若者の間で流行の発信源となっている「動画インフルエンサー」を通して、若年層マーケティング攻略のヒントを探る!

 
「双子ダンス」「アクロバットキッス」「着席ドッキリ」「イヤホンガンガン伝言ゲーム」…これらが何かわかりますか?
いずれも若者の間で、近年SNS上でバズったと言われている流行ですが、世間的にはあまり知られていないのではないでしょうか?
10代から20代前半の、いわゆる「若年層」の間では今、スマホ上の動画コンテンツから生まれた独自の流行が大ブームとなる現象が増えています。このような大人には分からない・知ることが難しい若者たちの流行を、どうやってマーケティングに取り入れたらいいのか?若年層マーケティングに課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
 
そこでSMMLabでは、日本でトップクラスの人気YouTuberやショートムーバーを多数擁する、若年層マーケティング専門エージェンシーの株式会社VAZによる、若年層に最適化したデジタルマーケティングのポイントを探る連載を開始します!
若者への絶大な影響力を持つ動画インフルエンサーの全貌をつかみ、若年層マーケティングを成功させるヒントにしてください。
初回の今回は、そもそも「インフルエンサー」とはどのような存在なのか?そして、オンラインコミュニティの変遷の中で、どう変化してきたのかをご紹介します。
 
共感力で煌めく「インフルエンサー」の変化と進化【改めて知っておきたい!いまどきインフルエンサーマーケティング入門】

株式会社VAZ 代表 森 泰輝 氏

 

インフルエンサーとは

インフルエンサーとは、特定分野における著名人や専門家、インターネット上で強い影響力を持つ個人を指します。今回の連載におけるインフルエンサーは、後者の意味合いで使用する事とします。
Web上で特定の個人が影響力を持つという事。これは一体どういう意味を持つのでしょうか。
 
消費者が目にする情報は年々増加しています。しかしその一方、消費している情報量に変化はここ10年間でほとんど変化がありません。この、流通量と消費量の差は年々開いており、平成21年度の時点では約2倍もの開きが存在しています。
 
出典:我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量 に関する調査研究結果(平成21年度) / 総務省

出典:我が国の情報通信市場の実態と情報流通量の計量 に関する調査研究結果(平成21年度) / 総務省

 
いくら情報の流通量が増えたところで、私たちの可処分時間が増えているわけではありません。その中で自分に有益な情報を効率よく得る為には、一定のフィルタリング機能が必要不可欠です。Twitterの「Follow」という概念も、キュレーションサービスの「まとめ」という概念も、全てはフィルタリングを通じて自分に有益であろう情報を収集する為の手段であり、多すぎる情報に疲れたユーザーのニーズにマッチしたからこそ、爆発的な人気を得ているのです。
そして、この単なるフィルターという立場を超え、ユーザーに独自の意見・感性を提供する存在がインフルエンサーです。
「共感」というフィルターを通じ、勝ち取った信頼の上での発言は、ユーザーの意思決定に強く影響を与えます。そして今の時代のWebマーケティングに求められているのが、この「共感力」ではないでしょうか。
ユーチューバーやインスタグラマーと呼ばれる一個人が台頭する前、インフルエンサーと言えば権威性の高い専門家でした。商品のお墨付きとして権威のある専門家からの一言を添えセールスに説得力を持たせる、という手法自体はテレビが普及し始めた頃から一般的に行われてきました。商品購入の意思決定をどれだけロジカルに説得できるかという考え方です。現在、そういった権威性の高さが購買への影響力を失った訳ではありません。むしろ権威の形が変わってしまった、というべきでしょう。
 
TwitterやInstagramの登場は、Klout(クラウト)スコアという概念を生み出しました。簡単に言えば、ソーシャルメディア上での影響力を数値化したものです。テレビや雑誌が若者に多大な影響を及ぼしていた時代であれば、そこに掲載される事が権威であり、逆説的には権威とされている人々しかそういった媒体に登場することはありませんでした。しかし今では若者のコミュニケーション、情報収集、購買の意思決定、ほとんど全てがソーシャルメディア上で行われています。そしてこのソーシャルメディアにおいては、一部の有名人を除いて全ての人間が0のスコアからスタートします。そこでは「誰が発言したか」よりも、「何を発言したか」が重要視されたのです。
スマートフォンが普及し若者のソーシャルメディア利用率が上がるにつれ、ごく普通の一般人でありながらも、芸能人などよりも高いクラウトスコアを持つユーザーが多くなってきました。彼らのほぼ全てが広告などで支持者を増やした訳ではなく、ありのままをさらけ出していった結果、他のユーザーから支持を得ています。残酷なまでの「アウトプット至上主義」の世界だからこそ、コンテンツに魅力のあるユーザーに人が集まるのです。
 
そして、相手も自分と同じ一般人の立場である事が共感を生む最大の理由でしょう。人は情報を求める時、自分より遥かに知識を保有する人よりも、自分より少し知識量が多い人や、ほとんど自分と同レベルの知識を保有する人を求める傾向にあります。
友人よりは遠いかもしれないが、知人よりも近しい、そんな存在の彼らの手によって形作られるのは、草の根的なネットワークです。その点において、従来の芸能人や知識人などのセレブリティが君臨する世界とは異なっています。
 
 

