こんにちは、SMMLab研究員の瀬戸口です。
今回は、ソーシャルメディア上でユーザーの共感を得やすいコンテンツを作るために意識すべきポイントをRed Bullから学びます。
Red Bullはご存知の通り、ここぞ!という時に翼を授けてくれるエナジードリンクとして、世界的に一流の「ブランド」を確立していますが、そのソーシャルメディア活用も他のブランドとは一線を画す、一流ぶりで有名です。
The NEXT WEBに、Red Bullのソーシャルメディア活用に関する興味深い記事が掲載されていましたので、ご紹介します。

■シェアしたくなるコンテンツを追求

Red BullはFacebookページに2, 200万人以上のファン数を誇るビッグブランドです。缶の表記にも、Facebookページのタブにも、公式ウェブページでも「アスリート」を全面的にプッシュしており、ブランドの見せ方として「アスリート」と親和性を持たせたストーリーを語ろうとしているようです。
今日のソーシャルメディアにおいて、ブランドが発信するコンテンツは、全体の中で大きな割合を占めています。しかし、「ほとんどのブランドは何を取り違えたのか自社のロゴをソーシャルメディアでウェブ上の人々に浴びせているのです」とThe NEXT WEBのNiall Harbison氏はいいます。「ところが、Red Bullはその微妙な力加減を理解している。コンテンツ制作のキーポイントはコアバリューにフィットしながらも、人々が見たくなり、シェアしたくなるものを生み出すことなのです。」
 
では、Red Bullの実際のコンテンツを見ていきましょう。
 
・トルコ

イギリス出身、フリーランニングという分野のアスリートであるRyan Doyle氏を起用したビデオです。恐らく、このビデオの制作にはかなりのお金がかかっていると思われますが、公開数日で13万人以上の視聴数を誇っています。実際の映像の中では、Red Bullの缶が数回見える程度で、視聴者に無理にブランドを押し付けるという感じが少しもありません。
 
・サントリーニ

ギリシャのサントリーニ島というところで撮影されたもの。Ryan Doyleのトリックに見とれているうちに、Red Bullのロゴが数回現れますが、広告であるという感覚にさせない見せ方です。これが、もし街の至る所にRed Bullのロゴが表示されたものだったとしたら、ここまでの再生回数はなかったのではないでしょうか。
 
また、Red Bullはこれ以外にも、ファンに繰り返しFacebookページに訪れてもらうための工夫として、ゲームやテレビチャンネルのシリーズもコンテンツとして掲載しています。


socialmediaexaminer.comより
■ユーザーの視点に立った、独自のブランドコンテンツを
Red Bullほどの予算を持たない企業であっても、こうしたコンテンツ作りの姿勢から学ぶことは多分にあると思います。コンテンツ制作時、普通は自社ブランドをどのように見せ、予算内で企業メッセージをいかに伝えるかを念頭におきますが、Red Bullはその逆を行いました。想定されるターゲットユーザーが、どのような内容のコンテンツを見たいのかを第一に考え、いかにブランドの存在感を消して表現できるかを試行錯誤します。
誰もブランドがコンテストで受賞した受賞歴や、社内の代表者のインタビューは気にならない、ということでしょう。消費者は、コンテンツによって感情を揺さぶられるのであり、面白味のない広告コンテンツには興味を示しません。考えてみれば当たり前なことなのですが、おもしろく心揺さぶられるコンテンツがFacebookやTwitterでバイラルを生むのです。
ソーシャルメディアマーケティングは、よく言われるように、その効果がすぐには見えにくい部分があります。「商品の宣伝をしないコンテンツを作って、何の意味があるのか?」と思う方もいるでしょう。しかしながら、人々に愛され、繰り返し見てもらえ、そしてバイラルされるような良質のコンテンツを積み上げていくことで、それは確実にブランドの「イメージ」として人々に定着していくはずだ、とSMM Labは考えます。
あくまでもソーシャルメディア上で、「ユーザーが人に伝えたくなるコンテンツとは?」という視点を忘れずに、自社のコアバリューの本質を浸透させていくようなコンテンツを作れるように工夫したいですね。
 
■参考記事
Red Bull’s smart use of social media and branded content(2011/8/27)
9 Facebook Marketing Success Stories You Should Model(2011/9/13)
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