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— 前回、ソーシャルメディアマーケティングを活用するには、人のつながりで出来たネットワークの中において、どのような情報なら伝わるか、どのような情報なら人から人に届けてもらえるかという発想に転換することが必要だとお聞きしました。そこで、実際にソーシャルメディアマーケティングを実践する担当者に、必要になってくることはどのような事でしょうか?現在マーケターがやらなくてはならない事は、圧倒的に増えているような気がするのですが…。

高広:よく複雑になってると言う人が多いけど、複雑になっているというより、出来なかった事が出来るようになる、と考えると全然発想が違う訳じゃない?そう考えると楽しくなってくる。
— なるほど。これからのマーケターにはこの状況を楽しめる資質が求められるということですね?
高広:いわゆるインサイトというものを敏感に感じられることが必要。
— そういう感性のようなものをトレーニングするのはとても難しいと思うのですが?
高広:一番のトレーニングは、自分自身が利用者になること。傍観者というのが一番良くない。たとえば、ディズニーランドに行ったら思いっきり騒ぐとか、ツイッターが流行っていると聞いたらすぐに使ってみるとか。要するに自分自身が実際に参加者になること。
文化人類学では「参与観察」という、遠くから見ているだけでなく、自分たち自身がその生活の中に入り込んで分析するって言う手法があるんだけれども、最近、マーケティングの中でも「参与観察」とおなじように、自分たち自身が利用者の輪の中にいかに入っていくか、いちユーザーとして、どれだけ自然に輪の中に入れるかどうか、というのが結構重要視されている。
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— マーケターが実際にソーシャルメディアに参加しようとしたとき、これだけは使っておくべきというツールはありますか?
高広:今だったらやっぱりTwitterとAndroidじゃないかな?
— 現状はiPhoneが人気ですが?
高広:いや、Androidを使った端末でしょ。電話の進化というのが感じられないとダメ。iPhoneはデバイスとOSとアプリが一体になってしまってるので、ユーザー数に限界があると思う。Mobile端末がどうなって行くのかはマーケティングにとって極めて大きな問題だから、これからの基軸がなにかと言われたら多分、Androidによるスマートフォンということになると思う。
— スマートフォンは絵文字が使えないとか、机の下でブラインドタッチが出来ないから女子高生に評判が良くない、なんていう笑い話もありますが、そうした層もAndroid端末を使うようになりますか?
高広:確実になるでしょう。絵文字やブラインドタッチうんぬんという問題は、それが出来るような端末が開発されればいいこと。たとえば、Barnes & Nobleが発売したAmazon Kindleの対抗端末もオペレーションシステムはAndroidですよ。Androidはスマートフォンとか新しいメディアとの親和性が高いからこうしたツールを使いこなしてTwitterなんかをドンドン使っていくべき。
— マーケター自らがソーシャルメディアを体感する事が大切な訳ですね?
高広:そういう意味では、これからのマーケターは、普段日常生活の中で自分が使っているツールを、どういう風にマーケティング等に使うかを考えられる思考が必要なんじゃないかな。
《次回へつづく》
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高広伯彦氏 略歴
同志社大学大学院(社会学)修了業後、博報堂、電通を通じて、営業やインタラクティブ系コミュニケーションプランナー、ビジネス開発を経て、2005年から2008年までGoogleで広告商品AdWordsの sales marketing チームを率い、YouTubeの広告ビジネスなどの日本導入などを手がける。2009年1月から独立し個人事務所「スケダチ」を設立。新しい広告と新しいメディアの企画、新しい広告領域ビジネスの開発支援を行う。第二回東京インタラクティブアドアワードグランプリ他受賞暦多数。
インタビュアー:中村壮秀(アライドアーキテクツ株式会社代表)