企業販促ogp

新型コロナ禍以降、人々の生活様式が大きく変化し、企業の販促・プロモーション活動も大きくアップデートすることが求められました。販促活動の重心をアナログ→デジタルへシフトさせる、小売とECの連動を強化するなど、各社さまざまな工夫をしている様子です。

企業のSNSマーケティング(マーケティングにおけるSNSの利用)への注力度合いも高まっており、2021年9月にアライドアーキテクツが行った調査結果では、約7割の企業が2021年にSNSマーケ予算を増額、2022年にはさらに増額予定と回答しています。

予算アンケート集計

このような中、各社は2021年にどのような変化を感じ、2022年にどのような展望を持っているのでしょうか。

今回は、企業の販促・プロモーション担当者およびパートナー企業に、「2021年に起きた変化」と「2022年の注目キーワード」「今後のSNSマーケティングの展望」を聞きました。2022年の戦略や施策を考えるヒントに、ご参考ください。

Twitterプロモーション厳選事例11選
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SNSを通じてお客様に寄り添い、コミュニケーションを深めることで実績につなげる

境野 真琴 氏

境野 真琴 氏

青山商事株式会社
マーケティング部 デジタルマーケティンググループ

①2021年の振り返り&2021年に起きた大きな変化

2021年1月時点で約12.5万人だったTwitterのフォロワー数が、2021年内に20万人を突破。毎日のオーガニック投稿で企業公式としてのマナー、モラルを遵守しながらも「中の人」のキャラクターを出した投稿を実施し、フォロー頂いているお客様とのコミュニケーションを積極的に行った。また、様々な企業様とのコラボキャンペーンを実施できたことで、アカウントのフォローにつなげることができた。

成功したプロモーション施策としては、洋服の青山の「アイロン掛けのいらないワイシャツ」として人気の商品「NONIRONMAX」で1年間実施してきたキャンペーンの成果が見えたことだ。

2020年10月から、「毎月24日はシャツを買う」ということを習慣としリピーターになって頂く目的で、毎月24日に「NONIRONMAX」キャンペーンを実施。それから1年間、キャンペーンで投稿するクリエイティブをアップデートしながら目標フォロワー獲得数を達成し、新規のファンのお客様との接点を増加させる事ができた。

②2022年の注目キーワード

「お客様にいかに寄り添えるか」

2021年に洋服の青山公式Instagramアカウント(@aoyama_ladies)で取り組んだ「みんなの声でつくろうプロジェクト」で、お客様の声から商品化したブラウスを企画したことで、多くの気づきを得ることができた。

これまでも店頭スタッフから「お客様から、こんなご要望がありました」という内容を商品企画に反映していたが、今回、商品企画とマーケティングの担当者が直接お客様とSNSを通してコミュニケーションを取ることにより、今まで気づくことのできなかった視点でのご意見に目から鱗が落ちる思いだった。そうして出来上がった商品は、企画に参加されたお客様はもちろん、企画を知らずに店舗で初めて商品を見て知ったお客様からも非常にご好評いただくことができた。

商品としての魅力だけでなく、この商品が出来上がるまでの背景にも共感頂くことが結果として実績につながることを体感したため、このキーワードを選んだ。

青山レディース インスタライブ
「みんなの声でつくろうプロジェクト」:Instagramライブ配信でフォロワーであるお客様から寄せられた声をもとに商品を開発。発売後、ライブ配信を見たお客様が実際に店舗に来店し、カラー違いで複数枚購入いただくなど、大きな反響があった。

③SNSを活用したマーケティング施策の位置づけと今後の展望

青山商事では、SNSを「お客様との相互コミュニケーションツール」として運用している。運用に集中していくと「自社のこの商品をPRしたいから」「この投稿のインプレッション数が伸びるから」など企業の一方的な想いが出てしまいやすくなるが、チーム内で毎回「お客様はこの投稿を見てどんな気持ちになるか」を考え続けることで、一方通行にならない様に注意している。

2019年から本格的にTwitterの運用を開始し、2年間でフォロワー数が20万人となった。2021年は、「中の人」のキャラクターを出した投稿で、多くのお客様とコミュニケーションを取ることもできている。次の2年は、その先のステージとして、アカウントに集まっていただいた20万人のお客様と「どのようなコミュニケーションを取ってもっと洋服の青山を好きになって頂くか」に重きを置いて運用していきたい。
最終ゴールとしては「青山さん」としてお客様にとっての友人・知人になることを目標にしている。

ロングセラー商品にも多様性が求められる時代。One to Oneを店頭でもSNSでも

小垰 勇人氏

小垰 勇人(おだわ ゆうと)氏

カルビー株式会社
マーケティング本部

①2021年の振り返り&2021年に起きた大きな変化

2021年は「店頭→SNSでのコミュニケーション」へ大きく変化した年だと感じている。

カルビーの商品の多くは単価が150円以下であり、店頭で無性に食べたくなり購入いただくという流れがメインとなるため、どうしても店頭施策が強い風土である。

しかし、2021年は各社SNSでの企業(ブランド)アカウントが増え、積極的に話題づくりやコミュニケーションの強化を行ったのではないだろうか。

販促施策として成功したのは、約60社が参加した「#年越しおかし で大感謝祭」だ。Twitterのかっぱえびせん公式アカウントが主催で日本全国のおかし企業共同のプレゼントキャンペーンを開催、おかし企業が共通のタグ「#年越しおかし」で各社プレゼントキャンペーンを実施、1年間の感謝をフォロワー様にお伝えし、明るく楽しい年越しを迎えていただきたいという気持ちで実施した。競合関係や会社の規模感など一切関係なく、お互いのキャンペーンを紹介しあうことで、楽しい企画にできたと考えている。