オンラインコミュニティの変遷によって変化してきたインフルエンサー

 
インフルエンサーという存在をより理解していただく為に、昨今のインフルエンサーと呼ばれる人達が登場するまでの歴史について簡単にご紹介します。
 
日本にWeb上に影響力を持つ個人が登場し始めたのは2002年のブログサービスの普及からでしょうか。αブロガー・パワーブロガーと呼ばれた彼らは個人のブログで月間数十万~数百万PVを稼ぎ、その影響力からWebマーケティングで無視できない存在となりました。
その後、当時はまだmixiやモバゲーなどが隆盛だった頃に日本へやってきた黒船ともいえるサービスがTwitterです。今でこそ日本の若者の多くが利用しているサービスですが、当時は匿名制SNSという側面よりも、「どこよりも早く1次ソースが手に入る情報メディア」という受け止められ方でした。情報感度の高いブロガー達はこぞってブログから移行・または併用し、Twitterを主な情報発信の場とするαツイッタラーが増えていきました。
 
このように、日本のWebにおけるインフルエンサーの土壌は、テキスト文化によって生まれ、構築されてきました。その文化を上手く活かしながら、動画という新しい要素を加えたのがニコニコ動画です。
ニコニコ動画で特筆すべきなのは、今まで「2ちゃんねる」などでユーザーに愛されてきたアスキーアートを、動画の上に流してしまうことで、動画の全く新しい楽しみ方を提示した点にあるでしょう。αブロガー・αツイッタラーと比較するとかなり「ギーク」かもしれませんが、このニコニコ動画から数多くの文化が派生しました。例えば、「初音ミク」は「ボーカロイド」というJ-POPの1カテゴリにまで昇華し、今ではカラオケの履歴が「ボーカロイド」ジャンルでで埋まっている事も少なくありません。
 
そしてニコニコ動画が生んだもう一つの文化、それがニコニコ生放送でした。
サービスが開始された当初は対企業向けのサービスでしたが、しばらくして個人でも利用が可能になると、ユーザーはこぞって生放送に取り組むようになりました。
ニコニコ動画は他のプラットフォームと比べて特に、クラスタ属性がはっきりと分かれている媒体で、。クラスタ間での干渉はほとんど無い為、趣味嗜好が合うユーザーのみがそれぞれ集団を成しています。そのため、個性的で印象深いユーザーはすぐに熱心な他のユーザーによって注目され、引き立てられていきました。また、まだニコニコ動画の黎明期には、「面白ければなんでもOK」という昔の2ちゃんねるの様な空気感が存在しており、ユーザーは退廃的でありながらも、どこか笑える動画を競って投稿しました。これは現在のユーチューバー文化の源流と言えるでしょう。
 
株式会社VAZによる中高生のSNS流行を網羅した動画

株式会社VAZが制作した、ここ数年でバズった中高生のSNS流行をまとめた動画
https://youtu.be/qPl6POl8Oic

 

高性能スマートフォンの普及が生んだ新タイプのインフルエンサー

 
近年、写真・動画の撮影が容易、かつ高機能なスマートフォンが普及し始めたこと、通信容量や速度が向上したことなど、複数の要因が重なったことで、特に中高校生の間で動画でのコミュニケーションが増加しました。高校生の間ではVine・Twitterで短い尺の動画を投稿するショートムーバーが流行し、彼氏・彼女が二人の思い出を編集・加工しシェアするカップル動画がきっかけとなって、MixChannelが中高生に流行しました。
 
そして、YouTubeが動画の再生回数に応じた広告収入を投稿者に還元する仕組みを提供したことにより、それまではどちらかというと細々と活動してきたユーチューバーが一気に増加。ヒカキン・はじめしゃちょーと言ったスターユーチューバーが登場したことで、彼らに続けと多くのユーチューバーが今も生まれ続けています。
動画とは毛色が異なりますが、女性のインフルエンサーに言及するならInstagramは無視できないでしょう。Instagramでの活動を主な職業とする「インスタグラマー」も2015年頃から増え始めています。YouTubeやブログと違い、Instagram自体でマネタイズする機能は存在しない為、あくまで自身のブランディングとして活用するユーザーがほとんどであり、あまり商業的な匂いがしないのも熱心なユーザーが多い理由の一つとも言えるでしょう。
 
以上、インフルエンサーとは何か、そしてどのような成り立ちでインフルエンサーが生まれたのかをご紹介しました。次回はインフルエンサーが生まれる仕組みや、インフルエンサーの各媒体毎の特徴などについてご紹介します。
 
 


<筆者プロフィール>
森 泰輝 (Taiki Mori) 株式会社VAZ 代表
森 泰輝 (Taiki Mori)
株式会社VAZ 代表
平成27 年7月に、若年層マーケティングとして、インフルエンサーマーケティング事業及びSNSプラットフォーム事業を行う株式会社VAZを設立、代表取締役社長に就任。
10代のユーザーに対して絶大な影響力のあるトップ・インフルエンサーが企業広告を行うサービス「VAZ Make」を提供。これまでに大手企業を中心に約40社以上のプロモーションを実施。
執筆協力:正井 亮佑
株式会社VAZ アカウントマネージメント ビジネスユニット
 
株式会社VAZロゴマーク
株式会社VAZ 公式サイト
http://vaz.co.jp/
VAZ.TOKYO(VAZ所属クリエーターファンサイト)
http://vaz.tokyo/


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http://www.aainc.co.jp/news-release/2017/01398.html


 
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