「トリプルメディア」とは? 日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?
ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」 している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。
用語説明
トリプルメディア
企業がメディア戦略を考えるときに利用する3つのマーケティングチャネルを、ペイドメディア(paid media)、オウンドメディア(owned media)、アーンドメディア(earned media)として整理したフレームワークの一つ。
2009年に米国のIT情報サイトで紹介された「マルチメディア2.0」という論文がきっかけで広まり始めた概念で、日本では社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が、2010年のWebマーケティング戦略においてトリプルメディア、トリプルスクリーン戦略を考えていくべきとの宣言を発表したことから、一気に注目を集めた。
昨今では、「ペイドメディア」「オウンドメディア」「アーンドメディア」のトリプルメディアに、ブランド共有のチャネルとして「シェアードメディア」を「+1」とするのが主流となりつつある。
マーケティングを取り巻く環境の変化を踏まえた活用メディアの最適化
トリプルメディアを活用したマーケティングとは、消費者と企業をつなぐすべての接点や仕組みをメディアとしてとらえ直し、多様化した顧客接点の性質を分析・理解した上で、有機的に連携させ、企業活動全体を設計していく取り組みです。
ペイドメディア(paid media)
「関心をつくる」
支払いを必要とする広告の出稿により利用できるメディア。
主に、マス4媒体や、web広告といったものが分類される。
費用を掛けることが、効果を高めることに繋がりやすい。
オウンドメディア(owned media)
「理解を促す」
自社が所有しているメディアのこと。
webサイトやメールマガジンといった自社で管理・運営するメディアのため、比較的コントロールが利きやすい。
アーンドメディア(earned media)
「共感を得る」
企業が生活者からの評判や信用などを得るメディアのことで、生活者が情報の起点となるブログやソーシャルメディアなどのCGMが分類される。
特にソーシャルメディアなどを利用したコミュニケーションによって、ブランド認知向上や商品売り上げに効果が期待されているが、企業にはコントロールが出来ない。
一般層に広く訴求するペイドメディアは影響力が大きく即効性がありますが、資金がなければ規模を追求しづらく、一方的なメッセージは消費者から無視されたり警戒されたりすることもあります。一方オウンドメディアは、広告ほどの即効性はありませんが、自社のコントロールの下で、関与度の高い消費者に向けて直接メッセージを発信することが出来ます。
そして、生活者の体感情報や、生活者間のコミュニケーションによって評判が形成されるアーンドメディアは、消費者からの信頼が高いとされています。このように、それぞれのメディアは長所と短所を補完しています。
広告メディアで認知させ、自社メディアで理解・販促を行い、ソーシャルメディアで拡散・ファン化させる、というのが基本的な役割分担となりますが、各メディアの特徴を把握し、購買行動に関与する「メディア」の役割の変化、メッセージの質の変化を理解した上で、目的と用途によって最適化を図ることが必要です。
ユーザー視点でコミュニケーションの本質を追究したコミュニケーション・デザインが重要
ソーシャルメディアの隆盛によって消費者の接触するメディアが多岐化し、メディア環境は従来のマスメディア一極集中から大きく変化しました。コミュニケーションの主導権が企業から消費者に移り、これまで出会うことのなかった消費者同士が繋がったことで、企業が関与出来ない情報共有によって消費行動が大きく影響されるようになったのです。
こうした背景を受け、企業は従来のマス広告も顧客接点のメディアの一つとして捉え直し、消費者主導のアーンドメディアと自社発信のオウンドメディアの3つを連携させることで、消費者との新しい関係構築を目指すコミュニケーション設計が求められるようになりました。
しかし近年は、ソーシャルメディアの急速な台頭により、その対応が急務となっていましたが、情報の拡散スピードがあまりに早く、コントロールが出来ない状況に翻弄される企業も少なくありませんでした。そのためアーンドメディアでは価値ある生活者の声を傾聴することに注力し、情報発信においては自社のコントロール下で出来るオウンドメディアの重要性を見直す動きが大きくなってきました。
ただ、従来のように一方的にカタログ的な情報を発するのではなく、ペイドメディアで醸成した空気感を踏まえた上で、アーンドメディアから得た体感情報、ファン育成へ向けた継続的なコミュニケーション、購買欲求を後押しするユーザーエクスペリエンス等、生活者のニーズに沿ったコンテンツの提供が求められています。
さらに今後はデジタルメディアに留まらず、これまで実店舗やカスタマーセンターなどで担っていた生活者とのコミュニケーションやマーケット情報収集も含め、消費者(顧客)のことを十分に理解し、常に消費者起点を意識した中長期的な関係構築を目指すコミュニケーション設計が、企業ブランディングに大きな影響を与えると考えられます。
イラスト:速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、
デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。
広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