そして、これはほっかほっか亭らしさを作っている一つの大切なエッセンスだとか考えています。

店舗でのお客様との接点が持ちにくくなった今、こうした我々の思いを直接お伝えし、他の商品との違いを理解していただける施策こそ、SNSを活用したコミュニケーションだと考えています。

同時に、SNSをきっかけとして店舗に来ていただき、実際に「食べる」という体験をしていただくことで、よりほっかほっか亭について理解し、その価値を感じてもらえるのだとも思います。

これからのSNS戦略では、こうしたお客様との接点の維持と、お弁当専門店の我々だからこそお届けできるクオリティや美味しさについての理解促進を通して、ほっかほっか亭のファンの醸成に繋げていきたいと思っています。