②2022年の注目キーワード

「One to Oneは店頭でもSNSでも」

多様性を求められる時代になり、商材も溢れかえっている。ロングセラーを買うことよりも流行の新アイテムを買うことがステータスの時代だ。

我々プロモーション担当者には、ロングセラー商品であっても、食べ方、食べるシーン、異なるデザインパッケージ、キャラクターなど、1つのブランドでも「違う顔」を持つことによって、幅広い世代に支持されるようなマーケティングが求められてきていると感じている。

③SNSを活用したマーケティング施策の位置づけと今後の展望

SNS施策は非常に重要だと考えている。店頭や広告だけでは届かない方へのアプローチだけでなく、企業やブランドを身近に感じていただける唯一の場所だと思う。

2022年度以降は双方向のコミュニケーションを強化し、お客様(フォロワー様)との協働する場面をさらに増やしていきたい。また、他企業と共に協働してSNS内で話題提供し、楽しんでいただけるような企画も実施していきたい。「#年越しおかし で大感謝祭」も次回で3年目となるため、次は100社を超える大イベントにしたいと考えている。

SNSで「ガチ」で語られるモノ・コトが消費の起爆剤に

平山 裕貴 氏

平山 裕貴 氏

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー
国内事業部 マーケティング部 兼 デジタル戦略室

①2021年の振り返り&2021年に起きた大きな変化

2021年はTikTokで話題となり、商品が大ヒットした。投稿から6ヵ月以上経過した今でもまだ入荷待ちが続いているほどだ。

他にも、ECでの売上や顧客接点の増加、Twitter・LINE・LIPSなどのSNSやコスメアプリのフォロワー数が増加、LIVE配信などによるユーザーとの直接のコミュニケーションの増加、D2C起点での短期的な販売増など良い変化が見られた。

一方、インフルエンサーによるInstagram投稿施策などの効果は薄くなったと感じる。また、D2C起点での商品の長期販売と拡販施策にはまだ課題がある。

②2022年の注目キーワード

「ガチ」

本音で、「ガチ」で語っているものやコトにユーザーが惹かれていく傾向が非常に強い。実際に、弊社もTikTokやYouTubeの投稿の中から、4回ヒットが生まれた。

「ガチ」という言葉は10~20代前半の若者言葉であり、少子高齢化の中でも相変わらず市場を動かす起爆力が強い世代の言葉として、今回2022年のキーワードに選んだ。

③SNSを活用したマーケティング施策の位置づけと今後の展望

2021年から特に変化はない。これからも信頼できる情報を出すことを継続していく。国内外ともに、ユーザーが求めた際に正しい情報やレビューが蓄積された状況を維持したい。

2022年の注目キーワードは「クリエイター活用」。SNS施策の精度・頻度向上課題はテクノロジーで解決を

井出 修二朗

井出 修二朗

アライドアーキテクツ株式会社
echoes事業部長 兼 Webインテグレーション事業部長

①2021年の振り返り&2021年に起きた大きな変化

2021年はwithコロナでイベントなどのプロモーションがしづらく、デジタル・SNSに予算が流れる傾向はあったが、一方で業績が回復していない企業は販促予算を絞るため、成果を問わず削減対象になったり、施策を先送りするケースも多くあった。

SNSにおいてはTiktok売れ、音声SNS、ライブコマースなどが話題になったが、企業の足元でのSNS活用は、大きな変化というより業種・企業規模・顧客層によって打ち手の細分化が非常に早いスピードで進行している状態と捉えている。

②2022年の注目キーワード

「クリエイター活用」

生活者の限られたメディア視聴時間が奪い合いとなる中で、企業視点で制作されたコンテンツは、Youtuberを筆頭に市場原理の中で高速にPDCAを回す個人のコンテンツ量・質には太刀打ちできない。一方でコンテクストの薄い広告だけでは生活者に響かない。となると、いかにクリエイターと一緒にコンテンツを共創し、生活者のマインドに入っていくかが求められるようになるのではないか。SNS媒体各社もクリエイターの囲い込みには力を入れており、企業による活用手法も広がっていくものと考えられる。

③SNSを活用したマーケティング施策の位置づけと今後の展望

業界・企業規模・顧客層により異なるが、ミッドファネルでのSNS活用としては、いかにアッパーファネルのリーチ施策と連動してアーンドメディアでコンテクストを作れるか、またいかにローワーファネルに誘導し直接的な売上貢献に結びつけるか、という2つの科学が進む。前者においては、生活者の話題に入り増幅することができるTwitterの活用が期待され、後者においては、コマースや店頭への誘引力が高いInstagramやLINEが期待されているが、いずれも精度・頻度向上のためには人の手だけでは難しくテクノロジーで解決していく必要があり、弊社のechoesでも新たな付加価値を提供したいと考えている。